Shark Tank(シャーク・タンク)
どうもこんにちは、Erinaです。最近、ことにはまっているテレビ番組があります。
それはABCで放送されている“Shark Tank”(シャーク・タンク)。
イメージは「サメの水槽」です。とは言っても、本物のサメが出てくるわけではありません。
“Shark”は本来、CEOのスラングだそうで、これが番組の意図かはわかりませんが主役はアメリカ中の社長(ビジネスオーナー)たち。全米からやってくるビジネスオーナーたちが、”Sharks”と呼ばれる投資家たちの前で自分のビジネスをプレゼンし、投資してもらうというものです。
4~5年前に始まった番組ですが、私は今シーズンになってどっぷりとこの番組にはまってしまいました。
シャーク(投資家)は、以下の人たち。
左上から時計回りに、
Mark Cuban(マーク・キューバン):NBAのダラス・マーヴェリックスのオーナーでもあり投資家。子供の頃から様々な仕事やアルバイトを経験する。テキサスのPCソフトウェア会社の営業職を経験してから起業し、自分の会社を売って投資。3児の父。投資分野はスポーツやメディア関連。
Barbara Corcoran(バーバラ・コーコラン):NYで不動産ビジネスを始める。最初の会社を$66ミリオンで売却。高校では成績は「ストレートD」で、23歳までにウェイトレスを含めた20の職業を経験。投資分野は不動産。
Kevin O’Leary(ケヴィン・オーレアリー):カナダで中流階級の家庭に生まれ育つ。大学院を卒業して仲間と起業、会社を売却。10,000ドルの初期投資を20年かけてビリオンダラーの会社に育てる。1999年にMattelに$3.8ビリオンの株スワップで売却。投資分野はIT。
Robert Herjavec(ロバート・ハージャヴェク):クロアチアで生まれ、カナダで育つ。キャリアをIBMの営業職としてスタートし、起業し、その会社をAT&Tに売却。投資分野はIT。
Lori Greiner(ロリ・グレイナー):リテール商品をいくつも発明し、テレビショッピングチャンネルQVCの、”Queen of QVC”と呼ばれる。現在、アメリカとインターナショナル特許を115保有する。投資分野は特許がとれる発明や新製品。
Daymond John(デイモンド・ジョン): ファッションブランドFUBUのCEO。地元のクイーンズで帽子を売るところから始める。投資分野はファッション。
彼ら・彼女らは、投資で成功し、自力でのし上がったミリオネア・ビリオネアたち。番組にやってくる社長たちのプレゼンテーションを見て、「これならきっと成功する!」と思えたら、自ら金銭的・事業的な支援と投資をするわけです。
番組の流れは、まず、ビジネスオーナーが扉の向こうから部屋に入ってくるところから始まります。そして自分のビジネスの紹介。
「ハイ、私の名前は○○です。XYZコーポレーションのCEOです。私のプロダクトはこれで、こういうふうに使います。こんなときに困ったことはありませんか?でもこれがあれば・・・ホラ!すごいでしょ?」
という感じ。笑
商品はサービスだったり、物品だったり、IT系だったりと様々。
一通りプレゼンが終わると、ビジネスオーナーがこういいます。
「今日は、10%のエクイティと交換に$10,000の投資をお願いしに来ました。」
これはどういうことかというと、シャークが$10,000のキャッシュを投資する代わりに、この会社の10%分の資本(エクイティ)を手にするということ。株式会社であれば、株主です。
つまり、この企業の現時点での総資本は$100,000ということになります。
これを聞き終えると、次はシャークたちから質問。
「その商品はどうして思いついたの?」
「どうやって運営(operate)してるの?」
「年間の売り上げはどのくらい?」
「最終収益はどのくらい?」
「コストはどうしてそんなに高い/低いの?」
「自分に給料は払ってるの?」
「今まではどうやって売ってきたの?」
「従来品とどう違うの?」
「このマーケットはかなり大きいけど、どうやって入り込むの?」
・・・・などなど、質問の嵐。
ビジネスオーナーはこれらの質問に全て答えられるようでなければ、シャークを納得させることはできません。
そして、ネックの質問。
「この投資を何に使うの?」
ここで計画が曖昧だったり、目的が自分への給料だったりすると、かなりの割合で却下。シャークたちは”I’m out.”と言って、この投資から降りるわけです。
もしその投資に興味がある場合は、ほとんどの場合でシャークが「カウンターオファー(オファー返し)」をします。
シャーク:「いいよ、$10,000出してあげる。その代わり、30%のエクイティが欲しい。」
オーナー:「考えても良いですか?」
シャーク:「もちろん。」
と言うと、オーナーは部屋の外へいったん出て、ちょっと考えます。複数名のオーナーがいる場合も、そこで相談します。
部屋に戻ってくると、
オーナー:「30%はやっぱりちょっと多すぎです。20%はどうですか?」
シャーク:「う~ん・・・・。オーケー。20%で成立。」
二人が握手。
・・・・・と、こんなに簡単にいくことはめったにないのですが(汗)、例としてはこんな感じです。
この番組を見ていて、ものすごく勉強になることは、世の中には本当に色々なビジネスがあるということ。人の数だけビジネスがあります。
「よくこんなこと思いつくなぁ」と感じることもよくありますが、やはりその人だからこそニーズを見出したのでしょう。
また、経営者がどのような人たちなのかも見極めなければなりません。
そのビジネスが安定したものか、そうでないか。
詰めが甘いか、そうでないか。
そして何より、このビジネスオーナーに投資したいか、そうでないか・・・。
製品そのものや表面的な数字ももちろん大事ですが、シャークたちは番組にやってくるビジネスオーナーをよ~く吟味します。
ここでよく聞くのが、”Is it worth my time and energy?”
「自分の時間とエネルギーを費やす価値があるかどうか?」
シャークたちはとても客観的に、そしてシビアにビジネスと自分の投資を天秤にかけます。
そしてその姿は、水槽に入れられたサメ軍団。餌が投げ入れられたら、入れ食い間違いなしです。
あるエピソードで、「アメリカらしいな・・・」と感じたビジネスがありました。
投資援助をお願いにやってきたビジネスオーナーは、11歳の男の子。
ビジネスは、手作りのドッグスナック(犬用のクッキー)を販売する会社でした。
彼は自分の家のキッチンで、お母さんと一緒に自分の犬用のクッキーを焼き始めました。それから自分やお兄ちゃんのサッカーの試合にやってくる家族の犬にクッキーを分け始めると、それが大好評だったらしいのです。そこからお金をもらい始め、ビジネスとして大きくしようという目的でした。
評判は上々で、将来性もあるビジネスだと、シャークたちは全員思いました。
そこで、子供がいるファミリーマンの投資家マーク・キューバン。
「君は11歳だよね。こうやって自分のビジネスを始めたのは素晴らしいことだよ。僕も最初のビジネスを始めたのは12歳のときだった。
だけど、学校も行かなきゃいけない。ビジネスを始めるってのは本当に大きなコミットメントだよ。
15年後、また戻ってきてくれたら投資してあげる。だけど今はできない。I’m out.」
彼は11歳の男の子が一番必要としているのは、ビジネスへの投資ではなく、「11歳の男の子として育つこと」だと考えたのです。
最終的にはバーバラがこの会社に投資することにしました。
そのオファーをしたとき、一瞬、マークの顔が曇りました。それは、未来ある会社を取られたからか、自分のポリシーと反することをバーバラがしたからか、はわかりません。
バーバラ自身も母親ですが、彼女は自分の視点から見てこの会社に投資しようと思ったわけです。
こうやって投資家それぞれの経験や価値観、得意分野などが生かされ、ビジネス決定されるのは面白いなと思いました。ビジネスでは、誰が正しい・間違っているという考え方は、それほど重要ではないという例でした。
また、シャーク同士のやりとりも見ていて面白いです。一つのビジネスに入れ食いになることもあるし、「ケヴィンが入ってくれたら投資する。」と、チームワークになることもあります。
自分をシャークに置き換えて見ていると、世の中のビジネスを勉強できる良いトレーニングになっています。
英語でネゴシエーション能力をつけたい人にもぜひおすすめです。
この番組は毎週金曜日、夜9時からABCで見られます。
ん? どこかで聞いたような番組内容・・・
と思ったら、やはり日本の番組「マネーの虎」のアメリカ版だったんですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/マネーの虎
日本から輸出された TV番組って結構あるんですね。素晴らしい。
ボクも今後のためにネゴシエーションスキルを養うために見てみます。
私も「マネーの虎だ!」と思いました。
この番組はアメリカの方がうまく行きそうな、というか奇を衒っていない感じがするのは、日本がマネーの虎でアメリカ的な事をしようとしたからなのでしょうか?
アメリカの社会勉強のために、ぜひ観てみたいと思います。
ご紹介ありがとうございます!
「マネーの虎」ですか。
そんな番組が日本であったんですね!
確かに、このコンセプトはアメリカで受けそうですよね。
ビジネス自体は大したことないのにネゴシエーションのうまい人とか、逆に製品はすごいのにプレゼンがイマイチのケースとかあって、面白いです。勉強になりますよ!
感想も教えてくださいね♪
うーん、わかりにくい