アメリカの銀行で10倍うまく立ち回る方法 2

「おはよう。週末はどうだった?」

 

From http://girlfriendbooks.blogspot.com
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月曜の朝、コーヒーマグを片手に、SBA (Small Business Administration: 中小企業)ローン担当のジュリアが、私のオフィスの前で立ち止まる。

 

「ハイ、ジュリア。良い週末でしたよ。あなたは?」

 

見ると、ジュリアはだいぶ疲れた顔をしている。

 

ジュリア:「疲れてるわ・・・。」

私:「どうしたの?忙しかったの?」

ジ:「ちょっとね。今日がロータリーの最後の日で、色々と準備があって。」

私:「あ、そうなんだ!お疲れ様!」

 

ジュリアは、地元ロータリークラブのプレジデント。

去年の7月から今年の6月までが任期だったらしい。

 

私:「大変だった?」

ジ:「えぇ、楽しんだけどね。3年先を見越して計画を立てて実行していくの。」

私:「へぇ!3年?」

ジ:「低~中収入層を対象のプログラムを組むの。私は教育関連がやっぱり興味があるんだけど。」

私:「どういうことをやるんですか?」

ジ:「うちのクラブは、中学生から高校生が対象ね。水準GPAをとって、それを高校までキープできると、CSUSM(カリフォルニア州立大学サンマルコス)に入学が保証されるっていうもので。」

私:「へぇ!それはすごいね。中学生のときから大学進学をそうやって現実的に考えられる機会っていうのは大事だと思う。」

ジ:「そうなのよね。」

私:「私も思うんだけど、社会貢献ってお金を寄付して、ハイ、おしまい、じゃダメだと思う。あっても正しい使い道がわからないってこともあるでしょ?だから、実際に”involve”(参加)しないとね。」

 

アメリカの非営利団体(NPO)運営は、ものすごく進んでいる。

大規模なものになると、世界的なレベルになることもあるし、小さくてもコミュニティへの貢献度や影響力がとても大きいものがごまんとある。

それはやはり、NPO自体の社会での認知度だけでなく、運営者たちのエネルギーやミッション、ストラテジーと実行力がものすごく熟成している。

 

ジ:「うん。子供たちってこうやって大人が具体的な道を示してあげることのほうが、お金がどうこうよりもっと大事だと私も思う。」

 

ついこないだ、大学卒業した娘と、現在大学生の娘を持つジュリアが続ける。

 

ジ:「特にうちのエリアは、60%の学生がヒスパニックなのね。親がメキシコから移住してきたから、この子供たちがアメリカでのファーストジェネレーションなの。」

私:「じゃあ、アメリカの教育システムっていうものが、家族内で初めてなんですね。」

ジ:「そう。だから、こうやって現実的に、そして具体的な進路を見せてあげることはすごく大事。」

私:「うん、わかります。」

 

疲れた顔をしながらも、プレジデントとしての任期を全うしたジュリアは、やっぱりどこか清々しい顔をしていた。

アメリカでは女性がロータリークラブを仕切ることは珍しくない。女性が一人もいないというクラブも日本では未だにあるそうだから、やはり、日本における男女平等の意識はアメリカに比べて相当遅れている。

ロータリークラブは、事業者たちが集まり、資金を集めて、社会活動を通して地域の発展を目指すもの。ビジネスオーナーだけでなく、地元の金融・教育関連の人たちなどがネットワークを広げながら様々な活動をする。

明確なミッションを掲げ、綿密な戦略と計画を立てて、実行、そして必ず結果を出す。

ジュリアのようなフレンドリーかつスマートな女性がリーダーになるのは、ごく自然なことだと思ったのは、もはや一年前のことだった。

 

それ以降、うちの銀行のレンダー(融資担当者)たちと話をしていると、それぞれに色々な団体に所属していることがわかった。

ビジネスローンチームの女性レンダー2名は、それぞれラホヤのロータリークラブ、サンディエゴダウンタウンのロータリークラブに。

私のボス・バーバラは、LISCと呼ばれるこれも低~中所得者層対象のコミュニティディヴェロップメントNPOのメンバーだった。

 

あるとき、バーバラが言った。

 

「あなたも、自分自身の興味のある分野やネットワークを持つことは大事よ。」

 

それは誰のものでもなく、自分だけのもの。

そこで、自分にとってのキーワードは何だろう?と考えるようになった。

それが私自身の興味とアイデンティティであり、ネットワークであるはずなのだ。

  • 日本人
  • 移民
  • 留学生
  • 女性
  • 子供
  • 母親
  • 教育
  • スポーツ
  • IT
  • 書くこと・・・・・

挙げればきりがないけど、でも確かにこれらはバーバラのものでも、ジュリアのものでもなく、私のものだ。

 

「そういうことか・・・。」

 

自分の道は自分で切り開くしかないとは、このことなのだ。

ジュリアのいるロータリーに行っても、バーバラのいるLISCに行っても、きっと私の居場所はない。

それより、今ある自分の居場所で、できることを探して、形にしていくことのほうが確実だし、ずっと意味のあることだ。きっとジュリアもバーバラも、そして他のレンダーたちも、こうやって地道に一つずつ作り上げてきたものなんだろう。

 

自分の会社だけでなく、外部にも「所属」するのが大事だというのは、アメリカでは周知の事実。コミュニティのボランティアだったり、仕事を使って地域貢献することは、本当にごく普通に、そして老若男女問わずに行われている。

 

これからもそういう視点を持ちながら、この町と向き合っていきたいと思えた。

私がサンディエゴで生きていくことを選んだのは、決して偶然じゃないはずだから。

 

 

 

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