“Happy Holidays”
クリスマス目前。
アメリカも日本も街がクリスマス一色となる時期ですが、ユダヤ教徒の我が家はクリスマスをお祝いすることはありません。
クリスマスがあくまで宗教行事であり、また多民族国家であるアメリカで、キリスト教徒以外の人々がどんなふうにこの時期を過ごすかを、今日は紹介したいと思います。
ちょうどクリスマスに近い時期、ユダヤ教徒は「ハヌカ」というお祝いをします。 ユダヤ教は月の満ち欠けに基づくルナ・カレンダーを使うので、ハヌカの日にちは毎年異なりますが、たいてい12月のどこかになります。
ハヌカは8日間続きます。今年は12月8日から16日でした。この間、一晩に一本ずつ、合計8本ろうそくをともし、お祈りをします。子供達は一晩ひとつ、合計8個のプレゼントをもらうことができます。
ハヌカは時期的にクリスマスに近いため、「ユダヤ人バージョンのクリスマス」のように捉えている人もいるのですが、実はユダヤ教とにとってハヌカはあまり重要なイベントではありません。
クリスマスはキリスト教徒にとって非常に重要な日です。なにしろ救世主イエス・キリストのお誕生日なのですから。これは大々的にお祝いをする必要があります。
一方ハヌカは、何千年も前に古代ギリシャとの戦いにユダヤ人が勝利した、という出来事を祝うものです。抑圧との戦いの歴史という大事な意味合いはありますが、キリスト教徒にとっての救世主のお誕生日にはとうていかなうものではありません。
本来はそういうマイナーなイベントだったのですが、現代アメリカでは、やはり、ユダヤ教徒の子供達も華やかなクリスマスに心を惹かれ、「クリスマスツリーが欲しい」「サンタクロースのプレゼントが欲しい」と無邪気にねだり、そんなとき、親が「私たちにはハヌカがあるでしょう。ハヌカは8個もプレゼントをもらえるのよ」などと言いきかせ、次第にクリスマスに並ぶ大きなイベントとして扱われるようになったのでは?と私は推測しています。
ちなみに8個プレゼントがもらえるなんてすごい!と思うかもしれませんが、夫によると子供のころ、「一日目はえんぴつ」「二日目はノート」・・・と地味なプレゼントが8個続き、一方他の子供達はクリスマスにドーンとゲーム機などもらっていて、全然嬉しくなかったそうです(笑)
我が家の場合も、毎日ドーンとあげるわけにいかないので、ひとつ大きなプレゼントを用意しておいて、あとはどっちにしても買うことになる服などをきれいにラッピングして渡しました。まだまだ子供なのでプレゼントをもらって開けること自体が嬉しくて大喜びしてくれましたが、この手がいつまで続くかちょっと心配です。
さて、なぜ8日間かというと、この古代の戦でろう城したユダヤ人たちが1日分のオイルしか持っていなかったのに、奇跡が起きて8日間ろうそくが燃え続けた、という伝説にちなんでいます。 そこで8本のキャンドルをともし、オイルで揚げたハッシュポテトに似ているポテト・パンケーキにアップルソースとサワークリームをつけて食べます。そして「Dradle」という日本の駒に似ているおもちゃでゲームをして、勝つと金貨の形をしたチョコレートがもらえます。
上の絵のようなろうそくが典型的なハヌカ・キャンドルです。8本に火を灯すのになぜ全部で9本あるかというと、真ん中の一番大きなキャンドルは点火用で、まず最初に火を灯し、残りのキャンドルにそこから火を移していくのです。
絵の右下にあるのがDradle。右上がユダヤ教のシンボル、ダビデの星(David’s Star)です。
この絵も青と白が基調になっていますが、ハヌカ用のキャンドルは青と白の組合せが多く、カードなども青・白が使われるので、「クリスマスは緑と赤、ハヌカは青と白」というイメージが定着しています。
でも実はハヌカ・キャンドルは何色でもいいし、青と白はハヌカにまったく関係なく、伝統的な色ではありません。
おそらくクリスマスと差別化する(?)ため、緑でも赤でもない、対照的な組合せとして青と白が次第に定着してきたのではないかと私は推測しています。クリスマスにはゴールドが使われることも多いですが、ハヌカはシルバーが多いです。シルバーと青と白はたしかによく合います。
といってもクリスマスの赤い色も、もとはコカコーラのCMから始まったらしいのでそれほど伝統的というわけじゃないと思うのですが・・・。緑はクリスマスツリーの色ですね。
もうひとつ、同じ時期にKwanzaa(クワンザ)という行事もあるので、これについても書きたかったのですが、長くなったのでまた次回にします。
宗教的に偏らないようにするため、学校や会社、公共の場所では、わざわざ「Merry Xmas」「Happy Hannukah(ハヌカ)」、そして「Happy Kwanzaa」と全部書いて、それぞれのシンボルを並べているところもあります。
どの宗教にも公平にするには、「Happy Holidays」とか「Season’s Greetings」などの言葉が選ばれます。よほど宗教的なこだわりがある人でないかぎり、「キリスト教徒じゃないのにメリークリスマスって言われた!」とか怒りだすことはないと思いますが、誰がどんな宗教を持っているかわからないアメリカ、12月の挨拶はHappy Holidaysにしておくのが無難かもしれません。
ハヌカはもう終わってしまいましたが、私はちょうど今くらいのクリスマス前の時期がとても好きです。ライトアップされて華やかな街を、人々が心なしかせわしげに歩き、聴き慣れたクリスマスソングが流れる。そんな光景の中にいるとなんだか心が暖まります。
それではみなさま、Happy Holidays!!
なるほど~ハヌカのこと、勉強になりました!
そういう背景だったんですね。知ることができてよかったです。
8日続けてプレゼントっていうのは、親も緊張の時間が長いんじゃないですか?「あ、しまった、ついうっかり今日は忘れてた!」みたいなことは・・・・ないか。
私は昨日まで娘のクリスマスプレゼントのことをすっかり忘れて、大慌てでしたが、それも我が家くらいかな・・・。
ターゲットでハヌカのろうそくの絵柄のギフトカードを売っているのを見ました。もちろんクリスマス柄のものもたくさん。で、日本のお正月柄のギフトカードが売ってたらいいのになぁ~、と思った私。まぁ、利益が上がるほどの売り上げは期待できないでしょうから、無理でしょうが。あったらお年玉の代わりに使えるのにな。
私もあいさつは「Happy Holidays!」と言っています。この時期の私にとっての一番のお祝いはお正月。Happy Holidays!といいながら元旦に食べるご馳走と、おいしい日本酒を思い浮かべ、うふふ♪ってね。いろんなお祝いが集まるこの時期は、やっぱりうきうきしますね!
Erinaさん、うちの子はまだ小さいので、「今日からハヌカ」とか認識していなくて、それほど緊張感はありません(笑)
他の家族に対して何か用意したり、遠方に住む家族には郵送時間も含めて遅れないように用意しなきゃいけないし・・・というのがちょっと面倒ですね。でもこれってクリスマスプレゼントも同じことですね。
Maki-Kさん、私は「良いお年を」という日本の挨拶がとても好きです。
よく「あけましておめでとう」をHappy New Yearと訳すことがあるけど、Happy New Yearは年末にも年始にも言うから、むしろ「良いお年を」のほうだと思うんですよね。一度夫が年末に日本に来て、私の両親に向かって別れ際に「Happy New Year」のかわりに「じゃあ、あけましておめでとう」って言ってしまったことがありました・・・笑