働くママ、学校に行く (4)

試験的に始めてみた「働きながら学校に行く」期間も無事に終わり、手ごたえとともに色々な課題も残していきました。

今までもやもやとしていた将来も、こうやってその分野の勉強を実際にしてみることで、「こういうことをやりたい」とか、「これはやりたくない」と思えるようになったのです。

 

アメリカ企業

 

当初、この記事でも書いたように、この会計のクラスを取り続ければ、CPA試験も受けられる資格が取れるという情報を得た私は、また選択肢が増えた・・・・・とぼんやりと思っていました。

いざ始まってみると、授業自体は今の本職にとって有益で、会計を読み取る上での理解が深まりました。会計士たちと仕事をしていく上で、彼ら・彼女らの頭の中を理解するのに役立っています。

しかし実際に会計のクラスを取り終えて、おそらく私自身は会計士の道は選ばないだろうな・・・と感じたのです。

会計士という仕事に就く人は、とてもきちっとした性格で、一言一句を全て理解し、注意書きも見落とさず、行間を読むことなく、ストラクチャーを尊重し、既存のルールにのっとる・・・・そういう性格の人が向いているようです。

何事にも「これはどうなんだろう?」と疑問を持ってしまう私はちょっと(というかだいぶ)違う性格で、やっぱり自分には分析系の仕事の方が向いているようです。

こういうことも実際に授業を取ってわかったことであり、今の自分にとって必要な経験だったのかもしれません。

 

 

思えば、私はこれまで色々な寄り道をしてきた気がします。

コミカレは生物学専攻でスタートし、化学→数学→IT→金融と、色々な分野に渡って勉強・仕事をしてきました。

もともと飽きっぽい性格で、子供の頃から色々なことに興味を持っていましたが、大学を卒業して「これだ!」とコツコツと続けてきた同級生たちとは、年数で言えば大きな違いが生まれています。

 

 

今年に入って、自分の働き方に対して、「不安」とすら呼べない、だけど拭えない感情を持ち始めるようになりました。

一度、前線離脱してしまったらもう戻ることはできないのだろうか?

同じ仕事を長く続けることは、絶対に必要なのだろうか?

出産・子育てと転職を体験した今、同級生たちとのギャップを埋めることは不可能なんだろうか?

そんな気持ちで鬱々としていた私は、ふとしたときに、会社の大先輩・ジムにある相談を持ちかけました。

 

私:「一つのことをず~っとやっている同級生たちは、もう長い経験年数があるけど、自分はそうじゃないんです。」

ジム:「実は僕もそうだった。参考になるかどうかはわからないけど、僕の話をするよ。」

 

そう言って、ジムは自分自身の話をし始めました。

 

ジム:「覚えてる?僕がよくみんなにする質問。

『あなたの10年は一年分の経験を10倍しただけか?それとも真の10年分の経験か?』」

 

彼は私のチームからの案件を承認する、会社トップチームの一人です。今年に入って退職した人のリプレースメントとして、ヘッドハンティングされてきました。

ビジネスコンサルタントをやったり、大学でFinance(金融)を教えたこともある人で、現在は若い社員を育てることにも力を入れています。

 

ジム:「僕は大学と大学院卒業後の10年間、一番長いところで2年しか働かなかった。最初の会社で9ヶ月、そこで次のプロジェクトに引っ張られて6ヶ月、ヨーロッパに行って2年、南アメリカに帰ってきて1年半。そこでスペイン語が話せるようになった。」

私:「そうだったんですか。」

ジム:「大学院卒業から10年、まだ”AVP”(Assistant Vice President:係長ポスト)にもなれなくて、同級生たちにからかわれたよ。(笑)」

私:「・・・・・。」

ジム:「だけどね、僕の最初の10年は、一年分の単なる10倍じゃない。真の10年分の体験だった。」

私:「はい・・・。」

ジム:「AVPになったらなったで、『万年AVP』って呼ばれたけどね(笑)。でも卒業から15年、20年してからかな。気づいたら、僕はみんなより上のポジションについてた。」

私:「・・・・・・。」

ジム:「いいかい、エリナ。君はみんなとは違う働き方をするってわかってるんだよね。」

私:「はい。」

ジム:「この会社にもいるよ。製造関係が強い人、医療分野に強い人。だけど、僕は違ったんだ。一本に絞らなかったことで、幅広く色々なことを経験できた。今では、そうだな、『ミディアムマーケットの金融のことならだいたい知ってる』って言えるようになった。そうすると、人が質問しにくるんだ。『あの分野はどうなの?』ってね。」

私:「なるほど・・・。」

ジム:「色々なことをやりなさい。色々な業界の人と働いて、とにかく名前と顔を知ってもらうんだ。だけど時間はかかるよ。そこはbe patientしかない。みんな言うかもしれないけど、無駄になることは一つもないから。自分を信じて頑張りなさい。」

私:「・・・・ありがとうございます。」

 

自分の働き方に対して消えそうになっていた自信や野心が、ジムの言葉で戻ってきたような気がしました。

 

今まで「絶対に使えない」と思っていたようなスキルも、使いようで武器にできる、と感じるようになりました。

プログラミングの知識は、金融業界の職場で使うソフトウェアを理解するのに役立つし、生物学や化学の知識は、医療・バイオ関係のクライアントを理解するのに役立ちます。数学だって、概念的なことを頭の中で整理するのに役立つし、今の仕事に必要な分析力はやはり数学で鍛えられました。

 

一つのことに執着できない性格も、その柔軟さが自分の強みだと思えるようになったのです。

 

 

・・・・・と、こう悟ったところで、自分の働き方が、将来どのような結果を導くのか、今の私にはさっぱりわかりません。(笑)

ジムのように社内で大御所になれる保証はありません。

 

ただ、これからも、「やりたいかどうかは、やってみないとわからない」という気持ちは消えることはないし、許される以上は新しいことをどんどん吸収するのみです。

 

ジムが独り言のように、「マイペースにね、やれる人が強いんだよ。」とつぶやきました。

 

他人と比べてもしょうがない——–。

 

誰でも、こうやって試行錯誤し、色々なことを模索し、手探りで進んでいくものなのかもしれない。

ぱぁ~っと行く先が鮮明に見えている人のほうが少数で、会社の意向や上司、景気、周りの人たちに影響されていくのが当たり前です。その中から自分のやりたいことを選んだり、時には消去法だったり、形を変えながらも、自分を信じてやっていける人が最後には残っていくわけです。

 

タフですね。

頑張りましょう。

 

次の授業は、長男の学校が一段落するであろう、来年1月から受講する予定です。

 

 

次回:働くママ、学校に行く (5)

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