短大・四大の転校・編入

アメリカの教育制度は、一般的に「飛び級」「短大から四大」「複数の四年制大学間を移る」など、その柔軟さが「アメリカ高等教育の売り」の一つで、とにかく自由。

転校・編入に絞ると、手続きを踏んで先方の学校に合格さえすれば、出入りを制約するような決まりを持たないのが通常。

勉強する内容に絞ると同じ学校に四年間在籍し卒業するのが一番分かり易いが、実際に「公立から私立(またはその逆)」や「西海岸から東海岸」、「大規模校から小規模校(またはその逆)」のような移動は珍しくない。

この所謂「さすがアメリカ」な「自由さ」を背景に、アメリカ長期留学を斡旋する政府系機関や企業は、「コミュニティカレッジ」などの短大での留学生活開始を勧めるのが最近の流れ。また通常これらの短大には「編入について相談できる」オフィスがあるもの。

四年制大学の学費の高騰に歯止めがかからない近年、やはり短大からの編入を経て今に至る小生は現在四年制大学勤務なので(なるべく長くお世話させていただきたいのが本音なので)、さてさて困ったもんだが、まぁこれも仕方ない。

気を取り直して、今回はこの「転校・編入」について、最近国籍問わず質問を受けることが多いので、私見かつ大きなお世話ながら「気をつけておきたい・準備しておきたい」事柄を紹介します。

専攻の必須科目を知る

米国の大学教育の特徴の一つは「一般的に入学してから専攻を決める」というところ。

「必須一般教養(General EducationまたはGenEd (ジェネド)と省略)」をひたすら網羅しながら、「専攻必須科目(Degree Requirement)」と合わせて、約120-126単位を修得して「大学卒業」というのが最近の流れ。

ここで、短大へ行く利点は、この「一般教養」部分を格安で終わらせられるから。

もちろん、地方や州、どの都市に行くかだけでもかなりの差が出るが、土地ごとの短大での学費や諸経費などを近郊にある四大と単純に比べると、通常半分3分の1程度で済むと思う。

同じ州内での転校・編入であれば、学校間で「Articulation Agreement(単位移行などの提携)」という制度を持ってるところが大多数を占めるので、この「一般教養」の単位移行にほぼ問題はない。

ただし、「州を出る」「地方が変わる」などの場合、地方や州ごとに(公立私立問わず)学校により「一般教養科目の内容や単位数に多少の差がある」こともあるので、是非注意したい点だと思う。

短大でも「専攻必須科目(所謂上級向けクラス)」を受けることができるが、ここにその「多少の差」が大きく反映されることがあり、下手すると「似ているけど、内容に差があるから、もう一回取り直して」という展開もある。

やはり「上級」向けでより専門的な内容に踏み込む場合は、興味がある数校の担当教授にメールなどで事前確認することを勧める。

「単位が移る」と言っても、必ずしも「取得した単位が専攻の必須科目として数えられる」わけではないから、米国内での「転校・編入は自由」という仕組みは、「短大で取得した単位全部が編入先の四大に移る」「前の学校で2年終わらせたから、残りは四大での2年間で終わる」という意味合いにはならない。

本当に気になる場合は、先方の四大から希望する専攻の「Degree Requirement」(「Course outline」とも呼ばれる)を取り寄せてみるのが一番確実。また各校のウェブサイトの検索ボックスに「Catalog」と入力して、学位取得についての最新の決まりごとを確認する方法もあり。

たったこの1点なので、少しでも米国留学を検討されている、またはすでに転校または編入を検討されている方の参考になれば幸いです。

詳細については、メールをいただければ(実際少しでも力になってあげれるかは別として)相談に乗りますので、どうぞお気軽に。

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Photo courtesy of http://www.leeward.hawaii.edu/ 

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