日本人学生がフレンズに来たよ

海外での学位取得を目指すのではなく、出身国の大学に籍を置きつつ、休学なり休みを利用して短期留学する、「Study Abroad(スタディ・アブロード)」。

世界的に大学生間で流行っているらしい最近は、ぼくの元にも、この「一ヶ月から一年単位が一般的」な課程についての問い合わせが増加している。

そんな中、(個人的に念願であった)日本人学生男女二人を我が職場・フレンズにやっと迎えることができた。

一年間当校に通う流れになった、(日本人なら知らない人はほぼいない、T大学、J大学在籍である)とても優秀な彼ら、Yくん、Yちゃんが8月9-10日の週末にウィチタ到着。

それでも、他の生徒の相手で忙しく挨拶のみで若干疎遠だったため、少し経ってから声かける。

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俺「んで、どうよ。」

Yくん「飛行機の便が天候不良でキャンセルになって…」

Yちゃん「格安チケットで来たら、旅程が激しくて時差ボケが…」

トラブルで始まる留学は、「もう上がるしかない」ものなので、「おー、ここから来るよー」と励ましてみる。

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俺「…てかさ、韓国人のお店にでも買い出しに行く?」

(あんなに普段「留学は英語のみでにゃきゃイカン!」とか言ってるくせに…)

Yくん・Yちゃん「はい!」

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結構細かく組まれた新入生オリエンテーション(説明会)時間割の合間に予定を合わせ、土曜朝9時、日本人三人で繰り出す。

 

「おはゃーござーすッ」

ノリが若干体育会系で俺好みの朝一番。

 

ちょろちょろ車内で話しながら店に着いたら、まだ開店してなくて、店員のおばちゃんの一人もまだ中に入れず外で煙草吸いながら、こっち見て笑ってるし。

仕方ないので、「彼らがまだ見ていないウィチタ」内のドライブに急遽変更。

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「ここがほにゃららでさ…」

オジちゃん、何とか30分間を潰して再度来店。

 

よしよし、今度は開いてた。

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まだアメリカに来たばかりで、何が「一人暮らし」に必要かをあまり把握できてないため、買い物の内容の決定にも中々楽しくも苦労してる様子だが、やはりアジア系のお店で見かける「若干見慣れた」食品に少し嬉しそう。

てか、到着して一週間だが、やはり緊張感と不安感とかがあるのだろうな。

なんか、日本で見かけても反応しなさそうな物を見ても、キャーキャー盛り上がる。

 

「一平ちゃん」を見たYくん、「うぉッ」と手にとって買い物カゴに放り込む。

若いから(20歳ッ!)、寮の晩御飯後にまたお腹が減るらしい。

キャンパスのアパートに住むYちゃんは、「まだまだ暑いのでソーメンでさっぱり行きたい」とか蕎麦ツユ買ってる。

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俺「言ったら、ここで作ってるキムチ・ナムル試食できるよ?」

Yちゃん「今朝、ごはん食べてきてないですぅ。」

俺「え、マジで。言ってよー」

 

適当にお店のオバちゃんに注文を済ませ、買い物をしばし続行。

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着席してご飯を食べながら、少し落ち着きだしたところで、最近の日本の大学生が何を思って何を考えているのかを根掘り葉掘り聞けることができた。

話題の中心は就活。

この二人は所謂有名校に入ってるから、受験戦争を生き残る苦労はもちろんあったのだろうけど、無論そこで「競走」が終わり、「あー良かった良かった、めでたしめでたし」という訳ではなく…

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「大学四年生の四月開始」となった最近の就活。相変わらず「横一列が好きな国だな」とか首を傾げながら聞き入ると、在学中のインターンはもちろん、入試試験に「英検・TOEIC」以外の英語テストを加える流れ、早期の離職率の高さ、「有名大手へ就職しないと、もう先はない」という脅しのような発破をかける風潮、ブラック企業の増加などなど、「求められるもの」「注意しなくてはいけない事項」が果てしなく多い。

「英語英語」と横一列にプレッシャーをかける割に、入社後担当する仕事・作業に言語力が関係する保障があるわけでもなく、その仕事を評価する「上」に必ずしも「通じる・使える英語力」があるわけではない理不尽さ。

「これをしないと人生終わるよ」という脅しに近い表現で若い世代を追い込む先では、「これはこうでないといけない」という潔癖症で完璧主義な人生観・価値観で縛られた社会が波を渦巻いて待っている。これまた、この「波」に乗れないと「終わるよ」という展開。

今は小学校から競争だけど、「勉強ができる」「高学歴だから」と言って、後々社会出てから順当に順応して上手く機能する保障はない。

「そんなことやってたら食っていけないから」と寄り道させてあげたり、「好きなことを追求して、合う仕事を納得して見つけるまで転々してもいいんでない」という余裕などは与えない。

「新卒」という、就活の「旬」を逃したら「はい、終わり」。

昔から基本的に勉強は苦手で、時代は違えと日本での受験戦争からの逃げて渡米したような小生には、「だから、こうせよ」という気の利いた助言も政治参加も、情けないことに何も無いのだが、Yくん、Yちゃんのほぼ倍の年齢なオジちゃんは物凄い考えさせられた。

なんとも距離を置いた、他人事な反応だが、「大変だな」と。

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いよいよ授業が始まった先週の彼ら。

 

また声かける。

 

俺「んで、どうよ。」

Yちゃん「なんか、宿題が想像よりも多くて大変なんですけど、どれも面白くて…」

Yくん「(英語が)聞き取れなくてやばいんですけど…あと予習が膨大過ぎて…でも頑張りまっす。」

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微力ながらお手伝いする機会を得た、向こう一年間の僕。

「日本人同士だと、何か逆に気を使うな」なんて(苦笑)、来る前は少し緊張してたが、Yちゃん、Yくん、フレンズに来てくれて本当にありがとう。

彼らが、「海外ならではの不自由さ」や「言葉がうまく通じない」「周囲が全員外人(ネット以外で日本語に触れられない)」というフレンズの環境を経て、少しでも「切り開く」感覚を培い、その「日本の縛り」から開放されるキッカケを得られ、「ま、地味に楽しかったかも」という一言と経験を胸に帰国できれば、これ幸い。

ちなみに、最初の2週間を経て、すでにアメリカ人生徒から「Yちゃん、Yくんと会ったよ、いいねー」と物凄い声かけられたので、ネイティブの友達作りには困ってない模様(会話成立はまた別の話だろうが)。

次回は中西部名物BBQからぁ、本場のアメリカンサイズのハンバーガーで肉汁三昧だな、こりゃ。

踏ん張れ、日本の若人!

FriendsPhoto courtesy of Friends University, Wichita, Kan. 

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4 comments on “日本人学生がフレンズに来たよ”

  1. フレンズ大学、懐かしや。
    私はフレンズ最初の日本人留学生です。もう30年余り前になりますが。
    当時の校長は確かMr.Feix.
    兎に角最初で、一人の日本人だったのでとても大事にしてもらいました。ありがとうございました。随分様子も変わっている様ですね。

  2. Yukoさん、
    ご拝読どうもありがとうございますッ!
    大先輩ではないですか。

    僕も入学した年は、たった一人の留学生で、とても大切にしていただきました。いい思い出ばかりです。

    どういう経緯であそこになられたのか興味がありますが…

  3. その質問、当時何十回も聞かれました。テストに合格すると奨学金を頂いて留学出来ると言う話を聞きまして長崎から東京へ。無事合格でフレンズを紹介されました。9月編入で(長崎の短大卒での単位を持って)一年で帰るつもりでしたが、是非卒業まで、と言われ二年在学して卒業させてもらいました。

  4. 素晴らしいですね。てか、僕も今では同じ質問に答えていますが、なんか皆さん優しいのは時代に関係ないようですね。

    今でも、まだまだ平和なWichitaです。

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