日本は100年衰退?!

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今年は11月に大統領選挙が行われますが、共和党の候補、ミット・ロムニー氏の失言があまりに多く、アメリカでも注目されています。

中でも8月上旬に行われた資金集めパーティでの演説で、日本に対して屈辱的な発言があったことは、日本でも報道されて知っている方も多いかと思います。

その発言は以下のとおり。

「We are not Japan. We are not going to be a nation that suffers in decline and distress for a decade or a century」

「我々は日本とは違う。10年とか100年も衰退と災難に苦しむような国にはならない」

というような発言です。

日本国内で報道された記事では、「今後10年とか100年苦しむ日本のような国にはならない」という解釈の訳文がいくつか見られましたが、原文を見るかぎり、「これから苦しむ日本」ではなくて、「今まで10年とか100年とか苦しんできた日本」という意味だと私は思います。

これに対しアメリカ国内でも「戦後の焼け野原からわずか数十年で世界第二位の経済大国になった日本に対して、100年間衰退してきたとは、なんと無知な発言か」と、非難するというよりもあきれ果てる意見が続出しています。

親日派でもそうでなくても、歴史をふりかえれば、日本が過去100年衰退してきた、という発言が単純に事実に反していることは誰でもわかります。この部分はもう、日本に対する屈辱というよりも自分の無知をさらけだしてしまったという、ロムニー氏の自業自得であるような、むしろ気の毒になってしまうようなレベルの間違いですね。

いったい何故「100年」なんて言ってしまったのでしょうか。

その上、「10年、または100年」なんて、文章としてもおかしすぎます。

10年と100年ってすごい違いですよね。他国の、それもアメリカの重要な同盟国である日本について言及しているというのに、10年でも100年でもどっちでも良いなんて、あまりにいい加減です。

私が思うに、ロムニー氏、パーティでちょっとお酒を飲みすぎたのかもしれませんね。酔っ払ってしまって10年も100年も区別がつかなくなってしまったのかもしれません。

彼にとって、日本は「最近、経済がイマイチな国」、程度のイメージで、文化や人々に対する深い知識もなければ、関心もないのかもしれません。お酒が入ってそういう部分が露呈してしまったのでしょうか。

英語で数字を大げさに言うという表現はあります。

「もう何度も言ったのに!」などと言いたいとき、「I’ve told you a thousand of times!」=「もう1000回も言ったじゃない!」と、実際には1000回言っていなくてもそう表現することがあります。

ロムニー氏もそういうノリだったのでしょうか。「10年、っていうか100年くらいイマイチな国」とでも言いたい気分だったのでしょうか。

決して「酔っ払って大げさに言ったんでしょう」と彼を擁護しているのではありません。

ロムニー氏のいい加減な発言ぶりから、彼の、そしてアメリカの一部の人々の、日本に対する反感ですらない、無関心、無理解が伝わってきて、なんとも寒々とした気分になるのです。

「Decline and distress」という言葉にも、私はひっかかります。

日本の報道では「衰退と苦難」と訳す文章をよく見かけたのですが、「Distress」はもちろん、苦難と訳してもおかしくはないものの、私が推測するに、ロムニー氏は日本の震災・津波災害から連想して「Distress」という言葉を使ったのではないでしょうか。

Decline=衰退、が経済不況を、Distress=苦難、災難、が昨年の災害のことを暗に示しているという気がします。

そうであった場合、私はさらにこのロムニー氏という人物の冷血漢ぶりにぞっとします。

自国の発展を約束するのはいいけれど、そのために他国の災害を引き合いに出すなんて。病気や怪我で苦しんでいる人を横目に「あんな目には合いたくないよねぇ」と笑っている自己中心的な人のようです。

総括すると、彼にとって日本という国は、「このところ長期的に経済が不調で、そのうえ最近は災害まであったようだ」という、ぼんやりとしたイメージでしかないのかもしれません。

アメリカ国内で、彼のこの発言に対して「恥ずかしい」「本当に馬鹿だ」「日本に失礼だ」という論調が多かったことは私にとって救いでした。

しかし、こんな人がアメリカの大統領になってしまったら、いったい外交政策はどうなるのか・・・。(いや、国内政策も・・・。)

かなり不安です。

日本は100年衰退?!” への2件のフィードバック

  1. 無知って怖いですね。
    こんなにも色々な文化が混ざり合っているアメリカだから、アメリカ人はみんなsophisticatedだろう、なんて思っちゃってると全然そんなことない人に出会って、ビックリしますよね。
    しかもそれが大統領候補だなんて、もう参っちゃいますよ。

  2. ほんとですよね、ありえない無知な人はどの国にもたくさんいるだろうけど、それが大統領候補ってすごいですよね。
    無知もさることながら、「そんなこと言ったらヒンシュク買うよ」ってことが予想できないという知性の低さにも愕然です。
    普段のスピーチはちゃんとスピーチライターが書いたのを読んでるだけだから大丈夫で、こういう失言は必ずスピーチ原稿なしに話したときに出てくるんですよね。
    どんなにまわりをブレーンで固めても、そういうときに露見しちゃうんですよね~。

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