アメリカでTick(マダニ)に咬まれる

Maki-Kです。

5月。
キャンプにハイキングに、いい季節になって来ましたねっ♪

そして5月。
tick(マダニ)シーズンの始まりでもあります。。。

今日はtick(マダニ)について書きます。
日本でもアメリカでもアウトドアを楽しむ人は多いですが、tickについてまったく知らない人もいると思うので、これからキャンプやハイキングで山へ入る人、茂ってきた庭の木の枝を剪定するなど庭仕事をする人、ぜひ読んでください。

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娘がマダニに咬まれました。

先週末に行ったキャンプでの出来事。

夕方、寒くなってきたのでジャケットを一枚着せようと娘に近づくと、

「ちょっとまって、なんかここかゆい・・」と娘。胸の辺りを服の上から掻いて、「もういいよ」

そこでピンと来た私。さっきハイキングに行ったとき低木の茂みの下を通ったから、虫でもいるかもしれない・・・「ちょっと見せて・・」と服をめくってみてみると。。。

あ、やっぱり虫が。ん?クモ? やだクモなんかつけて。

え? ええ??  これって、もしかして、tick・・・・?

「ぎゃぁぁぁーーーーーーーーっ!」←私の叫び声。

4mmくらいのtickが娘の胸にくっついていました。
tick(マダニ)といえば、ライム病に代表される難しい病気の感染源。日本でも今年に入ってからマダニを介した新感染症で死者がでています。

私:「ちょっとバーニー(夫)!、tickがついてるーー!どうしたらいいっ!?」

夫:「えぇっと。。マッチを近づけて熱くしたら離れるとか言うけど。。」

そんな、マッチで火をつけてって。マッチどこにある!? っていうか、火をつけたら、この子も火傷しちゃうじゃん!

娘:「いたいーーっ(涙)!」

ええっ!? tick biteって痛いの?!? マッチなんて言ってる場合じゃないじゃん!早く取らなきゃ!

私:「指で取っても良いよねっ!!? 良いよねっ!!? 良いよねっ!!? 取るから押さえて!」

娘:「いたいーっ!いやぁぁーーっ!!(号泣)」

私:「手も押さえてぇっ!!」←無情な母。

えいっ!

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取れました。

tickは上手に抜かないと頭の部分が取れて、皮膚にもぐりこんだままになることもあるそうですが、きれいに娘から取り外すことができました。

たぶん、彼女が最初に「かゆい」と言った時はまだ噛付かれていなくて、次に「いたい」と言ったときに咬んで頭を埋め込み始めたところだったんでしょう。だから簡単に指でピッと取れたんだと思います。tickが娘に噛み付いていたのは、時間にして1分もなかったはず。

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とりあえず娘に喰らいついていたやつは外したけれど、他にもまだいるかも知れない!徹底的に探し出さないとっ!

着ている物をすべて脱いで、裸で体中をくまなくチェック!× 家族3人分。

着ていた服はチェックした後、見落としがあって虫がついていたら嫌なのでそのままビニール袋へ入れて密封(家に帰ってから再度チェックの後洗濯しました)。

さっき娘が遊んでいたテントの中をチェック!→ 2mmほどのtickを布団の上に発見!ひーーっ!

髪の毛の中チェック!× 家族3人分。→ 娘の髪の毛の中に2mmほどのtickを発見!ひーーーっ!

だんだん暗くなってくるなか、懐中電灯の灯りを頼りにfrantic(半狂乱)にtickを探す私。暗がりの中でゴマつぶの半分ほどの大きさしかない黒い虫を探すなんて・・・。

「tickがいるところにハイキングに行くときは、明るい色の服を着ること」というルールの意味を身をもって知りました。ブラックジーンズにくっついてる2mmの黒い虫なんて、見つけられないからっ(怒涙)!

そもそも、ハイキングを終えて車まで戻ったときに、もっときちんとtickチェックするべきだった!!!そうすれば娘も咬まれなかったし、テントの中や布団までチェックしなくて済んだのに~!っていうか、tickってこんなに小さいやつもいるって知らなかったよっ(怒)!

後悔先に立たず。。。。

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ということで、前おきが長くなりましたが今日は今回のtick biteの反省を踏まえ、tickの知識を皆さんとシェアしたいと思います。

※参考にしたのはCDC(Centers for Disease Control and Prevention・アメリカ疾病予防管理センター)のHP(www.cdc.gov)。 CDCはThe Department of Health and Human Services(アメリカ合衆国保健社会福祉省)の感染症対策の総合研究所で、そのHPにある疾病の情報はとても詳しく、なにか病気について知りたいとき私はここをいつも参照しています。調べたい病気があったら「CDC ●●●(病名)」で検索するとCDCの該当ページへたどり着けます。

CDCのtickのメインページはこちら。

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感染症を引き起こす可能性のあるtick(マダニ)たち、こんな見た目です。画像はCDCのHPより。
tick_sizes

実際の大きさを把握するよう、左の目盛を実際の1インチになるまで縮小して見て下さい。成虫で5mmくらい、幼虫だと1-2mmです。

成虫は見つけやすいので、病気の感染源となるのは小さい幼虫が多いそうです。
クモの仲間なので、一見クモのようです。頭が小さくておなかが丸い。一番の違いは、丸いおなかが平べったい(血を吸っていない状態)。そしてつまんでもつるっと滑ってしまう。硬いのでつぶそうと思ってもなかなかつぶせません。

tickは動物の血を吸って生きています。幼虫は主にネズミなどの小動物、成虫はシカなどの大きな動物。動物にはもちろん人間も含まれます。彼らは茂みの葉の先のほうに後ろ足でつかまり、前足を伸ばして草の下を動物が通るのを待っています。草の下を動物が通ると「待ってました!」とその動物に乗り移ります。そして吸い付く場所を探して(10分から2時間くらいはうろうろしているそうです)、ここだと決めたら頭を皮膚にもぐりこませ、吸血開始。簡単には剥がれないように頭をセメントのような物質で固定させるそうです。

唾液の中に麻酔薬のような物質が含まれていてヒルと同じように、吸い付かれていることに気付かないことが多いそうです。
うちの娘が「痛い!」と言ったのは、噛み付かれた瞬間が分かったからでしょうね。

アメリカには数種類のtickがいますが、地域によって種類、媒介する感染症が違います。ご自分の住んでいる地域にいるtickの種類と、それらが媒介する病気の種類はCDCのこちらのページで確認してください。詳しい病状を説明しているページへもリンクしています。

※追記
この記事を読んだ方からの情報(コメントが記事の下にあります)によると、Lone Star tickに咬まれて牛肉や豚肉など、哺乳類の肉にアレルギー反応がでてお肉が食べられなくなるという病気があるそうです。こちらのHPも参考にしてください。「Rare Meat Allergy Caused By Tick Bites May Be On The Rise 」

今回、うちの娘が咬まれたのはおそらくblacklegged tick。Lyme disease(ライム病)やanaplasmosis(アナプラズマ病)を媒介します。

「tick=ライム病」という図式が頭に浮かぶほど、西海岸や東海岸ではライム病は名前を良く知られた病気。娘が咬まれた時、まず私の頭に浮かんだのがこのライム病(で、ぎゃーーっ!!)。ライム病は完全な治療方法がまだ確立されていない病気で、長期にわたって症状が現れる、やっかいな病気。でも、今回のtick biteで娘がライム病に感染する恐れはまずなさそうです。

こちらのCDCのライム病のページによると、ライム病はtickが最低でも24時間、体についていないと感染しないそうです。だからハイキングに行った後、しっかり体をチェックして、もしtickがついていたら速やかに取ることが大事。CDCのHPにも「If you find a tick attached to your skin, there’s no need to panic.(マダニが付いているのを見つけても、パニックになる必要は無い)」と書いてあります。

tickの取りはずし方は、ピンセットでしっかりと、なるべく肌にちかい頭の部分をつかみ、ぐぐーーと上(皮膚に対して垂直方向)に引っ張る。ねじったり、一気にぴっっと抜いたりしない。もし頭部が皮膚に付いたまま残ってしまったら、なるべくピンセットで抜いて、それでも無理なら傷が癒えて自然に落ちてくるのを待つこと、だそうです。画像はCDCより。
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以下、tickに関するまとめ。

□tickが居そうな場所(草が生い茂っているトレイルなど)を避ける。
□トレイルを歩く時は脇に生えている草をこすらないように、真ん中を歩く。
□年間通してtickはいますが、とくに5月~8月の暖かい時期は注意。
□虫除けスプレーを使う。
□帽子をかぶる
□明るい色(薄い色)の服を着用する
□ハイキングから帰ってきたら、車に乗りこむ前に服にtickがついていないかチェックする。家に帰ったら裸になって、できれば二人一組で、tick checkをする。特に股間、わきの下、髪の毛の中。耳の後ろや臍の中もチェック。そのあとすぐシャワーを浴びる。
□ハイキングギアのチェック
□tickが肌についているのを見つけたら、速やかにつまんで取る。血を吸ってお腹一杯になって自然に取れるのを待つのはダメ。

□tickに咬まれたら、その後(数日~数週間)熱や、発疹が出ないか注意して観察。感染症の症状(おおよそインフルエンザの症状に似ている)が現れたらすぐ病院へ。その際Tickに咬まれたことを医者に告げること。Tickによる感染症は薬で大体治療が可能のようです。

※tickに咬まれたからと言って必ず病気になるわけではありませんが、毎年20万人以上がライム病を発症するという事なので、気を付けるに越したことはないですよね。

□ペットの犬やネコのチェックもお忘れなく!
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←こういう茂みの下や横を通るときは要注意!

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今回のマダニ騒動、知識はあったけれど私の対応が甘かったために、娘を危険にさらしてしまいました(涙)。ごめんよ、娘。

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さて、もうすぐ五歳になるうちの娘。

 

蜂に刺されること2回。
毛虫に刺されること1回。
くらげに刺されること1回。
カナブンの幼虫に咬まれること1回。
猫に咬まれること1回。
ヒルに食い付かれる事1回。
そして今回のマダニに咬まれること1回。

かまれること・刺されることにおいては、経験豊かな彼女。

次は、ガラガラヘビかセアカゴケグモか。

うーん。どちらもありえる。彼女の場合。

こんな経験をした彼女。これで虫嫌いになったかというと、そんなことはまったく無いようで・・・

キャンプ帰りの車の中で。。

私:「家に着いて車から荷物全部出したら、荷物は家の中に入れないで玄関の前においてね!tickがいないか私が全部チェックするから!それから、家に入る前にポーチで服を全部脱いで、体に虫がついていないかチェックしてから、すぐシャワー浴びてね!一匹残らず探し出して退治するから」

夫:「No, you can’t do that. We need to live with ticks.(そんなの無理だよ。tickの存在を受け入れないと。)」

すかさず、
娘:「Yeah! Ticks are part of nature!(そうそう!ダニは自然の一部だよ!)」

・・・なんてnature loverな発言。

そりゃ確かにそーだけどさ。。

ダニに咬まれて痛い思いをして、母親がfranticに虫退治をしてるのを見て、さらにこの発言。
強い。。

でも、母さんは家の中で虫と共存したくないですよっ!!

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娘は今日も朝から3時間、庭で採ってきたダンゴムシと戯れています。

さっ、みなさん。
正しい知識をもって、アウトドアを楽しみましょう!
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9 comments on “アメリカでTick(マダニ)に咬まれる”

  1. あ~怖かった(ToT)
    あきちゃんってたくましいね。

    でも知識を持って予防することの大切さがよく伝わる今回の記事でした。

  2. >hisayoさん

    そう。マダニって、蚊やハチみたいに飛んでくるわけじゃないし、ヘビや毛虫みたいに触った瞬間に「痛!」ってなるわけでもないから、こっちが気をつけていれば大丈夫なんですよね。

    娘は将来、アマゾンのジャングルにこもってサルの研究とかするんじゃないかと、ちと心配。未知の病原菌や難しい病気がある所には行かないでほしい~。

    hisayoさんとこは、犬、気をつけてくださいね。

  3. 赤十字のクラスを先日とったばかり。
    今回はFirst Aidだけ。CPRやAEDはあとでとるつもり。
    ところで、
    赤十字の古いFirst Aidの本を見たけれど、
    その中には毒のある蛇にかまれたときの処置(蛇の種類もあり)、
    また火傷、凍傷とか、いろんなのがあったなあ。
    一度も習ったことないけれど、
    必要な内容ばかりだという気がしたよ。

    私の場合、パラグライダーで山へ飛びによくいくので 
    へび、サソリ、ハチなどの毒、植物やかぶれなども
    注意しないいけない。
    もちろん、クマにマウンテンライオンとかコヨーテとかの
    動物も。 海でも毒クラゲとかもいるしね。
    オーストラリアの毒クラゲにさされたら 
    3分で人間は死んでしまうというし。

    First Aidのなかで教えているのは
    1.まず防止策
    2.時間、どれくらいで発病するとか
    3.症状(毒などがまわったときの)
    4.そして、First Aidということになる。

    どれも必要な内容だから
    いつか そんなクラスをとってみたい。
    そういえば、Tickのとり方もあったよ。

    赤十字のウェブサイトには なかったけれど
    山なんかでの動物、虫などの対処の仕方を教えるクラスがあるらしい。
    パンフレットで見たけれどね。
    知っていて 損することない。知らないと 逆効果の処置をしてしまうかも。
    911に連絡できるところなら問題ないけれど
    電話も通じないところがいっぱいあるから 知識はとっても大事だなあと
    思っているところ。

  4. はじめまして。Maki-kさんをはじめ、アメ10の記事、いつも興味深く読ませてもらっています。今回もTickについての貴重な情報・体験談、ありがとうございます。

    記事では触れられていなかった情報について、シェアできればと思い、初コメントさせていただきます。詳しくは、こちらのリンク先(http://www.npr.org/blogs/thesalt/2012/11/21/165633003/rare-meat-allergy-caused-by-tick-bites-may-be-on-the-rise)の記事などを見ていただければと思いますが、Lone Star tickというアメリカ南部に多く生息するダニに咬まれて、哺乳類の肉アレルギーになる人が年々増えているそうです。

    私のとても親しい人でも、このアレルギーを発症した人がいます。彼の場合は、牛ひき肉>牛肉全般>豚挽き肉>豚肉全般>羊・ヤギ肉等でも発症、という順序で3年くらいかけて徐々に症状が悪化していきました。羊・ヤギで反応が出た時点で哺乳類の肉を食べるのをストップしたので、鯨・兎など、まだ例外的に食べられる肉があるかは不明ですが、肉食大国のアメリカで、牛・豚がベジタリアンという理由ではなく、アレルギーで食べられないというのはとても大変なようです。ターキーや鶏などの鳥肉、魚介類などは大丈夫なので、料理の選択肢自体は問題ないのですが、ハムやベーコンといったいろんな料理のアクセントに使われる食材、ビーフブロスを使った野菜スープなどに気を使わないといけなくて大変だそうです。

    発症するととても厄介なこの肉アレルギー。おかげで私もTick(存在にも関連する情報にも)にはとても敏感に反応するようになってしまいました。皆さんも、本当にお気をつけ下さい。

  5. >シゲさん

    First Aidは知っておくといいですよね。私も受講したいです。
    うちは夫がSierra ClubのOutingのリーダーをやるので、CPRのクラスを2年か3年に一回受講しなければいけなくて、この間受けたやつは蛇とかクモとかの対応も教えてもらったみたいです。

    その、オーストラリアのくらげは恐ろしいですね!

  6. >悠さん

    コメントと情報ありがとうございます。
    リンク先の記事読みました。
    Tickに咬まれてフィレミニョンにさよなら・・・。
    これまた厄介な病気を運ぶんですね、tickは。

    この情報、記事に追加してシェアしていいですか?

  7. 北米で、夏は毎週のようにハイキングに行く自分ですが、全く存じませんでした。知らぬが仏とはこの事か・・・

    Tickの種類によっては、”獲物”が木の下を通ったタイミングで下に落ち、頭皮に付着する事もあるそうで、そんな風に狙われたら気付くのも難しそう。確かに要帽子ですね。

    もし肌にTickが喰い込んでたら卒倒してしまいそうな私にとって
    >tickの存在を受け入れないと。
    >ダニは自然の一部だよ!
    なんて言えるご家族は本当に素晴らしいですが、

    >でも、母さんは家の中で虫と共存したくないですよっ!!
    全く同感です。

  8. >スーさん

    コメントありがとうございます。

    そうなんです!
    私も、日本でもアメリカでも、さんざん今までハイキングに行っていたのに!

    今までTickに咬まれてなかったって言うのは、単にラッキーだったんですねぇ。

    木の上から降ってくるTick(熱を感知するってやつですね)なんて、ほんと気づきようが無いですよね。どこかの神社でマダニよけのお守りとか売ってないでしょうか。。

    今までの自分の運の強さがこれからも続くと信じつつ、十分気をつけて、ハイキング楽しみましょうね!

  9. Maki-Kさん> 返信遅れてすみません。情報シェア、もちろんです!よろしくお願いします。

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