アメリカで走る

こんにちは、はるなです。

家での時間が増えたせいで(かつアメリカの高カロリー&ボリューミーな食事の洗礼を受けているせいで)、放っておくとおデブ街道まっしぐらになりそうな今日この頃です。

「せめて体だけはちゃんと動かさねば」と自分を戒めているのですが、運動部に入ったことがない屋内型文化系人間の私がなんとか続けているスポーツがあります。

それがランニングです。

有り難いことにアメリカはランニングが盛んで、ある調査では2019年時点で約5,000万人ものランナーやジョガーがいるそうです。

実際私の家の近所でも、朝早くから多くの人がランニングに精を出しています。

今でこそランニングの様々な効用――体だけでなくメンタルにも良い、脳の活性化にも役立つなど――は広く知られるようになりましたが、アメリカで「普通の」市民が走るようになったのは1970年代になってからだと言われています。

ボストンマラソンは1897年に開始された由緒正しき大会ですが(日本だとまだ明治時代ですね)、1960年代末まで総エントリー者数が1,000人以下だったそうで、現在の「30,000人」という数と比較すると、当時はいかに「エリート」のための大会だったかがよく分かります(ちなみにかつては、男性しか参加できませんでした)。

つまり、わざわざ外を走るなんていうのは、何か特別な事情がない限り、あるいは変わり者でない限り、しないような所業だとみなされていたのです。

ナイキ創業者であるフィル・ナイトの自伝『SHOE DOG―靴にすべてを。』には、1965年ごろ、「楽しみのためのランニング」「充実した人生のためのランニング」という考え方は存在していなかったと書かれていました。

当時はランナーを馬鹿にする困った輩(ドライバーたち)もいて、道路沿いを走るランナーの脇でわざわざ減速してクラクションを鳴らし、「馬を飼え!」だのと野次ってくるような嫌がらせも普通にあったそうです。ランニング中に何度もペプシをかけられたことがある可哀想な人の話も出てきました。

走ってるときにかけられたくないですよね、ペプシ。
(なお、この本は発売時に日本でも話題になりましたが、まだの方は是非。めちゃくちゃ面白いです。)

このようにランナーにとっては不遇の時代が続いていましたが、70年代に入ってランニング界がにわかに活気づくようになります。

1970年、シアトルとニューヨークでシティーマラソンが開始されます。1972年のミュンヘンオリンピックでは、アメリカ人選手がマラソン競技で金メダルを獲得。アメリカ人がその種目で最後に金メダルをとったのが1908年だったことを考えると、国民がさぞ熱狂したであろうことは想像に難くありません。同年、先述のボストンマラソンは女性も参加できるようになり、出場した8人の女性ランナー全員が完走を成し遂げるなど、ランニングの門戸はますます広がります。アメリカ発のランニング専門誌”Runner’s world”は1973年から月刊化され、ランニングの効果を説いた書籍も売れるようになり、1977年出版の“The Complete Book of Running”(James F. Fixx著)はタイムズのベストセラーリストで11週連続トップの座をキープするなど、ランニングが徐々に「お金になる産業」とみなされるようになりました。

このような歴史を経て、ランニングは国民に愛好されるスポーツとなったのです。

アメリカには同好会のような組織がたくさんありますが、ランニングも例外ではなく、走って(人によっては歩いて)アメリカ横断を目指す人たちのグループ“USA Crossers”や、少々体調が悪かろうが忙しかろうが毎日1マイル以上欠かさず走ることをミッションに掲げた“The United States Running Streak Association” なんてものもあり、ユニークでなかなか面白いです。

ちなみに、Runner’s worldが独自に作成した「全米ランニング都市ランキング」なるものを見つけたので、参考までに1位~10位をリストしておきます。

1位 サンフランシスコ

2位 シアトル

3位 ボストン

4位 サンディエゴ

5位 ワシントンD.C

6位 ポートランド

7位 ミネアポリス

8位 ニューヨーク

9位 オマハ

10位 デンバー

アメリカ在住のランナーの方、実感は湧きますでしょうか。私は2位のシアトルに住んでいますが、(冬の間の陰鬱な雨を除けば)この街がランナー・フレンドリーだというのは頷けるところです。

いろいろ書きましたが、ランニングでもなんでも、怪我しない程度に楽しく体を動かしたいものです。私はエリートランナーからはほど遠い、ただの脂肪燃焼ランナーですが、ゆくゆくはハーフマラソンぐらいに出場するのをアメリカ滞在中の目標にしようと思います。

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3 comments on “アメリカで走る”

  1. サンディエゴが上位に入ってる!
    真冬でも関係なく一年を通して走れますからね。海岸沿いの道は走りやすいし景色も良いし。トレランする人もトレーニングとして走れるコースがたくさんあるし。うんうん。うなずけます!

  2. サンディエゴは良さげでいいですね~!
    旅行ができるようになった暁には、サンディエゴ旅にランニングシューズを持って行くようにします笑

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