ダーリンはモーティシャン ~検死官編~

家の旦那様は、カリフォルニアの田舎町、Lone Pineの葬儀屋 兼 ここInyo Countyの副検死官をしております。ここに住み、間近で旦那の仕事ぶりを見ていて、感じた事、驚いた事を書かせて頂いています。旦那の仕事上、リアルグロ注意な部分も有るかもですが、お付き合いよろしくお願いします。

さて、以前にもちょっと触れましたが、我がInyo County ここを南北で分け、デス・バレー、ホイットニー山を含む広大な地域が、旦那のテリトリー。全てを彼独りでカバーしてます。ONLY ONEです。他には誰も居ないんです。年間死亡者数は50人前後。確かに1人でこなせそうな数字ではありますが、とにかく、担当地区が広すぎるのです。

 

例えばこんな具合。デス・バレー国立公園のレンジャーより連絡、身元不明の遺体発見。直ちに現場へ急行、(車で片道3、4時間)地元保安官等と協力して、現場検証後、遺体搬入。全工程約7~8時間。さあ後は書類の整理でひと段落。そこへ山岳救助隊から連絡。捜索中の登山者が遺体で発見。ヘリを使って現場へ急行・・・。重なると、本当に大変そうです。

 

検死官としての旦那の仕事は大きく分けると2つあります。

1つは死因解明。Inyo County 唯一の検察医Dr. Jの執刀で、旦那、保安官立会いの下、解剖が行われます。警察絡みの場合、例え自殺でも100%解剖です。遺体の状態が悪すぎる場合、締め切った部屋では強すぎる臭いで作業が出来ず、カーポートで実施。なんて事もあります。あの臭い。強烈です。

2つめは身元確認。某有名TVドラマの中で、妙にケバケバしいお姉様方がPCでチョイチョイっと容疑者検索している場面よくありますよね。そういった、ハイテク装備の全く無い弱小検死局。所持品の免許証や、ソーシャルセキュリティカードを元に地元と思われる警察に電話連絡。家族を探し、DNA照合に使える物品、歯の治療記録等の提出を求めるわけです。

指紋照会の設備も無いので保安官事務所経由で依頼。とにかく時間をかけて情報収集をする度に言われるんだそうです。「何故あの最新ソフトを使わないの?」 と。 

Inyo County正検死官=葬儀屋オーナー殿は、高価なハイテク装備には興味が無いらしく、アナログ路線を貫く方針なのだそうです。

そしてその度に、ダーリンの愚痴のはけ口は私に向くのでした。

 

 

カリフォルニア州がその殆どを占める、デス・バレー国立公園。ここで亡くなる方の多くの原因は自殺です。夏場は平均気温が40度を超える死の谷。死後1日もすると既に遺体の状態は最悪です。そして、驚く事にハイカーが遺体を発見する事が結構多いんです。

 

皆さん、デス・バレーへの観光は、危険野生動物との遭遇率や諸々の事情を考え、冬場がおすすめですよ!

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3 comments on “ダーリンはモーティシャン ~検死官編~”

  1. あの某テレビ番組とは違うんですね~。大都市だとああなのかしら?

    Norikoさんの記事を読むと、”♪Who are you? Who, who, who, who?”って流れてくるんですが、実際は遺体を運んで車で4時間ですが・・・それはちょっとすごい。
    また続きを楽しみにしてま~す!

  2. 田舎はどこもこんな感じらしいですよ。
    人は居ないけど、土地だけは広い。
    だから、自殺する人が多いのでは?
    と、私は思ってます。

  3. >遺体の状態が悪すぎる場合、締め切った部屋では強すぎる臭いで作業が出来ず、カーポートで実施

    こういう話を聞くと検察医や警察官って本当に大変な仕事なんだなと
    改めて思います。
    自分じゃ絶対無理ですし

    1つ気になるのは検察医の先生も殺人事件の実況現場などに参加するのでしょうか?
    腐乱したバラバラ死体とかの実況見分とかしたら1年間は魘されそう

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