夫婦重視のアメリカ、親子重視の日本 - 前編

少し前のことですが、私と夫が子供をプリスクールにドロップしたあと、駐車場まで手をつないで歩いていたら、それを目撃した他の日本人ママがあとで 「Hanaさんたち手を繋いでたね!仲良いのねー!」と私に言ってくれました。そして「なんかラブラブな雰囲気だから、遠慮して話しかけなかったわ!」とも。

仲良さそうね!って言ってもらえて嬉しかったのですが、同時にちょっとびっくりしました。なぜかというと、私と夫にとって「手 を繋いで歩く」っていうのはごく日常的なことで、とくにそのときラブラブな雰囲気で盛り上がっていたわけでもないし、だいたい手を繋いでたことさえ意識し ていなくて、そのお友達に言われてはじめて「あれ、手繋いでたっけ?」と思い出そうとしたくらいだったからです。それがこのお友達には「あらら、仲良さそ うね、ちょっと遠慮しておきましょう」って思うくらい、特別な状態に見えたということが、私には新鮮な驚きでした。

そこで、日本人とアメリ カ人のご主人を持つ数人の奥様たちと、しばらく「手を繋ぐかどうか?」談義になりました。(プリスクールの仲間なのでみんな子供はいます。子供がいるかど うかで夫婦が手を繋ぐかどうかも変わってくるかもしれないので、ここでは子供のいる夫婦が、という前提での比較になるかもしれません。)

日本人の夫を持つ奥さんたちがみんな、「子供が生まれてからずっと手を繋いで歩いたりしてないよー」「いまさら恥ずかしくて手なんか繋げないわ」と口をそろ えて言ったので、これも私には新発見でした。私自身も純日本人ですが、結婚・出産・子育てを全部アメリカでやったので、結婚後の世界については日本の事情 がよくわかっていません。私の両親は日本人夫婦で、もちろん手を繋いでるのなんて見たことないですが、これは世代の違いで、いまどきの日本人の若い夫婦な ら、日本でも堂々と人前で手を繋いだりハグしたりするんじゃないかと勝手に想像していましたが、ちょっと違うのでしょうか。

たまたまそこに集まっていた数人の主婦だけでは統計にならないので、結婚後の夫婦が手をつなぐかどうか、について調査しているウェブサイトを探してみまし た。サンケイリビング新聞社が運営するミセス向けの情報サイト、「えるこみ」によると、主婦6085人にアンケートをとった結果は以下のとおりだそうです。

結婚1-4年目 5-14年目 15-24年目 25-44年目
つなぐ 65.4% 35.4% 27.5% 30.9%
つながない 34.6% 64.6% 72.5% 69.1%

上の数字を見ると、どうも結婚5年目くらいで「つながない」派がどーんと増えてそれまでと逆転するようです。

比較としてアメリカのデータも調べてみたかったのですがどうしても見つかりませんでした。やはり配偶者と手をつなぐことがあまりにも当たり前で、アンケートをとって調べるような対象ではないのだと思います。

日本の場合は「二人きりのときはいいけど、公の場では控える」などという回答がありますが、アメリカでは公の場でこそ手をつないだり腰に手をまわしたりしま すね。大統領もよくファーストレディと手をつないで歩く様子を写真にとられています。私の夫もパーティで大勢の人がいるときなど、ときどき「おっとっと、 仲良しアピールしなきゃ」とでも言うように突然肩を抱き寄せて、そのまま他の人と話したりしています。カップル単位でパーティに参加し、それぞれが仲良く 寄り添いながら談笑している、というのがパーティがいいかんじに盛り上がっている典型的な風景で、それに貢献しているという感じです。

そこで、日本人の夫を持つ奥さんが、「アメリカ人男性はいつまでもロマンチックでいいね」、と言ってくれたのですが、私はそうとも限らないんじゃないかな、と思いました。

たとえば・・・仮に、ある国に「女性は男性に3歩遅れてあるくべきだが、恋愛関係になると並んで歩く男女もいる」という文化があるとして、その国の人が日本 に来たら「うわー!日本人の男女は隣に並んで歩いてる!日本人男性ってロマンチックー!」「友達同士の男女でも並んで歩いてる!開放的だ!」なんて思うこ とでしょう。それを言われた日本人男性は「いや、僕べつに全然ロマンチックじゃないし、普通に歩いてただけだよ」って思うことでしょう・・・・これが、私 がお友達に「遠慮して話しかけなかったわ」って言われたときの感覚です。

私と夫はときどきちょっとした言い合いなどしながらも手は繋いでいたりします。大きなケンカをして不機嫌なままどちらかが出かける時間になったときも、不機嫌なまま「Okay. Bye」とか言いながら、キスはしたりします。

でもそれって、夫が特別ロマンチックな男性だからっていうわけではありません。キスもしないで家を出てしまうのは、日本で言えば「行ってきます」と言わずに 無言で出かけるのと同じことです。日本の夫婦も、ケンカをして険悪になっていても、出かけるとき一言「じゃあ行ってくるよ」くらいは言いますよね、たとえ 顔は不機嫌なままでも。それと同じことな気がします。

逆から見ると、日本人の男性が初めてのデートで花束を持ってこないか らって、女性に必ずドアを開けないからって、「ロマンチックじゃない」「女性に気を使えない」なんて言われる筋合いはないですよね。自分の育った文化で当 然そういうものだから花は買うけど、それは儀礼的なもので気持ちは全然ともなってないアメリカ人男性もいるし、そんな習慣はないから普通に待ち合わせする けど、相手の彼女のことをとても大事に思っている日本人男性もいる。両者をくらべてどっちがロマンチック?なんて本当にナンセンスだということがわかりま す。

日米の大きな違いは男性のロマンチックさではなく、題名にあるとおり、「夫婦重視」と「親子重視」という文化の違いだと私は考えてます。

今日は日米の夫婦を比較してみたので、次回は日米の親子関係の違いを考察してみたいと思います。 

Visited 145 times, 1 visit(s) today

4 comments on “夫婦重視のアメリカ、親子重視の日本 - 前編”

  1. アメリカは離婚率が高い、とよく言われていますが(まぁ高いんですが)、逆に長続きしている夫婦のことはほとんど日本では語られませんね。
    私の周りでも、結婚45年、50年という夫婦がたまにいて、そういう夫婦に限って、「新婚?!」ってくらいラブラブです。笑
    もちろんその「年季」と乗り越えてきたものが違いますが。

    まずは夫婦ありき、ですよね。
    夫婦間の問題は、無視せずとにかく解決する、そして一緒に努力する、というものがアメリカの夫婦関係では見えやすい気がします。

    うちの旦那さんはロマンチックのかけらもありませんが、「奥さんにはこうするものだ」というのがあって、それが外で歩くときは手をつなぐことだったりします。その社会で何が受け入れられているのか、ということなのでしょうね。

    「ロマンチックさ」で言ったら、私は日本人男性のほうが全然ロマンチックだと思いますねぇ・・・。もちろん個人にもよりますが、たとえば、流行の曲の歌詞とか聞いたら、「へぇ~日本人男子の多くはこういう言葉に共感するのか~」と新鮮です。

  2. Erinaさん、離婚率については後編でふれたいと思うのですが、私は夫婦関係を重視しているからこその離婚率の高さなのではないかと思ってます。冷めた関係を問題視するかしないかの違いではないかと・・・
    だから、Erinaさんの言うとおり、時間の試練を乗り越えた夫婦は本当に深い絆で結ばれてますね!

    うちの夫も全然ロマンチックじゃないです 笑
    まさに「そういうものだから」手をつないでます。

  3. うちも付き合っていた頃と変わらず、手をつないだり、キスしたりします。日本では、子供ができると、お互いの呼び名も「お父さん」「お母さん」になって、名前で呼び合ったりすることもなくなりますよね。アメリカの夫婦でお互いの事を「Dad」「Mom」って呼んでいるのは、あまり聞きません。それも夫婦よりも親子関係中心ってことなんでしょうか。朝、仕事に行くときに「いってきます」の後に「Love you」と言い、電話を切る前には必ず「Love you」私たちの間では、あいさつの1つのようになっている言葉でも、日本にいる時なんかは、「ラブラブだねー」って言われます。

  4. Ayaさん、そうですね、夫婦がお互いを「おとうさん」「おかあさん」、「パパ」「ママ」って呼ぶのは日本独特ですね。英語では、たとえば父親が子供に対して「それをママに見せてごらん」などと言う場合を除いてはまずないですよね。
    そうそう、「Love you」って電話の最後にいうのは日本語で「またねー」くらいの感覚なんですけどね。無意識に言っていて全然心がこもってないこととかもあるし(笑)
    でも、素敵な習慣だし、言うことで気持ちもついてくるかもしれないから、いつまでもLove youと言うことを忘れないようにしようと思ってます!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です