アメリカ企業で出世街道を10倍うまく歩く方法ー社長への道

こんにちは。Nao-Tです。いつもご愛読ありがとうございます。今までアメリカ人女性と結婚生活をうまく続ける方法を四回に渡って書いてきましたが、今回からは新しいテーマです。

アメリカ永住組の方々の悩みの第一が結婚等の平穏な家庭生活なら、第二は仕事でしょう。単一収入だと家計が苦しくなるのがアメリカ生活の実状で、両親の共稼ぎが必要なのが現実です。従業員の解雇が簡単にでき、また、景気は回復に向かっていると言っても、リーマンショック以後の長期の大不況の影響で、失業するとまだまだ再就職が大変な状況では、仕事でうまく立ち回るのはアメリカでの生活には最重要課題です。

そこで新テーマはアメリカ企業での仕事についてです。私のアメリカでの就業経験は、アメリカの会社に二社、日系のアメリカ法人の一社と限られているので、これから書く事がどれだけ一般的であるかは分かりません。また、働いてきた会社は全て製造会社で、シリコンバレーのIT先端企業や、金融業界、製薬会社などには当てはまらないかもしれません。それでも参考になれば幸いと思っています。

現在アメリカで就活中の人には、何百というレジュメを送り、そのうちの数社と、やっと電話インタビューにたどり着いたが、その後は、何とも進展がなく不安な毎日を過ごしている方がいるかも知れません。

また、現在仕事がある方でも、どう見ても自分より才能も劣り、成果も上げてない同僚が先にプロモーションされるのに何度も煮え湯を飲まされた思いがありませんか。

管理職にある人は、不景気で失業者が多い筈なのに、空いたポジションを埋める為の求人をしても、なかなか良い人が見つからなくて困ってる人はいませんか?

アメリカの会社の人事の事情は、日本人の感覚では全く理解できない事が山ほどあります。アメリカの求人、就活、人事管理には日本の慣例は全く通用しません。日本の常套手段を、アメリカの就活や、出世競争に応用しても、見事に玉砕するだけでしょう。

第一回目である今日は、日米の違いを大局的に捉える事から始めてみましょう。

会社に入れば誰でも、自分の会社の社長にはどうやって成るのだろうと一度は考えるでしょう。Proxy Statementで、自分の年収の何百倍も稼ぐのを知って、CEOに成る道を真剣に考えた事はありませんか?就活の面接や、毎年の査定で、将来の目標はと聞かれ、「社長になることです。」と分際をわきまえずに言ったことがありませんか?

実際に社長に成るにはどうしたら良いのでしょう。自分で会社を作って社長になるのではなく、成熟産業の大企業で出世競争を勝ち抜き社長になる道など、私たち移民の日本人にはあるのでしょうか。

CEO Image

「会社で社長になるにはどうしたら良いの?」と日本で子供に聞かれたら、「一生懸命に勉強して有名大学に入学しなさい」答えるでしょう。日本で社長に成る道は、まず名門大学を卒業する事、そして、自分の出身校が学閥である会社に入り辛抱強く年功序列の流れに乗って出世をすることです。この説を裏付ける為に、日本の会社の時価総額(Market Capitalization)トップ20社の社長の出身大学と生年月日を見てみましょう。

会社名 誕生年 出身大学
トヨタ 1956 慶応
ソフトバンク 1957 UC Barkley
三菱UFJ 1951 京都
NTTドコモ 1951 名古屋工業大学修士
NTT 1949 東京大学
JT 1957 東京大学
ホンダ 1953 京都大学院修士
三井住友FG 1953 東京大学
KDDI 1957 京都大学院修士
みずほFG 1952 東京大学
日産 1954 エコールポリテクニーク
キャノン 1935 中央大学
ファナック 1934 東工大
デンソー 1948 慶応
日立 1956 徳島大
武田 1946 早稲田
ファストリテイル(ユニクロ) 1949 早稲田
三菱商事 1949 東京大学
セブン&アイ 1944 法政
アステラス 1957 一橋

ご覧の通り、東大、京都、一橋、東工大、早稲田、慶応といった有名大学の出身者で殆ど固められています。因みに、トヨタ、キャノン、ファナックの社長は創業者の子孫です。社長たちの平均年齢は64歳。異例なのは日立の社長で、日立は代々社長は東大卒で占めて来たのですが、新社長に地方大学出身の方が選ばれたのは画期的で、喜ばしいことです。

日産のゴーン氏とソフトバンクの孫氏の出身校が日本国外の大学であることは納得できます。

自分で会社を始めるか、または、買収された外資の会社を通さない限り、日本の大学の学位がないと出世街道を登るのは殆ど不可能です。

このリストに女性はいません。

有名大学を卒業し、入社後は年功序列によって一段ずつ出世の階段を登り、経験を積み、60才前後でやっと社長に就任というのが一般な道筋です。

残念ながら、会社での出世の最終到着点は、入社時に決まってしまうのが日本の会社員の実情です。35年の就業期間の最終点が入社式の日に見えてしまうのは、つまらない人生と言うしかないでしょう。数回前に日本の会社に女性の社長がいない事を指摘しましたが、日本の会社はどちらを向いても狭く閉じられた世界のようで、他の道での出世は非常に難しくなります。

表に列挙した以外の上場企業の役員の経歴を見ても、皆同じような有名大学を出て、年功序列で上がってきた人達が殆どで、たいした変化は見られません。

これの利点は、出来るだけ良い大学を出て、一生懸命に与えられた課題をこなせば、年齢とともに会社が上げてくれるという、誰でも分かる枠組み(ルール)が明示されていることです。ルールを理解してやるべき事をやれば、どうにかなるのが日本の会社員の世界です。

アメリカのMarket Capitalizationトップ20のCEOの経歴を見てみましょう。

会社名 誕生年 出身大学
Apple 1960 Auburn
Exxon Mobil 1952 U of Texas Austin
Google 1973 U of Michigan
Microsoft 1967 Mangalore univ
Berkshire Hathaway 1930 U of Nebraska
Johnson & Johnson 1960 West Point
Wells Fargo 1953 St. Cloud State U
General Electric 1956 Dartmouth
Royal Dutch Shell 1958 Delft univ of tech
Wal-Mart Stores 1966 Univ. Of Arkansas
Chevron 1956 UC Davis
JPMorgan Chase 1956 Tufts univ.
Procter & Gamble 1947 Hamilton college
Novartis Stanford
Verizon 1954 Cornell
Facebook 1984 Harvard
International Business Machines 1957 Northwestern
Pfizer 1953 Imperial College of London
Coca-Cola 1952 University of Hull
AT&T 1960 Univ of Central Oklahoma

出身大学は、HarvardやStanfordといったエリート名門校から、中堅の州立大、無名の地方の四流大学等様々な大学が見られます。Microsoftの新CEOは、インドの中堅大学を出て、アメリカの2・5流の州立大学の地方分校で情報科学の修士号を得ています。Wells FargoのCEOが出たSt Cloud Srate は、まともに高校を卒業したら誰でも入れるような、田舎の小さな四流大学です。

平均年齢は56才ですが、このトップ20社に50才以下のCEOが4人おり、その中でもFacebookのCEO、Zuckerburg氏はまだ30才という若さです。IBMのCEOはGinni Romettyという女性の方です。

アメリカの他の上場企業の役員の経歴を見ても、特定の出身大学への偏りが無く、出身大学と出世の相関関係が殆ど無い事が分かります。また、40歳台で役員になっている人も大勢見られます。

アメリカ企業での出世街道には、出身大学や年功序列といった明確な枠組みがありません。出世の道は全く違ったものに作用されているようです。日本人の誰にでも社長への道は開かれており、絶好のチャンスと思うのですが、一方で枠組みの欠如は、日本人がアメリカ企業で這い上がるのに大きな障害になっているようです。私たちは枠組みの中で実力を発揮することを是とする国民ですから、それが無いとどうしたら良いか分からず機能しなくなってしまうのでしょう。アメリカの大企業で日本人の役員は殆ど見られません。ニューヨーク株式市場に上場された会社から10社をランダムに選び、役員のリストを見てください。中国人やインド人は見つかりますが、日本人は見つからないでしょう。

素晴らしいことに、アメリカ企業でのCEOへの道は誰にでも開かれており、出身大学や年齢、人種や出身国や性別で振るい落とされることはありません。誰にでも成れる可能性があるのです。当然、アメリカに移住した日本人にもです。同時に、明確な社長への道のりが確定していないので、臨機応変さや自己顕示能力といった漠然としたエリアでの、個人力の高さが出世には不可欠になります。これは、どちらも日本人には苦手な分野です。

これから数回に渡って、私の経験に基づいた、アメリカ企業の処世術についてみて書いてみようと思います。アメリカの出世街道は、最初の会社に入った時から作られ始め、35から40才迄に決まります。若い平成時代の日系一世の諸君に参考になれば幸いです。私の夢は、アメリカの成熟企業で平成時代の日系一世をCEOにする事です。この、日本人が女性だと最高だと思っています。これは、アメリカの新たなる発展に繋がるばかりでなく、日本の活性化にも必要だと思っています。次回は、はじめの一歩として、アメリカでの就活についてです。 

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3 comments on “アメリカ企業で出世街道を10倍うまく歩く方法ー社長への道”

  1. とても(個人的に)タイムリーな記事、ありがとうございます!
    ウロウロしてばかりで、一つのところに落ち着けない私でしたが、そろそろ腰を据えて、アメリカ企業と勝負(笑)しようかと思っているところです。

    日米の学歴比較、興味深いですね。
    アメリカは日本ほど、大学名を重視しないとは聞いていたものの、ここまで幅があるとは驚きです。中には学士号のみという人もいるのでしょうか?
    逆に、日本企業がここまでしっかりした枠組みがあるというのも、intimidatingですね。それに乗れなかったら、「もうおしまいよ」って言われているみたいですもん・・・。

    実は私もNao-Tさんと同じことを考えながら、このブログを書いています。
    ピュアな日本人がアメリカ企業でトップに立つのを見たいです。中国人もいる、インド人もいる、韓国人もいるのに、日本人は?
    英語で”He is Japanese.”とか”She is Japanese.”って(良い意味で)認知されているのを目撃したいです。それも近い将来に。

    私も大学名とか言い訳にしないで、ガンガンやっていこうと思いました。
    次回も楽しみにしています。

  2. Erinaさん。いつもコメントをありがとう。Erinaさんが、いつか大企業のCEOになられる事を楽しみにしています。

    最新のTime誌にGMのCEO、Mary Barraについての興味深い記事が載っていますので是非読んでみてください。私は自動車業界のマネージメントについての記事をよく読むのですが、彼女はGM待望の救世主と言って良いでしょう。Fordの会長のBill Fordに並び、アメリカの自動車会社を救ったキーパーソンと歴史に名を残すのではと思っています。

    さて、今回の記事にはあえて触れなかったのですが、CEOへの道に非常に重要な物に、MBAがあります。今後の記事で詳しく触れると思いますが、MBAはタイミングと取得する学校名が非常に大切です。要約すると、マネジャーになって数年後に、会社の推薦で会社のお金で、トップ25の学校で取るのがキーです。学士はどこの大学でもいいのですがMBAは違います。

    第一歩はマネジャーになること。成れたら次は、High Potentialなマネジャーと認識してもらうこと。その後でMBAです。

  3. 実は私が今、揺れているところがまさにそれです。

    地元州立大学(ビジネスで有名)のMBAか、UCSD(名門国立)の数学修士号か。
    おっしゃる通り、マネジャー候補という保証もないのに、自費でMBAを取りにいく価値があるかな?と思うと、二の足を踏んでしまいます。
    でもマネジャーになってからでも遅くないんですね。

    ありがとうございます。
    もう一度、地に足をつけて頑張ります。

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