Parents Night Out

娘が通うプリスクールは、月に一度、「Parents Night Out」と称して、両親だけで出かけられるよう、子供たちを夜、預かってくれます。

時間は夜6時から11時まで。夕食を食べさせ、寝かしつけてくれます。両親は子供にパジャマを着せてお風呂にいれてからプリスクールに連れて行き、11時までの自由時間に夫婦だけでゆっくり食事したり映画を観たりして過ごします。またプリスクールに戻ってくるころには子供たちはスヤスヤ眠っていて、自宅に連れて帰ってベッドにいれるだけ・・・という、普段仕事や子育てに追われている両親にはとても嬉しいサービス。

日本にもこのようなサービスを保育園や幼稚園がやっているかどうかわかりませんが、日本にいる私の友人たちに話したら「年に一度のお泊り保育とか、夜働く人のための夜間保育とかならあるけど、ただ両親がでかけるためだけに毎月夜預かるっていうのはない」と、ちょっと驚かれたので、これも日本とアメリカの違いなのかな?と思っています。

以前に日米の子育てスタイルの違いとして、日本は親子関係が重視されるけど、アメリカは夫婦のつながりがとても大事にされる・・・ということを書きましたが、この「Parents Night Out」も、そういう文化の違いが背景にあるのかもしれません。

実は、日本人の私はやっぱり最初ちょっと抵抗がありました。

プリスクールが始まって最初の数回は、夫がせっかくだからこのサービスを利用しようよ、と言っても、「普段フルタイムで働いていて、週末くらいしか子供とゆっくり過ごせないのに、その貴重な週末にまたプリスクールに預けるなんて嫌だ」と断っていました。

夜11時まで子供を預けるなんて・・・それもどうしても子供を連れて行けない大事な用事がある、とかではなくて、ただ夫婦だけで食事をしたいから、なんて、わがまますぎる!子供がかわいそう!などと、どうしても思ってしまいました。

でも、きちんと子供の発達心理学とか教育学を学んだプロたちがスタッフとして働くプリスクールが主催してくれているイベントだし、毎月このParents Night Outは大人気、ということは多くの親が喜んでこのサービスを利用しているということ。私は決して子供にひどいことをしたり、非難される行動をとってるわけじゃない・・・と自分に言い聞かせて、1年ほど前、初めて娘を預けに行きました。

いつもと違って夜の教室に娘はちょっと不安そう。壁にかかった大きなスクリーンで映画を観る予定らしく、DVDが準備されていました。ちなみに晩御飯はいつもピザ。子供たちにとってこの日の夜は「Pizza and Movie Night」なのです。ピザを食べながら映画を観よう!というイベントです。日本の親たちには、これもすごくアメリカ的に聞こえるかもしれません。

娘が仲良くしているお友達が来るといいな、と思いましたが、同じクラスの子はほとんどいなくて、いろんな学年の子が混じっています。いつも娘を可愛がってくれている先生が教室に入ってきて「ハーイ!」と娘に声をかけ、ハグしてくれましたが、娘はやっぱり不安そうで私も心配になってしまいました。やっぱりParents Night Outはやめて家族で過ごそうよ、と思わず夫に言いそうになりましたが、夫はこの日をとても楽しみにしていたので言い出せず。

もし娘が泣いたりしたらそれでも「やめよう」と言ってしまったと思いますが、子供たちが持参した寝袋やシーツを床にひろげてはしゃぎだすと、娘も一緒に遊びだして、笑顔でバイバイ、と私たちを送り出してくれました。

この日は娘のことが心配で心配で、あまり楽しめず、ほんの2時間ほど、隣の街のダウンタウンにできたバーでカクテルを飲んだくらいで、またすぐ引き返してきて娘をピックアップしてしまいました。夜8時、いつもだったら寝る支度を始めているのに、子供たちはみんなはしゃいで眠る様子もなく、大きなスクリーンには「Finding Nemo」が大きな音で流れています。

私はこんな環境で子供を雑魚寝させるなんてやっぱりかわいそう、早めにピックアップしてよかった、と思いましたが、夫のほうは、「こんなすぐ帰ってきた夫婦は僕たちだけだよ、みんな11時ぎりぎりにピックアップしにくるに違いない」などと、私の心配ぶりに半ばあきれていました。

でも、ほんの数時間でも夫と外で2人きりで過ごして帰ってくると、自分で思った以上に気分がリフレッシュしたのも事実でした。それまでシッターさんに子供をお願いするのは、夫と私が仕事でどうしても家にいられない、という緊急時に限られていたし、近所に親類がいるわけでもなく、こういう機会でもなければ2人きりで出かけるのは不可能です。

その後何回かこのサービスを利用するうちに、娘は夜のプリスクールがすっかり大好きになってしまって、Parents Night Outの日に、「今日はPizza and Movieの日だよ」と言うと、満面の笑顔になって「Yay!!」と叫びながら飛び跳ねて喜ぶようになりました。

おかげで私も最近は娘が寂しいのでは、と心配することなく、ゆっくりおいしい食事を楽しんだり、映画館で映画を観てしばし別世界に浸ることができるようになってきました。

そうやってしっかり気分転換すると、翌日は思う存分子供との時間を楽しめるようになります。そのほうが、「あーあ、子育て大変、自分の時間がないわー」とぶつぶつ言いながらストレスをためて子供と接するよりずっといいはず、と考えるようにしています。

そしておいしいレストランの記事を読んだり、おもしろそうな映画の広告を観ると、「じゃあ、次のParents Night Outのときに!」とリストに追加します。

せっかく堂々と子供を預けて夫婦で出かけられるアメリカ文化の中で暮らしているのだから、良いところは楽しむべきですよね。 

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2 comments on “Parents Night Out”

  1. いつかの記事で、これについてさらっとTamamiさんが書いていて、興味あったんですよ!ありがたいシステムですね。
    とは言っても、私もきっとTamamiさんと一緒で、最初はとても抵抗があるだろうと思いますが・・・苦笑

    うちもベビーシッターをお願いして夫婦で出かけたことが一度だけあるんですが(この4年で一度だけ・・・)、やっぱりお互いに子供のことが気になって、イマイチ楽しめませんでした。それ以来、トラウマになって出かけられなかったんですが、ちょうど最近、きちんと夫婦の時間を取るようにしよう、と二人で決めたところだったんです。
    きっと親も、子供なしの大人の時間を作る練習が必要なのかもしれませんね。

    うちはランチの時間がわりと取れるので、来週からは夫婦でおでかけランチをすることにしました。楽しみです♪

  2. 平日にランチができるなんていいですね!職場が近かったりしてランチにちょっと夫に会えたりしたらいいなぁ・・・って憧れます。
    最近子供も成長してきて、すごく楽しく友達と遊んでるときなんて、「じゃあ、ママ一人で帰っちゃうよ」がもう効かなくなってきました。以前ならそれで「やだー!!ママーー!」と必ず走って来たのに・・・ちょっと淋しいです(涙)
    が、以前より「子供も楽しんでるしね」と楽な気分でデートナイトを楽しめるようになってきました!

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