アメリカの迷走 “Occupy Wall Street”

“Occupy Wall Street”、日本語で「ウォール街を占拠せよ」(日本語のwikipediaはこちら)。

 

9月17日からニューヨークのウォールストリートで始まった、デモンストレーション(デモ)活動は、アメリカ各地にも広がり、今や世界各地でも行われているそうです。

最初のニューヨークタイムズの記事。
Wall Street Protest Begins, With Demonstrators Blocked

 

このデモ活動の目的は、アメリカの富裕層(トップ1%)が優遇されていることを批判し、残り99%の中級〜貧困層への仕事を増やすことで、活動に参加しているのは、主に若者のアメリカ人男性で、リーマンショック後の不況の影響を受けて、仕事を失った人たち。

 

大手金融機関がずらっと並ぶウォールストリート近くにある公園や、道ばたに座り込んだり、テントを張って寝泊まりしています。今月に入ってからは、テキサスや、カリフォルニアでも同じ活動が行われるようになりました。

 

ニューヨーク市長のブルームバーグは、このデモ活動を辞めさせるための特別な措置をとることは考えていないようで、汚された道や公園をきれいにするのは市の職員だったり、警備にあたる警察官もこのデモにまだまだ費やされるようです。

 

ここサンディエゴでも、先週から、ダウンタウンにある市役所前の広場にテントが張られ、市内から活動に参加する人が集まってきているようです。”Occupy San Diego”と書かれたチラシが、トロリーの駅などに貼られていました。

木曜日には、活動が白熱したのか、駐車場の数階から飛び降りた人がいたそう。どうなったのかはわかりませんが・・・。

金曜日に、私がランチを食べに出かけるのに、市役所前を通りかかったところ、テントは全て撤去され、何やら盛り上がっていた参加者の周りには、ずらっとニュースクルーと警備にあたる警察が囲んでいました。

 

 

この活動について、多くのアメリカ人は疑問を持っているようです。

というのも、

・これと言って、まとめるリーダーがいない

・デモの主旨がよくわからない

・参加者にホームレスや、長期の無職歴がある人間が多い(今回の不況に関わらず、仕事のない人が含まれ過ぎ)

 

などから、活動自体に「影響力がない」と思っているようです。

それに加えて、警察官や清掃などにあたる人件費は、もちろん税金から来ているわけで、デモに参加していない納税者はかなり迷惑をしているよう。

 

私も個人的には、大統領が行おうとしていた富裕層への増税には賛成でしたし、法案をいつまでたっても通過させない議会にはイライラしています。

だけど、このデモ活動だけを見ると、活動自体に、なんとも「迷走」している感が拭えません。

「この気持ちをどこかにぶつけたいんだけど、どうも的があってない・・・」みたいな。

 

「この気持ちをぶつけたい」というのはわかります。

もちろん暴力的な方法は良くないですが、自己主張が許される国であれば、声を挙げるべきだと私は思います。

しかし、どんなことにも「やり方」というのはあって、人に受け入れられてポジティブな影響を与えられなければ、無意味だと思うんです。

それがこのデモ活動にはおそらく欠けている。

 

この活動の行方がどうなるかわかりませんが、どうか暴力的にならないことを祈るのみです。そして、警備などにあたる警察の方たちに、感謝したいと思います。

 

 

このデモ活動を批判する声として、こんな写真をFacebookで見つけました。

 

 

書いてある内容は、

 

「私は卒業目前の大学4年生で、借金は全くありません。

自分の生活費は、週30時間以上働いて、最低賃金よりわずかに上の収入でまかなっています。

授業料はそんなに高くない州立の大学を選び、17歳の時から学費を貯め始めました。

高校の時から成績はまぁまぁで、現在の学費の90%を払ってもらえる奨学金を2つもらいました。

現在のGPAは3.8です。(100点中95点)

今は安いアパートで、欲しいものは全て手に入らないと理解しながら暮らしています。

外食だって、月に一度もしません。

クレジットカードも、新しい車も、iPadもスマートフォンだって持っていませんが、そんなことは気になりません。

もし私が借金をしていたとしても、自分の間違った選択をウォールストリートや政府に責めることはしません。

自分自身の将来のために、こうやって質素な暮らしをしているのです。

だから、誰かに何かを与えられることなんて期待していないし、これからももっともっと一生懸命働くだけです。そうでしょ?

私は99%(非富裕層)じゃありません。

あなたが99%かどうかなんて、「あなたが」決めることです。」

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2 comments on “アメリカの迷走 “Occupy Wall Street””

  1. ウォールストリート周辺は、交通が規制されていたり、ものすごい人たちなので、私は近づいていませんが、物好きの友人が見に行ったところ、群衆の半分は、野次馬、そしてデモを利用した目立ちたがり屋だったということです。先週末、タイムズスクエアでも、デモがあり、逮捕者が出たそうですが、これも目的が明確ではなく、ただ単に騒いでいるという感じを受けました。この騒動はいつまで続くのでしょうか。

  2. Ayaさん

    大変なお祭り騒ぎですね・・・。
    私はなんとなく、「寒くなったら終わるだろう」と思ってます。笑
    家族がいる人は家に帰るだろうし、これからサンクスギビングやクリスマスもあります。

    効果的な結果がでない活動は長続きしません。どうなるでしょうかね?

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