強制送還は紙一重!?本当は怖いアメリカ入国 おまけ話

きました!入管トラブル第三弾。
前回、前々回のお話はこちら↓
強制送還は紙一重!?本当は怖いアメリカ入国
強制送還は紙一重!?本当は怖いアメリカ入国 第二弾

アメリカにビザを持って入国する場合、フライトアテンダントが飛行機の中でI-94フォームという白い紙を配りに来て、それに必要事項を記入し、入国の際に審査官に提出しますね。
そして入国が受理されると、そのI-94の半券をパスポートのページにホチキスでアタッチされます。
今回はこのI-94に関するトラブルです。

去年の年末、太郎と小桃と共に日本へ一時帰国しました。
そして1週間の滞在を終えて、またアメリカに入国。
その後の旅行は国内だけで、今年の10月までアメリカを出ることはありませんでした。

そして問題の、今年の10月。
太郎は仕事が忙しいので、小桃と二人で日本へ帰国する予定でした。
出国審査も楽に終え、セキュリティーを通り、ターミナルを移動してゲートへ。
免税店でお土産も買い済ませ、いよいよボーディング。

そこで再び登場I-94。面白いことに、入国するときは勝手にアタッチしてくれるのに、帰国の際は自分でゲートのカウンターに半券を回収してもらいに行きます。

カウンターで順番を待つ間にI-94のページを開いてみてビックリ。

なんと、付いていた半券は、実は太郎のものだったのです。

ここで簡単にI-94のシステムを説明しておくと、入国の際に提出したI-94は米国の入国管理のデータベースに登録され、同時に半券が当人のパスポートにアタッチされます。この時点で山田Kazumiという人物は今アメリカ国内にいるという状態になります。
そして帰国の際、この半券を回収してもらい米国の出入国管理に提出されて初めて、”アメリカを出た”ということになります。

今回の私の場合、パスポートについていた半券が太郎のものだということは、前回(去年の年末一時帰国して戻ってきた際)の入国のときに、審査官が私と太郎のI-94の半券を取り違えてつけてしまったということ。
もしここで今これを回収されてしまうと、アメリカ国内にいるはずの太郎がアメリカを出たことになり、データ上アメリカに残っているはずの私が再びアメリカに入国する形になってしまう、それはつまり審査官の目には
・ここにいる山田Kazumiは、何者かによってパスポートを偽造され、既に得体の知れない犯罪者がアメリカに潜伏しているかもしれない!
もしくは
・本物の山田Kazumiは既にアメリカに滞在しているのにも関わらず、このアジア人女性はパスポートを偽造し山田Kazumiに成りすましてアメリカに入ろうとしている
と写ってしまうわけです。

あぁハラハラ。どうして私はこんなにトラブルがつき物なんだろう!?
もう勘弁してくれ!
カウンターで自分の番になり、ことの次第を説明すると、エアラインのお姉さんもこんなことは初めてだという。ここで半券を回収することも、回収せずに私を飛行機に乗せることもできる、しかしその後のアメリカへの入国は保障できないと言われました。

飛行機出発まで30分。
カウンターでは入管の情報は一切ないのでここでは何もできないと断られました。

焦りながらもスマホで移民局の電話番号を検索。

代表番号へかけてみるとテープが流れ(これがまた腹が立つほど長い)メニューの中から自分の状況に適切なカテゴリーを選んでいくのですが、

はっきり言ってどれを選んでいいか分からない。

あやふやなままオペレーターへ転送というのをやっと見つけちょっと期待・・・が

「移民局は現在closed。月曜から金曜のビジネスアワーにかけなおしてください」とのテープ。

もう携帯投げたくなっちゃうよね。

飛行機の中でガッツリ寝かせる予定で朝から思い切り疲れさせた小桃は、激しくぐずりだし、もう手に負えないし!
今からメインターミナルに戻って直接入管の人に話してみようと思いエアラインのお姉さんに伝えると、
「今戻ってしまうと今日の飛行機には間に合わないので乗れません。乗らないとなると、預けていただいた荷物も降ろさなくてはいけません。どうしますか?」
と選択を迫られました。

搭乗する旅客の一番最後までカウンターで立ち尽くし、待ちに待った日本帰国はもう叶わないと思ったそのとき、

お姉さん、いい案を持って再び登場!

「たとえば、お客様が今回ご主人の半券を回収させずそのまま持って日本へ帰り、ご主人からは月曜の朝一に移民局へ事情を説明してもらい、そして日本滞在中にご主人のパスポートについているKazumiさんのI-94を郵送してもらい、次回のアメリカ入国の際にもう一度窓口で説明するというのはどうでしょうか?」

この案を太郎に電話で話し、とりあえず飛行機には乗ることになりました。

日本へついて改めて太郎と相談したとき、自分たちは会社のサポートでこちらにいるから、月曜に会社に相談するということになりました。
そして会社側が弁護士を雇い、アドバイスを受けることに。

その弁護士のありがたいアドバイスは以下のとおり。
“I-94が回収されていない状態でアメリカを出たKazumiさんも問題だが、I-94を所持していない状態でアメリカにいる太郎も大きな問題である”
“そこで、太郎のパスポートについているKazumiのI-94を日本へ郵送し、同時にKazumiが所持している太郎のI-94をアメリカへ郵送し、元あるべき姿に戻し、入国する際には「帰国の際に回収してもらうのを忘れました」と説明したらどうか”

・・・私も太郎も、なんだか納得がいきませんでした。
特に私は前回の記事で書いたとおり、何があってもなくても入管が怖いんです。
事実と違うことを話すということが怖くてたまらないんです。

太郎から私の不安を会社側に説明してもらっても会社側があまり協力的でなかったのと、直接弁護士と連絡を取らせてもらえず話が思うように進まなかったことを受けて、決めました。
自分たちで信頼できる弁護士を雇おう。

人生で初めて弁護士を雇いました。

この弁護士さん(以下:弁護士Q)はかなりの腕利きで、この地で知り合っためちゃくちゃ顔の広い美容師さんから紹介してもらいました。

弁護士Qの言うのには、会社の弁護士と同じで日本滞在中に太郎と私のI-94を入れ替えて「回収し忘れた」と説明するのがいいとのこと。

この弁護士Qが避けたかったのは、入国の窓口でややこしい説明が入るとトラブルになりかねず、入国の際のトラブルは一番外から助けが届きにくい。
どうしても心配なら、ことの次第をレターに書いておき、口頭の説明で言い間違えのないよう、見せれば済むという状態にしておくといいと。
ただ、弁護士Qのクライアントでも、『I-94を回収され忘れました』という相談がたびたびあり、いずれの場合も大きな問題に発展したケースはないとのこと。

弁護士Qからのtip(チップじゃないよ、アドバイスの意味だよ)では、弁護士を構えていることは言わないほうが良いとのこと。弁護士はなぜか移民局から嫌われており、言ってしまうとさらに目をつけられやすくなるんだそうです。

レターの文章も参考例をメールで送ってくれたので、念のためそれを手書きで手帳に書き写しておきました。

最終的に私のとった行動は、日本滞在中に太郎とお互いのI-94をトレードしておき、入国の時にはまずパスポートと新しいI-94を提出し、前回のI-94を別で手渡しました。

「これ・・・」と説明しようとしたとき、入管窓口の審査官が一言「あ、回収忘れ?」と言って、プイッと受け取られました。

たったこれだけ。プイッと。で、終わり。

質疑応答は、なぜか日本語で開始。
「コニチワ!ワタシ、ニホンガスキデス!アメリカへヨーコソ!」(質疑じゃないし!笑)
この若い審査官は、以前サイパンで英語の教師をしており、そのときに日本語を学んだそうです。親日家というだけでとても安心。
感じのいい人だったのでついでにちょっと聞いてみました。

「I-94の回収しわすれって、よくあるの?」

「あぁ、よくあることだし、I-94の目的は日本人を取り締まるためのものじゃないからね。俺たちはもっと上の、恐ろしいテロリストたちを追っているのさ!」
って誇らしそうに語ってくれました。

そして何事もなく無事に入国。

あぁ~良かった!終わりよければ全て良しです。
会社の上司(オンサイトの責任者)が、「万が一何かあったときは私に電話を入れるように言いなさい。私なら身分証明ができますから。週末だけど対応しますよ。」と言って、いただいた携帯電話の番号、空港を出る前に「無事に入国できました」と一言報告の連絡を入れると・・・留守電なんですけど!

あぁなんて頼りない。

最終的に会社の弁護士も弁護士Qも言っていることは同じでしたが、自分にできる最善を尽くして準備したことも良かったですし、会社任せで何かあったときに、大切なときに電話に出てくれないなんてことがあったら、きっと悔やみきれなかったと思うので。

これで、私の長い長い空港トラブルエピソードは終わりです。
この年末年始の旅行でも何かトラブルがあったら、また続編で出しますね(笑)いや、トラブルも長い文ももういいよ。

今年の旅はトラブルなしで、その先の楽しい滞在がメインの思い出になることを祈っています。

皆さんも、楽しい年末年始を過ごしてくださいね!
Have a happy new year! 

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5 comments on “強制送還は紙一重!?本当は怖いアメリカ入国 おまけ話”

  1. 実は私も似たような経験があります。私の場合は、10年ほど前の話ですが、誤ってアメリカ国内でI-94を服と一緒に洗濯してしまいました。もちろん跡形も無く消えてなくなりました。

    つまり、アメリカを出国しても、その証拠がないってことですよね。カズミさんが言うように、アメリカに再入国する際に厄介なことになるってことになります。

    弁護士に相談したところ、「大丈夫、大丈夫、問題ないって。そのままそ知らぬ顔して出入りすれば良いんだから。」なんて、軽く言われました。

    もちろんこちらはびくびくでしたから、何か言われた時のために言い訳を考えてましたね。

    案の定、アメリカに再入国する際に、「あれ?変だな。出国してないことになってるけど。出国の時にI-94って取られたよね?」と聞かれたんですね。

    私は顔色一つ変えずに、「え?それは変だなぁ。サンディエゴを出る時に、アメリカンのカウンターの人がパスポートから抜き取ってましたけど。なくしたってこと、ないですよね?」

    「ま、よくあることだから、仕方ないね。」

    で、終わり。これも入国審査官によるんでしょうね。

  2. 出国は厳しく取り締まらないから、I-94ってかなりテキトーですよね。
    あんな紙切れで自分のステータスが記録されてるのか~と思うと、ちょっと不安。
    でも洗濯って・・・・笑
    あ、うちの旦那もパスポートを洗濯しちゃってたな、そういえば。

  3. 入管トラブル三部作、楽しく読ませていただきました。
    私も小部屋に行ったことはありますが、指紋が取れなかっただけなので尋問はなかったです。

    なお、私は、2002年の旅行の際に回収し忘れられたI-94をの半券を、未だに手元に持っています!
    でもその後も何度も問題なく入国していますし、申請した学生ビザも無事おりて1年ぐらい滞在もしました。
    ESTAで入国できるようになった今、ある意味貴重な旅行の記念品だと思って、この先もとっておこうと思います。

    それにしても、I-94の取り扱いって、本当にいい加減なんですねぇ。

  4. 皆さんのコメントに気づいてませんでした(汗)
    そもそもテキトーに扱われるということは、それほど重要じゃないってことですよね(笑)
    アスリートや専門職で手を使われる方は、毎度入国の旅に指紋が採れず小部屋行きになるみたいですね。

    というか6月にアメリカに旅行に行くんですが、ESTA申請するの忘れるところでした!
    ビザ保持の状態で入国の場合はまだI-94も使用していると思いますが、日本に腰を下ろした物としては、ESTAが逆に面倒な気もします…

    それにしてもMasaさん、洗濯って…笑

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