働くママ、学校に行く (3)

今月に入ってから、職場に新しい同僚が加わりました。

 

彼女はマリア。私の一歳上の32歳。

12歳・6歳・10ヶ月の3人のママです。

彼女はもともと、大学を卒業して6年間、「ブランチ」と呼ばれる銀行の支店窓口に勤めていました。

 

今回、私の部署がかなり忙しくなってきたのをきっかけに、ボスがメンバー増員をリクエスト。それに上からのオーケーが出て、内部募集(internal hiring)に対して異動希望を出したマリアがめでたく加わることになりました。

ブランチのお仕事は、毎日、お客様と接し、そのニーズにこたえること。カスタマーサービス、お客様とのリレーションシップ、銀行のサービスなど、営業的・接客的な面が強い仕事。

お客様とはほとんど顔を合わせることはない私のチームとは全く仕事の内容が違います。

 

 

私:「仕事は慣れてきた?ブランチとは違う?」

マリア:「全然違ってビックリしてるわよ。」

私:「そうだよね。(笑)」

マリア:「でも少しずつ慣れてきてるから大丈夫。みんなとても優しいしね。」

私:「うん、上司もすごく応援してくれる人だよ。」

マリア:「本当にそうね。実は来週から不動産のクラスを取りに行くの。Southwestern College(サンディエゴの南・チュラビスタにあるコミカレ)でね。」

私:「そうなんだ!Good for you! 実は私も今、会計の授業を取ってるんだけど・・・。」

 

と、天井まであるファイルキャビネットの間でおしゃべりは進みます。

 

マリア:「私の大学での専攻は社会学だった。だけど今から教員免許を取りたいとは思えないの。」

私:「うん、わかるよ。これからキャリアチェンジって大変だよね。だけど、こうやってクラスを一つでも必要に応じてとっていけば、モチベーションもキープできるし。将来的に院に戻る可能性はもちろんあるけど、今はまだ他にやることがあるっていう気がしてる。」

マリア:「そうそう、私も同じよ。」

私:「あなたは一番下のベビーが授乳中だよね。」

マリア:「うん、そうなの。だから急ぎたくない。仕事から家に帰って、授乳するのがすごく楽しみ。上の子供たちがテレビを見たり宿題している間、10分でもベビーと横になれるのってすごく特別な時間だから。」

私:「わかるなぁ。私も下の子が生まれて1年半の休みを取ったの。上の子が生まれたときは休まなくて、すごくいろんなものを見逃して後悔したから。」

マリア:「それは正しかったと思う。私は今32歳。焦らなくても、私たちこれからもっといろんなことができるわよ。」

私:「うん。本当にそうよね。」

 

そんなわけで、お互いに親近感を感じた私たちは、「一緒に頑張ろうね!」と言って仕事に戻りました。

3人の子供のママをしながら、新しいキャリアをスタートしようとしているマリアは、まるで同志のように思えました。

 

 

マリアとそんなおしゃべりをした数日後、同じフロアで働く別チームのジェーンにお手洗い前で会いました。

ジェーンは30代中盤のフィリピン人女性で、5歳と7歳の子供を持つママ。

とても面倒見の良い人で、よく一緒にランチをしては家族の話で盛り上がりました。

彼女は現在、ナースの免許をとるために、銀行での仕事が終わった後、夜間の大学に通っています。

 

私:「ハイ、ジェーン。元気?クラスはどう?」

ジェーン:「元気よ。来週は期末試験なの。」

私:「じゃあ大変ね。まだ授業は取るの?」

ジェーン:「えぇ、来学期はフィジオロジーのパート2とマイクロバイオロジー。こっちはラボもあるから週3回よ。」

私:「え~!大変ね。ラボって時間もかかるよね。」

ジェーン:「そうなの。でも楽しいわよ。」

私:「そっか。やっぱり今になって大学に行くと、違うよね。」

ジェーン:「うん、全然違う。今までの経験のおかげで、色々なことをもっと深く理解できる気がする。人体のことなんてすごく勉強になってるわ。」

私:「そうだよね。わかるわ・・・。」とうなずく私。

 

彼女は、今の時給職に比べたらおそらく強いキャリアで、お給料もアップするということでナースの道を選んだとのこと。

 

ジェーン:「うまく行けば、一年後にトレーニングが始まるので、今の仕事を辞めるかもしれない。」

私:「え!そうなの?まぁでもそうだよね・・・。寂しくなるよ。」

ジェーン:「ありがとう。まだまだ頑張らなきゃいけないけど。」

私:「うん、頑張って。応援してる。」

 

別の分野の勉強をし始めた、とジェーンから聞いたとき、確かにこういう日は来るのだろうと思っていましたが、やはり実感すると寂しいものです。

だけど、こうやって子供を持ち、同じ仕事を何年もやってきても、別の道にチャレンジする気持ちや、上を目指す気持ちを持って頑張っている女性はキラキラしています。知り会ったときのジェーンに比べたら、今の彼女はとても穏やかになった気がします。

ジェーンとはまた近いうちにランチをする約束をして別れました。

 

 

 

「頑張ってるのは私だけじゃない」

 

 

マリアとジェーンとおしゃべりをして、そう思えることがとても心強く感じました。自分とは別の道を選んだとしても、人生のどこかで同じ時間を共有し、同じ会社で働けることが嬉しい。

私の期末試験も近づいています。

みんなそれぞれの道を選び、それぞれに来た道を確かめ、一歩ずつ進む。自分のペースでやりたいことをやっていくこと、それが大事なんだと思えるようになりました。

 

ただ、独身時代と違うことは、今の自分には家族があるということ。

子供が成人するまでは、私のライフは彼らのライフであり、私のペースは彼らのペースであるということ。

それは自分への足かせでもリミットでもなく、これからの人生を幅広く豊かなものにしてくれるスパイスのひとつだと私は思います。

だから、たまには休んでも良いし、道草しても良い。ゆっくりでも良い。

そうやって、楽しみながらやっていきたいです。

 

ワーキングマザー

 

 

次回:働くママ、学校に行く (4)

働くママ、学校に行く (3)” への4件のフィードバック

  1. Erinaさん、今回の記事は「う〜ん」と唸りながら興味深く読ませていただきました。
    というのも、私は今キャリアを中断して5ヶ月の息子とベッタリの日々を過ごしているからです。
    今まで日本で猛烈に仕事をしてきて、米国移住と出産をやっと決意できたのが三十半ば。
    辞めたら戻れない職種だったので、辞めたのを機により専門性を高めて再出発しようと決意しました。
    でも子供が二人は欲しい。
    あれもしたい、これもしたい、若くもない、と焦る気持ちがたまに顔を出します。
    アメリカで仕事をするってどんな感じ?どんな文化?ペースについて行ける?ネイティブじゃないけどコミュニケーションとれる?そもそも採用してくれる所があるのか?とやる前からドキドキしたり。
    仕事するとして、デイケアは見つかるのか?そんな事考えるのは早くないか?いつも自問自答しています。

    新しいキャリアのために、春から夫が帰宅する夕方と週末にコミカレに通います。これもパートタイムだからマスターを取るまでは長い長い道のり。

    今日の記事を読んで、長期計画はほどほどに、子供が小さい今はその時その時でやれる事を臨機応変に気長にやってくのがライフスタイルに合ってるのかな、と思えました。
    今しか見れない、目の前で起きてる息子の圧倒的な成長を楽しもうと思います。

  2. 私が5ヶ月の息子を連れてこちらへ来たのが30代後半。それまで私も日本でバリバリのキャリアを持っていました。その後10年ほどは日本での仕事に子連れ赴任していましたが、10年前にその仕事にもある程度の区切りをつけ、息子と主人のもとへ戻りました。この頃には息子も大きくなり手がかからなくなりますから、自分の時間が大きく持てるようになります。ですが、ほとんどが家庭主体だったので語学はレベルアップせず、こちらでは自分のキャリアが生かせずと随分こちらでの生活を呪いました。(笑)また年齢もそれなりになっているので、若い頃のような将来の設計や展望なんて、この年齢では考えるほどの時間がありません。(笑)同世代は子供達も独立したりで悠々自適の生活を送る準備ですし、まだまだ同僚は仕事に頑張っている世代。主人の仕事も安定(今は)していますから、別にこのままのんびり生活する事も可能です。ですが、やはり、自分のキャリアを途中で中断した気持ちからは離れる事ができません。現役のようには行きませんが、長年仕事をしていたせいか、何かにあくせくしている方が自分らしいとも思います。今は路線を変更して某大学院のコースを取っています。マスターが取れるかどうか前途多難ですが、全く新しい事を学ぶのも楽しいものです。子供の成長は早いものです。そしていつかその子供も巣立って行きます。時間の経過は思ったほどゆっくりではありません。その中で少しずつ自分を鼓舞し、子供が巣立った後の自分を考えることも必要だと思います。自分はどう生きたいか、ですかね、、、。子供や家庭に費やした時間は大切ですし、かけがえのない宝です。もちろん今も。でも、もし当時に戻れるなら、もう少し自分自身の将来に向けての時間を賢く使いたかったなと思います。今は少々慌てていますからね。(笑)私の母は現在88才ですが、還暦を迎えたとき、彼女は「これからが第二の人生」と思って頑張ったと言います。私もその母に習い、第二の人生を想像(創造)しながら英語の授業に泣く毎日です。    ロサ

  3. >oscarさん
    こんにちは!コメントありがとうございます。
    5ヶ月は毎日が新しい発見の時期ですね。人間の人生の中で、これでもか!と成長するのは本当に最初の1~2年です。ぜひ楽しんでください。

    >長期計画はほどほどに、子供が小さい今はその時その時でやれる事を臨機応変に気長にやってくのがライフスタイルに合ってるのかな、と思えました。

    私もこういう考え方ができる人は、素敵だと思います。家族の誰かが、状況によって臨機応変にいられるのってとても重要なことですよ。良いことも悪いことも起こりうる中で、「あ、そういう考え方もあるのね」って方向転換していける家族は強いですよね。何事も力で押し進めることだけが強さだとは思いません。お子さんにもoscarさんのそういう柔軟性のある強さを見せてあげてください。

    色々と考えて悶々としてしまうのもわかります。
    そういう気持ちは、このブログのコメントや自分のジャーナルなどにまとめておいてはどうでしょうか。自分の中で溜めるのは良くないですからね。
    で、将来、実際に就職したときにそういう悩みを読み返してみると「こういうことが気になってたのね、私。」と自分を見直せます。私も育児休暇中にやったこと(主に写真撮影でした)を見返したりして、「あ~、あの時は楽しかったなぁ・・・」なんて思い起こしています。笑
    ちょっとずつ、ちょっとずつです。このゆっくりなステップにも、意味があるんですよ。私は”I’m making a baby step.”って言ってます。子どもたちと同じですね。

    ちょっと前に書いた、育児休暇の記事も読んでもらえましたか?
    もしよければ読んでみてください。この記事にコメントをくれた方たちの体験も参考になるかもしれません。
    (リンクです→http://takeiteasyinamerica.com/?p=11722)

    また遊びに来てくださいね~♪

  4. >Rosaさん

    コメントありがとうございます!
    私がアメリカに来て感じたことは、「若者だけが主役じゃない」ということでした。

    日本って、20代~30代のうちが人生の華で、その後は下降する・・・というイメージがあります。マスコミでもてはやされるのは若い子ばっかりですし。会社でも年功序列なんて言葉があるわりに、若い年代に対してコンプレックスがある。自分の過去を美化する。「昔はこうだった・・・」って回想する。・・・・これってちょっと残念な生き方だと思いませんか?

    アメリカは年齢に関係なく、好きなことをして、自分の人生は自分のものだ!って楽しむ人がすごくたくさんいます。私の年上旦那を見ていると、きっと彼自身も若い頃はこういう人生の楽しみ方はできなかったんだろうな、私はまだできないな、と羨ましくもあります。

    20代~30代の合言葉は「勢いと体力」でしたが(笑)、年齢が上がれば上がるほど、「経験値」という素晴らしい武器が増えて、その楽しみ方も倍増になっているようです。
    年齢とか、キャリア年数とか、収入とか、数字で見えるもので判断するのは簡単です。
    だけど、本当にその人生が満足のいくものだったかどうかは、自分にしか見えません。
    学校に行くのも一つ、人に会うのも一つ、若い人に教え、教わるのも一つ・・・他にもたくさんあるでしょうが、以前はできなかったことを楽しみましょう!

    ゆっくりと時間をかけて、味わいながら楽しむ、良いじゃないですか。私はそうしたいです。
    将来、大学院で息子とクラスメートになって、ライバルになるなんて夢もあります。もちろんそのときは手抜きなしでやっつけてやる予定ですが。笑

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