Pronunciation(発音) より大事な Prosody (韻律)

今日は私が大学院時代に研究していた「Prosody」を簡単に紹介したいと思います。

Prosody、カタカナにすれば「プロソディ」という言葉、聞いたことがない人がほとんどではないでしょうか。言語研究や英語学習の世界ではよく使われる言葉です。

簡単に言うと、それぞれの言語に特有のリズムやイントネーションのことです。

わかりやすく説明するため、私はよく言語を歌に例えます。発音が「歌詞」だとしたら、プロソディは「メロディ」です。

どんな言語にも「メロディ」があります。音楽のメロディほど高低や強弱は激しくないものの、それぞれの言語独特のメロディ、リズム、スピードがあり、非常に音楽に近いものがあります。

大人になってからの外国語学習は、バラバラになった単語を先に覚えるせいか、文章全体のメロディ=プロソディがあまり重視されていないと思います。しかし実際には、どんなに発音が正確でも、プロソディが間違っていると全然通じないことすらあるという、非常に重要な要素です。

もちろん無意識のうちに「英語らしく話そう」として、英語学習者は英語のリズムやイントネーションをとりいれようとするのですが、その重要性をもっと意識的にとらえて学習にとりいれると、日本人の英語ははるかに伝わりやすくなるのではないかと私は思っています。

ちょっとお行儀悪いですが、食事中に口の中にいっぱい食べ物を入れたまま何か言うときなど、人は「プロソディ」をとても強調します。

口の中に何か入ったまま「おはよう!」と言えば、それは「おあおーー!」という風に聞こえるし、「ちょっとまってー」は「おっお、あっえ~」なんて感じに聞こえます。でも、大抵の場合、ちゃんと通じます。

よく知っている歌でも、メロディなしでただ「歌詞」を聞くより、歌詞がなくても「メロディ」を聴いたほうが、「あ、あの曲」と誰でもすぐわかると思います。それとまったく同じこと。発音が母音だけになっても、「プロソディ」があるから通じるのです。

逆に、「お」「は」「よ」「う」、それぞれの言葉の発音は正しくても、これを全然変なプロソディで「おーはー・・・よう?」などと言ったら、きっと他の人は何を言われたのかわからないことでしょう。さらに、口の中に食べ物が入った状態でプロソディをめちゃくちゃにしたら、本人がいくら「おはよう」と言ってるつもりでもまず誰にも通じません。

発音に自信がなく、さらにプロソディをまったく無視してしゃべるというのは、この状態に近いものがあるので、通じにくくて当然かもしれません。

発音も大事ながら、プロソディから先に取り込むことで、英語が通じやすく話しやすくなり、自信もついてくるのではないかと思います。

具体的な英語の文章に移ります。

とても単純な英語、たとえば、カフェでカプチーノを注文しようとして、

「Can I have a cappuccino?」

と言いたいときなど。

発音も難しくないし、中学校のとき勉強したような簡単な英語なのに、渡米したばかりのころ一度でわかってもらえず聞き返されたりしました。

思い返せば、生の英会話にあまり触れていない私はこの文章の「プロソディ」を知らなかった、聞きなれていなかった、あるいは「歌い慣れてなかった」んだと思います。

中学校で

「先生のあとに続いて繰り返しましょう」

と言われて繰り返したときの「プロソディ」は全然違いました。(それに飲み物は必ずA cup of…と言うように習いましたね・・・)

中学の英語のクラスでは

「Can I have a cappuccino?」

と、なぜか「I」が一番強調されて高い音になり、「Have」でがくんと下がり、「Cappuccino」の後半でまた上に上がります。

ではネイティブの場合はどうかというと、

「Can I have a cappuccino?」

と、音の高さでは「Have」が一番高くなり、同時に「Can I have」はひとつにまとめて一秒で素早く、音量も低く、「a」で一瞬ためて、最後の「Cappuccino」はややゆっくり、音量も高く、伝える意志を持ってはっきりと発音します。

そりゃそうですね、ウェイターにしてみればそこが重要な情報。「Can I have a」なんてあってもなくてもいい情報です。ただ重要な情報のまえに「これから注文しますよ」という予告を一瞬いれているという機能しかありません。

ところが日本の中学校のクラスでは(少なくとも私の場合)、リズムの強弱やスピードを早めたり緩めたりするポイントが全然違っていたので、

「Can I…」

の最初のところで一瞬「I」が強くなり、ウェイターが「ん?何か重要な情報があった?」とそっちに気を取られ、肝心な「Cappuccino」を聞き逃したりするわけです。

このように、音の高低、スピード、リズム、つまり「プロソディ」が非常に重要で、それが上手に出来ていたら、あとは「Have」の「ア」の音が「æ」になっていようと、「ʌ 」になってようと、相手の人の理解度に全然影響しないと思います。

さらに言うと、実際にカフェでオーダーしている人の様子を見ていると、オーダーの仕方で一番多いのは、「Can I have…?」よりも、

「I’d like a cappuccino please. Thanks!」

とか

「Can I get a cappuccino please? 」

などと言う言い方です。

Can I have…?という人がいないわけじゃありません。ただ、日本の英語学習の中では割とあとから「とても丁寧な言い方」として学ぶ「I would like to…」が、実際には非常に一般的な言い方として日常で使われるということを指摘しておきたいと思います。

もしかしたら、現代の日本の英語教育はそうなっていないかもしれませんが、私の場合は、あれだけTOEFLの勉強をして渡米して、最初にカフェで注文したとき「Can I….」以外の言い方はまったく思いつきませんでしたので。

この典型的な言い方の「プロソディ」を詳しく見ていくと、リズムとしては

というように、太字にしたところが音量も大きく、音の高低としても高く、スピードもわずかに遅くなります。そして太字にした上記3箇所が、音楽のリズムで

1、2、3

と均等になっています。

いきなり文頭ではなくて、一拍目が弱、二拍目が強、というように最初に一拍置くというリズムも英文には多いです。西洋の音楽もそういう始まり方が多いですね。

非常に細かいことを書きましたが、要は、言語を音楽のようにとらえ、歌詞(発音)だけでなくメロディ(プロソディ)を、音楽を聴いて覚えるように覚え、同じメロディで歌うつもりで話してみよう!ということです。

発音だけでなくプロソディも身につけると、とても自信を持って英語を話すことができるし、プロソディをまねるのは発音そのものを正確にするよりもずっと簡単です。日本人の苦手な「R」と「L」の違いなど、大人になってからどんなに頑張っても聞き分けることが難しかったりしますが(私なんかはもう、一生無理とあきらめてます)、音楽なら世界共通、歌詞は違っても同じメロディを世界中の誰もが歌えるはずですよね。

みなさんぜひ、音楽を聴くように言語にも耳を傾けてみてください。 

Pronunciation(発音) より大事な Prosody (韻律)” への10件のフィードバック

  1. なるほど〜こういう概念があったんですね!!
    実はちょうど私も、韻(rhyme)について書こうと思ってたんです。最近、子供たちがDr.Seussに興味津々で・・・笑

    このプロソディも初めて聞いたし、シラブル(音節)の存在もアメリカに来てからの英語の勉強で初めて知りました。日本では全く教えない英語の部分ですよね。
    感覚的なところもあるから、頭で考えるとかなり難しい。TOEFLの記事でも書いてらっしゃったように、「生の英語のシャワー」を浴びることでこれは身に付くものなのでしょうか。音楽は本を読んでも上手くならないですもんね。
    いやぁ、難しいな、英語の勉強。

  2. おー、これこれ。これですよ、日本人が学ばなきゃならないのは。どんな言葉にも独特のリズムがありますもんね。日本語のリズムと英語のリズムってのはまったく違います。

    発音がどんなに正しくても、通じないってことよくありますよね。逆に発音が悪いのによく通じる英語もあります。特にインド人。あれ、多分、彼らのリズムが英語のリズムに近いからじゃないかってよく思います。

  3. 私もプロソディって初めて聞きました。
    リズムとメロディ、大事ですね。

    Tamamiさんはご存じないかなぁ。古い英語教材で、「小林勝也のアメリ缶」というのがあったんですが。。。
    レベル的には旅行英会話+αくらいなんですが、フレーズを丸暗記して、それをリズムに乗せて最初はゆっくり、最後はかなりのアップテンポで言える様になるまでトレーニングをする、というものでした。プロソディに重点を置いた教材だったんですねぇ。私はこの教材のおかげで、大学時代にアメリカ初上陸したとき、自分の英語がすんなり通じました(英語で話す内容は大学生並でしたが)。アメリ缶さまさまです。

    TamamiさんがLとRの聞き分けをあきらめてる、なんて聞くとホッとします(笑)。私、絶対無理。

  4. 小林克也師匠とか(ウチの親父さんとか)、結構「戦後の楽しみは勉強だった」と米軍ラジオ放送を真似しまくって遊んでた世代の人って何か雰囲気が「それっぽくて何か上手い」人が多い気もします。

    ま、言葉を発する前に、頭の中で文章の組み立てができてやっと通じるみたいなことがあるので、そう単純でないのかも知れないですけど。

    このプロソディ、日本の英語教育にかなり早い段階で組み入れないと結局「英語の教師も喋れない」レベルで終わってしまいそうな…

    てか、マニアックな言葉は初めて聞きました。こういう内容、大好きっす。画像もマニアックで最高。こういうの書ける人、世の中に少ないと思われるので、もっともっとよろしくお願いしまっす(苦笑)。

  5. エリナさん、私もドクタースース大好きです。彼ユダヤ人なのですが、子供向けの形をとってなかなか哲学的な物語が非常にユダヤ教的な考えを反映していると思います。あのライムすごいですよね。たまに「これはちょっと苦しい・・・」みたいなのもあるけど(笑)
    英語のシャワーをただ延々と浴びるだけではなくて、たとえば好きな映画のセリフを丸ごと覚えるとかがいいかもしれないですね。子供ならどんどん吸収できるけど、大人は子供とは違うアプローチが必要だと思います。子供のやわらかい耳がうらやましい〜〜!!

  6. Masaさん、実はちょうど昨日、インド人の英語を通訳していて、アクセントがあるのにすっごい早口で、でもプロソディはちゃんと押さえてるな、と思いながら聞いていました。ほんと難しいんですよね、インド人の英語の通訳・・・。英語圏同士にはちゃんと通じるのに日本人にはすごくわかりにくいんです。
    インド人以外にも、移民してきて長いことこっちに住んでる人は、明らかに英語ネイティブじゃないとわかっても、プロソディがちゃんとできてると思います。

  7. Makiさん、アメリ缶ってそういう内容なんだ!!知らなかった。よく広告は目にしたけど・・・、それってまさにプロソディ英語習得法ですね!
    小林克也って一度も海外に住んだ経験なく、あの英語を身につけたんですよね。まさに音楽のように聴いて覚えた例ですねー。
    LとRも、aとtheも、完全にあきらめてまーす!!私の尊敬する通訳の師匠、通訳の世界で西海岸のドンと呼ばれたトップクラスの通訳ですが、彼女も「あきらめた」って言ってたからもういいんです(笑)
    口の形や舌の位置を頭でわかっているので発音はできるんですけど、見事に聞き分けられないので、いつも夫に「なんで言えるのにわからないのーー!?」と大ウケされてます・・・

  8. たつやさん、お父様もラジオを聴きまくってしゃべれるようになってしまった人なんですね。そのころ、無駄に学校のクラスとか他の教材がなかったのが良かったのかもしれませんね。
    プロソディの図なんですが、本当は音符で表したいんです。絶対できるはず。絶対音感のある人なら会話を聴いてさーっと音符で表現できるはずですよね。たつやさんならできる!いかがですか?

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