ポートランドの名物本屋さん Powell’s Books

引き続きポートランドの話です。

ポートランドの名物と化している本屋さん、「Powell’s Books」。

アメリカでも日本でも、オンラインショッピングや電子化の波に押されて書店が次々と姿を消しているそうです。アメリカではあの大手Bordersでさえ破産してしまいました。

そんな時世に、Powell’sは力強くその存在感を示し続けています。

なぜ名物なのかというと、まずその広さと独特の空間。

68,000平方フィート(6,300 m2)とただ面積が広いというだけではなく、建物の中が地図を手にしていないと迷子になりそうな、ちょっと複雑な構造になっているのです。

エントランスとレジのコーナーは明るく開放感があるのですが、そこを抜けて本が並ぶエリアに足を踏み入れると、突然本のジャングルに迷い込んだような気分になります。

OregonLives.com

階段の途中にもフロアがあって、その奥にもなにやら別の空間が広がっているし、右手にも左手にも先の見えない奥深い本のジャングルが・・・
こういう本屋さんの雰囲気に、子供のころから読書好きだった人々は心が躍るのではないでしょうか。私もこのPowell’sにやってくるたび、まだ電子媒体なんて存在しなかった昔、日本の大きな書店をうろうろして何時間でも過ごすことのできた頃を思い出します。

Powell’sの在庫はざっと400万冊ほどだそうです。その中には古本や希少本も含まれます。ありとあらゆる分野の本が存在し、雰囲気はジャングルか迷宮のようですが、きちんと色分けされわかりやすく整理されています。

また、外国語の本もたくさんとりあつかっていて、日本語のコーナーもあります。
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大きな棚二つ分が日本語の本で埋まっています。

中身を見てみると、80年代の古本が多く目に付きます。ごく最近の本もありますが少数。Powell’sは古本の買取もしているので、おそらくポートランド在住の日本人が持ち込んだ本が中心なのでしょう。

価格は安く、文庫本もハードカバーも数ドルで買えるので、掘り出し物があればとてもお買い得。私は今回は、子供の頃家にあってとても印象深く覚えていた小学校低学年向けの本を、子供のために買いました。

すでに絶版になっていて日本国内では買えない本ですが、ここアメリカのポートランドで再会できるなんて不思議な感じです。

オンラインで手軽に本を買ったり、電子書籍を利用するのもいいのですが、やはりこういう本との出会いはPowell’sのような書店ならではのもの。

ちなみに、Powell’sは決して古き良き時代の本屋さんのイメージにしがみついているわけではなく、オンラインで注文もできるし、Google Booksと提携もしているようです。そのような新しい試みも行われ、久しぶりに訪ねたPowell’sは相変わらず人でいっぱいでしたが、それでも、時代の流れで数年前に大規模なレイオフが行われたりもしているようです。

これからもPowell’sが人々に愛され続けること、Powell’sのような本屋を愛する人々がこれからもたくさんいることを願います。 

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2 comments on “ポートランドの名物本屋さん Powell’s Books”

  1. すごいすごい!いや~、サンディエゴにはないですね。

    こういう、「何が大切にされてるか」というのが、同じ国内でも町によって違うのって、面白いなと思います。
    それこそ、NYとか行けば「なんでもあり」なんでしょうけど、そうじゃなくミッドサイズの町で「これぞ!」と思えるものに出会えたら、その町がやっぱり好きになりますね。

    私も本屋は大好きで、日本では何時間も過ごしました。
    ポートランドに住んだら、私ここに居ついちゃいそう。

  2. Erinaさん、私もPowell’sってすごくポートランドらしいと思います。こういうお店が街に個性を与えるんですよね。

    書籍はすべてアマゾンで買うようになった、と言う人でも、古本だけは実際に古本屋でいろいろ見たい、って思うみたいなので、このPowell’sも古本が充実しているところが強みなのかもしれません。

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