アメリカの多様性

お久しぶりです、Yukaです。

この記事では私が”アメリカ”という国の多様性を
はじめて肌で感じた小学校での実習経験を書こうと思います。

トランプ政権になり、アメリカの”多様性(Diversity)”について日々考えさせられています。
みなさんは多様性 (Diversity)と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

人種・宗教・言語・文化・・・あげていけばキリのないが”多様性(Diversity)”。

小学校という小さな社会の中でもDiversityは存在します。
これから書き留めていく経験は2010年より少し前に
アメリカ中西部の超がつく田舎の小学校で体験した多様性に関する出来事です。


1) 多様性に関する授業:Diversity in America

 

『アメリカの多様性』という授業を取っていました。

授業が始まってまもなく

教授:『さて、教科書を見つめていてもどうにもなりません。
これから1セメスターの間、みなさんを現場へ送ります。
それぞれ実習に行って来てね〜♪授業はオンラインの課題のみとします(笑)』

という唐突なものでした。

 

教授:『約束:暗くなる前に帰宅すること。通勤は必ずカープール(相乗り)すること。
何かあったら必ず通報すること。』

そう言い残して次週からA小学校での唐突な実習が始まりました。

この時点で私の頭にあった”多様性”とは
人種・宗教が9割を占め、残りの1割が文化・言語・その他といったところでした。


2) 窓がないA小学校

A小学校は田舎にある大学街からさらに田舎へ高速で30分。
コットン・コーン農場、トレーラーハウスが広がる大草原の中にありました。
ハリウッド映画には出てこない世界がそこには広がっていました。
A小学校の校舎に入って気づいたこと。
それは窓がない。教室に窓がないのです。

10cm x 30cmほどの通気口があるのみ。

犯罪率の多い地域にあるA小学校の教室には
侵入出入り口を減らすため教室には窓がなかったのです。

そうです、、、、この教授が計画した実習とは
州で1・2を争うLow income・high crime(低所得・高犯罪率)地域での実習でした。
学校の90%以上が給食費*免除*対象家族という地域です。

それまで行ったこともなければ、見たこともない景色が広がっていました。


3) パジャマパーティーと理科実験の実態

私が1セメスターいた間にA小学校が
児童相談所・警察に通報したほんの一部の例です。

例1:
小学校低学年の女の子が
『お母さんがパジャマパーティーをしていてとっても楽しそうだったよ。
沢山男の人が入って来て、裸でね・・・』
子供の目の届く家の中で、”大人”パーティーが開催されていたのです。

例2:
小学校低学年の男の子が
『うちのお父さんはね、すごいサイエンティストなんだよ。
いつも地下でフラスコやアルコールランプで煙を出してるんだ♪』
と彼のこの一言で父親の薬物使用が公になり捜査が入り逮捕されました。

 

想像を絶するような環境が
このA小学校では当たり前のような光景でした。


4) 複雑すぎる家庭環境

低所得・犯罪率の高い地域となると様々な家庭環境の子供がいました。

– 片親が服役中
– 両親ともに蒸発し生活保護を受けながら祖母と暮らしている
– 農場への季節労働者家族(数ヶ月毎に全国各地の農場を転々とする)
– 施設で暮らしている

など、そういった複雑な家庭環境の子供がこぞって集まるようなA小学校でした。


5) 衛生環境すら整っていない家庭

私の実習したクラスでこんな男の子がいました。

彼の両親は共に服役中。
つい最近、生活保護を受給している祖母に引き取られ
電気も水道も止まり衛生環境が悪い中生活。

8歳だが、排泄の指導を親から受けていなかったようで
休み時間に外遊びをすると、校庭の真ん中でボーっと排泄していた。
水道が止まりお風呂にも入れず、
保健室の先生からデオドランド使用の指導も入ったが
ニオイがキツく、改善されるまで登校しないよう学校側からの指示。

人間が長い間、排泄環境・お風呂などの衛生管理が整わない環境にいると
たとえ小さな子供でもこういう臭いがするのか・・
衛生環境が整わない、という衝撃の事実は
先進国アメリカでは想像してもみなかった
今でも心に残っている想像を絶する出来事です。

悲しい・かわいそう、という感情以前に
先進国というアメリカで
衛生面という生活で欠如してはならない水準さえ
クリアーできない家庭がある。
その事実が重くのしかかりました。


6)休み時間に拾った注射器とコンドーム

夜には溜まり場となるA小学校。
実習生を含め職員は毎日ゴム手袋を二重にし
休み時間は校庭のゴミ拾いです。

おそらく薬物に使用されたであろう注射器。
ウォッカなどの空き瓶。
使用済み・精液の入ったままのコンドーム。

これらの危険物があたかも普通の姿かのように
子供が無邪気に走り回る校庭に落ちています。

虚しさ、怒り、無力感。
言葉では言い表せない感情が込み上げます。


まとめ)

この一見無茶振りに思えた教育実習。
彼女から得た機会で学んだことは計り知れません。
これぞアメリカの多様性であり
これこそが知っておかなければいけない
見ておかなければいけないアメリカの姿。トランプ政権になり、よりクローズアップされている多様性:人種・宗教問題・・・

映画にもテレビにも出てこない
アメリカがあそこにはあった。

子どもたちが生活する小さな社会の中に
本来なら存在すべきではない”多様性”があった。
それは人種問題でも宗教問題でもなかった。
行かなければ見ることのなかった
目も背けたくなるような実情がアメリカ国内に存在していた。
America Firstを掲げるトランプ大統領。
彼はアメリカで起きている
子どもたちの小さな社会に存在している
Diversityの本当の姿を知っているのだろうか。
あの時の生徒たちの今の姿が
眩しいものでありますようにと願うばかり・・・。

アメリカの多様性” への3件のフィードバック

  1. 初めまして。この骨太なレポート、とても感謝します。
    こんな風に「想像を絶する」ようなアメリカの実態に日々向き合わなければいけない状況に居るわけでもなんでもないのですが、一般的な日本の人が知り得ないであろう、アメリカの本当の姿を「体験」されたYukaさんに、「厚み」を感じます。
    それに、そういう教育現場で働いているスタッフの人たちのことも想像すると凄いなと思います。
    子どもに教える立場ではなかったですが、私も10年弱前、こちらへ移住して間もない頃、公立小学校に出入りすることがありました。Yukaさんが行かれた学校ほどではなかったと思いますが、割と貧困家庭の多い地区であったためか、先生方の子供への律し方が、割と軍隊式みたいに感じられ、子供たちはむやみに知らない人間には微笑まないよう指導されていたのかとも思えました。別の小学校ではもっと子供たちは伸び伸びしていましたが・・。
     私個人は、「きれいごと」かもしれませんが、自分が知り得ることのできない別の暮らし方や考えを持った人たちの現実を知ること、少しでも垣間見ることは、なぜか大切なことのように思えます。自分と違うから壁を作って絶対相容れない、という風にするのではなくて・・。といっても、何でも受け入れられるほど広い心を持っているわけじゃないですが。
    とにかく、貴重なレポートだと思いました。ありがとうございました。

  2. 初めまして、ブログ読ませていただきました。私は11歳の時にアメリカのジョージアの田舎町の現地の小学校に通いながら半年暮らしておりました。私の体験もここにあるものに近かったです。日本に帰国してからはアメリカの小学校であったネガティブなことは語らずに過ごし、今となっては20年も前の話となり、風化しかけてました。今回このブログを拝見してその当時の記憶が少しずつ蘇るとともに、きちんと私も言葉にしてみようと思いました。ありがとうございました。

  3. Yukaさん、貴重なレポートどうもありがとうございました。
    私はNYに住み3年ほどになり、日本でもこちらでも教育の仕事をしております。

    こちらでは日本人学校で小学生に教えている訳ですが、そこで日本の子どもたちを教員やスクールカウンセラー、心理士として見てきた実相と相違を感じ、こちらで教育の学びをしてみたいと、色々と大学や院のことなど調べていたところです。

    地域によって、アメリカはこんなにも違うものなのですね?恥ずかしながら、ショッキングな記事でした。

    ですが、ますますアメリカの現状を知りたくなったのも事実です。

    実習のその後のことや、Yukaさんの大学の研究のことなど、もし宜しければ教えていただけますでしょうか?

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