アメ10な土曜日: 才能発掘
久しぶりに、ゆる~い感じでお届けする「アメ10な土曜日」です。今週、ウェブやニュースなどで発見したアメリカという国を紹介します。
私がアメリカという国が好きな理由の一つ。
それは「才能発掘」ということに対して、寛容というかとてもサポーティブなところです。
先日、こんなビデオをFacebookで見つけました。
講演先の大学で、「伴奏させてください」と名乗りを上げた学生に「オーケー」と軽い返事で、あの”New York State of Mind”を歌うビリー・ジョエル。
観客も最初は「お~!いいぞいいぞ!」という感じでざわざわしていたものの、学生のマイケル君が演奏を始めると、「ワーオ!!」という声と拍手が広がります。
イントロが流れると、それに聞き入るビリー・ジョエル。
尊敬するアーティストを目の前に、口元に笑顔がこぼれるマイケル君。
すごい。これは鳥肌ものだ。
一瞬でプロのスイッチが入り、今まで他人だったマイケル君と信頼関係を築くビリー・ジョエル。
どこの誰かもわからない男の子をステージに上げさせて、一流ミュージシャンと演奏させるスタッフ。(これは日本じゃ考えられない)
純粋に心から応援する観客。
そしてマイケル君の演奏。この飛び入りというシチュエーションで物怖じせずにこれだけのパフォーマンスができるなんて、相当、練習してきたんだろう。なんというメンタリティ。
きっとずっとずっと夢だったんだろうな。
そして、18か19歳くらいの男の子をこれだけ喜ばせることができるビリー・ジョエルは、本物なんだと思いました。
実は私はビリー・ジョエルのことは名前以外のことはよく知らずにいました。
この曲はそれよりもずっと前から大好きな曲だったのですが、彼の書いた曲だとも知らずにいました。とてもアメリカンジャズ的な音楽で、ニューヨークが日本を思い出させる感じが好きな曲でした。
アメリカでは、こういう「なんかすっげーヤツ」というのがたまにいます。
こういう人間が、このような場所に突如現れ、「ワーオ!!」と拍手をかっさらっていく。この広い国には、自分の好きなことをひたすらコツコツと練習し、ものすごい才能を持った人間がいるんだな~と感じる瞬間です。
「ダークホース」と言いますが、こういう名前も知られてないような「本物」に寛容なところが私はアメリカの素敵なところだと思っています。
そしてそれを許してあげられる、一流の人たちの懐の深さ。それが下克上だろうと、実力主義のこの国ならありなのです。
調べてみると、このマイケル君は8~9歳の頃からピアノを練習していたそう。
私自身、その年のころは何かをこんなに真剣に続けることなんてさっぱりできなかったので、供ながらのストイックさとピアノへの情熱というものに頭が上がりません。