Let me make my point!

最近、英会話って難しいなぁ、と思います。

もちろん、相手の言ってることが聞き取れないとか、単語がわからないということはもうほとんどないのですが、大勢で話しているときなど、うまく会話の流れに乗るのって難しいな、と今でも思います。

最初に前提条件として書いておきますが、私は日本語・英語に関係なく、大勢での会話があまり得意ではありません。1対1のときではなんともないのに、大勢になると発話タイミングがつかめなくて、全然話せなくなることもあります。

会話には、語学力とはまた別に、性格やコミュニケーション力が深く関わってきます。英日の語学レベルが同じくらいであれば、日本語で饒舌な人は英語でも饒舌だし、シャイな人はどちらでも口数が少なくなるはずです。

コミュニケーション力が高い人は英語力そのものと関係なく、けっこう上手に会話に参加しますね。

私の夫が良い例で、彼の日本語力と私の英語力をくらべたら、明らかに私の英語力のほうが上なのですが、彼は日本人たちと臆せずペラペラしゃべります。私なんかは性格的に「こんなふうに外国人がゆっくり話すのを聞いてもらうのは申し訳ない」なんて変な気を使ってしまってあまり発言できなかったりします。

さて、私が英語の会話が難しいと感じるのは、彼らの会話スタイルというのか、会話の全体の流れが日本語の会話と根本的に違うからです。

なかでも今回は「発話タイミング」にフォーカスしてみたいと思います。

日本人同士が日本語で話すときは、基本的に相手が最後まで話し終わるのを待ち、0.1秒ほど待って、相手が話し終えたことを確認してから自分が話し始めます。

これは日本人であればみんな無意識に行っていることだと思います。

もちろん、相手がまだ話中なのにさえぎって自分が話し始める場合もあるのですが、その場合も相手の言っていることが一区切りついて、あるひとかたまりの意味というか、結論が出た時点で遮るはずです。

これに比べて、英語での会話は、わりとお互いに発言の終わりのほうを遮って、半分重なりながら会話が進むことが多いのです。

相手がしゃべってるのに自分が遮るのは、日本語の場合とても失礼なような気がしてしまうのですが、英語ネイティブ同士にはどうも、遮っても良いポイントが自然に見極められるらしいのです。

そして遮ったからと言って残りの部分を聞いてないわけじゃなくて、話しながらも残りを聞いています。先に話し始めたほうも、遮った相手の話を聞きながら自分の発言をしめくくります。そうやって会話が続きます。

これは、英語の文章の構造によるものかもしれません。

一般的に英語はまず結論を言って、そのあと理由や具体例を挙げるという傾向があります。

否定文や疑問文にしても、最初に「Don’t」が入っていたり、「Do you…?」などと始めるので、聞くほうは最初からそれが否定文や疑問文であることがわかります。これに対して日本語は長ーい文章の最後の最後に「・・・・ではありません」とか「・・・・なんでしょうか?」などと、どんでん返しになる可能性があるため、最後まで聞かないとわからないのが特徴です。(非常に、同時通訳者泣かせです。)

しかし、そのような単純な一文だけではなくて、ひとつのまとまった話の構造としても、日本語だと、

「こうで、こうで、こうだったんだよ。それで、こうだったんだけどね・・・なんと、こうだったんだよ!」

と、最後にオチがつくことが多い。

これが英語の場合、

「なんと、こうだったんだよ!それはね、こうで、こうで、こうだったから・・・」

という順番になるので、いそいで自分の意見を述べたい人は、最初の「こうだったんだよ!」のすぐあとに遮っても支障がないわけです。

*あくまで、よくある例と一般的な傾向の話です。すべての会話がこうというわけではありません。英語でも、最後にオチを持ってくることはよくあります。

私がこのことに最初に気がついたのは、日本に住む弟と、私の夫と、3人で話していたときのことです。

弟の話を2人で聞いていて、最後の「それでね、なんと」のオチの直前で、夫が堂々と自分の意見を話し始めたのです。

ここからが本題、弟の言いたかったことは、このあとを聞かないと何もわからない、というポイントで夫の話に切り替わってしまったわけえす。

これには弟もびっくり、私もこれではあまりにも弟がかわいそう、と思い、夫に

「待って!弟はまだ話し終わってないよ、もうちょっと聞いて」

と言ってしまいました。

夫は、日常会話の日本語ならほとんど問題のないレベルの、いわゆる日本語ペラペラのアメリカ人です。そのときの弟の話を理解していなかったわけじゃないのです。

それでも、日本語会話独特の会話のリズムや流れに慣れていないと、こんなに話のポイントをつかむのが難しいんだなぁ、とそのとき思いました。

さて、英語の会話です。

私は夫の実家に行くと、なかなか会話に参加することができません。

私が会話の中心で誰かが私に質問をしたときなどは、ちゃんと受け答えできるし、しばらくキャッチボールが続くものの、またあっというまに彼らの怒涛の早口英語に飲み込まれて参加できなくなります。

最初に書いたように、これは性格も多分に関係しているのです。私がもっと積極的な性格だったら、周囲がどう思おうと気にせず会話にしがみついていくのかもしれません。

が、私にとって難しいのはやはり発話タイミングなのです。

誰かがしゃべっていて、それに対して「自分の意見を言いたい」と思っても、つい日本語のときのように相手が完全に話し終えるまで待ってしまいます。

すると必ず誰かが途中で遮って話し始めます。今度はそれに対して何か言いたくなるのですが、やっぱり話し終える前に他の誰かが遮って話し出します。その人をまた誰かが遮る。また誰かが遮る・・・

こうやって延々と待ち続け、時間がたち、結局ディナーの最初から最後まで、私が発言したのは「すみません、パンをとっていただけますか」の一言だけだったりします(笑)

では私もかまわず相手を遮って話し始めればいいのですが、この遮るタイミングというのがどうしても見極められないのです。

ときどき、相手が何か言葉を度忘れして「Uh…」などと止まってるときがあるので、じゃあ今か?と思っても、その場合は案外と他のみんなもじっと黙って待っていたりします。やはり、いつでも遮っていいというわけではなさそうです。

この疑問を夫にぶつけてみると、夫はちょっと考えてから、英語ネイティブは、いきなり遮るのではなくて「今から遮るよ。何か言いたいことがあるよ」というサインを無言で出している、と言いました。

それは、発言しようとして息を吸い込んだり、口を少しあけて指を一本立てたり、小声で「But…」と言ったり、といったサインのようです。

なかなか深いですよね。

その夫が、日本人グループの会話に1人で参加するときに、ちょっと私にとっては困惑する状況に陥ることがあります。

それは、全員が注目する中で夫が1人、延々とスピーチのように話し続けてしまう、という状況です。

奥さんの私としては、「ちょっとちょっと、何1人で話してるの、早く切り上げて」と夫に言いたくなり、他のみんなには「この人、聞いてるといつまでも話すから適当に無視して~」と言いたくなってしまいます。

どうしてこうなってしまうのか?というと、夫はおそらく、誰も遮らないからずっと話しているんです。みんながじーっと注目しているから、きっとみんなすごく興味を持って自分の話を聞いているんだと勘違いして、さらに熱をこめて話してしまいます。

でも、違うのです。日本人はただ、相手の発言が終わるのを「待っている」のです。まだかまだかと思いながら、終わって自分の発言の番が来るのを待っているのです・・・。

夫と英語で話していると、夫はよく私の話を遮りますが、私はその時点でまだ自分の話のポイントを伝えていない、と感じることがときどきあります。

そういうときは、大声で

「Wait! Let me finish first」とか、「Let me make my point!」と叫びます。

私と夫が口論を始めると、こうやって「ちゃんと聞いて、遮らないで」という言葉の連発になってしまいます。

おそらく、私は英語でしゃべっているものの、思考や意見のかたまりが日本語の構造のままになっているので、なかなか先にポイントを簡潔に伝えられないのでしょう。

夫の家族と頻繁に会うホリデーシーズンにはまだ半年ほどありますが、それまでの間にこの大勢での英会話に参加するスキルが身につくよう、「まずは最初に結論を簡潔に言う」練習をしたいと思います。

たとえば、反対意見を言う場合、「But…」と小さく言い始めてあれこれ説明するよりも、まずは

「I have a different opinion!」とか、「Oh, I disagree!」など言い切ってしまうなど。まあ、日本人嫁の私は反対意見を言うこと自体がなかなか勇気がいるのですが・・・夫の家族は、兄の奥さんも含め、堂々と反対意見を言い合って熱く議論しています。

そして、もし周囲に日本語ペラペラアメリカ人がいたら、「大勢の日本人と話すときは、自分の言いたいことを言い終わったらちょっと黙ってみてね。他の人が話す順番を待ってるかもしれないから」とアドバイスしてあげると、役立つかもしれません・・・。 

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4 comments on “Let me make my point!”

  1. よく、日本のコミュニケーションは「ボウリング」で、アメリカのコミュニケーションは「バレーボール」だと例えられるの、聞いたことあります?
    ボウリングは、一人が投げるのを他の全員が見ている。
    バレーボールは、一つのボールをあちこちにポンポンと回す。欲しい人が進んで受け取りに行ったりもしますよね。コミュニケーションもそうらしいです。

    私も会話に入るタイミングは難しいな〜と思いますね。
    ちょっと遅れてしまって波に乗れず、みんなの注目を集めすぎちゃうことも・・・大した発言じゃないのに、恥ずかしい限りです。発言のリズムってありますよね。

  2. 読んで、「あるあるある!」と同感しました~ 私が話し出すタイミングを見計らっているうちに話題が変わり意見を言うきっかけを失ったり、日本人の友達と一緒にいる時にアメリカ人旦那の独壇場になったり なるほど、と納得でした
    このお話を参考に、何とか遮るタイミングが掴めるようになりたいものです!

  3. Erinaさん、ボウリングとバレーボールの例え、すごくよくわかります!!私が英語の会話にうまく乗れないときって、みんながバレーボールしてるのに1人でボウリングをしてるからなんですね。バレーボールが地面に着地するのを待ってしまうからいけないんですね。さっと走って自分が受けないと・・・。このタイミングが難しいんですよねぇ。
    タイミングのがして、大した発言じゃないのに注目集めてしまう、ってよーくわかります。自分としては、相槌のようにさっと言いたかったことを、大きな発言のように扱われてしまうんですよね。やっぱり言い出すタイミングとか微妙なジェスチャーが間違ってるのかなぁ・・・。

  4. Eriさん、コメントありがとうございます!
    同感していただけるかたがいて嬉しいです。
    私なりに考えたタイミング見極め練習法としては、自分が参加しなくても良い会話、例えばラジオの複数のコメンテーターの会話などを毎日聞くとか・・・?そして自分も会話に参加するような気持ちで発言してみるとか?横で誰かが聞いていたらへんな人だと思われてしまうかもしれないけど(笑)
    お互い頑張りましょう♪

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