アメリカの電子書籍マーケット

アメリカ電子書籍
from http://www.amazon.com/

この分野に個人的にものすごく興味があると言う理由だけで、この記事を書いてしまいます。興味の無い方はスキップしてください。

 

「電子ブック」あるいは「電子書籍」と言うと、

「ああ、パソコンで読むやつね」

と、まず日本人の8割がたが思うんじゃないでしょうか。

少し進んだ方、テクノロジーに詳しい方だと、

「iPadとかでも読めるやつでしょ?」

あるいは、

「携帯で読んでるやつじゃないの?」

などなど。電車通勤をしている人なら、スマートフォンとか、タブレットなんかを使って、結構読んでいるかもしれません。

でも、日本では電子書籍が市民権を得るにはまだ程遠いような状況です。おそらくそれは、日本の古い体質を引きずった出版業界が、出版不況と言われる今の世の中でも、まだまだ力を持っているからだと思います(出版業界の方、読んでいたらごめんなさい)。

 

「アメリカの電子書籍マーケットってどぉよ?」

と言う質問が出るかどうかわかりませんが、出なくてもこれからお話しようと思います。

 

実はアメリカも「出版不況」と言われています。と言っても、「紙の本」ですけどね。現に、アメリカ第二位の規模のBorders(ボーダーズ)は、最近倒産しました。うちの近所のショップも店じまい(涙)。

電子書籍参入に乗り遅れたからと言うのがメインの理由のひとつのようです。

ここアメリカでは、ますます「紙の本」離れが広がります。それは、日本と同様に、インターネットの普及による「読書離れ」、と言うのも理由のひとつに上げられるようですが、実際のところ、アマゾンやオンラインブックストアはがんがん売り上げを伸ばしているとか。

つまり...アメリカでは電子書籍の売り上げがガンガン伸びていると言うことです。

去年(だったか)、アマゾンの電子書籍の売り上げが、紙の本の売り上げを抜いたと言うニュースはまだ記憶に新しいところですよね。

では、なぜ、アメリカでは、それほど電子書籍が売れるのか...。私なりに分析してみようと思います。興味のない人はすっ飛ばしてくださいね(笑)。

 

日本と同様、アメリカにも本屋さんが大好きな人たちがたくさんいます。暇があれば、本屋さんに立ち寄って、立ち読みする人がたくさん。

立ち読みではなくて、腰をすえてじっくりと読書したい人のために、普通、店内のあちこちにいすが置かれています。また、簡単なコーヒーショップなども併設されていて、そこでテーブルに座ってコーヒーを飲みながら「立ち読み(?)」をすることができます。

日本の感覚からすると、少し驚きじゃありませんか?日本の場合、立ち読み厳禁。漫画などを立ち読みしようものなら、

「買わないんだったら出てってくれない?」

なんて言われそうですよね。

アメリカではそんなことはないんです。立ち読みする人たちのために場所を提供するくらいですから。

場合によっては倫理に反することをするような人も出てきます。たとえば、立ち読みしている本に折り目をつけて、次に来たときもそのページから読めるようにするとか。あるいは、飲みかけのコーヒーをページにこぼしてしまっても、そのまま返したり、立ち読みした本をテーブルの上に置いたまま帰るとか。

まぁ、それくらい立ち読みの好きな人たちが多いってことでしょうね。そんな「立ち読みさん」たちに対して、本屋さんも寛大ってことです。

そうかと思うと、ハードカバーの本を3,4冊抱えながらレジに並んでいるような人も結構います。

アメリカに滞在した経験のある方は多分ご存知だと思いますが、こちらの本は結構大きいです。と言いますか、大きいし、重いし、サイズや紙質もまちまち。同じくらいのサイズの本でも、紙質によって重さがずいぶん違ったりします。

重い本を抱えてレジに並んでいる光景は、飛行場でかなり良く見ます。西海岸から東海岸へ、南部から北部へ。アメリカの飛行機の旅は時間がかかります。なので、飛行機のたびには本が欠かせません。テクノロジーの進歩した最近では、音楽を聴いたり、映画を見たりしてすごす人もかなりいますけど。

ところでハードカバーの本を3、4冊買うといくらぐらいになると思います?

アメリカの本は日本ほど安くありません。紙質や体裁を日本の本と比較すると「すっごく悪い!」と感じるほどなのに、どうしてあれだけ高くなるのか不思議です。

新刊本を書店でまじめに買うと、25ドルとか30ドルとかします。ちなみに、最近、アメリカでも日本でも爆発的に売れている「Steve Jobs」と言う本は、まともに買うと35ドルします。信じられます?

 

と言うことで...、これらが、「なぜアメリカで電子書籍が売れるのか」を説明しています。

・立ち読みの好きな人たちが多い。
・本をまとめ買いする人たちが多い。
・重い本が多い。
・本の値段が高い。

もう、わかりましたよね、なぜ、アメリカで電子書籍が売れるのか。これはあくまでも私の分析ですから誤解のないように。でも、当たり前と言えば当たり前のことです。

 

では、電子書籍だとこのような問題をどう解決できるのか...。

・電子書籍販売サービス(アマゾンなど)は書籍のサンプルを提供している
・電子書籍はデータなので、100冊、1000冊あっても、電子書籍リーダー分の重さですむ
・電子書籍は紙の本よりもかなり安い

ってのが答えでしょうか。

あとは...もともとアメリカはパソコン文化なんですね。それに対して日本は携帯文化。パソコン文化なので、その昔から、pdf形式の電子ブックと言うのがかなり出回っていました。なので、すでにかなり前から電子書籍が爆発的に売れるベースはあったんだと思います。

電子書籍を読むために、ノートパソコンを持ち歩くのはちと重い → もっと軽いものが必要 →
電子書籍を読むことに特化したデバイスを作ってしまおう → アマゾンキンドル発売

また、アマゾンなどのオンライン書店も日本よりはうんと整備されていますので、読書好きの人は電子書籍リーダーを買わない手はないでしょう。

さらに最近、アマゾンが電子書籍の貸し出しサービスを始めました(Amazon Prime)。年間79ドル支払えば、月々決まった数だけベストセラーを借りて読むことができるらしいです(他にもいろいろな特典があるとのこと)。立ち読み好きの人にはもってこいのサービスですね。

ちなみに私もアマゾンのキンドルを愛用しています。買って、電子書籍を読んでみて初めてわかったことがあります。

アマゾン、消費者心理をよく理解していると言うか何と言うか...。面白そうな本を見つけたら、まず、サンプルを読んでみるんですね。で、もっと読んでみようかなと思ったら、ボタンをクリックするだけで、その本がキンドルに自動的にダウンロードされるんですよ。それも1分とかで。ボタンをクリックするイコール購入するってことなんですけどね。本当に簡単。なので、100%読みたい!と思わなくても、「ポチ」って簡単にしてしまうんです。アマゾンの思う壺。だから、アマゾンの電子書籍の売り上げが飛躍的に伸びたんですよ、きっと。

 

さて、うちも電子書籍事業に参入でもしますかね。日本に電子書籍の波が来るまでに、早めに時代の波に乗っておかなければ...。 

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5 comments on “アメリカの電子書籍マーケット”

  1. 電子書籍って何となく分かっているようで、へー!って思うことがあって勉強になりました!日本ではどうなりますかね。電車の中で読む人は、本の方が隣の人から覗かれなさそうで良いかもw。

  2. こういう理論づめの文章、大好きです!笑

    電子ブックリーダーももうちょっと安くなればいいなぁ・・・と思ってるんですが、これからの市場競争次第でしょうか。

  3. Marioさん>コメントありがとうございます。日本の出版業界って結構新しいことを取り入れにくい業界なんですよね。相撲業界とかと良く似てます。テクノロジーの波に乗り遅れないようにしなきゃいけないと思うんですけどね。

    Erinaさん>おお、喜んでいただけてうれしいです。この分析って超当たり前のことなんですけど、偉そうに書いてしまいました(笑)。

  4. あぁ、ちょうど、電子ブックリーダーどれがいいかな~とか、思ってました。
    そうか、キンドルにはそういう罠が仕掛けられているのですねぇ~。

    日本の文庫本はかなり手軽ですもんね。モニター画面で文章を読むには慣れがいるし。日本人がこぞって電子ブックに移行する日はくるのかなぁ。。とりあえず私は本を読む時間がほしいです(泣)

  5. Maki-Kさん> おお、電子ブックリーダー購入をご検討ですか。音楽とか映画とかを観るつもりがなければ、キンドルタッチとか、キンドルキーボードで十分だと思いますよ。あとは、B&NのNookとか、ソニーリーダーとかありますよね。

    日本にキンドルは入っていかないだろうと言うのが大方の意見のようですね。アマゾン本体に、日本でキンドルを売ってやろうと言う気持ちがないようですから。

    日本は電子ブックブームに取り残されてしまうのかもしれませんね。がんばれ日本!

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