人種と正義を考える(Michael Brown射殺事件より)

こんにちは!カンザスシティーのErikoです。夏も後半、皆様いかがお過ごしですか!?

今回は、ここ一週間程ミズーリ州にて大きな話題になっている事に基づいて書いてみようと思います。

armed force1

上の写真を見て何を想像しますか?

私は始め、イラクかアフガニスタンの軍事関係の写真かと思いましたが、違います。ミズーリ州、St. Louis市内にあるFerguson(ファーグソン)市で起こっている抗議活動の一場面です。

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今から一週間以上前のの8月9日に、ミズーリ州セントルイスにあるファーグソン市でその事件は起こりました。

友達と道を歩いていた18歳のマイケル・ブラウンが通りかかった警察によって射殺されました。また射殺された彼の遺体は道端に4時間も放置されていたのです。なぜ、武器も持っていないティーンが何発も体に銃弾を入れられるほど撃たれることになったのか。また警察が彼を射殺したのならなおさら、なぜ遺体はそのままの状態にされていたのか。

武器を持っていない10代のマイケルが射殺されたことを知ったこの町の黒人たちは即抗議活動に出たのです。その活動が暴動ともいえる程大きくなり1週間たった今も続いています。その抗議活動を抑制するために警察側は写真を見てもお分かりのように過度な力を使う事もあったようです。

また、彼を射殺した警察の名前を発表すると表明した警察側はこの暴動により、その警察の名前を伏せ続けている上、真相もまだ明るみになっていない状態です。このような状況下で彼の名前を公表することにより、「以前彼に嫌がらせを受けた住民が過度な行動に出るかもしれない」という理由も一つの様です。と言う事は、警察による住民に対する「ハラスメント/嫌がらせ」は以前からあったと言う事ですよね。(この記事は数日前に書きましたが8/18の時点では、マイケルを射殺した警官の名前と写真は公表されています。)

警察側の出した内容と、目撃者/マイケルと同行していた友達の証言は大きく食い違い疑問をもたらせます。

警察側(唯一リリースされている内容)

「マイケルは警官に暴行を働き、警官の武器(銃ですかね?)を取ろうとした。」

目撃者側(ビデオを基に簡単に訳しました。)

「マイケルと道の真ん中を歩いていたら警官が通り、 “Get the f— on the sidewalk.” と言った。自分たちは何の武器も持っていないし他の車の迷惑になっていたわけではない。だが目的地はここからすぐそばだけど端によりますと警官に言った。去ったはずの警官は数秒後にすごい勢いで引き返してきて僕らを引くかのようだった。警官がドアを開けようとしたがあまりにも僕らに近かったので僕らは跳ね返った。。それが警官を少し怒らせたのかもしれない。

警官は車の中からマイケルの腕と首をつかみ、首を絞めようとした。逃れようとしたマイケルを警官は捕まえ車の中へ押し入れた。マイケルは逃げようとしたがその警官は”I’ll shoot you,” or, “I’m going to shoot.”と言い彼を撃った。僕もマイケルも逃げたが警察はさらにマイケルを追い続け、両手を挙げて倒れたマイケルにさらに何発も撃ち続けていた。」

http://www.democracynow.org/2014/8/12/the_killing_of_michael_brown_missouri

上記のビデオはマイケルと一緒に歩いていた男の子の詳しい証言です。この内容をどう理解しますか?

–警官に対し怒りを覚えますか?

–彼はうそを言っていると思いますか?

–彼を信じますか?

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注:ここからは私の個人的な意見を偏りの無いように、私目線で書いていきたいと思いますが、私情が出すぎていたら前もってお詫びします。また、この事件を「人種問題」とは決めつけているわけではありません。しかしFerguson内では少なからず「人種問題」として捉えられているのではないかと思います。私には分からない深いものがあるのだと思います。まだ真実が明らかになっていないので現在までに私なりに得た情報を基に書きますのでご了承ください。

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オバマ大統領もこの事件後に起こっている抗議活動に対してコメントをしています。

“Here in the United States of America, police should not be bullying or arresting journalists who are just trying to do their jobs and report to the American people on what they see on the ground,”

“There is never an excuse for violence against police or for those who would use this tragedy as a cover for vandalism or looting” 

(オバマ大統領のスピーチをYoutubeからひっぱて来ようと思いましたが、ビデオに対する酷いコメントが多かったため辞めました。それらのコメントを読むと差別が一目瞭然で悲しいとも怒りとも言えない感情が湧きあがってきます。)

armed force2

 

この事件をニュースで見、また読み思う事は、少なからず人種問題が根底にあるのではないかと思います。1人のアフリカンアメリカンの男の子が射殺されて事によってどうしてここまで大きなの抗議/暴動が起こっているのか少し考えてみました。

Fergusonでは以前より、住民の6割以上を占めるアフリカンアメリカンと警察の間に敵対意識があるようです。2000年まで住民の半数以上が白人でしたが徐々にアフリカンアメリカンの住民の比率が上がり今に至ります。このような敵対意識が続いている一つの理由として、政治的な内容が挙げられていますがそれ以外にも人種に根付いた理由があるようです。結局は住民の半数以上がアフリカンアメリカンであったとしても、白人下に置かれているFerguson住民の反発はあるのではないでしょうか。

マイケルと一緒に居た友達の証言を聞いてもテンションが感じられる様に、白人の多い警察側とアフリカンアメリカンの住民と聞けば、良くも悪くもなんとなく張りつめた雰囲気が想像できます。

また、今回の事件後の暴動において、Fergusonの警察はこのような事態に対する的確なトレーニングも受けていないという事実も浮き上がっており、抗議活動が過熱する住民に対して必要以上の抑圧をかけている事(Tear gasやrubber bulletsなどの使用)は、さらに自体を悪化させているように見えます。

実際、マイケルと警官の間に何発も発砲するほどの事が起こっていたのか。もし18歳の武器を持っていないマイケルが本当にその警官が発砲するほどの行動を起こしていたとしても、正当防衛で既に銃弾に倒れたマイケルの体に更に数発もの銃弾を撃ち込む必要があったのか?(解剖の結果銃弾が数発彼の体に打ち込まれていた事が確認されています。)正当防衛以外に警官がそこまでする理由ってなんでしょうか?

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人種に関わった事件について夫(白人)と話をする際、夫は人種差別はもちろん反対ですが、ネガティブな意味ではなくしも、理解はできても私とは全く異なった意見を話す事があります。それは良し悪しの問題ではなく、生まれてこの地で生きている上で自然と自分の肌の色に基づいた考え方が備わっていくのだと思わされます。もし夫がメキシカンだったら?アフリカンアメリカンだった場合、また少し違う意見が出てくるかもしれません。

30歳を過ぎてこの地に渡った私は白人/黒人のどちらでもない日本人ですが、少なからず嫌な思いをした経験があります。それはアジア人だからなのか私個人的な問題だったのか分かりません。夫の経験を聞いても思うのですが、白人、アフリカンアメリカン、アジア人関係無く人種を意味する言葉や行動で傷つけられた経験があるならば、その事実は自分のは肌の色が何色であろうと、何かがきっかけになり肌の色から起こるフラストレーションが爆発しないとは言い切れません。そう考えると、今回のマイケル・ブラウンの事件が大きなトリガーとなって多くのアフリカンアメリカンが立ち上がっているの事に対し、少なからず理解が出来るのです。(抗議を強盗や暴力で表している事については全く理解も賛成もしませんが。)

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皆さん「評決の時」と言う映画を知っていますか?見た事がある方はマシュー・マコノヒー演じる若手弁護士の最終弁論を思い出してください。陪審員に目をつむらせ、加害者(アフリカンアメリカン)の娘に起こったことを淡々と話し始めます。目をつむってこの弁論を聞いている審判員は涙を流しています。最後に彼はその内容は耳をふさぎたくなるような内容ですが最後に「その子は白人でした」と言います。そして評決が下されるのです。

その少女が白人だろうがアフリカンアメリカンだろうが「1人の人」としてとらえた場合答えは一緒じゃないでしょうか?

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このような事件が起こると、私はもし人種が逆の立場であったり、または白人/アフリカンアメリカン以外の人種間の事件だった場合、自分は、あなたは、夫はどのような反応をするんだろうと考えずにはいられません。立場が逆だった場合に全く異なる意見/見解をもつならば、それはどういう意味かわかりますよね。

この事件をきっかけに起こっている抗議/暴動は、行き過ぎた部分も多く目立ちます。Justiceを求める暴動/抗議活動に便乗して強盗を働くなんてことはもってのほかです。抗議活動自体も暴力的にならずに行う事は可能です。そして、オバマ大統領も述べていましたがFergusonの警察側も、過激な行動無しに抗議活動する人々(peaceful protesters)に対して過度な力で抑制することも間違っています。

ただ、マイケル・ブラウンの死に対する事実が明らかになり、遺族に確かな真実がもたらされる日が一刻も早く来ることを願います。

また、Fergusonに、住民と警官の間に平和がもたらされるように、そして人種のるつぼと言われるアメリカでこのような事件が起こる事が無いように、そして真の「自由」と「平等」がただ言葉で掲げられるだけではなく実際に起こる日が来ますように祈らずにはいられません。

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2 comments on “人種と正義を考える(Michael Brown射殺事件より)”

  1. アメリカ国内、特に中西部はかなりピリピリしてるようですね。
    ニュースも見てますが、「どうなっちゃうんだろう・・・」という印象です。

    私もアメリカにやってきて、少なからず差別を受けたことはありますが、それでもアメリカの白人・黒人という人種差別は、一生かけても理解できないんだろうなと思います。
    もうこれはアメリカの歴史であり、良くも悪くもこの国のアイデンティティだからです。

    昨日はセントルイスでも似たような事件があったらしいですが、本当に何かの拍子に大爆発を起こしそうな、とても緊迫した状態ですね。

  2. Erinaさん、

    いつもコメントありがとうございます。
    >アメリカの白人・黒人という人種差別は、一生かけても理解できないんだろうなと思います。もうこれはアメリカの歴史であり、良くも悪くもこの国のアイデンティティだからです。

    ↑のご意見同感です!
    個人単位になると人種を超えて仲良くしている人は多いと思うんですよね。学校やミリタリー、職場ではうまくやって行かなければいけない事も多いと思いますし、友人同士には人種は関係ない。黒人/白人の結婚やカップルも目立つようになってきたような気がします。
    ただ、もともと黒人がこの国へ来たいきさつ、歴史が根付いてしまっている事により差別や問題がアメリカの一種のアイデンティティとなっているんでしょうね。これは時間が経つにつれすこしづつぬぐいきれるものなのでしょうか。。
    やはり人種を超えた平和を祈らずにはいられないですね。。

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