ダーリンはモーティシャン

駅まで徒歩7分、電車はどんなにヒマな時間帯でも10分に一本はやって来る。

そんな都市からド田舎と言って良いこの谷間の町にやってきて早くも1年3ヶ月。

私の住んでいる町は、California Inyo County, Owens Valley の中のLone Pineという町。LAから、車で5時間ほど、アメリカ本土で一番高いMt. Whitney の登山口。Death Valleyに近い小さな町です。昔の西部劇映画の舞台で、今でもや映画やCMのロケ地によく使われています。
確かな情報筋から聞いたんですが、栄養ドリンク「リ〇ビ〇ンD」のコマーシャルもこの辺で撮ったらしいです。


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この町最大のイベントLone Pine 映画祭のパレード
我が家併設のチャペル

自宅にチャペルが併設されていたり、裏庭に人体用冷蔵庫完備の解剖室兼エンバーミングルームが有ったりの生活にもだいぶ慣れました。

実は私のダーリンは、このCountyの副検死官であり、我が家はこの町の葬儀屋(Mortician) なのです。

他の州では分りませんが、「遺体発見-身元確認-検死報告-葬儀」の流れで事がスムーズに運ぶので、カリフォルニアでは葬儀屋が検死官を兼任する事はよく有るのだそうです。(地方は人手不足と言うのが本当の理由らしい・・。)

とにかく Countyを南北で2つに分け、デスバレー、アメリカ本土最高峰ホイットニー山を含む広大な地域が副検死官である、ダーリンの受け持ち区域なのです。

こちらに来て、間近で旦那(やっぱりダーリンはガラじゃない!)の仕事を見ていて一番驚いた事。

『60%以上の遺族はお葬式をしない。』と言う事実。

今は火葬が主流で、最後のお別れは病室。遺族がオフィスに来る事も無く、まして火葬場に来る事はありえません。後に遺灰をお届けして終わり。

アメリカ社会ではお葬式は必要ではない様です。

金銭的な問題が一番の原因でしょうが、ひどい場合は、亡くなった故人に会いに来る事も無く、用件は電話で済ませるとか、遺灰の届け先は弁護士になんていう場合も有りました。

死んだら魂は神様の御許に召され、体には何の意味も無くなる。英語で遺体を体と同じ意味の”Body”と呼ぶのは、そう言う事なのでしょう。

でも、火葬場に運ぶ時、遺体がお棺サイズの段ボール箱に入れられていたのを最初に見た時は、本当にびっくりしました。

 

とはいえ、この町には個人経営の小さなスーパー1つしかないので、今では私も平気で、100Km以上離れた大きな町にある火葬場に遺体を運ぶ旦那について、生活用品の買出しに行きます。まったく慣れとは恐ろしいものです。

 

最後に、金銭的なお話。

長い入院などで医師による死因証明があり、(事故、自殺の場合100%解剖されます)火葬にする場合、全てに掛かる費用。

$2,500 前後

人生の終わり、この値段安いのか、高いのか?

どう思われます?

 

 

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3 comments on “ダーリンはモーティシャン”

  1. 面白い記事、ありがとうございます。
    なかなか日常生活で触れることのない部分なので、興味深いです。(Norikoさんにとっては日常生活ですね・・・。)

    Film Festivalの写真の、バックグラウンドの山がすごい!
    こういうところに住んでらっしゃるんですね。空気がきれいそうでうらやましい・・・。
    Death ValleyがLAから車で5時間とは、意外に近い!
    今度、家族でLone Pineにお邪魔します。笑

  2. はい。Lone Pineは、とっても景色の素敵な所です。
    空気は・・・・、
    近くに干上がった湖があって、
    そこから流れてくる埃がものすごいので、
    キレイとは言い切れません。
    でも、ハイキング、釣りには格好の場所です。
    是非一度おいで下さいませ!

  3. わたしの旦那(アメリカ人)も、「俺が死んだら、葬式なんかに金かけるな。火葬で済ませてくれ」と言ってます。$2500、、、勉強になりました。ありがとうございました。

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