誰が悪い? – アメリカの「責任問題」

By LA Times

先週の木曜日、9月8日に起こったサンディエゴを中心とした大停電。

原因については未だにはっきりとは説明されていませんが、今回は、これをきっかけに、アメリカでの「責任問題」について書いてみようと思います。

 

よく、「アメリカではすぐに謝るな」と言われますね。聞いたこと、ありますか?

私も、日本からアメリカに来る前に、「アメリカ人」について調べると、”I’m sorry.”はむやみやたらに使うべきではない、と書いてあることが多かった気がします。どうしてでしょうか?

交通事故などでは、”I’m sorry.”と言った方が負けになる、と言われていますが、本当にその場のその一言だけですべてが決まるのでしょうか?

ちょっと考えてみましょう。

 

 

まず、停電についてのLA Timesのこの記事の一文に注目してください。The Federal Energy Regulatory Commissionという、全国区の電力を取り締まるエージェントが今回の停電について調査する上での方向性について書いています。

Federal energy commission launches investigation into blackout

“While power company officials in Arizona have said one of their workers may have triggered the massive outage north of Yuma, the investigation will concentrate on how the event unfolded and was allowed to spread.”

「アリゾナの電力会社によると、ユマの一作業員がこの停電の引き金を引いた可能性はあるが、同時に、これまで被害が広がってしまった原因は何か、を調べることに注力することになる。」

 

とあります。

つまり、問題を起こした電力会社が知りたいこと、世間が知りたいだろうと見込んでいること、というのは、この作業員の処分でも将来でもなく、これから同じことが起こらないための会社の対処なのです。

責められるべきは個人ではなく、それを引き起こしたシステムにある。電力会社だけでなく、アメリカではそう考える人が多い証拠でしょう。

そしてこのシステムを作り出す原因となったのは誰か?ーーー私たち、電気の消費者ですね。この停電は、一人一人、個人レベルで考えるきっかけになると思います。

 

 

夜中に電気が戻り、次の日の朝に、こんな質問を旦那(アメリカ人)にしてみました。

「この作業員、解雇されたりするのかな?」

旦那は突然のこんな質問に笑っていましたが、私は続けて、

「だって、かわいそうじゃん。確かに被害は大きかったけど、たった一つのミステイクでさ。日本だったら、即刻クビだよ。ものすごく責任を押し付けられてね。」

そしてもうちょっと考えてみます。

「アメリカだったら・・・というか、アメリカのものすご〜くリベラルな会社だったら、彼はきっと昇進するね。この停電をきっかけに、システムの弱点を発見した、とかって。それで、問題解決チームのメンバーに選ばれたりするの。」

旦那は笑って聞いていましたが、これはあり得ない話じゃありません。

 

今回の停電は、そこで作業してる人なら誰にでも起こりうることだったかもしれません。それは人為的だけど、意図的じゃない。(意図的だったら犯罪ですね)

アメリカでは、個人の解雇や処分で物事を問題解決に見せかけません。誰も土下座なんて見たくないんですね。

見たいのは改善されたシステムで、責任者がベストを尽くしたという事実。そして、将来的に安全だ、という保証。それは日本人も同じだと思うんですが・・・。

 

 

もう一つの記事を見てください。

Blackout sparks multiple investigations

“They will spend months determining whether the problem was a mistake by one utility worker, a massive breakdown of a system that is supposed to maintain reliability above all — or both.”

「原因を突き止めるには、数ヶ月かかる予定だという。それが一作業員によるものなのか、システムが計り知れない異常を起こしてしまったのか、それとも両方か。」

 

ここにあるように、アメリカの責任問題では、簡単には結論づけません。

「自分がやりました」とはすぐ言うな、と言われている理由は、他人に責任転嫁することが目的なわけではなく、「そんなことは、今、目の前にある問題に比べればどうでもいい」ということなのかもしれません。

時間がかかってもいいから、問題解決が第一、という考えなのでしょう。

 

 

余談になりますが、数年前、SDG&E (San Diego Gas&Electric サンディエゴの電気会社)が、今回と同じ状況の大停電をシミュレーションしたそうです。そして電力回復までにかかる時間は、なんと、「2〜3日」と結論づけたそうです。しかし、実際はなんとその半分以下の8〜10時間以内で電力回復に至りました。

対処の速さ、対応のよさ、説明のよさ、これには脱帽でした。

これだけの結果が出せれば、「誰が悪い」なんて気にする必要があるでしょうか?

もちろんミステイクはないに超したことはないけれど、重要なのは、「どうやってそこから挽回するか」ってことだと思いませんか?

 

 

誰が悪い? – アメリカの「責任問題」” への5件のフィードバック

  1. 停電などとは 比べ物にはならない話ですが、以前、主人とレストランに行った時の話。ウェイトレスが、お皿を運んで来たとき、ちょうど、ジェスチャーをしながら 話をしていた主人の手が、ウェイトレスの差し出したお皿に当たってしまい、そのお皿は床に落ちて割れてしまいました。ここで、日本では、まずウェイトレスが謝りますよね。そしてこっちにも非がある場合は、「いえいえ、こっちも気がつかないで、すいませんでした」となるところですが、アメリカ人は、そうはいきません。まず、ウェイトレスは、こっちの非であることを前提にした態度をとります。主人も、そこは一歩もひきません。まず、主人がとった行動は、となりの席の人にあやまる。「だいじょうぶでしたか?」と気を使い、ウェイトレスと一緒に割れたお皿をひろう。そして、そのウェイトレスは、すかさず、新しいお皿を持ってきて、一言、「もう、手を横に出さないでね」と。その一部始終を見ていた私は、「なんなの今の態度!」とムカっときてしました。主人はというと、「向こうも話の途中に いきなり、手を出したのも悪いし、こっちも悪い」となんだか、そんなに気にしていない様子。日本じゃウェイトレスが謝らないのって、考えられませんよね。絶対に、非を認めないアメリカ人という感じがした瞬間でした。思い出しても腹が立つウェイトレスでした。コメントで、こんなエピソード失礼しました。むやみに 謝らないアメリカ人で、おもいだしました。 

  2. こんにちは
    日本のように「土下座」をして終わるということではないんですね。
    本質的に「原因」を見つけるっていうのがアメリカ式の解決法なのかもしれません。
    でも、英語ができないので、とにかく謝らなくて済むように生活しなきゃあ~と思います(笑)

    コメント有難うございました。
    スーパーの場合は荷物のことがありますね。後ろから荷物を入れるのには
    便利です。娘のアメリカ人夫にきいてみたら・・・特に理由はなく、面倒だから・・ということでした(笑)
    それにしても、日本の後方からの駐車は見事というしかありません(汗)

    ためになるブログですね!これからも訪問させていただきます!

  3. >ライリさん

    ご訪問とコメント、ありがとうございます!

    そうですね、謝られても結局同じことを繰り返してるんじゃ、意味がないですし、アメリカ人は同じあやまちってすごく嫌いますよね。

    >特に理由はなく、面倒だから・・ということでした(笑)
    私もそう思いました。笑 私はお尻からって駐車ってできないので、日本では絶対に苦労すると思います・・・それかあきらめて一人だけ頭から入れたり。

    これからもよろしくお願いします!

  4. >Ayaさん

    確かに、ちょっと一言欲しいっていう時はありますよね。
    「謝罪」が必要と感じるのって個人レベルなのかもしれませんね。
    うちの旦那も、あまり気にしないほうだと思います。だからあまり自分からも謝らない・・・。苦笑

    英語って、相手重視の「ごめんなさい」ではなくて、自分重視の”I’m sorry.”ですよね。なんていうか、「自分がそう感じている」から謝るのであって、相手の状況がひどいだから、ではない。
    だから、感じなければ謝らないんだなって思いました。

  5. 日本人って結構簡単にあやまりますよね。「すみません!」って簡単に出てくる言葉だと思います。

    でも、Sorry!って言葉はそれほど簡単には出てこないみたいですね。

    なので、日本人の私が、「ごめん!」とか「すみません!」程度のつもりでSorry!ってあやまると、「全然問題ないって!」って妙に真面目に捉えているところが笑えたりします。

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