アメリカは格差社会、でもチャンスは平等にある

みなさんこんにちわ。アメリカの中西部キャンザスシティの大学でポスドクをやっているKAZでございます。

皆さんハロウィーンはどうだったでしょうか。ボクは今年はとても大人しく過ごしました(謎)。

ハロウィーンが過ぎれば今度はサンクスギビングですね。

いやいや、その前にアメリカ国民にとっては大事な日があります。

そう、それは今週火曜日に迫った大統領選!!

ボクは市民権どころか永住権すらないので投票することはできないですが、オバマを応援しています。

理由はやはり彼らの「医療研究」におけるスタンスです。研究にどれだけお金を使ってくれるかは、僕らにとっては死活問題なんです。

 

大統領選とは全く話は変わり、今回の内容は、ボクがアメリカに来て目の当たりにした、「ニッポンとアメリカにおける教育の差」についてです。

実は、ボクが働いている隣の研究室に、聴覚障害を持った大学院生がいます。

彼女のボスは手話ができないので、お互い筆談で研究の内容をやり取りしているようですが、それ以外はみんなと同じように普通に実験をしています。

彼女は大学院生ですので、他の学生と同じようにクラスにも参加して単位を取らないといけないんですけど、なぜ耳の聞こえない彼女が他の学生と同じようにクラスやセミナーに参加できるのかが不思議でした。

実は、大学内に「IMPAIRED STUDENT ASSISTANCE PROGRAM」というのがあり、聴覚や視覚障害を持つ学生に対しても均等に教育の機会を与えられるようなシステムがあるのです。手話通訳のスタッフが大学の職員としており、障害を持つ学生とクラスやセミナーに同席するのです。

しかも、セミナーやクラスで話す内容は専門的なので、一般的な手話とは異なったスキルが必要です。

ハンディキャップを持った学生にも平等な教育の機会を与えていることに非常に感動しました。

なぜなら・・・日本でボクが見たのと全く違ったからです・・・

 

ボクが以前日本で勤めていた某大学でこんなことがありました。

ある年、聴覚障害を持った学生が医学部を受験したいと申し出てきました。これに対して大学は「耳が聞こえないんじゃあ、大学生活は無理ですよ。」 と、大学側は受験を拒否したそうです。

しかし学生の親はどうしても受験させて欲しいと大学にお願いし、じゃあそれならと大学はいったんOKしました。

その受験生は見事に筆記試験をパスしたのですが、2次試験の面接のとき面接官は受験生にこういったそうです。

「入学したい気持ちは分かりますが、授業でなに喋ってるか聞こえないんじゃないですか?」

これに対して受験生の親は、手話ができる人を大学で用意して欲しいと要望したところ、

「たったひとりの学生のためにそんな特別なことができるわけがありません。」

「だいいち、卒業できたところで、耳が聞こえないんじゃあ医者としてやっていけるわけないじゃないですか。うちは医者を育てるための大学です。」

と、拒否し、結局受験生は入学を辞退させられたそうです。

人の病気を治す医者を育てる場である医学部の教授が口にする言葉とはとても思えませんでした。

人よりちょと違うというだけで仲間はずれにしたり、偏見の目で見たり、社会から排除するような行為は非人道的であるのに、それをそれほど悪と思っていない社会は、日本特有の風土病のような気がします。

一方、アメリカで聴覚障害を持つ学生は、毎日遅くまで実験をし、他の学生に負けず劣らず成果を出しています。先日参加した学会では、賞をもらったと大変喜んでいました。

日本でビルゲイツやスティーブジョブズ、マックザッカーバーグのような起業家が生まれないのは、やはり日本では出る釘は打たれるのに対して、アメリカでは「出る釘は引き抜かれる」からなんですかね。もっと個性を個性として受け入れられる心の広さが今の日本人には必要な気がします。

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8 comments on “アメリカは格差社会、でもチャンスは平等にある”

  1. メディカルでのハンディは かなりありますね。
    私もこのブログで もっと目が覚めたって感じ。
    確かに 聞こえない障害があるなら 
    そんな患者さんもいると思うし、それじゃ
    日本の医者の中には 手話ができる人はいるの?て調べたら
    たぶん、いないよね。

    私の従姉弟の2人が 今メディカルスクールに通ってます。
    従兄弟は日本、従姉妹はアメリカ。
    二人とも 体のハンディはないから
    自分のしたいようにできるんだろうね。

    確か私の親戚のひとりは カンザスあたりのメディカルスクールを出て
    医者になってます。
    実際に はっきりとどこだかは 覚えてないけれど。

  2. す、素晴らしい…

    でも、日本の政府レベル(ODAとか)での発展途上国への援助(教育含む)は世界でもトップクラス(てか、たぶん世界一)です(ちなみにアメリカはか~な~り消極的で途上国の中でも本当に下のほう)。

    アメリカの風潮としては、国内には目が向いているが国外はサッパリというのが、米国内で海外留学生に接する専門家達の把握するところ。

    アメリカでは、「訴えられる」可能性とかがはらんでる、ていう実情が結局見え隠れしてるのもあります。「差別関連」の法律が細かく定められてるし…

    ま、長い目で見れば、それらの積み重ねがが「いずれ人類皆平等」という方向に向かっていそうではあるのですし、ここにある日本の某大学での逸話は全然お話にならない恥ずかしい話ですが…

    結構難しい話です。

  3. あ、アメリカ。「途上国」でなくて「先進国」ね(苦笑)。

  4. 難しい問題ですよね。
    日本とアメリカでは、「人と違う」ということに対しての寛容さというか、意識が違いますもんね。
    アメリカは「違う」ということを前提として国が成り立ってきましたが、日本はそういう歴史がありません。
    私がこれは言葉の問題だなと思うのは、「違う」はdifferentであって、wrongではないということ。これを日本語は、分けて使うべきだと感じます。

    前の職場で働いていたとき、電動の車いすの男性が入ってきました。彼はしばらく前に交通事故に遭い、首から上と、腕しか動かせませんでした。ただ、彼の学歴と経歴から、必要な人材として雇われたわけです。

    たつやさんもおっしゃっていますが、アメリカでは”affirmative action”というものがあるように、とてもセンシティブなトピックですね。先日、ある大企業の元HRの人と話したのですが、現実的な話をすると、マイノリティやハンディキャップのある人が雇われることで、会社や機関の評価も上がったりするそうです。なので日本人(アジア系かな)、特に女性なんかが、アメリカ企業の人事で有利なのはこういうこともあるそうですよ。

    まずは、個人の意識から、ですね。
    Kazさんのような意識を持った人が増えて、雇用の判断を下せる人材が増えてくれば、日本もちょっとずつ変わっていくはずです。

  5. KAZさんまたいいトピック提供ありがとうございます。わたしがクラスをとっていたときも2回ほどサイコロジーのクラスに聴覚障害の生徒がいて、手話通訳が二人ついて1時間半の講義を交代でこなしていました。通訳とノートとりが同時にできないその生徒のためにクラスメートがボランティアでノートをとっていました。カーボン紙2枚つづりになったノート用紙にノートをとり、一枚は自分、もう一枚は障害生徒に渡すようでした。今思い出してそのとき自分からボランティアにならなかった自分がちょっと残念です。この次そんな機会があったらがんばって立候補しよう。
    ところでことわざ、「出る釘は打たれる」、ってわたしもずっとそう思っていて、Squeeky wheels get grease,のたとえの反対バージョンとして文化の違いとして講義の説明に使っていたのですが、ある日それは釘じゃなくてくい(杭?)だ、と指摘されグーグルったら本当で大ショックでした。(日本人生徒も何人かいたので先生間違ってると思われてたよね。)でもKAZさんも使っているということは釘もくいも両方オーケーなんでしょうか? 

  6. Erinaさん、「differntであってwrongじゃない」って良いですね。覚えておこう。

    Affirmative actionも、昔、自分たちの権利を勝ち取るために戦った人たちがいたから今の法律があるわけで、そういう意味でもアメリカ・アメリカ人は強いな、と思います。企業側が訴えられられないように云々とか、逆差別で大学に入れなかったと白人の女の子が涙ながらにテレビで訴えるとか・・、こういう問題も、きっとこの国はそのうち修正していくんでしょう。

  7. アメリカの大学ば受験に関しては不平等ですよ
    コネが堂々とまかり通っていて、人種によって満点近くとっていても落とされたりしますよ
    日本ならコネも人種も関係なく合格点とれれば入学できるわけですから、受験に関しては日本の方が平等でしょう

  8. 出る杭は打たれる、というのは少し早計な気がします。
    実際問題として通訳をつけるなら通訳分お金がかかる訳で
    他の学生に負けず劣らずとありますが通訳代分負けてるんです。
    これは差別というものとは少し違います。

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