アメリカで冷え性?

 

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年末は例年通り夫の実家で過ごしましたが、冬に夫の実家に行くたびに、とても寒い思いをします。

夫の実家は横に広がっていて全体にガランとしている上に、セントラルヒーティングがうまく機能していなくて、暖房を一番強くしても広ーいリビングルームが冷え冷えとしたままなのです。

私が寒がっていると、義理の両親がいつも「寒いのは健康にいいんだよ!」「寒い気候は体を強くするのよ!」などと言います。

そのたび、私は「東欧人を先祖に持つあなたたちとは、体の構造が違うのよ!」「東洋医学では体を冷やすのはすごく健康に悪いこととされてるのよ!」と言い返したくなります。

体感温度というものは人によってとても差があり、「暑い」「いや、寒い」という議論がいかに不毛かよくわかっているので、何も言いませんが・・・

それにしてもアメリカでは「体を冷やす」=「良くないこと」という認識がほとんどないように思います。

日本では、とくに女性の場合、「冷え」は健康と美容の大敵とされていますよね。「冷えは万病のもと」とか、「冷えをとるために半身浴がいい」とか言われています。

この、「悪い意味で体を冷やしてしまう」という意味での「冷え」という単語そのものが、英語に見当たりません。このこと自体が日米の認識の違いをよくあらわしていると思います。

「体を冷やす」を直訳して、「Cool down your body」とか、「Make your body cold」というフレーズでグーグル検索をしてみるとどうでしょうか。

出てくる結果は、「暑い夏、どうやって体をクールダウンするか」、「熱が出たとき、どうやって体を冷やして熱を下げるか」、「今日は海に飛び込んで体がクールダウンして楽しかった!」などなど、「体を冷やす」ことがあくまでも良いこととして扱われている内容がほとんどです。

体を冷やすのはよくない、というネガティブな内容を探してもなかなか出てこなくて、やっと見つかると、鍼や漢方のウェブサイトで東洋医学の説明をしている内容だったりします。

では日本で悩む人が非常に多い「冷え性」という言葉はどうでしょうか。

冷え性、冷え性・・・、体が冷たくなりがちな体質・・・、いろいろ考えてみましたが、「冷たい」という言葉からはいったん離れて、その症状だけをあえて表現するならば、「Poor blood circulation」です。

冷え性というのは血行が悪くなった結果なので、「私は冷え性なんです」と言うかわりに、「私は血行が悪いんです」と言えば、ほぼ同じ意味になるはずです。

そこで「Poor circulation」などでグーグル検索してみると、出てくるのは、なんらかの疾患にかかった結果とか、薬の副作用とか、高齢者が悩む血行の悪さについての内容ばかり。

日本のように若くて健康な女性が「最近、冷えとりのために半身浴をしたら、お肌がきれいになってきたんです!」なんて書いているブログなどはなかなか見つかりません。

私がこの「体を冷やす」ことに対する認識の違いを最初に顕著に感じたのは、自分が妊婦だったときのことです。

日本の妊婦さんは、きっと、夏だろうと冬だろうと「おなかを冷やさないようにね」と周囲から声をかけられるはず。

アメリカでそんなことを言う人は一人もいなくて、ドクターも言わないし、肌寒い気候でも丸いおなかを出してへそ出しルックの妊婦さんが歩いていたりします。

足首に体を冷やすツボがあるので裸足はよくない、と聞いた私は、真夏のLAでもずっと靴下を履いていたのですが、同じ病院で見る他の妊婦さんたちがいつも裸足にサンダルで歩いているのを見て「あの人、大丈夫かしら」と人ごとながら心配していました。逆に彼女たちは真夏に靴下の私を見て、「あの人、変わってるわ。外国人だから、きっと自分の国の風習なのね」とか思っていたことでしょう。

冷やすことは誰も心配しないのに、逆に「お風呂に入るのは危険」と言われます。もちろん、日本でも熱いお風呂に長湯はだめ、と言われますが、アメリカの場合もっと厳しくて「妊娠中はお風呂厳禁」って感じなのです。

毎晩バスタブに浸かる風習はないので、言われ方としては「ホット・タブはだめ」という感じです。でも、ホット・タブ=よくホテルなどにある屋外のジャグジーって、たいていなまぬる〜いお水で、日本人としてはお風呂ともいえない程度の水温なのです。

あれがだめなら、きっと標準的な日本人のお風呂なんて「とんでもない!危険!」と恐ろしがられると思います。

しかし私にしてみれば、真夏でも氷のように冷たいカリフォルニアのビーチで、肌寒い日に平気でビキニ姿の妊婦さんが水遊びしている姿のほうが「とんでもない!危険!」って思ってしまいます。

この日米の体感温度の違いについて、私はいつも「先祖が違うから」とあまり科学的裏付けはないまま、人種の違いのせいにしているのですが、それならアメリカで生まれそだったアジア人はどうなのか?というと、私の周囲で見る限り、アジア系アメリカ人もやはり他のアメリカ人と同じように寒さには強いような気がします。先祖どうこうより、生まれ育った環境のせいなのでしょうか。3歳までに汗腺の数が決まるという話も聞いたことがあるので(暑い気候で育てば多く、寒い気候なら少ない)、遺伝プラス環境なのかもしれません。筋肉が多ければ体温も上がるらしいので、私も努力次第で血行が良い人になれるのかもしれません。

などなど、寒さの感じ方についていろいろ考えているのには理由がありまして・・・

そのことについては、また来週報告したいと思います。 

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7 comments on “アメリカで冷え性?”

  1. アメリカは寒いですよね~!
    私は北国からやってきたにも関わらず、アメリカの家の大きさや機密の悪さのおかげで、最初の数年はものすごく寒い思いをしました。
    私も寒がり&冷え性だったので、辛かったです。
    だけど人間、慣れとは怖いもので、現在の我が家の暖房温度は18度に設定されています。日本から来た親は「寒い!」と言ってますが、私たちは薄着です。子供たちなんて半そでと短パン。

    確かに、アメリカでは「冷え」よりも「熱」のほうが悪いとフォーカスされてる気がしますね。場所にもよるのかなぁ。”Don’t get dehydrated!”とかよく言われるくせに、「体を冷やすな」とは言いませんもんね。
    血行の悪さに悩まないなんて、アメリカ人と日本人じゃ、心臓のパンプ力が違うのかなぁ・・・。

    私も子供を生んで以来、ずっとハイソックス愛用です。くるぶしソックスでは足首が温まらないので、常にハイソックスですよ!笑
    あと、ヨガがイイです!

  2. アメリカ来ても、毎日朝風呂なタツヤです。
    浴槽が浅くて若干ホルマリン漬けの死体のように入ってますが…

    「頼む、ジャパニーズ・フードと同じ速度で『お風呂文化』を流行らせて、深い浴槽があって当たり前になってくれ」と、ふとお願いしたくなるほど、もうお風呂入らないと、個人的には絶対に無理な季節であります。シズカちゃん状態ですね、はい。

    冷え性ではないと信じたいですが、汗っかきなはずの僕もアメリカの冷房にはやられます。どこ行っても暑いか寒いかで、とにかく「ガンガン」ていう温度設定な気がしますし。

    ホカロンが高いのも米国の社会問題の一つと考えます。でも、日本の冬(関東圏)との寒さとは若干違うし、運転すれば外気を避けれるので、性格の異なる悩みと言いましょうか…

  3. Erinaさん、私も、ときどき友人や家族が日本から遊びにくると、寒がって上着を着込んでるとなりで私はTシャツ一枚だったりして、「なんで寒くないのー?!」とか言われたりします。
    私なりの分析では、カリフォルニアって昼と夜の温度差が激しいんですよね。これが日本との大きな違いで、そこから来る感覚と認識の違いだと思うんです。
    ここLAで、朝起きたときのひんやりとした空気。これを日本で経験したら、「ああ、今日は肌寒い日なんだな」と心の準備をして、上着を着込んで出かけるはず。でもLAだと、「今は寒いけど、昼は暑くなる」って経験から良く知っていて、朝から平気でTシャツで出かけてしまう。この「すぐ暑くなるから大丈夫」っていう認識の差では、と思ってるんですがどうでしょうね・・・。
    そうそう、「水を飲め」はみんないいますねー。こっちで「頭が痛い」っていうと「水飲んでないでしょう?」って言われませんか?あれ、最初私は「頭痛と水に何の関係があるのよ」と思ってましたが、最近ではすっかり影響されて、頭が痛いとすぐお水をごくごく飲んでしまいます・・・気のせいかそれで頭痛が治ったり・・・。慣れって恐ろしいですね。

  4. タツヤさん、浴槽浅すぎますねー。ほとんど横たわった状態で入ってたり、それに栓がゆるくてどんどんお湯が減っていったりね。納得いきませんね。
    日本人が多いここLAでは、ときどき、お風呂だけ日本式にして家を作ってる人がいて、見かけるとすっごくうらやましいです。トイレなんかくっついてなくて、ちゃんと洗い場があって、それも広さだけはアメリカ風に広々してるんですよ。アメリカの家に日本の風呂、もう理想ですよね〜。
    冷房ガンガン、わかります。うちの会社は小さい会議室なんて、ときどき「スーパーの生肉を管理しておく冷蔵室」みたいな状態になってます。寒すぎて口がうまく動かず通訳ができなかったりします。
    でも、車移動っていうのもたしかにそのとおりなんですよね、日本はふきっさらしのプラットフォームで電車を待ち、駅から歩いて家まで帰るんですものね。もしお風呂文化をアメリカで推進するとしたら、まずNYとシカゴからですね。

  5. Tamamiさん、その「頭痛には水を飲め」って私もずっと不思議でした!で、私も水を飲んでます。笑

    うちの旦那もそうなんですけど、気圧の変化でも頭痛が起こるそうです。彼は高気圧が入ってくる時、私は低気圧が入ってくる時に軽い頭痛が起こります。(面倒くさい夫婦・・・)
    たぶん血管内と体外の圧力の変化から頭痛が起こるんじゃないかと思ってますが・・・・。これも水を飲んだら良くなります。
    あとは、ただ単に脱水症状で頭が痛くなることもありますしね。特にお酒やコーヒーを飲む方はお水もそれ以上、飲むべきだそうですよ。

    って冷えのネタから遠ざかりました・・・汗

  6. あ、水を飲むのは基本ですよ~。私も頭痛がおこりそうなときは、水を多めにのんでます。で、やっぱり治るんですよね~。山に登るとき高山病の予防としても、やっぱり十分な水分補給をしろって言われます。カリフォルニアみたいに乾燥しているところだと、日常的に脱水症状気味になってる人、多いと思います。汗かかなくても、呼気からも水分がでてっちゃうから。Stay dehydratedって健康でいるためにすごく重要だと思います。だって体の中で起こる化学反応とか、すべて水を介して行われてるんですよねぇ。水が足りなきゃ体調が悪くなるはずだ。←って思って、いつも水を飲むことを意識してます。日本は湿度が高いからあまり気にしないのかな?でも冬は脱水症状気味になるって、どっかで読んだから、やっぱり日本でも「水を飲む」ってのもっとはやらせたほうがいいですね。
    冷え性は・・・普段運動してると代謝が上がって、私は平気かな。Tamiさん、カーヴィダンスで冷え性も治るかもね。

  7. 日本で水を飲め飲め言わないのはやっぱり湿気のおかげですかね。日本人の肌がきれいなのもそのせいかな。私もカリフォルニア生活が長くなり、常に水のボトルを持っていないと不安ですが、ときどき友人や家族が遊びに来てくれて、「ホテルに戻る前に大きな水のボトルを買っておいたほうがいいよ」と言っても、「あ、飛行機で出た残りがあるから大丈夫」とかちいさーいボトルで一晩過ごそうとしていて「そんなんじゃ絶対たりないよ!」と思うんだけど、実際本人たちはそれだけで平気そうにしてるんですよね。
    カーヴィダンスがんばりまーす!

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