シークレット・サンタ

クリスマス前のこの時期になると、いつも人々の心を温かくさせる存在、「シークレット・サンタ」が現れます。

 

「シークレット・サンタ」とは、仲間内でクリスマスプレゼントを贈りあうゲームでもありますが(こないだのホワイト・エレファントとはまたちょっと違います)、今回は、匿名の人物が、サンタクロースの名前を使って、道行く全く見知らぬ人にサプライズでクリスマスプレゼントをあげる存在のこと。

 

これも前回の記事で書いたように、「ある人がない人に与える」精神から始まったようです。

 

もちろん匿名なので、誰がどうしてこんなことをするのかまったくわかりません。

 

(クリスマス前のサプライズに泣く女性:これは2006年のMSNBCの記事から)

 

 

ミズーリ州ジョプリンでは、サルベーション・アーミーという団体が行う寄付活動(Salvation Army Kettle)に、50,000ドル(400万円)のチェックを入れていった人物がいたそう。

どうやらこの人物は、去年も同様に多額の現金を同じ方法で寄付しているようで、kettleの横にいるベルを鳴らす人に素性を知らせないようにお願いしているとか。

(記事: “Mystery Santa Drops $50,000 in Salvation Army Kettle”)

 

 

 

アリゾナ州フェニックスでは警官や退職したFBIエージェントに付き添われて、シークレット・サンタ達がウェイトレスや 盲目の人たち、戦地から帰ってきた軍人たちに100ドル紙幣を手渡したとか。その額はなんと合計で40,000ドル。

ダイナーでウェイトレスとして働いていた女性は、このサプライズに涙が止まらなかったそう。彼女には3人の子供がおり、ご主人はステージ4の大腸がんを患っているそうです。

(記事: “Secret Santas Hand out 40K in Arizona”

(以下抜粋)

The practice’s origin dates back to 1971, when a homeless man named Larry Stewart was so hungry he ordered a breakfast he could not pay for and then pretended he had lost his wallet. The owner of the diner produced a $20 bill from under Stewart’s stool and said, “Son, you must have dropped this.”

By 1979 Stewart was successful in business in Kansas City and in a position to return the kindness, so he began distributing money to needy people. Stewart died in 2007.

 

(以下訳)

このシークレット・サンタのしきたりは1971年に始まりました。

ラリー・ステュワートというホームレスの男性が、空腹で朝食をとりにあるダイナーに入ったそうです。もちろん所持金はなく、そこで財布を紛失したというふりをしました。ダイナーのオーナーは、ステュワートの椅子の下から20ドル紙幣を取り出し、「これ、あんたが落としたんじゃないか?」と言ったそう。

1979年にはこのステュワートはカンザスシティでビジネスが成功し、そのこの時のお礼として道行く人々にお金を手渡し始めました。彼は2007年に亡くなったそうです

 

最後は、ミシガン州のある町で、「レイアウェイ」商品の料金を、代わりに支払う女性が現れたとか。

(記事: “Secret Santa Pays for Families’ Layaway Christmas Presents”)

レイアウェイとは、商品の分割払い方法で、全額を支払った後に商品が手に入るというシステム。ローンとは違い、支払いが完了しなければ商品が手に入らないので、クレジットカードの返済に困るということはありません。

そこで、ミシガン州のあるK-Martに現れた女性が、そのお店のレイアウェイリストから、「おもちゃ」の商品をピックアップし、合計約500ドルを代わりに支払ってあげたそう。

息子へのクリスマスプレゼントとして、商品をレイアウェイで購入した女性は、残額が190ドルから10ドルになったことをK-Martから知らされ、本当に驚いたと同時に、感謝の気持ちでいっぱいだそうです。

 

 

アメリカでは”Occupy”活動や金融機関叩きなど、富裕層を批判する動きが目立ちますが、こうやって少しでも富を還元している人もいるわけです。

ほとんどの人は、過去に「与えられた」経験のある人が多いのではないでしょうか。

他人のgenerosity(寛大さ)に触れ、その力強さに気づく。

そして自分もその一部として、過去のお返しとして他の人に与えたいと思う。

 

しかも、目立たないようにサンタを装って与える、というところがなんとも良い。(サンタだったら、逆に目立つか。笑)

 

こういうニュースを聞くと、心が温まると同時に、世の中も捨てたもんじゃないな~と思うのですが、みなさんはどうでしょうか?

 

 

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2 comments on “シークレット・サンタ”

  1. これ、ものすごくアメリカ的だなぁと感じるんですよ。

    アメリカって、奉仕精神が旺盛な文化なんですね。困っている人がいたら、それを助けてあげる人が多い。もちろん見て見ぬふりをする人もいますけどね。

    たとえば、街角でホームレスをたくさん見ます。そんなホームレスのために暖かい場所を用意して、さらに食事も提供する。心が温まる話です。でも、ある人たちから言わせると、これは、税金の無駄遣いだとか。その人たちは、日本人であったり、韓国人であったり、他人種であることが多いですね。

    交差点に立っているホームレスにお金を上げたり、食べ物を上げたりするのは、アメリカ人が多いですね。

    ちなみにうちの子供たちも、何のためらいも無くホームレスにお金を寄付します。おそらく学校でそのような教育がされているんだと思います。

  2. 若い人でも、ホームレスや貧困層を「これも自分たちの国の一部だ」と捉えている人が多いと思います。自分の生活があればいい、と思わないんですね。

    ホームレスの人たちが自立するための施設やトレーニングも幅広くあり、現実にこうやって成功して戻ってくる人が多いのは、さすが成り上がりの国だな~と思いますね。

    学校でもそういう教育がされているなんて素晴らしいです。

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