アメリカの食品規制事情:砂糖

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アメ10読者の皆様こんにちわ。KAZでございます。
St Patrick’s dayも終わり、いよいよ春の訪れか・・・と思いきや、キャンザスでは昨晩のSnow storm来襲により、一晩で10inch程の雪が積もりました。

グラウンドホッグのフィル君による占いでは、今年の春ははやくやってくるはずだったのに・・・

そんな折り、先日なんとフィル君が告訴されたようです。
告訴内容は「春はすぐそこだってウソをついた。」
さすが訴訟大国アメリカ・・・
てか、悪いのはフィルくんじゃないでしょ・・・

 

さて、いつものようにしょーもない前置きが終わったところで本題に入りましょう。

今日はお砂糖のお話しです。

アメリカのファーストフードでは、ボトルウォーターやコーヒー以外、ほとんどの飲み物に砂糖が含まれています。Green Teaにでさえ砂糖が入っています。

しかも体が大きいせいか、飲む量もハンパじゃないんですよ。

6071330113_caf9a4240b_zこれで虫歯にならないんだから、アメリカ人て本当に歯が強い・・・

ところでみなさん、「シュガーハイ(Suger high)」という言葉をご存知ですか?

日本よりも、欧米で広く知られている現象で、砂糖を摂りすぎると落ち着きがなくなるというものです。特に、クリスマスからニューイヤーにかけてのホリデーシーズンは、甘いお菓子をたくさん食べた子どもが落ち着かなくて困るという親が多いそうです。

しかしながら、1995年1997年に、気分と糖質の摂取には関連性がないという論文が報告されたことから、「砂糖が気分をハイにさせるのはウソだ」といわれるようになり、子供の落ち着きがなくなるのは糖分が原因ではなく、クリスマスなどのイベントのせいで気分が高揚するためだと考えられるようになりました。

ボクも一応、一研究者ですので、一般記事をそのまんま鵜呑みにする訳にはいきません。
論文のデータを見てみると、幾つか疑問に思うことがあります。

まず1つは、この2つの論文はいずれも古いこと。研究とは日々進歩していくモノですので、5年前に発表された論文が実はウソだったと言うことは良くあることです。

また、コントロールと高糖分摂取の被験者が食べた食事の内容が単に糖分の影響を比較するためには適当でないこと。

さらに、糖分は体内に入ると吸収されますが、この試験では食事直後の変化を評価していません。

それから、評価の方法が生化学的でないため、明らかに差がないとは言えない、などがあります。

(こうやって物事を批判的に見るあたりが研究者の職業病なのです・・・)

一方、最近の論文では、糖分の過剰摂取と気分高揚を関連づける論文が数多くあるのも事実です。

多くの論文で、糖分を過剰摂取すると、血糖値の急激な上昇、インシュリン値の上昇、血中アドレナリン濃度の上昇など、生化学的なデータが示されています。

実はインシュリンは、脳でも重要な働きをしていて、ADHD(注意欠陥多動性症候群)の患者はインシュリン濃度が高いことが分かっています。

さらに、糖尿病患者はアルツハイマー病になりやすいという疫学的データからも、インシュリンと脳機能は密接に関係していることが分かります。

また、糖分の過剰摂取によってインシュリンが急上昇すると、血糖値が急激に下がります(低血糖)。

ちなみに食品に添加されているSugerといわれるもののほとんどはシュークロース(ショ糖)です。

食品に添加されているシュークロースは様々な化学物質によって精製された、非常に「ピュアな」砂糖ですので、そのぶん血中に吸収されるスピードも速いのです。
そのような急激な変化に対応するように人間のカラダはできていないのです。

さらに過剰な糖分摂取は肥満や脳への影響だけではなく、糖尿病、心臓病、ガンなどを引き起こすリスクが高まることが分かっていて、現在、年間180,000人が糖分の過剰摂取による糖尿病や心臓病で亡くなっています(記事)。アメリカでは、2010年に25,000人が糖分の多量摂取が原因の病気で亡くなっています。

しかも、これらの病気で亡くなる人は経済的に中階層~貧困層な人に多いことが分かっています。
その理由は、安い食品ほど添加物によって味を誤魔化している場合が多いのです。

WalmartとWhole Foods Marketでは客層の体型が違うと思いませんか?

 

じゃあ、Diet Cokeのような、糖分の入っていない飲料を飲めばいいかというとそうでもありません。
ダイエット○○という類の飲料には、シュークロースの代わりにアスパルテーム(aspartame)という人工甘味料が含まれています。

実はこのアスパルテームは、体内で分解されるとフェニルアラニン、アスパラギン酸というアミノ酸と、メタノールに分解されます。
これらの分解産物を動物に投与した結果、神経伝達物質量の変化など、様々な悪影響が出ることが分かっていています。

DietCokeを飲むと頭痛がするというヒトがいますが(ボクものそのひとりです)、これもアスパルテームが原因と考えられます。

また、アスパルテームは熱によってすぐ分解されるので、料理に入れてもあまり甘味が出ないため、大量に入れてしまう可能性もあります。
低カロリーだからといって、やはり摂りすぎは良くありません。

 

 

最後に、飲料以外で気にしたほうがいいと思うのが、ピーナッツバター。

最近のピーナッツバターは、低脂肪をウリにするものが出回るようになって来ました。

ところが、これらの「低脂肪ピーナッツバター」は、脂肪分によって失われた風味を補うため、大量の砂糖が添加されているのです。

ピーナッツバターを買うときも、きちんと内容表示を見て買うようにした方が良いですね。

 
アメリカではメタボリック症候群のため年間650億ドル(約5兆円)分も生産性が下がり、医療費は1500億ドル(約11兆円)にも上っていると、有名な科学雑誌Natureに掲載されたある論文で述べられています。

そのため、「砂糖税」なるものの導入が検討されていますが、アメリカ砂糖協会の猛反発により、まだ施行されるに至っていません。

いっぽう、健康に敏感な欧州ではすでにハンガリーで「ポテトチップス税」、デンマークで「脂肪税」が施行されています。

もっと統計的に有効なデータが集まれば、アメリカでも砂糖を含む食品に対する課税が行われる可能性は大きいと思います。

 

追記・・・
いつも皆さんの不安を煽るようなことばかり書いていますが、これらの影響はあくまで「過剰に摂取した場合」に、悪影響が考えられるものであり、また、科学的に100%保証されたものではないということを、付け加えさせて下さい。

 

gabriel iglacias

(写真は、アメリカで人気のコメディアン、ガブリエル・イグレシアスによる名(迷)言) 

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3 comments on “アメリカの食品規制事情:砂糖”

  1. シュガーハイ。
    幼児を持つ親には当然のことのように受け入れられている現象ですよね。そうか、あれは甘いものを食べて元気づいちゃってるだけじゃないんですね。本当にハイになる要素があるんですね。

    妊娠中から、甘いものを食べると赤ちゃんがおなかの中で「いぇーい!」とばかりにとたんに暴れだすのも、ハイになっているのだろうか・・・。

    ところで私、Dr.Kazの記事を読むと、パントリーに行って食品の表示チェックをするんですが、砂糖は砂糖、Sugarって表示なんですね。それ以上は細かく分かれてないのかな。で、見つけてしまったんです。日本のお菓子、日本語の原材料名に「ショートニング」って書いてあるのに、英語のIngredientにはTrans fat 0%って書いてあるの。これは1%未満だからなのか・・・。そもそも食品の成分表示というのは誰が調べてつけているのですか?その食品を作っている会社や輸入している会社の自己分析?

  2. Maki-Kさん
    どうやら最近は、トランス脂肪酸フリーのショートニングが出回っているようです。(ごめんなさい、ボクの勉強不足でした >_<)
    植物油に水素添加したモノの代わりに、天然のパーム油をショートニングとして使用しているそうです。
    しかし、パーム油って植物のくせに飽和脂肪酸が45%含まれているんです。
    (ちなみに豚油は38%)
    動物油脂を食べているのと一緒ですよね。

    そのお菓子にSaturated fatの含量が書いてありますか?
    それがもし高ければ、ショートニングとしてパーム油を使っている可能性が高いです。

    食品の成分表示は生産業者が分析会社依託して行います。
    http://www.jfrl.or.jp/item/nutrition/
    http://www.nutridata.com/?gclid=CO_-9cLNm7YCFc9AMgodvBcAvA

    食品に添加されている砂糖は大部分が精製シュークロースだと思って下さい。

  3. アドレナリンはともかく血糖値の急激な上昇やインシュリン値の上昇と
    気分高揚にどういう繋がりがあるのかよく分かりませんね。

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