自由の国アメリカから別世界へ ー その1

ティファナ・タクシー
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2回に渡り、メキシコを含む中南米からの不法入国者の話をしました。

自由の国アメリカ目指して裏通りを走る! ー その1
自由の国アメリカ目指して裏通りを走る! ー その2

コメントにも書いていただいたように、彼らがアメリカ、少なくともカリフォルニアの底辺を支えていると言われています。激安の時給でも、何も文句を言わず、黙々と彼らは働きます。仕事にありつくとができたらハッピー。洗車場、家の建築現場、オフィスの清掃場などなど、普通の人が働きたくないような場所でも、法外な時給で彼らは働きます。英語はまず話すことは出来ませんから、他の人達とコミュニケーションは取れず、ただ黙々と働くしかありません。

 

「どうしてそこまでして、アメリカに留まりたいのか」

 

我々から見れば、メキシコで暮らしている方が言葉も通じるし、普通の生活ができるんじゃないかって思いません?

 

実は...

 

知っている人は知っているのですが、知らない人は全然知らないような事実があります。

 

日本では、メキシコって国、どんなイメージでしょう。

 

ウィキペディアで調べると、「総人口が一億人、ラテンアメリカでラテンアメリカでは2番目に大きく、スペイン語圏全体では最大を誇っている。」そうですね。食べ物だとタコスやブリトーが有名でしょうか。数多くの遺産も興味を引くところです。

 

そんなイメージのメキシコですが、一度足を踏み入れると、そのイメージがガラリと変わります。少なくとも私と、私の家族は変わりました。

それは...

 

「貧富の差」

 

メキシコに入った途端、メキシコ人の「貧富の差」をもろに感じるのです。

 

サンディエゴからメキシコに渡るのは超簡単。国道805号線を終点まで走ります。そして、アメリカ側に車を停めて、歩いて国境を超えます。一方通行の周り扉(?)を抜けると(ゴキブリホイホイみたいな感じかな)、そこはもうメキシコのティファナです。

 

一言、言っておかなければならないことがあります。私がメキシコに最後に渡ったのは、もう10年ほど前の話。最近は、ギャングの抗争がひどくて、危なくて入ることができません。もし、このブログを読んでいただいて、「行こう!」と思われた方、自己責任でお願いします。

 

さて、ティファナに入ってはじめに目にするのは、タクシー乗り場。タクシーの運ちゃんが溜まっていて、国境を超えてアメリカからやってきた観光客に声をかけます。

「レボルシオン、レボルシオン」

レボルシオンとは、Revolucion通り、ティファナの目抜き通りって言えばいいかな。いろいろな店が軒を連ねるティファナの観光名所っていうか。おみやげ屋さんが多いですかね。タクシーの運ちゃんたちは、そこに乗せていってやるって言っているわけで。

そのタクシー、どう見ても、アメリカから運んできて、レストアして、塗装して、タクシーのマークをつけたポンコツ車。ボディーはベコベコ、バンパーは落ちそうで、片方のヘッドライトがない...そんな車ばかり。

 

「これでよく走るな...」

 

と思うほど。また、メキシコのガソリンはかなり質が悪いので、車から出る排気ガスも強烈な匂いを発しています。体に超悪そう...

タクシー乗り場は...穴ぼこだらけ。道路の舗装はところどころはげているし...

 

「こりゃひどい」

 

と思わざるを得ないような状態。

 

と...しばらくタクシーや道路のひどさに驚いていると、花束を抱えた女性が寄ってくる。

 

「お花、いりませんか?」

 

と多分言っていると思うのですが、小さな声でスペイン語を話します。彼女を見ると、そりゃもう人目で、

 

「ホームレスだな...」

 

と思うような格好をしてます。若い女性で、きれいにメークして、きれいに服を着れば、かなりの美人なのに...と哀れに思ってしまいます。

 

と少し悲しい気持ちになっていると、向こうの方から、二人の子供たち(多分10歳くらいかな)が何やら抱えて、小走りに我々の方に近づいてきます。

 

「これ、いりませんか?」

 

と言っていると思いますが、一人が箱に入ったキャンディーのセット、もう一人がマクドナルドのドリンクのコップを私に差し出します。そう...一人が「商品販売役」、もう一人が「会計役」。彼ら、キャンディーを売ってお金を稼いでいる子供たち。こちらの子供たちも、すり切れた服を着て、サンダル履き。顔は砂埃にまみれて薄汚れています。

 

我々は一気に暗くなりました。なんというか、

 

「勘弁してくれ」

 

と言いたくなるような...気の毒すぎて見たくないと言うか...。そんな光景が目の前に広がっているんです。信じられますか?

 

そんな光景に病んでいる我々は、ティファナからもっと南に下ったエンセナダ(Ensenada)に向かいます。そして、そこで、さらに信じられないような光景を目の当たりにするのです。

 

この続きは次回。 

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4 comments on “自由の国アメリカから別世界へ ー その1”

  1. Masaさん、お忙しいのでしょうね。文が短くて(笑)次が待ち遠しいです。
    (すみません、無責任な読者のたわごととうけながしてください)

    あまりの貧しい身なりの子供たちに勘弁してくれ。。。と思ったって件、すごく
    想像できました。
    自分が悪いことをしたわけではないのに、思わず目をそらしたくなることって
    ありますよね。
    同じ地球の同じ人間なのに、貧しい人と貧しさを知らない人。
    悲しい現実ですが、決してなくならない事実なのでしょうね。

  2. Hisayoさん、毎度コメントありがとうございます!

    あれ?私の記事、そんなに短かったでしたっけ(笑)?いやいや、今回は結構もったいつけて書いたつもりです(爆笑)。「お~、次読みたい~」みたいな感じになるといいなぁと思いましてね(笑)。

    それにしても、本当にひどいですよ、メキシコって。って言うか、メキシコだけじゃないですよね。近場では中国も貧富の差がすごいですし、北朝鮮なんか既知ですよね。日本とかアメリカで生活していて、そう言う地区にほとんど行ったことがないわれわれにとっては、なんと言うか...、「これが現実?」って思ってしまいます。逆に、そう言うところも絶対に見ておく必要があるんだって思いましたね。

    次回をお楽しみに(笑)。

  3. ティファナ、もうしばらくは行けませんね。危なくて。
    きっと、アメリカからの買い物客がいた頃はまだそれでもましで、今はアメリカから観光や買い物に行く人も減って、より状況は深刻でしょうね。

  4. もともとティファナって、21歳未満の海軍兵たちが息抜きとして遊べるようにっていう目的もあったみたいです。(向こうでは18歳からお酒がのめるから)それが、最近のドラッグ抗争で、数年前からは海軍でも「なるべく行くな」って言われているみたいですね。

    私の知人のブラジル人男性は、物心がつくと、父親にブラジルのホームレスタウンに連れて行かれ、「これが現実だ、働かないとこうなる」って教えられたそうです。それがすごく良い教訓だったらしく、彼は今、アメリカで市民権も取って仕事をしています。
    日本でもこれから格差はもっともっと広がっていくだろうし、それが資本主義ですからね。

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