アラフォー男子の米国婚活 (3)

ちょうど彼女が引っ越すというタイミング

先方のお父様と一緒に手伝うことになり、初めてお会いできるという、ありがたく大変恐縮なことの運びになったわけだが…

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お付き合いさせていただいている方のお父様という存在。彼氏としては、万国共通で少し及び腰になるもの。

 

「ウチのお父さん、怒ったところ見たことないくらい、本当におっとりしてるから」

笑いながらそう話す彼女に、額に縦線が入ったまま固まる俺。

 

お、お、お譲様とぉッ、お、お、お付き合い、さ、さ、させていただいてぇ、お、おりますッ、タ、タ、タツヤとぉッ、も、申しま…

惨めになるくらい声が裏返りながらドモッてしまう想像をしてしまう。

 

ただ、銃は嫌いな家族で所有すらしていないとのことを確認。

どうやら過激な方向に展開する可能性は少ない模様。

 

さて、第一声をどのように繰り出すか。

まだ思い付かないが、深い傷を負うことにはならないようで、少し安心。

 

—–

 

引越し当日。

彼女の住まいに向かい、車を出ると、すでに彼女とそのお父さんらしき人が、トラックの荷台に棚らしきものが載せている。

トコトコ落ち着いて歩くべきか、手伝う気満々で小走りで向かうべきか。

いや、こんなところで悩んでどうする、俺。

 

サッサと小走りする。

 

「へーい、タツヤ?話は聞いてるよ。いつもお世話になってるようで」

「いえいえいえいえッ、そんなことございません!僕のほうこそッ…」

 

事前情報の通り、ゆったり話す、確かに優しい感じの方。握手も優しい感じ。

 

深呼吸混じりに一安心。

 

—–

 

その日から一週間後の早朝、長期出張のため、一ヵ月半ほど国外に向かう。

スカイプ、Google Hangoutsなどビデオ通話に加え、どうせ仕事と移動以外はホテル住まいで暇だから、手間をかけて手紙または絵葉書なども書くか。

そんなこと言いながら、プチ遠距離になる心構えをする。

お互い社会人だし、まぁ仕方ない。

寒い寒い言いながらウィチタを発ったが、その出張から帰る頃には季節が変わり、すっかり春らしい空気が漂う。

 

—–

 

迎えに来てもらった空港から、自宅に向かう時、駐車場出口で支払いを済ませながら、彼女が言う。

前回お父さんに会った時にたまたま州外の次女家族を訪れていたお母さん、そして一番下の四女が会いに来て話したいという。

「なんでか知らないけど、イースターの週末前に一度会って話したいんだって」

 

おーい。

ちょっとその予告は緊張する。

 

—–

 

約束の土曜朝、彼女宅に少し早めに着いて待機していると、女性陣到着。

 

「ハーイ」

 

玄関越しに声が聞こえ、外でハグし合ってる様子が伝わる。この時、ドアの内側で一人待っている自分。ギコチ無さと緊張感は表現し難い。

 

「こ、こんにちは。えーといつもお世話になってます」

「ハーイ、タツヤね。よく話は聞いてるわよ」

 

後で彼女に聞くと、この後の展開はまったく想定外だったらしいが、ここから、これらの女性二人からの質問攻めが始まる。

「じゃ、まず自己紹介から」

「日本の家族は」

「大学では何の勉強してたの」

「今の職業は」

「趣味とかは」

 

尽きない質問と、汗だくの返答。

まぁよくある一般的(?)な内容で、特段に難しいわけではないが、この状況は物凄い居心地が悪い。

 

「じゃ、また次の週末にね」

二人が彼女のアパートを後にした時、すでに二時間ほどが過ぎて…

いや、そんな感覚に陥っただけで、実際はもっと短かったのだろうが、あの緊張は一体なんだったのだろうか。

激しかった。

 

—–

 

そんなこんな順調(?)に時間を過ごしていると、「(結婚とか)どうなの?どうなのよ?」という周囲の声が多くなる。

 

「てか、タツヤ、仕事もあるし、自分の中に『いずれ』という気持ちが既にあるなら、待つ意味はあまりないのでは」

 

事情を知る、仲良い既婚の友達からは、具体的な指摘を受ける。

 

安月給だが、ぼちぼち安定している今。

大概、この「今」みたいに、金銭的な安定感を覚え始めると少しずつ意識できるのが、その「領域」なのだろうが、こうなると確かに「待つ」にも「きっかけとして何を待っている」のかが分からんし、もう自分次第か。

依然アメ10・タマミさんもここに書いていたが、今自分が優柔不断であるがため無駄に先延ばしすることにより、(外国人であるがため)コストやリスクも少し増える可能性がある。

 

ふむ。

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そうこうしていると、先方からまた一言。

「今週末、父方のお爺ちゃんお婆ちゃんが(他州から)来るんだけど」

 

こうなると、もう慣れたもので、こちらも無難に了解。

その勢いで、少し問いかける。

 

「あのですねぇ、僕としてはですねぇ、今後は…」

 

さらに、その勢いで映画「グリーン・カード」を観せつけてみる。

 

—–

 

この頃、日本の友人から来たチャットのメッセージ。

「もう先手先手で指輪渡して結論出してしまいなさい」

 

「てか、それってお前いくらくらい注ぎ込んだの?」

逆に聞き返してみる。

 

「…んとねぇ、指輪は婚約が…んで、結婚のほうが…」

は?

なに?

指輪にその金額?

 

世間知らずなりに、もう「給料三ヶ月分」なんて基準は昔話だと知っていたが、まさか、まだそんな高額な基準だったとは…

てか、ローンを組んで指輪を購入する人がいるという話が出て、正直驚く。

 

—–

 

後日、近年男闘呼になられた、別の同年代に「婚約指輪・結婚指輪に、いくらくらい注ぎ込んだか」というアンケートを送信したのであった。

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2 comments on “アラフォー男子の米国婚活 (3)”

  1. こんにちは。はじめてコメントさせていただきますが、このシリーズ、とっても面白くて早く続きが読みたいので、よろしくお願いします‼︎ 挿し絵も、ツボにはまって、最高です。ご自分で描いてるのですか?ハッピーエンドでよろしくお願いします。

  2. ナナさん、ご拝読とコメントどうもありがとうございます。なるべく早く続きを書けるよう(時間調整など)に努めますッ

    挿絵、僕が裏紙に描いてるものですッ

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