現金のお話、単位編

前回に続いて「現金」の話です。

いつも不思議に思うのですが、日本とアメリカ、物価にそれほど差がないのに、なぜ使われるお札と硬貨の種類がこんなに違うのでしょうか。

一番大きな違いだと感じるのが、アメリカの20ドル札です。

20ドル札は2000円弱に相当するわけですが、日本の2000円札は1999年に発行されたのになかなか普及せず、現在では製造されていないそうです。

ところが、アメリカではお札の中で20ドル札が一番活躍していると言っていいほど、日常一番目にするお札です。

アメリカで生活していて20ドルというのは本当に便利な単位だと感じます。

ATMから現金を引き出すときは、20の倍数でしか引き出せないことが多いのですが、これがまたちょうどいい単位に思えます。20ドル札が5枚あれば100ドルというのもわかりやすい。

でも、日本のATMでもし「2000円の倍数でしか現金が引き出せません」と言われたら、なんだかすごく不便に感じてしまう気がします・・・。

ちなみに日本の2000円札、紫式部が採用されて、ひらがながきれいに印刷されていて、素敵なお札だったのに普及しなかったのが残念です。あれはアメリカ人が見たらいかにも「おおー!日本のお金だ」と感じられるデザインだと思うので、おみやげにいいかもしれません。

次に、100ドル札。

日本でお財布に一万円札が入っているのはごく普通のことですが、アメリカでは普段の生活で100ドル札ってあまり見かけません。

ときどき100ドル札があると、みんな珍しがって「わー、100ドルだー」とじっくり眺めたりするくらいです。

スーパーで買い物をして100ドル札で払おうとすれば、レジの人が天井のライトに向かってお札をかざしてみたり(そんなんで偽札とか見抜けるんでしょうか)、マネージャーが呼ばれて100ドル札を確認したりします。

前回書いたように、アメリカではあまり現金を多く持ち歩く習慣がないので、100ドル札の需要が少ないのかもしれません。

次に硬貨ですが、日本に存在しない単位、クォーター。

1ドルの四分の一(クォーター)、25セントのコインです。

日本円にするとしたら、「25円玉」がある感じでしょうか。

25円玉なんてあっても、いったいどうやって使えばいいのか、計算もすごく面倒な気がします。

それなのにアメリカの生活ではこのクォーターもやたら便利です。4つ集まれば1ドル、2つあれば50セント、というのがとてもわかりやすい。不思議です。

クォーターは硬貨のなかでも特別な存在です。

それは、公共の洗濯機とか、駐車場のメーターなどに使われることが多いからです。

私は学生時代も、現在も、自宅に洗濯機がなくて公共の洗濯機・乾燥機を使っているのですが、家にクォーターがない=洗濯ができない、ということなので、お財布の中にクォーターがあっても絶対に使いません。洗濯用にクォーターはときどき銀行から大量に買ってきますが、それを切らしてしまったときのためにお財布の中のクォーターは家に持ち帰って少しずつ貯めておきます。

駐車場のメーターについては、最近少しずつクレジットカードで支払えるものが増えてきているのでそれほどでもないのですが、以前は車のダッシュボードの中に必ず小銭をキープしておかないと、いざというとき車を停めることができなくてとても困りました。

ちなみに家の近所は1時間で1ドルのことが多く、つまりクォーター1枚で15分なのですが、これも「クォーターを4枚いれれば1時間停められる」というのがとてもわかりやすいです。他の地域もこうなのでしょうか。

硬貨は、日本のように1円玉、5円玉・・・と通貨の価値で呼ぶよりも、1セント=ペニー、5セント=ニッケル、10セント=ダイム、25セント=クォーター、と愛称で呼ばれることが多いです。

あまり目にしませんが、1ドルコインもあります。これも日本と違うのですが、1ドルコインはどうも使いにくいし、めったに見ません。1ドル札のほうが圧倒的に多く流通しています。日本の場合100円玉は普通に使われているし、100円札の必要も感じないですね。

もっと目にしないけど、ハーフダラーコインというのもあります。50セントのコインです。日本では50円玉もけっこう便利に使われてますが、アメリカの50セントコインは全然見かけないので、私は渡米して数年たってもその存在を知らなかったほどでした。

エリナさんの以前の記事に、1セント=ペニーがカフェのレジのところなどに置かれていて、1セント足りないお客さんのために使われたり、ペニーを持ち歩きたくないお客さんが置いていったり、という話がありましたが、私もペニーってあまり存在価値を認められていない気がします。

まず、ペニーは自動販売機などで使うことができません。また、前述した駐車場のメーターも、他のコインは全部使えるのに、ペニーは使えないので入れても戻ってきてしまいます。使えないのにジャラジャラとあるとかさばる、ということでレジのところに置いていってしまう人がいるのでしょう。

逆に1ペニーだけ足りなくてなにか買えない場合、個人商店だったら「あー、いいわよ、1ペニーくらい」と言われる可能性はけっこう高いです。

なので、日本では「1円を笑うものは1円に泣く」と言いますが、アメリカでは「1ペニーを笑うものは1ペニーに泣く」という考えはなさそうです。1ペニーなくて真剣に困った!という体験が比較的少ないのだと思います。

良く言えば細かいことは気にしない、悪く言うと日本人のように1円たりとも無駄にせずこつこつ貯金しようという考えがないということでしょうか。

硬貨の単位の日米差について、うまく説明できる人がいたらぜひ、教えてください! 

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4 comments on “現金のお話、単位編”

  1. こちらでは2回目の投稿です、笑。今回も興味深い!
    うまく説明できるわけではないんだけど、クォーターのような考え方はいかにもアメリカ的な感じがするね、と夫と話したことがあります。
    何かもっと大きな全体があることを前提とした単位設計というか、全体が先にあって個がある。1があるから1/4がある。決して25ではない。日本は個別積み上げの文化だからクォーターなんて硬貨はないんだ、と言ってました。

  2. あ~面白いですね!
    Kannaさんとご主人の考察も面白いし納得してしまいました。
    20ドル札も、100ドルの1/5という感覚が強いかも。量的なんですよね。

    30セントのお釣りをもうらうとき、クォーター(25セント)とニッケル(5セント)の組み合わせっていうのには、なかなか慣れませんでした。「あれ?一個足りない。」みたいな。笑
    今でもパッとその組み合わせは出てこないです。

  3. Kannaちゃん、コメントありがとうございます。
    まず1があってそれを分割したという考えですね。この分割が10じゃなくてまず4で割るというのが、何か背景になっている文化とか概念があるんでしょうね。
    1ダースという単位もちょっと不思議ですが、考えてみると1年は12ヶ月あり、12という数字にも意味があるのでしょう・・・
    面白いテーマですよね。

  4. Erinaさん、たしかに、私も30セントと言われたらダイムが3つしか浮かばないなー。50セントといわれたらクォーター二つ、とすぐ浮かぶんだけど・・・。
    小銭を数えるのに時間がかかり、後ろで誰か待っているとプレッシャーでつい大きいお札を出してしまい、小銭がひたすらたまる、という、小心者の日本人な私です。

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