【アメリカで10倍うまく家を購入する方法】 ForeclosureとShort Saleって何?
Masaさんが、少し前に書いていた、「アメリカで10倍うまく家を購入する方法」シリーズ。今回は私の観点と経験から書いてみたいと思います。
“Foreclosure”, “Bank Owned”, “REO”, “Short Sale”など、これ、何だろう?と思った看板、ありませんか?
今回は、これらのような”regular sale”(通常売買)とは呼ばれない物件の種類と、その意味、これらの物件を購入するにいたって、どんなことを知っているべきかをちょっとお話したいと思います。
まずはよく聞く、“Foreclosure”(フォークロージャー)。これって一体、どういうことなの?
実は、上に書いた、”Foreclosure”, “Bank Owned”, “REO”の3つは、同じ意味。”REO”とは、Real Estate Ownedの略。
これらの物件は、「銀行」に所有されています。
つまりどういうことかと言うと、その物件のオーナーが、mortgageを払わなくなり、ローンを組んでいた銀行がその物件を差し押さえてしまったということです。物件オーナーのmortgageの滞納が長引くと、大きなロスを避けるため、銀行はこのような処置をとります。
それでは、foreclosure物件はどんなものか?
一般的に”foreclosure”というと、「ちょっとワケあり」な感がぬぐえませんが、実際は色々なものがあります。
1.自分の住み家で、mortgageが支払えなくなって退去したケース
2.投資として購入したが、リモデル中にお金がなくなったケース
などなど。
1の場合は、家電製品や洗面台が持ち去られていたり・・・というケースもあります。そういうケースのせいで、「foreclosure=廃墟」みたいなイメージがありますが、全てがそうではありません。
数年前に、このケースで強制退去になったオーナーが、(銀行への?)怒りのあまりに、家の中の壁やカウンターを破壊したところ、「公共物破壊」として逮捕されたケースもあります。差し押さえになった時点で、その物件はすでに銀行の所有物になるので、これは犯罪です。彼はアンガーマネージメント行きだろうな・・・苦笑
2の場合、投資として購入した時点での物件の状態にもよりますが、「この作業が終わってない」というのが明確です。壁に穴があいたままだったり、何かが足りてなかったり。
しかし、基本的に「直せば、買い足せば住める」というものなので、現況から新しいオーナーがtake overし、住むことが可能でしょう。
雨漏りがひどい場合や、そのまま放置しておくとダメージが大きくなる場合などは、買い手が見つかる間にも銀行が直接改修費用を持ちます。“as-is”と呼ばれ、「このままの状態で売ります。改修費用は全て購入者もちですよ」という物件もあります。家の改築や改修について知識がある人は、「これを直すのには10,000ドルくらいかかるだろう」とか、「これなら自分で直せる」という査定ができるので、foreclosure物件でも問題ないと考えますね。
購入してすぐ引越し、住むことができる物件を、“move-in ready”と呼びます。foreclosure物件にはこのような物件は少ないかもしれませんが、程度によってはそれほど直すことに時間も費用もかからないものもあります。
ちょっとここで、ケーススタディしてみましょうか。(すいません、私の職業病に付き合ってください)
通常売買で500,000ドルの家Aが売りに出ています。これはMove-in readyの物件。
そのお隣の家が、全く同じ大きさ&間取り、年数、でforeclosure物件Bとして400,000ドルで売りに出ています。
しかし、Bは水漏れがあるらしく、直すのに見積もってもらったところ20,000ドルかかる。
加えて冷蔵庫、洗濯機&乾燥機がついてないので、購入しなくてはならない。予算は5,000ドル。
とすると、
通常売買物件A | 500,000ドル |
Foreclosure物件B | 400,000ドル |
+水漏れ修理 | 20,000ドル |
+家電製品購入 | 5,000ドル |
トータル | 425,000ドル |
ということになり、Bを買えば新品の家電つきで75,000ドル節約したことになります。もちろん修理中の滞在先や、引越しまでの時間なども加味して、自分にとってどちらが良いのか、ということを決めます。
では、どうしてforeclosure物件は話題に挙がるのか?
秘密はその物件の価格にあり、regular saleに比べて、かなり価格が低い場合がほとんど。
実は、銀行にとってforeclosure物件というのは、ありがたいasset(資産)ではありません。
というのも、
空き家を何ヶ月も放置しておく→物件のダメージ(破損、盗難、自然災害など)→物件の価値がもっと下がる
というセキュリティ面の不安があります。
銀行は、foreclosure物件の見回りがお仕事ではないので、セキュリティ要員や、ダメージの修復に出費してしまうのをとても嫌がるんですね。
なので、できるだけ早く手放したい→物件の価格を低く するわけです。
加えて、銀行が決めたforeclosure物件の価格は、市場価格よりも、銀行の会計(internal book)をベースにするので、regular saleのように物件で「利益を得る」という必要がありません。
たとえば、あなたが10年前に200,000ドルで現在の家を買ったとしましょう。ローンの残高は150,000ドルとします。10年住んで、色々とレノベーションも改修もしました。それに価値上昇も上乗せして、そうだなぁ、250,000ドルで売りたいとします。もしこの家がその値段で売れたら、250,000ドルは現在の市場価格となります。
しかし、同じ10年前に、同じ値段で購入した、同じ状態のお隣の家がforeclosure物件になってしまいました。銀行は、ローンのもとが取れればよいわけですから、ローンの残り分の150,000ドルで売りに出すとします。
すごいですね、その差。
かなりシンプルな例にしてしまいましたが、イメージとしてはこういうことです。
どうですか?
新しい家を買おうとしている人がいたら、どっちを選ぶでしょうか?
お隣のおうちが、このようにforeclosureで売りに出ていたら、regular sale物件の売り手にとっては、かなり厳しい勝負になると思いません?
今現在の不動産市場は、このforeclosure物件が溢れています。そのおかげで、市場自体の価値がなかなか上がってきません。売れても価格が低いからです。
“Foreclosure properties are driving real estate market down.”なんて言われていますが、これが原因です。
・・・・・と、ちょっと家の購入から話がそれてしまいましたが、戻りましょう。
そんなわけで、foreclosureは銀行に所有されている物件であることを覚えていてください。
なので、オファーも銀行にします。銀行が、カウンターオファー(買い手からのオファーに対するオファー返し)もします。foreclosure物件を買う場合は、regular saleよりも時間がかかる場合がありますが、それは銀行内に、余分なプロセスや報告義務などがあるからです。
次は、もう一つの“Short Sale”(ショートセール)についてお話します。
short saleは、「銀行の承認を得て、ローン残額より低い価格で物件を売る」ということです。
銀行がその額を受け入れると、そこで売買が成り立ち、ここで生じたロスは銀行が持つことになります。
つまり、
あなたは2007年(不動産市場ピーク時)に、今の家を500,000ドルで購入しました。ローンの残高は480,000ドルあります。
しかし、不動産市場暴落の結果、現在の価値は下がってしまいました。
この家を売りたくなったので、”short sale”物件として、現在の市場価格350,000ドルで買い手が決まりました。(カリフォルニアでは最大で30%下落なのでこれくらい)
そこに130,000ドルのロスが生まれますが、short saleの場合、承認の上、銀行がこのロスを受け入れることになるのです。
じゃあ売り手はラッキーじゃないの?と思いますが、もちろんここでペナルティが生まれます。
short saleで家を売った場合、foreclosureと同様、クレジットスコアが大幅に下げられます。(「クレジットスコアってなんだ?」の記事はこちらから) この場合、次の家を買うには数年待たなくてはなりません。
しかし、売り手が決まっている、ということで、foreclosureの場合に比べて、ペナルティは軽くなります。これは不動産エージェント(特にshort saleスペシャリスト)に相談してみてください。
short sale物件もforeclosure同様、物件の状態には色々なケースがありますが、銀行所有の時間がないため、空き家になっていたケースは少なく、人がすでに住んでいたケースが多いかもしれません。
どうでしょうか?
ちょっと長くなってしまいましたが、アメリカで家を購入予定の方の役に立つとうれしいです。
アメリカで10倍うまく家を購入する方法シリーズの過去記事はこちら。ぜひ参考にしてみてください。
次回は”Escrow”(エスクロー)と呼ばれる、不動産売買のプロセスについてお話してみようと思います。
参考になり過ぎて、「これでも買わなかった、もうあんたおしまいだよ」状態です。以前リーマン時代、地元横浜の実家近辺で、最寄り駅まで徒歩15分の新築マンション(2LDK)が3900万程度で宣伝されていたのを「安い!」と真剣に建築会社と銀行に話をして段取りをしていたのに、仕事での急な案件で全然動けなくなり頓挫したことがありました。んで、時間は流れ…ウィチタ来たら、一軒家が$65,000とかから売ってる。$150,000とか出したら…
さて、俺、どうする…
日曜大工をしながら、これでいくか。
>Tatさん
日本に比べたら、桁が違いますよね。値段も広さも。つまり100倍違い?!
うちも去年、家探しの旅をしたのですが、カリフォルニアとはまた桁違いでした。こんな大きい家がこの値段で買えるの~?とカルチャーショック。
大きい家か、仕事も友達もあるカリフォルニアか・・・究極の決断をするところです。
日曜大工をするなら、ぜひここで。笑
http://www.diynetwork.com/
時間とお金があれば、私もfixer-upperを買って、色々とやりたいんですけどねぇ。
Erinaさん、めちゃ良くわかるお話でした。
私が家を買い換えたころ(2010年10月ごろ)にも、ForeclosureやShort Saleの物件が山のようにありました。不動産エージェントによれば、市場に売りに出されている物件のおおよそ70%くらいは「わけ有り物件」と言うことでした。Short Saleを購入する場合には、半年ほどかかると考えておいたほうが良いとも言われました。
私の買い換えた今の家の価格も下がってるんだろうなぁ...。
私はShort SaleやForeclosureの家を購入したいと思ってたところ。私がほしいと思っている地域の家は60年代70年代に縦建てられたもの、リフォームしてあるところもあるけど、ほとんどのところはオリジナルのまま。普通のセールで買ってもアップグレードしないといけないと思うんで、どうせするんだったら、安く買って自分の好きなようにリフォーム出来たらいいなと思ってる。リフォームでも、かなり長く住むんだったらかなりの投資でもいいと思うけど、5年くらいだと、ご近所さんの家の価値よりかなり沢山投資してしまうとなかなか売れなかったりする。そのあたりの駆け引きって難しいですよね。
私はラッキーな事にバブルの時に2件買って売って、今は賃貸です。今年あたり家を買いたかったんだけど。。。旦那はまだ住宅マーケットに不信感を抱いてて踏ん切れない模様。アパートも私たちが気に入ったものだと1500ドルする。これだとコンドミニアムとかタウンハウス買えるんだけどね。。
Masaさん
そうですか。溢れてますね。
2010年Q3のサンディエゴカウンティ住居売買の46%は、foreclosure とshort saleだったそうです。値段もゆっくりですが、まだ下がっているそうで・・・。
私の勝手な予想では、底は今年と来年かな。って気がしますけど。大統領選挙次第かな。
Naoさん
コメント、ありがとうございます。
そうなんですよね。Move-in readyのおうちを買っても、どうしてもやることはあるもので・・・壁のペンキを塗ったり、何かかんかの修理などが、長くても数年以内に出て来るんですよね。
そうですね。
その家にこれからどれくらいの期間、住む予定なのかっていう計画は必要ですよね。子供たちの年齢とか。
初めまして。
現在家さがししている初心者です。
Real Estate のForclosureの価格(オークションStarting価格)が$60,000でたとえば$70,000で落札した場合、支払うのはその額(+HOA)だけなのでしょうか?
気になるのはList Price $185,000とか別途価格の記載があることです。
主人に聞くと、$70,000で落札後残り$115,000払わなければいけないと言っているのですが、そうなのでしょうか?(田舎なので不動産安いです(笑))
不動産に関しては無知なのでよろしくおねがいします!
Rinaさん、コメントありがとうございます。
正直に言うと、オークションstarting価格とListing Priceの二つあるというのが想像できません。
もしよければ、ウェブサイトのリンクなど貼ってもらえますか?個人的な情報なので、コンタクトのページからメールしてくださってもかまいません。
そこでちょっと見てみます。
よろしくお願いします。
初めまして、家探しも購入も🔰な者です。
記事がとても参考になりました。ありがとうございます。
しかし、いざ検索するとShort Sales や foreclosureのエージェントやサイトが一杯あってどれがいいのか分かりません。
オススメのエージェントやサイトがありましたら教えて頂けますか?