強制送還は紙一重!?本当は怖いアメリカ入国 第二弾

前回の『強制送還は紙一重!?本当は怖いアメリカ入国』に続いて、今回は取調室から。

新しい審査官が取調室へ戻ってきて、まず一通り注意をされました。
というか、これが半分脅し。

「ここから先、一言でも間違ったこと(事実に反すること)を言えば、お前は詐欺罪でjail行きだからな。この空港には日本語を話す審査官もいる。手帳も日記もすべて読ませてもらった、私たちに知らないことはないぞ!」

ひぃ~!!

「英語での応対が不安だから、日本語を話せる人がいるなら連れてきてください」とお願いすると、「お前は今英語を話している。どうして日本語が必要なんだ?そんなの認められない。」と、バッサリ。

そして静かに尋問が始まりました。

お前のhusbandは今どこにいる?
→ 昨日アメリカに入り、今日は仕事です。

何の仕事だ?
→ ○○(アメリカの企業名)で△△の仕事です。

お前は仕事は?
→ 結婚したので辞めました。(これはまずかったな。でも怖くて嘘はつけなかった)

お前のhusbandはアメリカ人か?それともグリーンカードを持っているのか?
→ 日本人です。グリーンカードも持っていません。

husbandの名前は?
→ 山田太郎です。

・・・お前の名字は山田じゃないぞ?夫婦別姓は日本にはないだろ!
→ まだ入籍したばかりだから、パスポートが旧姓のままなだけです。日本では公式には山田Kazumiです。あっ、日本の健康保健証ならあります!そのお財布の中に・・・
→ 日本語の証明書はカウントしないから結構だ。

お前は何しにアメリカに来た?
→ 観光です。

husbandが仕事なのに、3ヶ月も何をするんだ?
→ バケーションコースでESLに通いたいです。

学生ビザも持ってないだろ、学校に違法で通うのか?(この質問はトリックかな。意地悪ですね。)
→ 1日3時間の授業で週に5日なら、週20時間以内に収まるので学生ビザはいらないはずでしょ?

3ヶ月間で観光する予定の場所をすべて言え
→ 日本を出る3日前まで仕事をしていて、到着してから決める予定だったから何も決まっていません。

友人の家に滞在するといっているけど、その友人はお前の彼氏か?
→ だからhusbandの親友だってば!

実はお前は結婚していなくて、本当はその友人っていう男性と偽装結婚してアメリカに永住する気なんじゃないのか?
→ ポカーン No way!

何で新婚ホヤホヤなのにhusbandが一緒じゃない?
→ 予約がいっぱいで飛行機が取れなかったの!

どうして預け荷物がない?本当はもう既に彼氏との住まいがあって、そこに荷物があるんじゃないのか?
→ 昨日の便でhusbandが全部持っていったの!!この都市に足を踏み入れるのは人生で初めて!航路でも陸路でも来たことないの!

やっとここで一度嵐のような質問が止み、言われました。

「お前の状況は全くつじつまが合わない。3ヶ月間の観光に来て、その後戻る職場は日本にない。一切存在の見えない旦那に、なぞの友人。観光の予定も立っていない。本当は3ヶ月の滞在のあと、そのまま日本に帰らずにアメリカに残る気なんじゃないのか?」

なんか・・・罠にはめられそうになってる??
悪いことをしていないのに、冤罪で犯罪歴をつけられるなんてごめんです!!

「人は疑ったら切りがないじゃない!滞在は合法の90日以内、ESTA(観光ステータス用電子ビザ)も取得してるし、帰国便の航空券も持ってるんだから、信じてよ!」

「航空券なんて変更することも捨てることもできる。そんなのお前が確実に帰国するという何の証拠にもならない!何よりお前の母親の手紙は何だ!ずっとアメリカに住みたかったんじゃないのか!」

あぁ、もう何を言ってもだめ。
きっとこの取調室につれてこられた時点で、私はもう犯罪者なんだ。
どうせ送り戻されるなら、もう何でも良い!言える事全部いっておけ!
そう思い直して、大きな深呼吸。震える手と声を抑えながら真摯に、

「手紙の内容は読んでいないから分からないが、自分は新婚でその幸せに浸っている状態で、この3ヶ月の滞在のあと、また日本で待つ自分の家族や友人に会えるのが楽しみだ。アメリカには留学でも来たことがあり、この国で知り合った人たちにはとてもたくさんのことを感謝している。今回アメリカに来るのが楽しみだったのも、たくさんのいい人たちに出会えたおかげだ。そんな大好きな国に、嘘をついて迷惑をかけてまで入ろうなんて思わない。私に言えることはこれだけです。」

と伝えた後、もう何も訴えることがなくなり、しばらく取調室に沈黙が訪れました。

そしてまた審査官が部屋を出て行き、15分くらいして戻ってきて手荷物を返され一言。

「Go」

あぁ長かった。
その夜友人にこの話をして分かったことですが、最初の30分と最後の空白の15分間に、審査官が私の手帳に書かれていた友人の携帯電話の番号にひたすら電話をかけていたようです。会議中で携帯が手元になく出られなかったらしいですが、不在着信の数は実に20件。

自分が山田Kazumiであるということは生まれてからずっと当たり前の事実だったのに、
自分が『今まで日本で真面目に生きてきた山田Kazumi』であるという事実を、そして自分はこの先悪いことをたくらみませんということを他人に証明するというのは、とても難しいことだと実感しました。

ここからはちょっとおまけの話。
後日、この話を別の知人にしていたときに聞きましたが、私の住むこの都市には世界をまたにかける企業が複数存在し、それぞれが大量の外国人従業員を雇っているため、空港での入管がほかのどの空港よりも厳しいのだそうです。
そしてその厳しくなったきっかけは、数年前にこの空港の入管で働いていたあるおじさん審査官が実は極度の外国人嫌いで、少しでも気に入らないと、何か理由をつけては無実の外国人を強制送還していたんだそうです。ちなみにそのおじさんは当時かなり上の立場の人で、その影響でこの空港の入管は外国人に対してかなり厳しい検問を行うようになり、今でも他の空港に比べて異様な空気が漂っているらしいです。
しかし、その強制送還の被害に遭った外国人はみんな優良企業に勤めるエリートさんたち。
企業が入管(だったかそのおじさんだったか)を相手取り訴訟を起こし、そのおじさんが結果的にクビになり、これでもまだマシになったほうなんだよ、と言われました。
それでもアジア系の女性に対しては、いまだに監視の目が厳しいんだそうです。

さらにさらに後日の新聞記事で、警察官の外国人に対する異様な取締りと、外国人犯罪者に対する暴力事件に関連して、この都市の空港の外国人差別が書かれていました。
ひどい話が、世界中の人が知る大企業の副社長までもが、ただ外国人だったというだけで何度も入国を拒否され、毎度しかたなく近辺の空港から入国し、陸路で移動せざるを得なかったという話。

あぁ、つらい思いをしたのは私だけじゃなかったんだなぁ。

もしこの記事を読んでいる方で、入管で働く知人や家族がいる方がいたらごめんなさい。入管の人みんなが酷い人なんて言うつもりはありません!親日家の方と出会ったこともあります。

ある一人のアジア人女性の身に起こった、ただの一体験談でした。
もうひとつ、先日日本に帰国する際に珍しいトラブルに見舞われたので、第三弾のおまけ編に続きます。お楽しみに!

それでは、皆さんの無事の出入国を祈って、、、メリークリスマス! 

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16 comments on “強制送還は紙一重!?本当は怖いアメリカ入国 第二弾”

  1. これはひどいとしか言いようがないね。
    本当、読んでいて途中で、「これは訴えられるレベル!」と思ったもん。勝手に電話をかけるなんて、人権侵害もいいところ。

    でもおまけの話として、きちんとこういうバックグラウンドを調べたあなたはえらいです。普通はみんな泣き寝入りだから。
    外国人としての自分の権利を知っていれば、きちんと対処できるはずなので、何事も自分の立場を理解しているということは大事だね。
    普通なら、途中で泣いて「もういい・・・帰る・・・」ってなりそうなところ、よくがんばったよ!!Good job!

  2. ビザを持っていても、入国できるかどうかは入国審査官次第ですからね~。ビザ無しならなおさら。

    しかし、彼らホントに電話とかするんですね!

    私は、別室送りになった時、帰りのチケットも持ってなくて(滞在予定先の元ホストマザーに買ってもらってあった。その当時はe-ticketなんてなかったし。)、「確認したいなら彼女に電話して」って言ったんだけど、結局電話はしなかったみたい。ま、私はそれほど怪しくはなかったのかな。

    無事に入国できてなにより。

  3. 尋問凄い勢いですね。私の時は、はじめに少しでも疑いがあれば次の便で強制送還ですって脅されました。バゲージクレームまでガードマン付きで荷物を取りに行き部屋に戻って全て調べられ、色々聞かれた後に知人に電話して身元確認が取れて無事に釈放されました。最初に電話してくれ〜って感じでした。笑
    ビザ取ってからは問題なしでした!

  4. Miyashinさん、完全に脅しですよね、まったく...。で、疑いが晴れても、お詫びの一言もありません。「お前ら自分を何様だと思ってんだよぉ~」って逆切れですよ、ほんと。

  5. KAZUMIさんの本文といい、コメントでの体験談といい、みなさん入国では怖い目にあわれているんですね。「同士がいた!」と嬉しくなりました!

    私もF1→H1→Green Cardとステータスが変わりましたが、Green Cardを取得してから初めての入管の時に「我々のシステム上ではお前はまだF1だ!」と言われ、「どうやってGreen Cardを入手した?」(結婚です)とさんざん偽装を疑われました。別室でかなり待たされた後、なんの説明もなく解放され、その後、弁護士さんにステータスの確認と移民局への訂正手続き(アップデート)をしてもらいました。すっかり安心していた次の入管でも同じことになりました。その後はいつも夫(アメリカ国籍)と同時に入国していますが、問題ないどころか大歓迎で迎えられます。

    今でも何がなんだかわかりません。

  6. 怖い話です…でも現実にありえますよね。人種差別のひどい空港、できる限り使用を避けたいです。どの辺りですか…?

  7. これはサンフランシスコ空港ではないですか?あの人達は最悪ですよ2度と、あの空港は使いたくないです。

  8. おしいです!近いですよ…少し北に上がって頂ければ(笑)
    私がSFOを利用したときは、感じのいいおっちゃんがあたたかく迎えてくれましたけど、当たる審査官によってまったく対応が違うというのが、本当に納得できませんよね。

  9. もしかして、これってSeaTacですか。。。? これまで頻繁に利用してきて問題は起きていないものの、怖いですね。

  10. 悪名高きポートランドでの体験でしょうか?

  11. このサイトを行く前に見ておけば・・・
    昨日強制送還を食らって、日本に帰ってきました。
    3ヶ月ハワイに観光ビザで行く予定で帰りのチケットもとってあるし。住む所もあったのに。
    本当に脅しと誘導尋問でした。
    最初の方まったく同じ!難しい英語はわからないから通訳欲しいって言ってるのに、今喋ってるしわかってるくせにうそをつくな!って
    手帳の日記とかも全部見られて、入ってたビジネスカードにかたっぱしから電話かけて、その人が言ってるとこと私が言ってることは同じなのに、かれが勝手に脚色して、私にYESと言わせる誘導尋問でした。
    なにも悪いことしてないのに。。。本当に辛い辛い1日でした。
    7時間かけてハワイに行き。6時間寒い部屋で尋問を受けて寒さと怖さで震えながらすごし、さらに3時間待って9時間かけて日本に帰ってきました。
    そのあとに話しかけてきてくれた他のイミグレの人はとてもいい人で世の中には、いい人なかりじゃないんだよ。君は運悪く、意地悪な人に当たってしまっただけだし、政界の終わりじゃないからビザを取得してまたおいでと言われました。

  12. 私は米国が元々大嫌いです。この頭の悪さ。無責任でいい加減すぎる人達。でも、愛した人(そこらへんの日本人よりも日本人っぽい人です。)が米国人だったので、たまたま現在米国に住んで居ますが、永住権を取得する気は全くありません。正直、グリーンカードすら「要らない」って思うくらいです。夫が亡くなったら、私は日本に帰るだけ。(==)なので、リタイア後は夫とも将来は日本で暮らすかな~っていう話をしては居ますが・・・。

    なのでいつも思いますが、日本は中国とか韓国とか他アジア(発展途上国)とは違うので、米国に居座りたい人なんて皆無だと思うんですよね。(日本人でも大雑把でラフで、現実をしらないのんきなタイプは人様の迷惑も顧みず、先行きも考えないで居座ろうとするかもしれませんけれどもね。)

    悪いけど、米国なんぞ程度が低すぎるから住むのも嫌だわ。っていつも思っているので、こういう話を聞くと、こういう人達はどんだけ米国が酷い国なのか自分の国なのに分かって無いんだな~っていつも思います。

    米国人、米国って自画自賛が強いんだけど、海外行ったことないんだろうな。この国のほとんどの人は。自分達の程度がどの程度か分からないなんて。残念な人達だ。といつも思います。何かと不便で合理的じゃない国作り。いい加減で頭の悪い無責任な人達ばっかり。何をやらせても日本人の足下にも及ばない程度な人ばかり。っていつも思います。サンディエゴに住んで居ますが・・・。早く日本に帰りたい。それだけです・・・。だからほとんど外にも出ません。この3年間、引きこもり生活を送っています。米国は中国とレベルは一緒。そんな程度です。なんで来たい人が居るのか分かりません。

  13. 本当こまさんの仰る通りです!!!
    図体ばかりデカくて脳みそが比例してない人が90%ですね。
    でもサンディエゴはそこまでひどい土地ではないのでまだそれが救いですね。

  14. う~ん、なかなか手厳しいコメントをいただいて、どう反応しようか迷っているMasaです。

    確かに、アメリカは他民族国家なので、本当に、「え?マジ?」って思うような人もたくさんいます。うちの会社にも、うちの近所にもたくさん。自分のことを棚にあげて、人を非難ばかりする人とか、自分が一番偉い、みたいな。日本人大嫌い~って人たちもいます。われわれアジア人が加わろうとすると露骨にいやな顔をする人たちとか。

    でも、そうではない人たちも私の周りにはたくさんいます。アメリカの人口って3億人いるので、そのなかには、良い人も悪い人もいると思うんですよね。

    私の場合その辺はかなりはっきりしていて、自分がいやだと思う人とは絶対に付き合わない。「あの人はああいう人」と理解して、極力距離を起きます。逆に、いい人とは積極的に付き合うようにしています。というか、そのような付き合い方をしてれば、不思議と自然に「いい人」が自分の周りに集まってくるような気がしています。

    もちろんアメリカ在住日本人とも付き合います。アメリカ人に対する愚痴なんかもこぼすことはありますね。

    ちょっと発散気味ですが、人それぞれ考え方、感じ方がありますので、「こうすればうまくいくよ」などと偉そうなコメントはできないと感じます。

    よっちゃんいかさんがおっしゃっているように、サンディエゴ、カリフォルニアって東と比べると、ましかなって思います。

  15. こちら拝読しました。シアトルに長年住んでおりますが、こういうのは身近に起きていますよね。別室での尋問の恐怖感、耐え難いですよね。

    一方で米国イミグレ担当官の立場にたって考えることも必要かもしれませんね。日本を含め、アジアの色々な国から語学留学名目で米国に入国し、そのまま滞在期間を超えて不法滞在している人々が存在するなか、そこを性悪説に基づいて阻止するのがあの人たちの仕事です。片方の親と子供だけでアメリカを出国するとき、不法連れ去りでないか確認するのも、仕事です。あちらの観点から、不自然に見える行動を極力避ける、せざるを得ない場合は潔白を証明する準備を万事整えておく、というのがアメリカでのサバイバル術と思います。

  16. 私もトピ主さんとほぼ一緒の状況を経験しています。
    主人とアメリカ⇔日本の遠距離時に2回あのsecoundary roomという部屋に行きました。
    周りの友達(アメリカ在住)に入国時には絶対彼氏に会いにきたなど言ってはダメだと散々耳にタコができるほど言われていたのに。。。。しかも、入国時言ってないのにsecoundary room!って。たぶん、自分の答え方が怪しいと思ったんだと思います。
    部屋に入ると日本人なんていなくて。。。30分後名前をよばれて行った先は椅子に偉そうにのけぞって座る男性。(今でもあの男の顔は忘れない)
    名前から入国目的、滞在場所などなど同じ質問を何回も何回も聞いてきて。
    たぶん、向こうは同じ質問して嘘をみやぶる作戦なんだったんだろうけど。
    でも、私も最初男友達って言ってたのがよくなかった。。。でも、彼氏って言ったら結局アウトだったかなー。どのみち言ってしまえばよかったのか今も分からず。
    結局質問中に職員が彼に電話をしたんだけど、私の夫は空気が読めないというかなんというか。。。なぜか私の事をフィアンセと言ったんです。
    それを皮切りに3~4人の男性が出てきて、どーゆうことだってそっから更に尋問2時間。
    でっかい男性陣に囲まれて。。。泣きそうだったけど、女だから泣けばいいって思われるのも悔しかったから絶対泣かん!って我慢しました。でも、あーもう強制送還かなって思ったら、腹がくくれて。。。そっからはもう強気ですよ!
    最終的には上司に相談しに行って、私の荷物を調べて変な物が出てこなかったら入国大丈夫って事になって。その時、牢屋みたいな部屋に入れられ、スーツケースの中身ぐちゃぐちゃにされて、もちろん何も出てきませんよ。
    でも、最後捨て台詞のように言われたのが『今回何もなくて入国できるけど、僕は今も君の事は信じていないから』って。
    だれもあんたに信じてもらえなくてもいーですーって言って入国してやりました。
    今でも入国時はトラウマでびくびくしてます。

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