I AM CANADIAN !!!
このブログを始めて、なにかカナダらしいことを書こうと考えをめぐらしても、「これってもしかしてアメリカでも一緒?」と思うことが多々あります。
カナダでもアメリカでも英語が公用語として使われているし、カナダのテレビではドラマやアニメは結構アメリカのものをやってるし、なんせ同じ大陸だし。ほぼ地球の裏側にいる私たち日本人にとってはカナダとアメリカの違いって、なかなか見つけにくいものだと思います。彼らにとって日本と韓国の違いが分からないように。
カナダ人もそのことを薄々感じていて、さほど気にしない人もいれば、アメリカ人と一緒にされたくないと強く思っているカナダ人もいるようです。
そんな後者の代表として一人のカナダ人男性がステージに立って声高々に演説をするテレビコマーシャルがあります。CANADIAN というカナダブランドのビールのCMです。カナダという国をもっとよく知るのにうってつけだと思うので、今回はそれを紹介したいと思います。
【字幕】
Hey,
I’m not a lumber jack or a fur trader
(ヘイ、俺は木こりのジャックじゃないし、毛皮の貿易商人でもない)
And I don’t live in an igloo or eat blubber or own a dog sled
(イグルーに住んでもいないし、鯨の脂身も食べない。犬ぞりだって持ってない)
And I don’t know Jimmy, Sally or Suzie from Canada although I’m sure they’re really really nice
(カナダ出身のジミーとかサリーとかスージーなんて俺は知らないよ。彼らは間違いなくいいやつらだろうけど)
I have a Prime Minister not a President
(俺たちには首相がいる。大統領なんていない)
I speak English and French not American
(ここでは英語とフランス語が話されている。「アメリカ語」なんて話さない)
And I pronounce it about not “a-boot”
(それに about という単語は「アバウト」と発音する、「アブートゥ」なんて言わない)
I can proudly sew my country’s flag on my backpack I believe in peacekeeping not policing
(俺は誇りを持って自分の国の旗をバックパックに縫い付けるよ。警察による取締りじゃなくて平和の維持を信じている)
Diversity not assimilation
(人種の同化ではなく多様性を)
And that the beaver is a truly proud and noble animal
(ビーバーは誇り高き崇高な動物だ)
A toque is a hat a chesterfield is a couch
(トゥークは帽子だ。チェスとフィールドは長椅子だ)
And it is pronounced “zed” not “zee” “zed”!
( “Z” は「ゼット」と発音される、「ジー」とは言わない)
Canada is the 2nd largest landmass!
(カナダは世界で2番目に広大な国だ)
The First nation of hockey!
(ホッケー発祥の国だ)
and the best part of North America
(そして北アメリカで一番すばらしい国だ)
My name is Joe!
And I AM Canadian!!
(俺の名前はジョー!カナディアンだ!!)
アメリカのTVショーで、カナダ人のことを田舎者扱いしたりカナダなまりのアクセントをからかったりしているのを見た事があります。愛国心の強いカナダ人にとっては腹立たしい事この上ないでしょうね。このコマーシャルでは青年ジョーがそんな鬱積したカナダ人の不満を代弁してくれたことで、(自虐的ジョークとも取れますが)多くの人の心に強く残るCMを作ることに成功したようです。そして私たちのような外国人にとっては、カナダについて知るよき教材ともなりました。
ちなみにもう一本、同社の別バージョンのCMで、先ほど言った「カナダ人をからかうアメリカ人」を見ることが出来ます。
【字幕】
So I hear you from Canada.
(君、カナダから来たんだって?)
How’s your going, eh?
(調子はどうだい、なぁ?)
Do you want a donut?
(ドーナッツいる?)
I thought all they had up Canada were lumberjacks and curlers.
(カナダには木こりのジャックとカーリングしかないと思ってたよ)
Is there running water up there?
(水道って整備されてるの?)
Where’s your toque, eh?
(君の帽子はどこだい、なぁ?)
No doubt about it.
(間違いない!)
嫌味でしたね~。このアメリカ人はさすがに誇張表現だと思いますが、この、語尾の“~eh”という表現はカナダ人との会話の中で実際に聞きます。
例えば、“It looks nice, eh?”(これ感じいいだろ?)といった具合に、アメリカ英語でいう“~huh”という表現にあたるもの。「~だろ?」「でしょ?」というニュアンスで用いられます。この“~eh”がアメリカ人にとってはとても田舎者っぽく聞こえるそうで、からかいのネタのひとつになっているようです。
最後の“No doubt about it.”でカナダなまりを誇張してからかわれた後にカナダ人男性がアメリカ人の背広を捲り上げますよね。これはカナダで大人気のアイスホッケーでよく見られるホッキーファイトだそうです。(私はアイスホッケーをあまり見ないのでよくわかりませんが。)カナダのことを馬鹿にされまくった最後はもっともカナダらしいやり方でファイトの口火を切る。まさに“I AM CANADIAN !!!”
どうです?カナダとアメリカの違いについて何か新しい発見はありましたか?
私の同級生で現国立大学の教授がいますが、彼は長年カナダで研究してきて、カナダ人がアメリカ人をあまり快く思っていないと言っていて…
私のような日本しか知らない者としては、朝鮮半島にしても、同じ大陸のアメリカとカナダにしてもバカにしたり敵対したりするのは浅はかだし、理解できない事なんです。
でも、やっぱりまだまだあるんだね。
今オリンピックで北朝鮮が出る時に、あろうことか、韓国の国旗が掲げられ、選手たちは猛抗議し、一時間以上遅れての競技開始となりました。
日本人なら『ま、間違いもあるよね、不愉快だけどさ。』
くらいなもので、一時間以上も競技関係者を困惑させないだろうと思う反面、自身の国にここまで誇り?を持ってるというのも驚きだけど、感心しちゃうな。
日本人は口論、いいえ、討論さえさけますからね。
日本では「愛国心」ってオリンピックとかW杯の時にチームジャパンを応援するときにしか注目されてないような気がします。
カナダでは何かイベントがあるたびに、カナダの国旗を街の至る所で多めに掲げていたり、「CANADA」のTシャツを着てる人(旅行者以外で)を見かけたりします。
日本で日の丸Tシャツを着てる人を見かけることはあまりないし、それこそ国旗がそんなに飾られてたら、「今日天皇でも来るの?」くらい特別な雰囲気になってしまいますよね。
争いごとは避けて出来るだけ穏便に・・・
日本人らしさが皮肉なことに、自国に対する愛国心を押しこめているのかもしれませんね。