自由の国アメリカ目指して裏通りを行く! ー その2
From Fox News
先週は、自由の国アメリカを目指して、法律を無視して国境を超えてやってくる人たちの話をしました。
メキシコでの極貧生活に耐え切れず、自由を夢見て国境を超えてくる人たち。でも、アメリカに入ってもよほどのことがない限り極貧生活は続きます。
メキシコの貧しさがどの程度のものなのかは、またの機会にお話しようと思いますが、それはそれはひどいものです。それに比べればまだまだ日本は裕福だと感じるのは私だけではないと思います。
さて、ねぐらを確保した彼ら、次は、生きていくために働かなければなりません。働いてお金を得る。ま、それはどこでも同じことです。働かざるもの食うべからず。
違法移民が簡単に仕事を見つけることができるほど、世の中甘くはありません。アメリカ市民でも、仕事を見つけることが困難なこのご時世です。違法移民がまともに就けるような仕事は皆無です。
では、どうする。
ホームレスのように交差点に立って、お金をもらう?
これは仕事ではありませんが、ホームレスにやさしいアメリカ社会、小1時間ほど立っていれば、その日1日過ごせるほどの稼ぎ(お金だけではありませんが)を得られるんじゃないでしょうか(よくは知りませんが)。
でも、そようなことをしている不法入国者を見たことがないんですよね。まぁ、公の前に姿を現すと、即座に逮捕で自国に強制送還されるからでしょうか。
じゃぁ、どうしたら良い?
彼らは、「待ち」ではなく「攻め」の姿勢で行動します。つまり、自分で仕事を見つけに行く。週末の天気の良い日などは、コミュニティーに現れて、外で車を洗っている人たちや、家の掃除をしている人たちに声をかけます。
「Work? Work?」
違法で入国をしてくる人たちですから、教育レベルも高いわけはなく、英語なんぞは全くできない。なので、知り合いに教えてもらった「仕事」と言う英語を繰り返すだけ。
運良く仕事にありつけば、何がしかのお金をもらうことはできる。なので、彼らも必死に御用聞き。
以前、隣のおじさんがそんな人達にお金を払って、庭の掃除をしてもらっていました。時給いくらだと思います?5ドル。カリフォルニアの法律で最低賃金が決まっているのですが、それが8.50ドル(だったかな)。おじさんいわく、
「安くで、きれいになんでもやってくれるので、よく仕事を頼んでる」
そうです。
そのまた隣のおじさんは、以前、彼らに仕事を頼んだらしいのですが、あまり出来がよくなかったとか。それ以来、ことあるごとに「Work? Work?」と来るので、困ってるようで。
個人で御用聞きをする人もいれば、集団で行動している人達もいます。サンディエゴに滞在したことのある人は、見かけたことがあるかもしれませんが、よくガソリンスタンドの脇でたくさんのヒスパニック系の男たちがたむろしています。どうしてガソリンスタンド辺りが多いのかはよくわかりません。この人たちは、そこで仕事をもらうために待っているんです。
どんな人が彼らを雇うのかと言うと、ガーデナー(gardener:日本で言うところの庭師...かな?)が多いようで。あるいは、コミュニティ内の清掃員、車の洗車場などなど。
アメリカの一般家庭では、バックヤードやフロントヤードに芝がある家は、週に1度とか、2週に1度とか、芝刈りをしなきゃならないんですね。で、自分でやる場合もあれば、ガーデナーを雇う場合もあります。そのガーデナー、これもいろいろとありまして、普通、ガーデナーなどと言う職業でも、始めるためにはライセンスが必要なんですよ。そのライセンスを取るためには、それなりの訓練も必要ですし、お金も必要です。で、ライセンスが取れたあかつきには、合法的に人を雇って、ガーデニングをすることができるんですね。
しかーし、ここサンディエゴには、合法でガーデニングをしている人たちよりも、不法でしている人たちの方が多いんじゃないかと思います。合法でガーデニングをしているわけではないので、合法的に人を雇うことができません。でも、人出が必要です。なので...こんなガーデナーたちは、不法入国者を雇うことになります。つまり日雇いですね。
男たちがたむろしているガソリンスタンドを観察していると、たまに、トラックに乗った、これもメキシコ人ではないかと思われるガーデナーが、彼らに声をかけて、数人をトラックに乗せて去っていくのを見ることができるはずです。
日本でも日雇い労働者がよく集まっている場所ってありますよね。あんな感じでしょう。
そんなこんなで仕事にありついた違法移民たち、まるまる1日仕事をすれば、その日暮らしができるほどのお金を得ることができるのでしょう。もちろん贅沢などはありえないでしょうけど。
で、毎日毎日仕事をして、爪に火を灯すように貯めたお金で、自転車を購入します。彼らにとって自転車は私たちの家に匹敵するほどの価値を持ったものになります。行動範囲が広がりますし、また、場所を転々と移動することができる。
そして...
不法入国者の中にも「できる」人間はいます。お金をためて、不法入国者を使って、自分でガーデナー業を始める人もいます。ライセンスを持っているガーデナーよりも、かなり格安で仕事を請け負うため、引く手あまた。ライセンスを持っているガーデナーが「仕事がない!」と言うほど、彼らへ仕事が集中します。それによく働きます。年中無休です。
そして、自分のガーデニング業をうまく起動に乗せて、合法移民になる人もかなりいるようです。
ちなみに、私には、数人のメキシコ系のガーデナーの知り合いがいます。庭仕事を頼んだり、家の中のガラクタの始末をお願いしたり、ちょっとした修繕をお願いしたり、とにかく困ったことがあったら、まず相談って感じです。格安できれいにやってくれますし、それにいつでも来てくれるので非常に助かっています。
そんな彼らも辛い過去があったんでしょう。でも今はアメリカで会社の社長です。
Home Depotに午前中や朝早く行くと、不法移民のメキシコ人が駐車場でわんさか待っています。
その日の働きぐちを我先に、と待っているんですね。
移民局はこれを知っていて、たまにトラックで強制連行されているところも見ました。
これが数週間前にニュースになっていました。
「どうしてHome Depotは違法労働者の温床になっているのを無視しているのか?」って。
たしかに建築関係だけでも、メキシコ人を雇ったら1/3くらいですもんね。
(コンサーバティブな)アリゾナでは警察が「誰にでもいつでも」身分証明の提示をリクエストできるなんていう法律もできましたが、お金のないカリフォルニアは違法労働者抜きでは回らないような気もしますね・・・。
あ、これについては”A Day Without Mexican”っていう映画が面白いです。
以前テレビで国境の砂漠を超えてアメリカを目指すメキシコ人のために、水をタンクに詰めて置いて歩く男性のドキュメンタリーを見たことがあります。
アメリカを目指しても、途中で飢えと渇きに命を落としてしまうんですよね。
そんな危険な可能性があるのにアメリカへ行きたがる、それほどの貧困とはどんなものなのでしょうか?
次のお話が気になります。
そもそも違法滞在なんだから、そういう人は取り締まれば良いというアリゾナ州の法律も、ものすごく理解できるんですが、実際問題、カリフォルニアで違法滞在者を取り締まってコミュニティから彼らがいなくなったら、社会が回らないんじゃないか!?というくらい、彼らは底辺でカリフォルニアの社会を支えていますよね。
うちに来てるガーデナーはおそらく市民権を持ってると思いますが(聞かないから知らないし、こういうことは聞かないよね?)、彼が連れてきているメキシカンたちはどうだかな。
メキシコ国内の経済が発展してこない限り、隣接している裕福な国への違法入国はなくならないですよね。
>Hisayoさん
そういう水のタンクのあるところへ、次回サンディエゴへいらした際はご案内しますよ~。
Erinaさん>とにかく安くなりますよね。私なんか家の前にある大きなパームツリーを根こそぎ切り取ったことがあるんですが、ふつーのガーデナーに頼むと1500ドルくらいしたのを、交渉の末メキシコ系のガーデナーに200ドルでした。さすがに、200ドルは破格値だったらしくて、後で「ゴミとして捨てるだけで200ドルくらいかかって儲けはほとんどゼロだったと。
Hisayoさん>そそ、運が良ければアメリカで生き延びられる。運が悪ければ、途中で死んでしまうか、捕まって強制送還か、ですね。まだ強制送還の方がましでしょう。それでもかれらはアメリカを目指します。何度かメキシコに行ったことがありますが、それはそれは想像を絶するほどの貧富の差です。次回をお楽しみに♪
Miki-Kさん>いや、まさにそれ。「メキシコ人。。。と言うか、不法入国者がアメリカの底辺を支えている」。この記事に書こうと思ってたんですが、書き落としました(苦笑)。街の掃除夫とか、オフィスの清掃係とか、ほとんどがそんな感じの方たちですもんね。そう言う人たちって、日頃隠れて生活しているのか、人懐っこかったりしません?私、結構、掃除のおばちゃんとかと友達になったりまします。向こうはスペイン語のみ、私は英語のみ。でも、不思議となんか会話できたりするんですよね。で、お互いに英語やスペイン語を学び合ったりね。気が優しい人達が多いですよ、ほんと。