ミリ妻の気持ち (ディプロイメント編)

こんにちは。カンザスシティーのErikoです。

あっという間に10月。今年もあと3か月かと思うと時の発つ速さを実感します。今年はとっても早く感じたのですが、去年は長い長い1年でした。その理由は夫がアフガニスタンに派遣されていたからです。いわゆるディプロイメントです。

そんな夫が帰還してから1年が経ちます。ディプロイメントは兵士だけではなく家族にも大きな影響を与えます。夫が戻り1年経ち、やっとその時の気持ちを思い出してシェアしてみようという気になりました。

http://www.military.com/deployment/deployment-guides-and-resources.html
http://www.military.com/deployment/deployment-guides-and-resources.html

アメ10の先輩、そして読者の方の中にもミリタリーのご主人を持つ方がいらっしゃると思います。私はミリタリーに関して対して詳しいわけではないので、細かい事に関してはお話しできませんが、Active Duty(フルタイムのミリタリー)ではなく、あくまでReservist(予備兵)の妻の視線から体験談を色々な形でシェアできればと思います。

今回はディプロイメント編。

私の夫は、高校を卒業して海軍(Navy)に入隊しました。5年程Active Dutyにて従事したのち、Reserveに移りました。それから今に至ります。

Reservistは予備兵、いわゆるパートタイムの兵士です。ほとんどのReservistは別に職を持っていて月に一度、週末に自分の所属する部隊のある基地/ベースでDrill(訓練等)をします。そして一年に一度2週間ほどAT(Annual Training)を指示のあった州で行います。

結婚した当初は、

「へー、パートタイムのミリタリーか。まあ少しお金も入るしいいんじゃない」

 

位の気持ちでしたが、結婚して1年たった頃、彼の所属する部隊がアフガニスタンに派遣される通知が出ました。正規のオーダーではなかったので正式な月日はもちろん知らされていませんが、Reserveの場合、上でも書いたように殆どの人が本職を別に持っているので通知が正規の軍人よりずっと早く出るようです。

 

私としては、

 

「確かに、ディプリメントはあると聞いていたけど、来年?私のグリーンカードの更新とかかるからアメリカに居なきゃいけないじゃん、自分どうするよ!!」

 

と言う気持ちで既にパニクリ状態。

 

結果から言うと、通知が早く出たのでその為に何をしておけばいいか、アメリカに一人で残る際、どこに住むか、グリーンカードの手続きはどうするか、仕事をどうするか、日本には少し長めに帰れるか等準備期間が与えられるので良かったのですが、どんなに準備を重ねていても夫を送り出した後の気持ちや夫が派遣中の生活は想像以上に辛かったんですよね。

ミリ妻さんならきっとご経験あるでしょう。。

Reservistの妻として何が辛かったかと言うと、近くに基地がない。そして、夫の部隊の拠点はカンザスシティにあるけれども、多くの人がここからずっと離れた町から通っていたり、実際は全米各地にも同部隊の兵士がいるので、近くに支えあえる妻たちが居なかったこと。。これは本当に辛かった。基地でのお買い物で顔を合わせて知り合いになるという事も無いし、夫同士も月に1.2度会う程度なので訓練が終わればすぐ帰ると言うようにあまりかかわりを持っていなかったので、全く彼らに対する情報が無かったのです。

実際は、Family meetingと言って今回のディプリメントについての説明会がありました。彼らはどこで、どのくらい訓練をしてから実際にアフガニスタンに行くのか。夫(妻)が居ない間、本土での諸手続きはどうするか。ミリタリー関係の保険は使えるのか。。等など。そこで顔を合わせた人たちが居るのですが、一度きりで結局連絡を交換すると言う事もほぼありませんでした。

夫の不在中は、Ombudsmanと言ってオフィサーランクの妻らが兵士の家族への連絡係をしていましたが、私のOmbudsmanはテキサス在住だったのでもちろん会う事も無く、メールでのやり取り程度。夫の部隊は400人程居たので、一人一人に必要以上にケアをすると言う事もなかなか難しかったんだと思います。

結局Facebookのグループにて情報交換をするくらいで、夫が不在の10ヶ月誰一人ともReservistの妻と実際に関わる事がありませんでした。

待つ妻として何が辛かったという点では、連絡がいつ来るか、いつ取れるかが全く分からない。遠距離を3年していたので「寂しい」と言う気持ちには打ち勝つことが出来ましたが、今回は場所が場所ですし、連絡も一体いつなら出来る?という状態だったのでその辺は難しかったです。それに加えて、ここでは気持ちを共有出来る人が誰も居なかったと言う事です。正直、夫が派遣されているのを知っている友人でも所詮他人事です。自分の国を離れて、夫をさらにディプリメントに送り出す事を理解してくれる人は本当に少ないと思います。特に、Reservistの妻は、先に述べたように妻同士の関わりが少ないので「支えあう」感が殆どなかったのが事実です。

Army Wivesのあるエピソードで、韓国人のArmy妻ミンジーが、夫がディプリメント中自殺を図ります。ミンジーは妻の集まりのリーダーとして頑張ろうとしていましたが、他の妻たちは彼女に気を留めず、ミンジーは集まりを辞めます。夫との間にも問題があり、彼女は追い詰められていたのでしょう。結局彼女は死を選んでしまいました。その事を知った妻の一人、ドイツ人のArmy妻は「自分の国、家族を去ってアメリカに来て、アメリカ兵士を支える事がどれだけ大変な事か。」と言っているのが印象的でした。

また、ミンジーの後にリーダーを務めたロキシーが、ミンジーの死の第一発見者になるのですが、自分がもう少し分かってあげたらと、自分を責めます。そして彼女のお葬式で、ロキシーが「ミンジーは、国を離れてアーミーの夫を支えるために色々頑張ったのに、結局、みんなミンジーの事を何も知らなかった(知ろうともしなかった)」と言うようなことを言います。

本当にそうなんですよね。そして、差別とかそういう事は関係なしにアメリカ人妻ではないので、アメリカ人同志が気軽に友達になるように、じゃ、私もと言う事は案外容易ではなかったな~と言うのも体験談の一つです。(が、夫らが帰国した後、良いミリ妻友達が出来ました!彼女の夫も私の夫と同じ部隊でしたが、ミネソタ在住。。)

 

そして、何を私が一番怒らせたかと言うと、本当に酷い事を言ってくる人も居たんですよね~。

 

「あ、あなたの夫はNavyだからMarineのように最前線に行かないんでしょ?じゃ、問題ないじゃん」

 

「俺の弟はArmyだから、1年以上派遣されてたよ。10ヶ月じゃ全然短いじゃん」

 

「夫がそんなに不在何て信じられない~。私じゃ絶対無理っ!」

 

「なんか、あっという間だったでしょ?」

 

これらは絶対に絶対に、かけてはいけない言葉ですので、是非覚えて置いてほしい。一体何度殴りに行こうと思ったことか。(笑)

結局、仲が良い悪い関係なしに他人事であって、このディプロイメントは行った本人にしか分からないように、待つ家族の辛さや大変さも当事者にしか分からないのですよね。

あー、辛かった。。

私の場合は、夫側の家族の協力が全く得られなかったので余計に大変でした。友達も家族も理解を示してくれなければこんなに辛い事はありません。

辛い辛いと何度も書きましたが、この状況によって「一人」でも大丈夫になったし(笑)、誰が本当の友達、誰が本当に私たちを思ってくれる人なのか、誰が口だけの表面だけの付き合いの人なのか白黒はっきりしたのは良い事だったと思います。

そして、私たちの事を真剣に思ってくれている私の両親や少ない友達たちの大きなサポートは数ではなくクオリティーと「愛」だと実感できましたね。

何より、強くなります。

仕事で辛い目に合っても、帰って話す相手が居ない。電話をかけたくても夫には通じない。事故の遭っても数日夫とは連絡がつかない。(大きな事故じゃなかったので良かったですが!!)そして、アメリカに渡った理由は結婚して夫と生活する為なのになぜここで(しかも好きでもない土地)、一人で暮らしているんだろう。。と言う負の気持ちが気を抜くと頭を回ってきました。これを跳ね除けるのも至難の業だし、ただ忙しくしていれば忘れちゃう!という事でもないんですよね。

こうやって書いていると全てネガティブに聞こえますが、辛い状況をどう乗り越えていくかと言う事を良く学んだし、他力本願ではなく、祈った上でこの状況をどう好転させていくかなど、ネガティブな状況下だからこそ「自分が」どのようにポジティブに物を考えられるようにもなりました。

そして何より、彼らが無事に帰還した時の幸福感は多分、経験した人しか想像できないと思います。その時の気持ちを思い出すと夫の不在中の辛かったことは全く無かったように感じられたし、こんな素晴らしい気持ちを経験できる人はわずか一握りかと思うと、特別な気持ちにさせられます。

だから、家族は待っていられるんです。そして、だから私たちは兵士を支えられるのです。

次回の「ミリ妻の気持ち」では、待ちに待ったホームカミング編について書いてみようと思います。

 

ミリ妻の気持ち (ディプロイメント編)” への4件のフィードバック

  1. Erikoさん、素晴らしい記事、ありがとうございます。
    今まで、あまり語られることがなかった現実を、こうやって届けられるのはアメ10の素晴らしいところだと思っています。
    どんな立場であれ、表面的に「これはすごい」とか「これは大変だ」と言うのは簡単です。だけど、それだけじゃ伝わらないこともあるし、危険なのは表面的な情報が偏見になってしまうことです。
    こうやってErikoさんの実体験、実際の人間の声というのは本当に影響力のあるものです。

    私もアメリカと戦争についてたびたび書いてきましたが、やはりまだまだ日本人の自分には理解できない部分がたくさんあって、それは頭で理解するものではなく、もうアメリカで生まれ育った人間の一部なんだなぁと思います。
    そしてアメリカという国は、それをサポートすべく国費を費やしていますが、やはりそこにいるのは「人間」であることをもっと深く理解するべきだと思います。ミリタリーは数字ではないです。というのも日本人的な考えなのかなぁ・・・?

    軍にサーブされる方も、その家族の方たちも、本当に、いつもお疲れさまです。(ってそんなことしか言えない自分ももどかしい・・・)

  2. Erinaさん、

    コメントありがとうございます!そして、こうやって本音を書く機会を与えて頂いて感謝です。
    ミリタリーはいろんな意味で(良し悪し共に)勘違いされることが多いと思うんです。現実の捉え方も実際に派遣される当人を支える家族も、そしてはたから干渉している人たちそれぞれの考えや理解があるのですが、私の体験した「気持ち」を少しでもシェア出来たらなと思っていました。

    Erinaさんの戦争関係の記事もとても興味深く読ませて頂居ていますが、戦争に対する気持ち事態に対しては正解も不正解も無いんですよね。たまたま夫が軍人と言う事で、実際に戦地に行く思いや、なぜ軍人として従事し続けたいのかなどを語る機会があるので「彼の海軍としての思い」と言う事は少しづつ理解はできるようになりましたが、同じ軍人や妻でも考えはそれぞれ違いますよね。いつかミリ男の気持ちとして夫の体験談も書けたらなと思います。

    >軍にサーブされる方も、その家族の方たちも、本当に、いつもお疲れさまです。(ってそんなことしか言えない自分ももどかしい・・・)

    ↑、ありがとうございます。夫もその言葉に支えられています!!
    Never gets old to hear the people appreciate what you do. 🙂 🙂

  3. Erikoさん
    遅くなりましたが、記事を読ませてもらいました。
    ほんとにその通り!!!!!!そして殴りたくなるような声がけを
    よくぞ書いてくださいました(笑)!!!!!!!!!!
    やっぱり未知の世界。私もですが、情報をこうやって発信して行く事で
    少しずつ、ミリタリーの世界を知って頂きたいですよね。
    Reserveの奥様方は、サポートの少なさで、大変という事を初めて知りました><
    そういえば、参考までに・・・ですが(最新の情報は知りませんが)
    ミリタリーの場合はGreen cardの更新途中などであっても
    必要書類さえ提出すれば、いつでも帰れます。
    Green cardのapplyの際、主人は出航中で不在で、一人で面接に行きましたが
    大丈夫でした。そしてMilitaryの夫がいていつDeployされるかわからないから
    早くして欲しいという手紙を添え、Military support lineに電話をかけまくる。
    そうすると、手続きを優先して早めてくれます。
    USCISにはMilitary support lineみたいな番号が
    そこに電話をかけると親切に色々教えてくださいます。
    あーーーDeployment時代を思い出すと、今でも心が痛みます(笑)

  4. Yukaさん、
    お返事遅くなってごめんなさい。読んで下さってありがとうございます!
    私もYukaさんのActive Duty妻時代の記事をふむふむと読ませて頂いています。
    そうなんですよね。ミリタリーの世界って結構勘違いされているというかなんというか。意外と理解をしている人が少なくて孤独を感じる事も多いですよね。
    Green cardの件ありがとうございます。色々と情報を貰っていたのですがMilitaryでも更新途中でも問題なく帰れるって知りませんでした。でも結局は帰る事が出来たのでよかったのですが。

    分かります!私も二年前を思い出すと心が痛みます。またDeploymentがある場合は少しは心構えがあるかなと思いつつも子供が出来た今ではまた大変だろうな~と。。。

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