翻訳・通訳の修士号を取得できる米国大学院、Monterey Institute of International Studies

Tamami
06/22/2012
wikipedia.org

今日から数回にわけて、私が卒業した大学院、Monterey Institute of International Studies(以降MIIS)を紹介しようと思います。

私が在籍したのは2000~2002年なので、細かい変化はあるかと思いますが、最近卒業した後輩と話してみてそれほど基本的な校風は変わっていないように感じます。

しかし、最新の入学試験や授業内容などの情報は必ず直接MIISに問い合わせてください。以下の記述はあくまでも私個人の思い出話のようなものです。

MIISは全米で唯一、「翻訳・通訳」を専攻して修士号(Master’s Degree)を取得できる大学院です。(その後他にもできたかもしれません。当時は私の知る限り唯一でした。)

場所はカリフォルニア北部、サンフランシスコから南に車で2時間ほど下った位置にある、「Monterey」という小さな港町のダウンタウンにあります。

私が翻訳・通訳を勉強するために留学したいと思って当時探していた限りでは、イギリスのバースに一校、オーストラリアにも一校見つかったのですが、いろいろな条件を比較してMIISを選びました。

MIISには翻訳・通訳を専攻できるGraduate School of Translation, Interpretation(以降GSTI)の他に、国際政策、環境政策、MBAコースなどがあります。

すべての学部に共通しているキーワードは「International」。

生徒の3分の一がアメリカ国外からの留学生であり、さらにアメリカ国内から応募するアメリカ人は、海外に住む、働く、留学するなどの経験を持つことが入学条件の1つになっています。

教室のある建物のバルコニーには、MIISに留学している学生たちの出身国の国旗がずらりと並んでいて、その数が実に50カ国以上にわたるので、建物をぐるりと一周しても全部の旗を飾りきれないと言われていました。

そのような国際色豊かなキャンパスなのですが、アメリカの大学院としては非常にこじんまりしていて、大きなまとまったキャンパスというものがなく、Montereyのダウンタウンに隣接したいくつかのブロックにまたがって教室や図書館が散在しています。

1つの授業が終わって別の教室に移動するときなど、その数ブロックを横切っていくひとときが私はとても好きでした。

というのは、同じように教室を移動している他の学生たちとすれ違う間に、いくつもの外国語が聞こえてきて、それが本当に「Language capital of the world」と称されるMIISの世界そのものだからです。

私が日本人のクラスメートとしゃべりながら歩いていると、向こうから韓国語通訳学科の韓国人の学生たちが歩いてきて、早口の韓国語のおしゃべりの合間に私たちに「ハーイ」と英語で話しかける。次にフランス語、次にロシア語・・・と次から次へと様々なリズム、イントネーションの言語が耳に飛び込んできて、でもすれ違いざまに英語でどう?元気?と挨拶を交わす・・・

とにかく言語というものが大好きな私にとって、そんなMIISのキャンパスは天国のような場所でした。世界中で様々な紛争が起き、テロが発生し(911事件があったのは私の在学中でした)、暗いニュースが続く中、MIISのキャンパス内だけは、文化、言語、宗教の違いをものともしない国際人たちの聖地のように感じられました。

その気分をさらに優しく包み込むのがモントレーという場所の穏やかな気候です。

夏は涼しく、冬は暖かく、一年を通してあまり気温の変動がありません。海に面したダウンタウンには新鮮な潮風が絶えず吹き込み、ただ海沿いの散歩道を歩いているだけで幸せな気分になりました。

田舎といえばかなりの田舎なので、あまり誘惑もなく、勉強に没頭するにはちょうどいい場所と言えます。

次回はGSTIの具体的な授業内容について私の体験を書きたいと思います。 

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6 comments on “翻訳・通訳の修士号を取得できる米国大学院、Monterey Institute of International Studies”

  1. こんにちは、岩村と申します。お尋ねさせて頂いてもいいでしょうか?
    私も将来通訳に関わりたいと思っていて現在オースラリアのブリズベンのナビタスという語学学校にアカデミックコースに通っています。100万円ほど払い、
    6ヶ月の期間を終えた後にシドニーのマッコリー大学の通訳コースに編入できる事になっております。
    ただ私は二重国籍でアメリカの国籍を持っています。
    オーストラリアは大変物価が高く、授業は余り学んでるという感覚がありません。国籍を持っているという点から
    モントレーの学校の方が良いと思えるようになって来て
    とても悩んでいます。自分のリサーチが足りなかったが為に起こった個人的な問題ですが、アドバイスをいただけますでしょうか?

  2. 岩村さん、コメントありがとうございます。

    ブロガーから直接岩村さんのところにメッセージするように伝えますので、少しお待ちくださいね。

  3. 岩村さん、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
    現在オーストラリアにいらっしゃるということで、せっかく大学に編入する段階まで来て迷いが出て来てしまったというのは、とても悩んでしまう状況ではないかと思います。
    今からモントレーに移動した方がいいのでは?という点については、岩村さんが今後どこで通訳の仕事をしていくかによるかもしれません。日本でお仕事されるのでしたら、通訳の勉強をしたのがオーストラリアでもアメリカでもあまり違いはないように思います。
    アメリカで仕事をしていきたいのであれば、アメリカに大学院であるMIISの方が、ネットワーク作りという点では有利かもしれないですね。
    またオーストラリアは大学、MIISは大学院なので、実は割と学歴が重視されるアメリカでは、マスターを持ってるというのはスタート時点で有利に働くことがあるかもしれません(たとえば社内通訳として入社する際、通訳としてのキャリアがなくても、マスターを持ってるということで信頼してもらえるかも)。
    オーストラリアは物価が高いのですね。MIISは私立なので、特にアメリカ人だからとかで学費が変わることはないと思います。ウェブサイトでチェックしてみて、オーストラリアの今後の学費とMIISの学費が変わらないようであれば、MIIS入学を考えてみてもいいかもしれませんね。
    私はもちろん卒業生なので、MIISを検討してくれる人がいると嬉しいし、ぜひおすすめします!と言いたくなってしまいます。
    ただ、通訳は一度仕事を始めると、学歴は関係なく実力の世界なので、ある意味、どこで勉強しても個人の素質ややる気の問題な気はします。クライアントにとっては良い通訳だったらまた何度もお願いしたいし、だめなら声がかからなくなるし。そのとき履歴書の学歴欄をチェックする人は誰もいないんじゃないかと思います。
    通訳について、もちろんMIISでは現役通訳者に指導を受け多くのことを学びましたが、その後の実戦の方がずっと密度が濃く、今の通訳スキルを培ったと思います。授業内容で選ぶのも良いのですが、大学、大学院は卒業後のネットワークを得るというのも非常に重要な利点の一つなので、授業内容だけでなく、どんな人たちと知り合いになるか?という視点で考えてもいいと思います。
    どちらを選ぶにしても頑張ってくださいね!
    (ちなみに現在合併により校名がMiddlebury Institute of International Studies at Montereyと変わっております)

  4. TAMAMIさん/MASAさん

    はじめまして、彩美と申します。
    LAに滞在していたこともありこちらのブログの大ファンです。

    「通訳翻訳でMaster Degree取得」を長い間、目標としてきました。
    ある時、TAMAMIさん同様MIISの存在を知り、以来数年にわたりずっと想いを馳せています。
    こちらのブログでTAMAMIさんの記事に出逢ってからはさらに刺激をいただきました。
    やる気、情熱は100%あるのですが、踏み出せない唯一の理由が学費です。
    MIISの先輩方がどのように学費を捻出されていたのか(奨学金等)もし可能なようであれば個人メールアドレスでお話をうかがわせていただきたくコメントをさせていただきました。

    お忙しいところ恐れ入りますが、ご回答をいただければ幸いです。
    貴重な場をお借りしました。ありがとうございました。

    彩美

  5. 彩美さん、コメントをありがとうございます。
    MIISを目指す方からコメントをいただけるのはとても嬉しいです。

    学費は高いですよね。高額なので為替レートによってかなり差が出るので、ちょうど円高のときに留学できるといいんですけどねぇ・・・

    奨学金はMIISにもいろいろ用意されていると思います。ただ、学費が高いと言ってもまだ日本の学生は余裕があって、なかには発展途上国からの留学生とか、政情不安定な国から、旅費さえ親戚一同から出してもらって必死で来るような学生もいるので、奨学金はそういう学生に優先的に使われていたような気がします。

    私自身は日本で社会人を7年してから留学しましたので、その間にコツコツと貯めた貯金を持って行きました。そしたら、アメリカの学生がほとんど学生ローンで入学し、卒業後に何年もかけて返すのが普通のことだというのを留学後に知って、その方がさっさと学位をとって良い仕事について返せるから合理的なのかな?と思いました。でも卒業後、私はまったくローンがないし、他の卒業生に「大学院を出たのに借金がないの?すごい!」とうらやましがられたりもしたのですが。

    ちなみに在学中に出会った私の夫は、MIISの後にもう1つ別の大学院に行き、この二つの学生ローンをなんと未だに払い続けてます!卒業して15年ですよ・・・、まったく・・・。

    他の日本の学生のことを思い出してみると、日本の学生はやはり親に援助してもらっている人が多かったですね。クラスメートは20代半ばくらいの人が多くて、アメリカや日本の大学を出て数年、自分の貯金と親の援助というのが多かったかな。日本以外の学生は、発展途上国だったりするとやっぱり相当エリートだったりお金持ちだったり、ヨーロッパの学生も借金していることが多かったと思います。

    私も学費と生活費、かなりぎりぎりの金額を貯金していたのですが、やはり予定外の支出もあったりして途中で厳しくなり、夏休みはインターンシップをしたりキャンパス内で仕事をしたり、食費を削ったりと、かなり貧乏学生生活でしたが、なんだかんだと本当に危なくなったら、親に頼めばなんとかなるという安心感があり、他の日本人学生もそうだったし、日本はまだ親の代に金銭的な余裕があって裕福な国なんだなと思いました。

    私は卒業してかなり時間が経っているので最新の情報はよくわからないのですが、最近MIISの後輩がProfessorとして就任したので、聞いてみることもできます。別途メールもしますね。頑張ってください!

  6. Tamamiさん

    お忙しい中、大変丁寧なお返事をくださいましてありがとうございます。
    やはりMIISの先輩のお話から得られるものは貴重だなと感じています。
    続きはいただいたメールへ返信させていただきますね。
    改めましてお忙しい中、ご返信ありがとうございました。

    彩美

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