アメリカで働く日本人研究者の1日

こんにちは、KAZでございます。

 

もうすっかり秋の風を感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。ちまたではハロウィーン用のカボチャを目にする季節になりました。

 

さて、30歳過ぎのオッサンが意を決してアメリカに乗り込んだこのシリーズ、今回は大学での研究者の働きっぷりについてお話ししたいと思います。

 

ボクはこれまで日本で4つの大学を渡り歩いてきましたので、日本の大学のシステムがどういうモノかということについては大体把握しているつもりです。

ですので、日本の大学とアメリカの大学のシステムの差については客観的に見ることができる自信はあります。いや、むしろ、日本の大学とアメリカの大学の差が非常に目につきます。

いやー、やはりアメリカの大学のシステムは日本のそれと全く違いましたね。

ところで、私がキャンザス大学で受けた初めての試練は、「ビギナーズトレーニング」でした。

私の研究する分野は生命科学ですので、実験動物を使ったり、遺伝子組換え実験、ラジオアイソトープを使った実験などを行います。そしてそれぞれには大学ごとに決められた「規則」があり、まずそれを受講しなければならないのです。なぜそれが試練なのかというと、やはり「言葉の壁」でした。

一応講習に参加してみるものの、講師の話していることはほとんど聞き取れず、しかも途中で抜き打ちに質問をしてくるので、ボーッと聞いている訳にもいきません。

日本での場合だと、講師がダラダラとしゃべって、出席さえしてさえいればOKという場合が多いのですが、アメリカではその後、理解力を試すためにオンラインチュートリアルを行います。何十ページという説明を読んだ後、テストがあります。大体20-30問のテストで、80% 以上正解しないと、パスできません。この、オンラインでやるというあたり、合理的なアメリカっぽい気がします。

その他、sexual harassmentやbiohazardなどについてもチュートリアルがあり、「アメリカは自由な国といっても、厳しいところは厳しいんあだなぁ」と、思いました。

研究者の仕事時間ですが、はっきりいって裁量制です。なので、いつラボにやってきて、いつ帰ってもいいのです。日本の場合だと大学院生はだいたい朝の10時頃にラボにやってきて、夜遅くまで実験をやっているという感じなのですが、アメリアのラボでは、大体みんな8時頃にラボにやってきて、5時には誰もいなくなります。5時以降も残って実験やっているのは、ボクを含め一部の中国人やインド人しかいません。
しかし彼らは決してlazyというわけではなく、ラボにいる間は多くの実験をこなし、空いた時間は論文を読み、プレゼンテーションの準備をしています。むしろ、時間の使い方がうまく、集中力が高いように感じます。ボクも日本では一日12時間以上働いていましたが、アメリカに来てからはダラダラ実験するということがなくなりました。

おかげで、平日の夜はジムにいって汗を流したり、金曜日の夜は友達と食事に行ったり、barに行ったりすると言う時間ができ、メリハリのきいた生活を送っています。

また、ボクの所属するラボでは、週に一回、研究の進行状況について報告するミーティングがあります。その中では実験の結果報告だけでなく、今後のストラテジーについてもラボメンバーとディスカッションします。また、デパートメント単位でも、毎週水・木とセミナーがあり、大学院生が研究成果を発表したり、また他の大学から研究者を招いて招待講演をしてもらいっています。キャンザスは中西部なため、西海岸や東海岸に比べて招待講演者を呼びにくいという不利な点はありますが、最先端の研究について話を聞くことはとても刺激的です。

招待講演者と大学院生の座談会の時間も設けられており、大学院生は自分のキャリアアップの為に、講演者に対して次々に質問を浴びせます。

アメリカ人は日本人に比べ、仕事をしないというイメージがありますが、少なくとも研究の世界では違うと思います。彼らは、いかに短時間で効率よく研究の成果を出していくかということに努力を注ぎます。日本人は多くの実験をすることで成果を上げようとしますが、アメリカ人の場合はまず、実験を始める前にたくさんの情報収集をします。そして、その実験を行うことが有効であるかを判断して始めて実験に取りかかります。無駄な時間を費やさないように気を遣います。また、他の研究者同士のコミュニケーションを大切にすることで、世の中の流れにとても敏感に反応します。

 

ボクもまだまだアメリカの研究スタイルについて行けていませんが、日本人気質のいいところは残し、変えるべき所は変えて、うまくsurviveしていけたらと思っています。

 

 

 

 

アメリカで働く日本人研究者の1日” への4件のフィードバック

  1. その「メリハリのある生活」てのが、(人によるんだろうが)なぜ日本ではあんなに難しいのか、とは思うが、一度アメリカのこれを経験すると日本は遠くなるような。

    でも、やっぱキメ細かいサービス(礼儀含む)や食事の質など、忘れてはいけないところも沢山あるし…

    てか、そこを忘れたときに「日本人」としてではなく、「アメリカにかぶれた」だけのショ~もない人になるのだろう。こんな風に「日本人」を追求している同じくカンザスの小生。

    もうこれは飲むしかないのだけど、中々キャンザスシテェに行くキッカケ(と時間)に恵まれない…

  2. たっちゃん
    ボクは、アメリカで生活している方が日本人を意識して考えたり行動したりするようになったので、良い機会になったと思ってる。

    まだ日本人は、戦後の経済回復、右向け右の体質から抜け出せていないんだろうかね。

  3. 記事拝読しました。アメリカ人の時間の使い方、とても好感が持てました。Kazさんのブログ、お気に入りさせていただきました! Facultyになるという目標、無事に達成されますようお祈り申し上げます。

  4. 日本で生命科学系の大学院生をしているものです。
    ブログを拝見し、大変好感を持ちました。
    日本では、学生がうまく時間を使って8時間で仕事(実験、論文読み、学会準備など)を終わらせても、ボスより12時間以上は残って実験しろっと言われる学生(友人のラボがそうです)が多いようのなので、学生が自主的に時間をうまく使おうとしても、上からの圧力もあるため結局だらだらと時間を使い作業をしているような気がします。
    やはり、日本における大学院の学生は給料(?)が発生しないため、上の立場から考えれば、長時間働かせてもコストがかからない労働力と考え、また長い時間働かせた分だけ成果がでると考える方が多いからなのでしょうか。
    (やはり海外のように施設の共有の実験機器を一通り揃えるのではなく、隣のラボにもある実験機器を各ラボにそれぞれ多数取り揃えたりするため、学生にまで給料を出せないのでしょうかね?)
    アメリカでの効率的に成果を上げる時間の使い方をぜひ日本の大学でも取り入れて欲しいです。
    興味深い内容を執筆して頂きありがとうございます。

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