“Payroll tax cut”とは?
ここ数週間、ワシントンDCとニュースを熱くしている、”payroll tax cut”。これはいったい、何のこと?ちょっと解説してみましょう。
(下院共和党代表のBoehner議員: source)
今回、参考にしたのは、この記事。
まず、”payroll tax”とは、お給料から天引きされているSocial Security(社会保障費)のこと。
もともとこれは、給料の6.2%でしたが、2010年末にオバマ大統領がこれを一年間4.2%に引き下げる、という法案を通しました。目的は、この一年の家計を助けるため。年間の収入が50,000ドルの家庭では一年間で約1,000ドルをセーブしたことになります。
そして今回、この法案が今月12月末でexpire(期限切れ)してしまうのです。
そこで、この法案をextend(延長)しようじゃないか、ということで、しばらく議論されていたのですが、昨日22日の午後に、どうやら下院が修正案を作る、ということで合意になったようです。
今回この延長案になかなか合意しなかった原因は、このtax cutをまかなう方法にありました。
tax cut(減税)をすると、おわかりのように、国家収入が減ります。
しかし予算があるので、どこかからそのぶんの収入を賄わなければならない。
その収入源をめぐって、下院(共和党多数派)と上院(民主党多数派)がもめていたわけです。
上院が通した法案では、
・このpayroll tax cutをもう一年延長
・その前に2ヶ月まず延長し、その間に代替収入源を確保(富裕層への増税を行いたい)
というものでした。
これに対して下院は、
・2ヶ月(とその後の10ヶ月)の延長は同意
・代替収入源は探さず、他の支出を減らす(富裕層への増税は反対だから)
と、「減税のその後」の計画のために揉めていました。
修正案の内容は、中小企業からの増税は行わない、というようなものになるようです。
う~ん、これだけ聞くと、共和党はかなり妥協しましたね。
詳細はまだありませんが、修正案がどんな内容なのか気になる。
この時期(大統領選挙前)の法案成立・不成立は、大統領選挙に向けての駆け引きがとんでもなく巻き込まれています。(アメリカの大統領選挙についてはこちらから)
民主・共和両党とも、自分の党の投票者を失うようなことはしたくないので、議院内での動きが明確になるんですね。
民主党は中流~貧困階級の支持を受けるような法案、共和党は富裕層の支持を受けるような法案を通そうとしているので、なかなか合意に至らないわけです。
これから11月の大統領選挙まで、コロコロと変わるホワイトハウスの動き、要チェックです。