アメリカのチアリーディング大会【UCA】

こんにちは。

 

アメリカはカンザス州の大学院で歴史を勉強しながら、本場の部活に入部しチアリーディングをしております。

本業は世界史の高校教師です。最近は何が本業かアイデンティティを見失いつつあります。

 

今回は【本場のチアリーディング大会】についてです。

 

11月に大会メンバーに選出され、学期終了後の12月中旬から毎日2回の練習を重ね、ついに1月、フロリダのディズニーワールドへ向かうことになりました。

 

出発直前の日曜日には、家族や友人を招いて学校のアリーナで発表会を行いました。

昨年は観客としてそこに参加していましたが、ついに今年はあちら側に立てました。

大会のユニフォームは白です。僕は当然背伸びをしています。

 

以前の記事でも述べましたが、アメリカには数多くのチアリーディングの協会が存在しています。その中で、高校生や大学生などが参加する最もメジャーなものは、1月にディズニーワールドで大学生大会を行うUCA、

そして4月に同じくフロリダ・デイトナビーチで大会を行うNCA

の2つの協会です。

 

そしてどちらの協会も、全米大学体育協会NCAAの分類に従って、部門を複数に分けています。UCAで最も出場校の多い部門は「Division IA」であり、「男女含めて部活が7つ以上」かつ「フットボール部が1部リーグ(FBS)所属」の大学が属すことになります。ケンタッキー大学、ハワイ大学、アラバマ大学などがここに属します。女子だとインディアナ大学、アラバマ大学などが強豪校です。

我がWSUは、部活動は7つ以上の大規模校ですが、フットボール部を持っていない珍しい大学なので、「A」が付かず、「Division I」になります。Division Iで毎年優勝し続けているケンタッキー州のモアヘッド州立大学は、フットボール部を持っていますが1部リーグ(FBS)ではなく2部リーグ(FCS)所属の為、Division Iになっています。(なぜアメフト部にチアまで縛られているのかはいまだに意味不明)

その他に、「部活数が4つ以上6つ以下」の「Division II」や、男子が4人までの「Small Coed部門」、短大と訳されることが多いコミュニティカレッジ部門、加えて、大学のマスコットキャラクターがパフォーマンスを競うマスコット部門などもあります。

マスコット部門。ほぼ仮装大賞。

 

Division Iは、1位のモアヘッド大は仮にIAでも2、3位に入れてしまうくらい強いのですが、他はそこそこなので、われらがSHOCKERSは昨年度に比べ大健闘し、準決勝を突破して決勝に進み、なんと3位入賞してしまいました。おそらくIAに出ていたら決勝にすら進めていないですが。それでも全米3位です。サードインザネイションなんです。

 

穴場なのでこのくらいでも3位

 

ちなみに今年からアメリカの学生大会ルールが大きく改正され、特にバスケットトス(3人で組んで1人を空中に飛ばして行う技)に関する規定が劇的に変更されました。基本的に2回捻りは禁止、女子チームに関しては1回捻りすら禁止になりました。できる人いるのに勿体ないな~、と思ってしまいますが、実際演技を見たら、他の技で工夫しているチームが多かったのでそこまで気になりませんでした。捻り技が多いと派手で見栄えはするんですけどね。本場でも、毎年安全性のためにどんどんルールが改正されていっているようです。が、この改正が発表されたとき、うちの女子チームのベースの女子は「私はそこらの男子より強いのに!」と憤慨されておりました。完全にその通りだと思います。

 

ただ、「できるチームのレベル」ではなく「できないチームのレベル」に合わせていくのも、運営側としては必要な判断なのかもしれません。上に合わせておくと、練習環境や指導者が整っていないのに、難しい技にチャレンジさせる環境をどうしても強いてしまうことになるので。

アメリカでは高校生は3段(2.5段)ピラミッドが禁止されています。(日本でも一部の協会ではそのルールになっています。)日本人からすると、「勿体ない」「レベルが低い」とも思われてしまうかもしれません。でも、まだ身体も完全に大人になっていない高校生のうちは、2段とタンブリングをしっかり固めておいて、大学生になったら初めてその基礎力を活かして3段に、という流れも、一旦客観的に考えると確かに理想的だな、とも感じます。

特にUCAは、「応援」の要素をかなり重視していて、演技も、チア(日本でいうコール)パートという音楽無しで声とスタンツ、メガホン、サインボードだけで作る、試合応援を想定した部分の演技の得点が35%を占めます。採点も、難易度よりも、観客が安心して見られるような、完璧な安定性が最も評価されます。また、チアパート以外の得点は50点なのですが、残りの15点はというと、事前に提出した、地域貢献活動や学内スポーツ応援活動などをまとめたビデオによる審査点になっています。(まぁ大体15点満点ですし、結構形式的ではあります。うちの大学に至っては足りない部分去年のを使

 

ただまあNCAの演技(チアパート無し、ダンス・長いタンブリング(床運動)シーン・ジャンプあり)の派手さに比べると、かなりトラディショナルな応援チアに基づいたスタイルなのがUCAという感じです。

UCA Division I 部門27連勝中のモアヘッド州立大学イーグルス(え?うちとの差がすごいって?)

NCA Division IAの超強豪ルイビル大学カーディナルス(改正前の演技なので2捻りバンバンしてます)

 

UCAの大会出場者は3日間のパークパスを貰え、ディズニーワールドの全パークを自由に行き来が可能です。

また、日曜日の大会終了後には、マジックキングダム(いわゆるディズニーランド)を貸切って夜中にブロックパーティというパーティが行われました。ただフロリダのくせに夜死ぬほど寒かったので早々に帰宅しました。

ディズニーランドがクラブ化

おそらくどこの学校も出場費、旅費等全て学校から出ていて学生負担ゼロなので、すごいシステムだなとつくづく感じます。寄付やファンドレイザー(資金集め)などそこそこやっているのですが、この額全部賄えるわけもないので、ほんと、これやっぱり普通の学生の学費から来てるのかなぁ、、と複雑な気持ちになります。スポーツ興行でかなり稼いでいるとは思いますが。(高〇連が怒っちゃう!)メジャーな部活に至っては、多額の奨学金やスタイペンド(給付金)もあるらしいので、本当に日本と違いすぎて理解が難しいです。

彼らは(というか全米中のチアリーダー達は)、ディズニーランド内はおろか空港でもバンバン技やってました。日本だと恰好の炎上案件ですが、周りの人たちは拍手してました。僕はチキンジャパニーズなのでコソコソ他人の振りしてました。

 

当日の準決勝で、タンブリングが若干乱れたのですが、その後2歩目で右足をグネっとやってしまい、決勝はサポーターを借りてガチガチに固め、ロキソニンでなんとか乗り切りました。割と何でもないところで怪我するのが、本当に年齢だなと痛感します。

オープニングのToss QP × 7

さすがに主力のスタンツメンバーではありませんでしたが、本場アメリカの、昔からずっとYouTubeで見ていたあの大会に出場することができて、ここまで諦めずに続けてきて本当に良かったなと思います。体中に不調をきたし、年齢を感じることも日に日に多くなっていきましたが、最後になんとかこの舞台に立つことができました。グネりましたが。

実は大会会場で、9年前に会ったハワイ大学のコーチを見かけました。こちらが移動中だったのでお話しすることはできませんでしたが、留学を決意した原点になった人なので、勝手に感慨深い気持ちになっていました。(ちなみにハワイ大は去年は好成績だったんですが今年は出てません。さすがに遠征費が高すぎるからのようです。)

大学5年(?)の私。今-14kgくらい。

 

またなんと日本から、日本のSHOCKERSのOB数名が応援に駆けつけてくれました。彼らは4年前に共にインディアナの大会で戦ったメンバーです。日米ショッカーズ一堂に会す。

彼らは、日本のSHOCKERSも出場する今年3月の男子チア大会の運営にも関わっています。

 

期せずしてですが、日米W-Shockerとして、冬の2大全米大会で入賞できたのは非常に喜ばしいことです。この瞬間にたどり着くまでに、随分長いこと掛かりましたが、ようやく目標達成です。そんな大した技術が無くても、年齢が割といってても、金は無くても、辞めさえしなきゃ意外となんとかなるもんです。

この留学は、単に、勉強して、チア部入って、大会出場を目指して、っていうものだと、渡米前は考えていたんですが、いざここまで来て振り返ってみると、得たものはそれだけではないどころか、何倍も大きなものだったように思います。

特に「人」ですね。部員、コーチ、コーディネーター、大学の友人、職員の方々、現地に住まれている日本人の方々、そういった方たちとの出会いや日々の関わりは、想定していた以上の代え難い宝物であったと思います。

特に部活のメンバー達は、意思疎通もままならないアジアのオッサンにも本当にいつも優しくしてくれて、誕生日をお祝いしてくれたりクリスマスやサンクスギビングに家に呼んでくれたり、彼らとの出会いは一生の宝物です。まさか30を超えてからこんな経験ができるとは思っていませんでした。新しい環境に飛び込んでみるというのは、何歳になっても大事なことですね。とにもかくにも、「辞めない」ことが大切です。自分は、「何としてもアメリカで、SHOCKERSでチアをやりたい」という火が消えることが無かったのでここまで来れたんだと思います。

 

ただまあまだ終わってませんので、

あとは練習で色々技術を吸収して、残りのバスケ応援を仕上げて、ようやく引退です。残念ながら今年バスケ弱いのでNCAAトーナメント進めなさそうなのが非常に残念ではありますが。

 

ちなみに一応ちゃんと勉強もしてます。一応言っておきます。してます。

「研修」なんで、当然ですね!ハハッ!

 

 

次の記事がラストになると思います。ではでは。 

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