アラフォー男子の米国婚活 (1)
前職のキャンパス内で、自分のオフィス・ビルの隣に位置していた図書館。
月一回程度は利用していたのに、それまで一度も接点のなかった図書館員のあの人に初めて出会ったのは、2014年12月中旬。冬休み直前で、個人的には年末恒例である「DVD十本・本十冊レンタル」のために立ち寄った時。
館内を一周し両手に溜めたDVDや本の束を持って受付口に行き、カウンター越しにレンタルのカードをお姉さんに手渡す。
カチャカチャとキーを叩く音が聞こえた後、話しかけられる。
「この名前、どう発音するの?」
「タツーヤ・ヒダーノじゃないよ。サクサクっと、タツヤ・ヒダノ」
「難しいね。生徒?」
「いやいや、ここのスタッフよ。日本出身の外人だけどね」
「えー。わたし、9月に入ったばかりで知らない人がまだ多いから。ごめん。はじめまして」
クリスマス前、大学での仕事納めは、日本の師走と似て、雑務以外は楽なもので、オフィスに戻っても急な作業はほぼ皆無。時間を気にせず、何となく言葉を返しながら、その場で立ち話を始めると、意外に話が弾む。
お姉さん、かわいいし(すいません、ベタに面食いみたいっす)。
と、少し意識し出したら、少し鼻の穴がムズムズするな。
「冬休み中は何か予定あるの?」
「特にない。家族と過ごすだけ。そっちは?」
あ、これはひょっとして彼氏はいない流れ?
ふむ。
「いや、俺も特に予定ないわ。あ、友達の留守番バイト二件があるか。犬猫の世話だけどね」
「あら、私の実家も動物だらけ。ほにゃらら公園の南側にあるから放し飼いなんだけど…」
ふと時計を見ると30分程度が経過。
「あ、もう戻らないとマズいから、じゃ、良いクリスマスを」
「良いクリスマスを」
その直前直後には転職(転社)活動に駆け回り、就労ビザ再取得の手続きが待っていたため、精神的には余裕はないのだが、少し彼女が気になったまま冬休みに突入。
何だかんだ、久しぶりに気を使わないで接することができる雰囲気の人に会ったかも。
ふむ。
—–
無事に年を越し、初出勤。
その際、退職届(通称「two weeks」)を出すのだが、その流れで挨拶回りに向かった図書館で見かけた例の彼女にも一言を伝える。
「実は今朝Two Weeksを提出してさ」
「え、そうなの?」
「WSU行くことにした」
「わたしの出身校ッ」
年末同様の軽い雰囲気で、話し始めるとまた意外と話が弾む。
「ま、引っ越すわけでもないし、もし良ければフェースブックなり何なりでも繋がれれば…」
「あ、わたし、SNS苦手で一切やってないんだよね」
「あ、そうなんだ…」
その場で電話番号を聞くほどの雰囲気ではないし(正直聞けないし)、その場を手ぶらで立ち去る。
ただ、これには最近草食気味なアラフォー男子にも何かモヤモヤが残る。
後日残業中、ふと職場名簿で連絡先を調べると、彼女の名前と仕事メアドが表示される。
「引かれたら恥ずかしいが、ま、もう職場移るし、失うモノもないか」
若干ビクビクしながら勇気がいったが、取りあえず自分の連絡先を送信。
特に何を求めている訳ではないはずなのに、数日間返信が来ない現実は、結局少々耐え難い。かと言って、この時点で図書館に立ち寄る勢いは男子にはない。
男子、困った。
ふむ。
すると、携帯が鳴る。
メールの受信音。
あ、彼女からだ。
LOL(イラストが!)
そして、気になる!
Tatさんの婚活記事の続編、たくさん待ってますよー
あらあら、どもども。
てか、使えそうな(版権フリー)写真が見当たらなく、仕方なくイラストまで描いてしまう展開。
てか、毎回引っ張り過ぎなんだよ、とクレームが早速幼馴染みから入りましたので、反省の念を込め展開のペース上げたいと思います。
ほほぉ! 婚活と称したところからして、本気だね。続編、期待してる!私も早く書き上げなきゃ。
色々と正念場が立て続く今年。ナユさんも早く書いて。