クリストファー・ドーナーの告白

今、南カリフォルニアをにぎやかしている、ある事件をご存知でしょうか?

ロサンジェルス市警(通称”LAPD”)史上最悪であろう、元警官が指名手配されている事件です。

 

ことの始まりは、2月3日の日曜日。

ロサンジェルスから南へ1時間の、Irvine(アーバイン)という町のアパート駐車場で、男女が銃で撃たれ死亡しているのが見つかります。

警察はこれを殺人事件として捜査。亡くなったのは、カリフォルニア州立大学フラトンの女子バスケアシスタントコーチをしていたモニカ・クアンさん(28歳)と、彼女の婚約者キース・ローレンスさん(27歳)でした。

カップルが殺害された、と聞くと、怨恨、三角関係、嫉妬・・・というものを思い浮かべます。

しかし、今回の事件の真相はもっと深く、そしてアメリカの警察内部の闇を明るみに出すというものでした。

そしてこの指名手配中の容疑者クリストファー・ドーナー (Christopher Dorner)の長く、そして現実味を帯びた内部告発(マニフェスト)は世間を揺るがし、人々を揺るがし、LAPDを揺るがしています。

 

今回は、この事件についてちょっと説明してみようと思います。

 

先週の木曜日2月7日、私は、友達のFacebookのコメントで「LAからの指名手配犯が、ポイントロマエリアにいるかもしれない」というニュースを知りました。

ポイントロマにはNavy(海軍)の基地があり、そこである男性の目撃情報があったらしいのです。ポイントロマ地域の学校はロックダウン(安全のために子供たちを校内に閉じ込め、部外者の立ち入りを禁止すること)というニュースも流れました。

私は「何?LAの指名手配犯?」と調べ始めたのがきっかけで、アーバインで起こった、3日のカップル殺害事件を知ります。同日にはリバーサイドで、容疑者の車を止めた警官の二人が銃撃され、一人は死亡しています。

指名手配(”manhunt”と呼びます)されているのは、なんと元LAPD警察官で元海軍リザーブのクリストファー・ドーナー(33歳)という男性でした。

「元警官?銃も持っててこんなに体格も大きい人?すごい危ないじゃん!」

というのが私の第一印象。しかしその一方で、彼の顔写真から「凶悪そう」という印象が生まれず、心から怖いと思うには躊躇している自分がいました。

「サンディエゴにいるかもしれない」という情報から、事件の全容が地元ニュース各局で広められました。(結局、この目撃情報は誤報でした)

それらの記事の中で私は、このクリストファー・ドーナーの”manifesto(マニフェスト)”、つまり、声明文・告白・内部告発の文章を見つけました。(マニフェスト全文はこちらから

ここで全文を訳すことはしませんが、ちょっとかいつまんで紹介してみようと思います。

 

From: Christopher Jordan Dorner /7648

To: America(アメリカへ)

Subj: Last resort(題:「最後の手段」)

Regarding CF# 07-004281

I know most of you who personally know me are in disbelief to hear from media reports that I am suspected of committing such horrendous murders and have taken drastic and shocking actions in the last couple of days. You are saying to yourself that this is completely out of character of the man you knew who always wore a smile wherever he was seen. I know I will be villified by the LAPD and the media. Unfortunately, this is a necessary evil that I do not enjoy but must partake and complete for substantial change to occur within the LAPD and reclaim my name. The department has not changed since the Rampart and Rodney King days. It has gotten worse. The consent decree should never have been lifted. The only thing that has evolved from the consent decree is those officers involved in the Rampart scandal and Rodney King incidents have since promoted to supervisor, commanders, and command staff, and executive positions.

The question is, what would you do to clear your name?

 

私のことを個人的に知っている人は、ここ数日、私がこのような恐ろしい殺人を犯し、正気ではない行動をとっているという報道を聞いて、信じられない気持ちでいるだろう。これはいつも笑顔だったあの彼ではない、と自分に言い聞かせているかもしれない。私がLAPDとメディアによって、けなされるであろうことはわかっている。残念ながら、これは「必要悪」であり、私が楽しんでやっているわけではない。LAPD内部の根本的な変革と、私の「名前」を取り戻すためには、必要な行動であるのです。当局(LAPD)は、ランパート事件やロドニー・キング事件の頃から何一つ変わってはいない。いや、むしろひどくなった。”Consent decree(同意判決)”は、棄却されるべきではなかった。これによって起こったことといえば、ランパート事件やロドニー・キング事件の際の警察関係者が、スーパーバイザー、コマンダー、コマンドスタッフなどの上層部に昇進したということだけだ。

質問は一つ。「どうやって自分の汚名を返上するか?」

 

という、LAPDというヒエラルキーへの怒り、自分自身へのやるせなさ、そしてそれを行動に移すという決意で始められています。

ランパート事件とは、1990年代後半に起こった、LAPDによるギャング一掃運動の際に起こった、警察官たちによる不祥事・事件のこと。例として、ギャングの仕業に見せかけて、警察関係者による銀行強盗や不必要な暴行などが起こったそうです。

ロドニー・キング事件とは、1991年、当時建設業だったロドニー・キングをカー・チェイスで逮捕する際、降伏しているキングに対して警官たちが不必要な暴行を加えました。その様子が近所の監視カメラなどに映像として残されていたのです。この映像は全国で流され、キングがアフリカン・アメリカン(黒人)だったことから、この暴行に対して人権保護の抗議運動が起こりました。

“Consent decree”(同意判決)とは、裁判所からのオーダー(命令)を「受け入れます」と同意し実行に移すこと。ランパート事件とロドニー・キング事件後、裁判所はLAPDに対して、Civil Rights(人権)保護のために警官達をトレーニングしなければいけない、という命令を下しました。警官達の人権への意識の低さを指摘した命令でした。

私はアメリカの近代歴史、それも自分の住む町のそばでこのような事件やスキャンダルが起こっていたことは全く知らずにいたし、このような話はまさに「テレビの中の世界」だと思っていました。

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マニフェストには続けて、クリストファー・ドーナーが実際に体験し、そして彼の人生を狂わせてしまった事件が詳細に書かれています。関係者の名前も全員実名だそうです。以下、要約です。

(要約)

2007年8月、ドーナーは自分のトレーニングオフィサー(上司)である警官Aと、ある逮捕者Bに出くわします。

Bはスキツォフレニック(統合失調症)の若者でした。

Aは逮捕の際、降伏するBに対して行き過ぎた暴行(Excessive Force)を加えます。胸への蹴り2回、顔面への蹴り1回。顔面への蹴りは、アザとなって残ったそうで、これはBの父親からも証言があります。

クリストファー・ドーナーは、この事件後、Aの行動をLAPD内部の監査機関に報告したところ、更なる調査はされることはなく、結果としてドーナーが嘘の報告をしたとして、「解雇処分」されることになりました。

ドーナーは解雇される際のアピールの場(BOR)でも、Bの被害を証言しましたがそれも却下。そして、Aは当時のBOR上層部の人間Cと、個人的な友人関係にあることも知りました。BORでは、ドーナーが、警官Aがこれまでに虚偽の報告をし、通報者に対して行き過ぎた対応をしていたこと、市民に対して非人道的な手段を使ってきたことなども証言しましたが、どれも調査されることがありませんでした。加えて、警察学校時代に彼は”Bully”(いじめっ子)だったという汚名を着せられることになったのです。

その後、彼の人生は一転します。

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ドーナーは、ジャーナリストたちに向けてもメッセージを送っています。

Journalist, I want you to investigate every location I resided in growing up. Find any incidents where I was ever accused of being a bully. You won’t, because it doesn’t exist. It’s not in my DNA. Never was. I was the only black kid in each of my elementary school classes from first grade to seventh grade in junior high and any instances where I was disciplined for fighting was in response to fellow students provoking common childhood schoolyard fights, or calling me a (expletive) or other derogatory racial names.

ジャーナリストよ、私が育った全ての町に行き調査して欲しい。私が「いじめっ子」だったという事実を探してみると良い。見つけられないだろう、そんな事実はありもしないのだ。それは私のDNAではない。全く。1年生から7年生(中学一年)まで、私は唯一の黒人の子供だった。学校で「XXX(黒人の差別用語)」と呼ばれたものなら、それを制裁するために立ち向かって喧嘩をしたのだ。

(中略)

I want all journalist to utilize every source you have that specializes in collections for your reports. With the discovery and evidence available you will see the truth. Unfortunately, I will not be alive to see my name cleared. That’s what this is about, my name. A man is nothing without his name.

ジャーナリストたちにあらゆるリソースを使って、この事実への報告をして欲しい。証拠と発見を持って。残念ながら、私が自分の汚名が返上されるのを、目にすることはないだろう。だけど、つまりはこういうことだ。人間は「名前」なしではどうにもならないということだ。

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犯行声明文:

彼の目的は、LAPDがドーナーの無実を全国に公表すること。

そしてLAPD内部の根本的な構築変革を起こすこと。

それができなければ、彼の汚名に関連した警察関係者、その家族と知人を傷つけていくこと、そのためには彼は自分の持っている全てのリソースと、警察時代のリソースを駆使することを述べています。

3日にアーバインで殺されたモニカ・クアンさんは、実は当時の警察関係者の娘だったそうです。

つまり、これは「LAPDに対する戦争の始まり」でしかない、というのがドーナーのスタンスなのです。

 

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その後の事件の流れ:

このマニフェストが発表されたのが先週木曜日。

しかし、このマニフェストが届けられたのは2月1日、CNNのアンダーソン・クーパーというニュースキャスターのもとでした。

LAPDは(自分たちにとって都合が悪いであろう)このマニフェストを 公表する決断をし、一般公開にすることでドーナー確保を急いでいます。つまりそうでもしないと、警察だけでは見つけられないということです。

私がこの事件を知った木曜日の夜、彼のピックアップトラックが燃えた状態でBig Bearの山中で見つかりました。車内には、雨天対応用のギア、ライフル、短銃などが見つかったそうです。警察は先週から続く悪天候の中、Big Bear山中の捜索を続けていますが、依然として彼の行方はわからないままです。

最後の目撃からほぼ1週間。これはアメリカ国内、もしくはメキシコ、どこかに行くには十分な時間です。彼は体格が大きいので、町中をうろうろしていたら絶対に目立つはずですから、上手に隠れているのでしょう。(逃げることが目的じゃないから、メキシコには行ってないと思うけど・・・)

そして一昨日の2月10日、LAPDはドーナー逮捕につながる目撃情報に対して、100万ドルの懸賞金をかけることを発表。

同日、LAPDは、ドーナーの告発をもとに、警官による行き過ぎた暴力のケースを、もう一度、調査しなおすことを表明しました。これがLAPDの建前なのか、根本を見直す動きなのか、今のところは不透明です。

 

この事件の流れを読んで、どう思いますか?

こんな凶悪な人間が、銃器を持って街中をうろついているなんて、アメリカってなんて怖い国だろう!と思いますか?

私はそうは思いません。

このマニフェストを読む限り、このクリストファー・ドーナーはとても頭が良い。自分をコントロールできなかった結果、ランダムに人を傷つけたりする人間だとは思いません。

すでに人を傷つけてしまった以上、彼を支援することはできないけれど、共感はできるし、同情もできます。

 

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彼のマニフェストの最後には、知人や友人、政治家、メディア関係の人々への個人的なメッセージがありましたので、紹介します。

D, greatest friend, Marine officer, aviator, and an even better father and husband. I Couldn’t have had a better big brother than you. Your spoken wisdom was always retained by me, you old salty Mustang. You sternly told me that no matter what I accomplish I will always be a ni#%er in many individuals eyes. At the time, I did not comprehend your words. I do now. I never forgot the quote you state below. I love you bro.

I never saw a wild thing feel sorry for itself. A small bird will drop frozen dead from a bough without ever feeling sorry for itself. -D.H. Lawrence

親友、海兵隊オフィサー、飛行士、そして素晴らしい父であり夫であるD。あなたより素晴らしい兄を持つことはありませんでした。あなたが語る知恵は全て私の中に残っています。あなたははっきりと言いました。私が何を成し遂げようとも、多くの人の目には私は「XXX(黒人差別用語)」でしかないと。言われたときはわからなかったけど、今ならその意味がわかるよ。あなたがくれた、下の引用を忘れません。愛してる。

引用:「I never saw a wild thing feel sorry for itself. A small bird will drop frozen dead from a bough without ever feeling sorry for itself. -D.H. Lawrence」

 

E, greatest friend, Naval officer, aviator, Great Father, husband, doctor, and even better human being. I always strived to live my life parallel to your similar values and personal disciplines. —– is lucky to have found a man like yourself, and you are fortunate to have married an irrefutable imperfect woman. Always focus on your IMMEDIATE family as they are the ones who have loved you unconditionally and always been their to support you in difficult times. I always lived my life as WW—–D (what would —– do). —–, take care of this guy. —–, I’m sorry I missed your wedding and you had to find another best man. I’m sorry my predicament with the department stopped me from watching you and —– get married and arguing with you about issues that were insignificant when I was really angry at the LAPD for what they did to me. I’m deeply sorry and I love you guys.

親友、海軍オフィサー、飛行士、素晴らしい父であり夫であり、医師であり、そしてなにより素晴らしい人間であるE。あなたの価値観や考えに寄り添おうと思って生きてきました。F(Eの奥さん)は君に出会えてとてもラッキーだし、君も彼女と結婚することになって素晴らしいと思う。どんなときも、あなたの直結家族を大事にするんだ。彼女たちがどんなときも愛し、支えあう人間だから。私はいつも、「Eだったらどうするだろうか?」と考えながら生きてきた。どうか元気で。結婚式に出席できなくて本当にすまなかった。当局とのいざこざのせいで、君たちと時間を過ごせなかったこと、LAPDにイライラしてどうでも良いことで議論になったこと、心から申し訳なく思っている。愛してる。

 

こうやってドーナーからの、大事な人たち、職場にいた尊敬できる上司たちへのメッセージは続いています。そして自分の死を覚悟したようなフレーズもところどころに散りばめられています。

私はこのメッセージを読んだとき、彼はいちアメリカ人男性であること、いちアメリカ人男性でしかないこと、それ以上のなんでもないことを感じました。

 

彼は自分の人生に対して、信念と正義を持ち、高等教育を受け、アメリカという国を愛し、それを運営するシステム(警察)に入った。

しかし、その人生はLAPDという権威に狂わされ、自分の価値観が狂わされた。

そうなったとき、人はどういう選択をするのでしょうか?

権威にひれ伏すのも一つ。

「間違っている」と声を上げるのも一つ。

そしてこうやって暴力的な手段を使うのも一つなのでしょう。(賛成はできないけど)

「孤独に権威と戦うスティーブン・セガールの映画みたいだね」というのはうちの旦那。

「こういう組織の闇はどこにでもある」というのは退職した元シェリフのホストファザー。

「どうか誰も傷つかないで欲しい」というのはホストマザー。

 

 

みなさんはどう思いますか?

どうなることが平和な解決策なのか、今の私にはわかりません。

ただわかるのは、目に見えているものは表面的なものだけで、本質を理解するには、物事の深いところまで目をむけ、言葉を読んだり聞いたりする必要があるということです。

これは今回の事件に限ったことでなく、誰にでも起こりうることで、自分自身の核になってきた部分が外部からのチカラに揺るがされたとき、人間はどんな道を選ぶのか、考えさせられることになりました。

そして、この事件は10年後、20年後も語り継がれていく「アメリカの歴史」の一つになることは間違いありません。

 

どうかこれ以上の犠牲者を出すことなく、誰もが納得するJustice(正義)を用いて判断されることを祈るばかりです。

 

 

事件の結末、これからのアメリカ社会の対応についての記事はこちら

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10 comments on “クリストファー・ドーナーの告白”

  1. この事件は、私にとってもすごく衝撃的な事件です。
    彼のマニフェストに目を通してから、私は涙が出てきました。

    教会で平和を唱える側ではまだ、陰湿な人種差別が広がっていて、
    正しい事を行っても誰も信じてくれず、”権力”によって押しつぶされる社会が平然と在る。
    彼の正義感と変えたかった未来は、いとも簡単にねじ曲げられてきたのだと感じました。

    ブラックであることで差別を受け、仕事では不正を指摘しても嘘つき呼ばわりで片付けられ、終いには不当解雇。

    結果的には復讐という形で、彼は汚名返上をアピールしているのですが、
    私も彼に同情してしまいます。
    亡くなられた方には申し訳ないですが、罪を憎んで彼を憎まずの思いがあります。
    彼も、ただ普通の暮らしがしたかっただけなのでしょうから。

    未だに消えない、世界中に広がる差別や偏見。
    権力や圧力で支配される社会の実状。

    私も色んな事を考えさせられている事件です。

    なんだかまとまりのない分になってしまい申し訳ありません ;

    未だに消えない、世界中に広がる差別や偏見。
    権力や圧力で支配される社会の実状。

  2. ピーチさん、コメントありがとうございます。

    権力に逆らうことはできないってことを如実に表していますね。御上は、自分たちの行いが良かろうと悪かろうと、すべてを正当化することができます。それを黙って見て見ぬふりをする、間違いに立ち向かう、いろいろな行動の仕方があります。彼は後者の方を選んだんですね。御上の裏側には信じられないような虚偽があるのでしょうね。こういう形で化けの皮をはがしていくのが良いのか悪いのか、考えどころだと思います。でも、いつも真実を知りたいというのが、万人の思いだと思います。

  3. ピーチさん、コメントありがとうございます。

    私も彼のマニフェストを読んで、涙が流れました。
    それは人種とか暴力とかそういうことではなく、一人の人間として、信じるものを持ちながら生きていく姿勢に対してです。
    それをどうしても日本語で伝えたいと思いました。
    昨日、今日と、ものすごい数の方にこの記事を読んでもらい、こうやってピーチさんのように考えを示してもらい、とても嬉しいです。ありがとうございます。

  4. やはりそういうことだったのか。
    彼の写真の目を見たときから裏があると思いました。
    写真でも曇りの無い良い目をしているのに
    余程の非条理を強いられたのだろうな。
    ダメリカと言われる以遠はここに確かにある。
    敢えて名指しするがオバマは彼の行動について
    どう考えて処置をするのだろうね。
    彼はアメリカにとっても有益な国民で英雄に等しい。
    彼をどう扱うかでオバマの真意も明らかになるのではないかな?

  5. この事件はずっと気になっていた。さん、コメントありがとうございます。

    メディアは、無言の主張とでも言うように、彼の笑顔の写真を使い通していましたね。
    社会に「こいつ、悪そ~・・・」と思わせることは簡単なんです。そういう写真を選べばいい。
    だけどそうはしなかった。彼の場合、凶悪そうな写真がなかったのかもしれませんが。

    この事件の根底はものすごく汚いドロドロとしたものが複雑に絡み合っていると思います。それはアメリカという国の歴史と文化です。
    「人種問題」とか「不祥事」という言葉では片付けられません。
    今回、ドーナーが暗闇に光をあてたのも、本当に一部なのでしょう。

    ですから、オバマ大統領がこの事件をどう扱うか、今の段階では想像できません。
    むしろ「国政」とは切り離して考えて欲しい。
    何を言っても批判されるような熱いトピック(controvertial)ですから、大統領としては簡単に動けないでしょうね。

    ドーナーがこれから、英雄化されるのか犯罪者化されるのか、それはみものです。
    歴史上の人物も、こうやって名前が残されてきた。
    その時代の人々の受け入れ方で、ヒーローにもなれれば犯罪者にもなれる。その動きを私はきちんと見ておこうと思います。

  6. こんにちは、はじめまして。私もこの衝撃的な事件に釘付けになり、事件をずーと追って、真相を知りたくて色々な記事を読んでいる一人です。そして、日本人の人は「この事件についてどう感じているのかな?」と気になり検索して、こちらのブログにたどり着きました。今まで日本のニュース記事ではあまり深くこの事件を書いている記事・ブログを見かけなかったのでがっかりしたのですが、貴様のブログ、この事件の真相について詳しく書かれていて、読みながらPCの前で大きく首をふっていました。

    この事件は数々の汚名を持つ歴史があるロス市警が起こした大悲劇としか思えません。罪を犯してしまった時点で擁護はできないですが、彼も被害者の一人です。彼も含め亡くなった人の死を無駄にさせないように、ロス市警内部からの調査ではなく、フェデラル政府の外部機関がきちんと捜査して真相を究明して、今後このような悲劇を起こさないようにしてもらいたいことを願っている一人です。

    このブログ記事、私のブログ訪問者にも読んでもらいたいので、是非、はらせていただきます。どうも有り難うございます。

  7. すみません、コメントで「あなた様」(このブログ記事を書いた方のハンドル名がどの方かわからなかったもので「あなた様」としたんです。私の読み違いかもしれませんが、こちらのブログ、複数の方で書かれていると訪問したときに思いましたので・・・。)のつもりで書いたのですが、「貴様」と何故だかタイプしてしまい、とっても失礼な文章になってしまいました。もし、この言葉で記事を書いたブログ主さんが不快な気持ちになってしまったらと思い、タイポのお詫びの言葉をここで書かせてもらいます。タイポ本当に申し訳ございませんでした。

  8. Honeyluv様、コメントありがとうございます。
    この記事を読んで、深く感じ考えていただけたこと、とても嬉しく思います。

    一つの事件や事故を、様々な角度から見て伝えることは大事だと私は感じました。
    そこには「人」がいるからです。
    LAPDという場所にも人がいます。
    それぞれの逮捕の際にも人がいます。
    そしてドーナーも人でしたし、亡くなった警官たちも人でした。
    それぞれに事情があり、過去があり、信じるものがあったのでしょう。
    それがこのような形で現れたことは私も個人的に悲しいことだと思ったし、私たち残された人間に何かしらの課題を残してくれたと感じます。なのでこの記事にしました。(名前をきちんと公表せずに申し訳ありません)

    >彼も被害者の一人です。彼も含め亡くなった人の死を無駄にさせないように、
    まさにその通りだと思います。
    何かしらの犠牲が出ないと、人間は気づかないものです。悲しいことですけどね。

    時間がかかるとは思いますが、「もう同じではいられない」と誰もが感じています。
    それがどのような形で反映されていくのか、また動きが見えたら記事にしていこうと思っています。

    読んでくださり、ありがとうございました。ぜひまた遊びに来てください!
    タイポのメッセージもありがとうございました。どうかお気になさらずに・・・。

  9. 何ヶ月も経った後のコメントで申し訳ありません。

    この事件のことはこれまであまり詳しく知らなかったのですが、今回Erinaさんのブログを見させていただいてとても考えさせられました。

    ドーナーが置かれていた環境のことを考えると、彼には同情してしまいます。
    ですが、殺人を肯定しようとは思いませんし、ドーナーのしたことがすべて正しいとは思えません。
    また、殺人の対象に関しても関係のない人を巻き添えにしていないとは言い難く、殺害されたモニカ・クアンさんはドーナーを陥れた警察関係者ではなく、その娘であって、彼女に怒りの矛先を向けることは筋違いですし、彼女の婚約者であるキース・ローレンスさんに至ってはとばっちりとしか言いようがないです。
    そして警察の部隊と銃撃戦を繰り広げているということは、一歩間違えば関係のない人に流れ弾が当たってもおかしくなかったということを忘れてはならないと思います。
    正しいことを主張するためには他に手段はなかったのか、本当に犯罪に走るしか方法はなかったのか、正義のために戦うという手段を選ぶにしてもなぜこのような陰惨極まりない結末を迎えなければならなかったのか、写真を見ると好青年のようにも見える彼が人の命を奪い、最後には自分も死ぬという結末を迎えてしまったことは非常に残念です。

    一方でドーナーが殺人に走るまで追い込んだロス市警の責任は極めて重いと思います。
    不正を隠ぺいしようとする体質、組織の闇がはらわれなければ第2、第3のドーナーがきっと現れることでしょう。
    正しいことを言っても聞き入れてもらえず、それどころかあらぬ汚名まで着せられたドーナーの苦しみは想像を絶するものだったに違いありません。
    この事件ではドーナーが黒人であるということで、アメリカに根強く残る人種差別についての言及が多いようですが、人種差別を除くとロス市警のような体質は日本の警察にもあるのではないか、もちろん警察以外の組織にもそう言った体質はないか、自分達の周りや自分達が所属する組織は大丈夫だろうかと考えずにはいられません。
    もし自分が所属する組織が不正を隠ぺいしているのであれば、その不正を告発することは大変勇気のいることだと思います。
    ドーナー自身も上司であるAの暴行を捜査機関へ報告するときには迷ったのではないでしょうか?
    ドーナーは黙っていればおそらく解雇されることはなかったでしょうし、あらぬ汚名を着せられることもなく、今も平穏な暮らしを続けていたのだろうと思います。
    別のサイトで見たのですが、Aから暴行を受けた統合失調症のBはドーナーと同じクリストファーという名前だったそうです。ひょっとするとそのこともドーナーの内部告発を後押ししたのかもしれませんが、最終的にドーナーが捜査機関への報告を決意したのはやはり彼の正義感が不正を許さなかったからなのでしょうか?

    ドーナーが死んでしまった今、もしかすると今現在明るみになっている以外にもロス市警の不正はあったのか、そして彼がどんな思いで銃という忌々しい凶器を握ったのか、多くのことが闇に葬られてしまったのではないかと思います。

    1つだけ言えることは、このような忌々しい事件は2度と起きてはならないということだけではないかと思います。

    稚拙なコメントで申し訳ありませんでした。

  10. ハンドルさん、コメントありがとうございます。

    私もハンドルさんのご意見に全く持って同感です。

    この事件は、心からやるせない、同情せざるを得ないものです。
    アメリカ社会にとって、ものすごいショッキングな事件でした。

    これはアメリカだけでなく、人間の集合体という場所では、個人vs集合体のギャップが必ず存在し、みな、それぞれに葛藤しながら生きていったり、仕事をしているはずです。多くの場合は、そのギャップを受け入れたり、どこかで発散したりと、バランスをとりながら生きていますね。ただ、そのギャップが広がりすぎると、何らかの形で自分の意思表現をする人が現れるのでしょう。
    今回、警察という正義をかざす場所でこのようなギャップが明確化し、このような現実が露呈してしまったことは、とても許しがたいですし、社会がこの事件を忘れることはないでしょうし、忘れたくはありません。

    >ドーナー自身も上司であるAの暴行を捜査機関へ報告するときには迷ったのではないでしょうか?

    すごく良い点ですね、
    私もそう思います。
    彼は、事件の様々なところで、「人間らしさ」を残しています。
    マニフェストもそうだし、最後の目撃者の証言でもそうでした。
    彼は、一人のアメリカ人男性で、それ以上でもそれ以下でもない。本当に、普通の人だったはず。
    そう感じた人はすごく多いはずで、「もしかしたらこれは自分だったかも?」と感じている人もすごく多いはずです。他人事とは思えないですもんね。

    コメント、ありがとうございました。
    またぜひいらっしゃってください。

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