アメリカで日本の本を読む

アマゾンが日本語版キンドルの発売を発表した、と数日前のニュースで報道されました。

これでアメリカでも日本にいるのと同じように日本語の書籍が読めるようになるのでしょうか?

日本の出版業界の構造的な問題があって電子書籍化は難しい云々・・・という話をよく聞きますが、アメリカに住んでいて日本語の読書が思う存分できない、というのが大きな悩みである私は、一日も早く日本語の電子書籍がアメリカからクリックひとつでダウンロードできる世界になってほしいと願うばかりです。

さて、その願いが実現するまで、どうやってアメリカで日本の本を読んでいるかを説明します。

  • 日本語の本屋さんに行く

NYやLAをはじめとした大都市であれば、紀伊国屋書店や三省堂など日本語の本屋さんで買うことができます。私は「旭屋書店」という、やはり全米に店舗がある本屋さんをよく利用します。

店内に入れば日本の本屋さんとまったく同じ風景、雑誌もなんでもそろっているし、新刊が平積みになったりしています。

ただし、値段が高いです。

雑誌などは日本で買う場合の2倍くらいします。私はコスメ情報誌の「VOCE」が好きなのですが(あんなふうに大量のコスメ情報をきめ細かく網羅している雑誌はアメリカにない!)、日本では580円、こちらで買うと11ドル。買いたいなーと思っても「雑誌に1000円払う感じか・・」と思うとちょっとためらいます。

一般書籍の場合は、日本で買えば1800円のハードカバーの新刊が、こちらで買うと24ドル、という感じです。

LAには「ブックオフ」もあります。ブックオフは全米に数箇所店舗があるようです。ブックオフなら確かに値段がずっと安いですが、どうしてもチョイスが限られてきます。日本企業が多いトーランス市のブックオフに行ったときは、一般書籍よりマンガが充実しているという印象を受けました。新刊にこだわる必要のない子供の本を買うにはいいかもしれません。

  • 図書館で注文する

これも大都市に限定されるのですが、たとえばLAの場合、市が運営する図書館のネットワークにリトルトーキョーなど日本人が多いエリアが含まれるので、日本語の本をかなり多く貸し出しています。

日本人が多いエリアに住んでいなくても、ネットワークに属している図書館が自宅近くにあれば、そこで会員登録をして、図書館のウェブサイトからローマ字で日本語の本を検索・リクエストできます。本が用意できると電話やメールで通知が来て、自分の自宅近くの図書館でピックアップすることができます。

私が登録しているLA市ネットワークの図書館では、芥川龍之介とか夏目漱石といった古典から、村上春樹、東野圭吾、角田光代など現代作家まで、かなり幅広くそろっています。

なんといっても無料なので、LAに来てからは毎週のように10冊以上借りて読んでいたのですが、数年たった今では、自分が読みたいと思った本はひととおり読みつくしてしまいました・・・

  • 友達同士で貸し借り

現在のように図書館で注文できる環境ではなかった中西部では、一時帰国して買ってきた文庫本などを次々に友達にまわし、友達からもまわしてもらって、日本人コミュニティの間で貴重な日本語の本を最大活用していました。

普段自分では買わないタイプの本を読むきっかけになったり、感想を言い合ったり、これはこれで楽しい思い出です。

  • 日本人学校のバザー

日本人の子供たちのための学校がある場所では、年に一度古本バザーが行われたりします。一冊数セントだったり、とてもお買い得ではありますが、個人が所有していた本の寄付なので、やはりチョイスが限られます。中には「海外駐在員マニュアル」なんて本も・・・。

  • インターネット・アプリ活用

現在、iPhoneのアプリ「i文庫S」を使って、「青空文庫」が電子化してくれた林芙美子の「放浪記」を読書中です。

青空文庫は著作権の切れた明治・昭和の書籍を電子化して配布しているウェブサイト。i文庫Sは青空文庫その他の電子書籍を読むためのアプリです。

本のページをめくる感覚で指をスライドさせて次のページに進めたり、フォントや背景も工夫されていて、紙の本を読んでいる感覚に限りなく近づけてくれている優れたアプリです。

  • Amazon.co.jpに注文してから取り寄せる&日本の友達・家族に本を買って送ってもらう

日本のアマゾンで注文して直接海外に送ってもらっても、日本の実家に送付して家族に送ってもらっても、送料が発生するのは同じ。そう気軽にしょっちゅう注文できるものではありません。

  • 紙の書籍を日本で電子化、電子ファイルを送ってもらう

書籍を電子化してくれるというサービスが日本にいくつか出てきているようで、たとえば、日本のアマゾンで好きな本を買い、直接電子化サービス業者に送付してもらい、電子データを受け取るという方法があります。

電子化サービスはだいたいどこも200円くらいなので、日本→アメリカの送料にくらべればずっと安くなります。

日本語版キンドルが本格的になるまでは、どうやらこの方法が一番、選択肢の広さ、コストの点では有利なのですが、ただ私個人的にどうも気が進みません。

電子化サービス業者は、送られてきた本をすべて裁断するそうです。

もともとは、自宅にたくさん本がある人が電子化することで家の中をすっきりさせる、という目的で始まったサービスなので、「古い本を捨てるのではなく、電子化する」場合ならそれほど抵抗がないのですが、新品の本をアマゾンから買ったのにすぐに電子化して裁断してしまうとなると・・・

新品の本には帯もかかっていて、表紙の絵とか装丁にもそれぞれのプロが時間とお金をかけてデザインし、作ったという思い入れがあるだろうし・・・

それを、買った人の手に渡ることもなく裁断してしまうというのが、とてももったいなくて心苦しく思います。

電子化サービス業者は「お客様から送っていただいた本は、二次使用などにまわらないよう、責任を持って裁断します」と売り込んでいるのですが、私としては、「ぜひ、裁断しないで図書館に寄付してください」と言いたいです。もし「図書館に寄付する」というオプションがあるのなら、ぜひ積極的に利用したいと思っています。

  • アメリカのキンドル

最近キンドル・ファイヤを入手したのですが、ちょこっと自分で設定をいじると日本語の電子書籍の表示もできるようになるそうです。ただし、まだ日本語の書籍の数は限られています。

今後数ヶ月で、こういった様々な苦労話も過去のことになるのでしょうか?

日本語の電子書籍化には、世界中の海外在住日本人が期待をかけているはずです。

私にも現状がどうなっているのかよくわからないのですが、何か最新情報をご存知の方はぜひ、教えてください。 

アメリカで日本の本を読む” への6件のフィードバック

  1. Tamamiさん、ビジネスヒントがたくさん隠れている投稿ですね(笑)。私、曲がりなりにも出版業界に足を突っ込んでいますので、この投稿、要注意です。

    アマゾンキンドルですが、もしかしたら、AppleのiTune Storeみたいに、海外にいて、日本の本をダウンロードできないってことになるかもしれません。私の単なる想像に過ぎませんけどね。私もそうならないことを祈るばかりです。

    キンドルはもともと日本語対応してますから、今でも電子書籍さえあれば、日本語表示はできるんです。私は、日本語の本をPDFとかに変えて持ち歩いてます。

    早く日本語の電子書籍がこちらで読めるようになるといいですね。

  2. Masaさん、私もKindle Fireを持っているので、日本語の本を読むことは可能なのですが、まだまだ電子書籍の数が少ないと聞いて、なかなか設定する気が起きず、今のところ「Angry bird」プレイヤーと化しています(~_~;)

    日本で書店がどんどんなくなってるなんて話を聞くとさみしくなりますけどねえ・・・
    これからの出版界はどうなるんでしょうねえ!?

  3. はじめまして。 アメリカ在住の者です。
    最新のキンドル・ファイアを買おうかどうしようか検索していて、こちらに辿り着きました。
    日本からの書籍取り寄せのコトなのですが、クラブジャパンってご存知ですか?
    只今キャンペーン中で、1冊につき270円で送ってくれます。
    取り寄せまでに数日かかるのですが、発送されたらDHLで2日ほどで届きます。
    もしよろしければ・・・。

    http://www.clubjapan.jp/exec/_book/x-cam201208.html

  4. キノコさん、すばらしい情報をありがとうございます!
    キャンペーン中なんですね。こういうのをぜひ活用すべきですね。
    さっそくウェブサイトをチェックします!最近気になっていた本をまとめてオーダーしようかなぁ・・・。楽しみです。

  5. はじめまして。 私もアメリカ在住の者です。

    いつも本を購入することでアメリカに居ることで
    困ることが多々あるので、調べていただこちらへたどり着きました。

    Kindleのお話非常に興味深かったです。

    クラブジャパンと言うのも初めて知りました。
    こんなサービスあるんですね驚

    ここ最近アメリカで話題になっている日本書店はご存知でしょうか?
    ロサンゼルスのオンライン本屋です。

    価格が紀伊国屋などより安く今まで買いにくかった雑誌などが
    すごく買いやすくなりました。時代も変わったなと思わされた
    瞬間でした。

    こちらももし宜しければ。

    日本書店
    http://www.nihonbooks.com/

  6. 花咲さん、素晴らしい情報ありがとうございます。
    この記事を書いたのは2012年ですので、その後いろいろ状況も変わりました。Kindleで買える日本語の本も増えましたが、基本的にAmazon.co.jpで売られてる本はkindle のオプションがあっても、アメリカでは「ダウンロードできません」と表示され、このインターネット時代にまだまだ国境を感じてしまいます。
    日本書店いいですね!!価格が非常に手頃でこれならいろいろ買えそうです。ありがとうございました。

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