えーと、今は冬?夏?

LAに住んでいると、ときどき「今の季節はなんだっけ?」と一瞬わからなくなってしまうことがあります。

先週末は日中の最高気温が30度まで上がって、ビーチにでかけたらみんなタンクトップにショートパンツ、素足にサンダルで歩いていました。水着を来て海で泳ぐ人もいました。

昨日は一転して肌寒く、朝はコートを着こんで出かけ、職場ではみんな「寒い!寒い!」と言いながら暖房の効いたオフィスに駆け込んできました。

気温だけで言えば先週末は真夏、昨日や今日は冬の終わりかけという感じです。で、一体本当の季節は何?・・・カレンダーを見て「3月だから、そろそろ春か・・・」と確認しないと、本当に体感だけでは季節がはっきりわからないのです。

今住んでいるLAもそうなのですが、初めて留学してカリフォルニア北部に住み始めたとき、日本と根本的に違う気候が私にとってちょっとした衝撃でした。

一番とまどったのが、昼と夜の温度差です。

朝起きると肌寒くて、日本の関東地方に例えるとまだまだ浅い春、という感じなので、それなりに厚着をして出掛ける。

すると昼間になって気温が上がり、みんな上着を脱いでタンクトップやTシャツで歩き出す。私は「なんだ、今日はこんな暑い日だったのね」と思って、授業の合間に徒歩数分の自宅に戻って着替え、素足にサンダルでまた授業へ。

ところが、夕方になったら今度はまた風が冷たくて冷たくて、素足が冷え切ってしまう・・・

夜はまた真冬のように寒くなってしまい、羽布団にくるまって寝る(たとえ7月、8月でも)。

日本では昼間暑い季節は夜も暑いし、寒い冬は当然、日中も寒いし夜はさらに寒い。24時間のあいだに季節が変わってしまったのかと思うほど気温差がある場所で暮らしたことのなかった私は、最初はどうやって毎日の服を選べばいいのかよくわかりませんでした。

ところで私の夫はこの北カリフォルニアの出身。彼は日本に数年暮らしたことがあるのですが、私とまったく逆の形で、最初はものすごく戸惑ったそうです。

ひんやりした風が一年中吹き続ける北カリフォルニア沿岸で育った彼にとって、蒸し暑い日本の夏はかなりつらいものがあり、やっと日が暮れて、「あー、良かった、これで涼しくなる」と思うのに、いつまでたっても気温が下がらない・・・

夜になっても日中と同じ蒸し暑さが続く・・・

このとき混乱した彼は、友達に向かって、勉強し始めたばかりの日本語で疑問をぶつけました。

「太陽の、役割は、何ですか?!」

地表が暖まるのは太陽の熱が届くから。でも太陽が沈んだ夜も同じように暑いなら、いったい太陽が存在する意味は何なのか?!

太陽が沈む=涼しくなる、という、たしかにとてもわかりやすい気候の地域に住んでいた彼にとっては当然の疑問だったのですが、蒸し暑く寝苦しい夏の夜に生まれたときからずっと慣れている日本人の友人たちは、

「たいようのやくわり?はぁ?」

と、なかなか彼の質問の意味をわかってくれなかったようです・・・

決定的な違いは湿度。日本の場合は日中に温まった大気が空気中の湿気にとらえられて、太陽が沈んでもそう簡単には気温が下がらないようです。

今私が住むLAの海沿いの街では、空気がからりと乾いていつも爽やか。気温が高くても日本のような蒸し暑さはなくて、日陰にいればあまり汗もかかず快適です。雨もあまり降らず、毎日、毎日、抜けるような青空にパームツリーがくっきりと映える、「ザ・カリフォルニア」な天候が続きます。

そんな場所に住んでいると天候については何の文句もないだろうと思われそうですが、私個人的には、ときどき、日本の繊細な四季の移り変わりがたまらなく恋しくなります。

毎朝起きるたびに寒さが深まっていく秋や、ふんわりと優しい春の雨・・・冷たい風がきりりと頬に吹き付ける冬の潔い感じもいいし、蒸し暑い夏も、たとえば、夜、カフェの道路沿いに並ぶテーブルでお茶しながら、少し湿ってあたたかい風に吹かれて南国の夜のような気分を楽しんだことなど、東京の日々を懐かしく思い出します。

雨の音を聞きながら家で読書する気分なども、LAではなかなか味わえません。雨の音がどうもバタバタと乱雑な感じで、日本の雨のしっとりした風情に欠けています。

ここ数週間、あまりにも無秩序な感じで気温が変化するLAで、日本の四季それぞれの情緒が楽しめる気候が改めて懐かしくなってしまいました。 

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2 comments on “えーと、今は冬?夏?”

  1. いろんな国にいろんな気候あがりますよね。でもNYはほとんど日本と変わんない気がします。夏はかなり暑いし、冬は寒し。東京よりかはちょっと空気が乾いてるかもしれないけど。

  2. Isaoさん、たしかに、NYはとても日本に近いですね。私は東京の出身で、オハイオに住んでいるとき当時のボーイフレンド(今の夫)に会いによく週末NYに飛びましたが、東京、NY、オハイオ、と並べたら、いろんな意味で東京とNYのほうが近く、オハイオだけが全然違うという気がしました。
    アメリカがものすごく広いので、アメリカ国内でも全然気候が違いますよね。フロリダのほうへ行けば湿地帯だからかなり湿度が高いようです。日本の夏に近いものがあるかもしれません。
    アメリカには砂漠もあるし、アラスカもあるし・・・「アメリカの気候」と一言では言えないので、今回は東京とLAを主に比べてみました。

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