Yahoo!新CEOは妊娠7ヶ月

このニュース、もう聞いた方もいらっしゃるでしょうか?

先月7月16日づけで、Yahoo!の新CEOが指名されました。

彼女の名前はMarissa Mayer(マリッサ・メイヤー)、37歳の女性です。

マリッサはgoogle創設以来、20番目のメンバーで、女性初のエンジニアだったそう。この指名までは、googleでエグゼクティブの役職についており、googleのシンプルなデザインや、AI(人口知能)をリードした人です。

(Yahoo! 新CEOとなった、マリッサ・メイヤー)

 

今回、経営が停滞しているYahooの経営陣に、「ものすごい年俸」で引き抜かれた彼女ですが、現在、実は妊娠7ヶ月。10月7日に男の子を出産予定だそう。

「産休も数週間の予定。その間も働くわよ」とのこと。(出典はこちら

 

 

このニュースに、賛否両論が分かれたアメリカ社会。今日は、私の体験ももとに、少しお話してみます。

 

まず、理系職、そして二人の子供を生んだ私の感想は・・・・「すごい」。そして、「やればできる」というものでした。

女性だろうが、若かろうが、妊娠していようが、これから休暇が必要になろうが、有能な人間は、必要とされるということ。それがアメリカの実力社会というものであると、実感せずにはいられません。

そして、この彼女はそれほどに有能な女性なんだろうということ。

 

実は先日、サンディエゴダウンタウンで行われた、あるパネルディスカッションを聴きに行きました。テーマは、”Tech-Women in Startups”、つまり、女性のIT起業家たちの集まりです。

そのパネルディスカッションの様子

ここサンディエゴも、シリコンバレーほどではありませんが、IT起業家が多く集まり、そして女性の力が強いコミュニティであります。

数ヶ月前に出会った、あるIT系女性社長がこのパネルディスカッションをホスティングしていたので、ぜひ聞きにいきたくなりました。

 

パネラーとして参加したのは、

  1. 某Q社のbusiness developmentのシニアディレクター(既婚・一児の母)
  2. 旅行計画のアプリ社長(既婚)
  3. ローカルミュージシャンのウェブエージェントプログラマ・共同創立者(独身)
  4. 共同創立者・メインエンジニア(既婚)

という4人の女性です。

根っからの理系&キャリア志向な私は、彼女たちの言葉を聞いていて、ワクワクが止まりませんでした。

 

前述のYahoo! 新CEOについても触れられ、「どう思うか?」という質問は観客にも投げかけられました。

そこで、一人の女性(私の親の年代)が、「彼女(Yahoo! 新CEO) は、cluelessだわ!」と大きい声で返事をしました。つまり、「これから何が起こるのか、さっぱりわかっちゃいない。子育てとこんな大きな役割を両手に下げるなんて、無理よ!」との意見。

このニュースを16日に聞いたとき、そう思った人はほとんどだったはずです。そう、このアメリカでも。産休中に、子供を授乳しながら片手でパソコンを開いて、ミーティングするなんて、考えられない!と思った人は多いでしょう。

 

しかし、このパネルディスカッションに来ていた大多数の人は、逆の意見でした。

パネラー#1は、「自分たちの価値観で、バランスを保っていくことが必要」という意見。その意見に、私も2児の母として、納得せざるを得ませんでした。

他の観客は、「女性だから、妊娠だってするし、子供だって生む。休みだって必要になるわ。だけど、周りも含めてそれを心配していては何も起こらない。完璧なものなんてないのよ。完璧な人生もない。だからとにかくやってみるべき。」という意見。彼女は女性起業家のためのスタートアップワークショップなどを行う会社を立ち上げて、2年になります。

 

私が思っていたこと、やりたかったことを、すでにこうやって実践している先輩女性たちがいる、そのことはとても刺激になったし、心強いものになりました。

 

そして、こうやって活躍している女性の影には、必ず結婚生活での素晴らしいパートナーがいます。母親や奥さんとしてだけでなく、一人の社会人女性として成功・貢献する自分のパートナーを、心の底から応援できる、そういう男性がいるのです。

Yahoo!新CEOの旦那さんも、自分と奥さんの役割とポジションを理解し、その上で、彼女のやりたいことをさせてあげる。素晴らしいパートナーシップだと思いました。

 

一人目の観客の女性が言ったように、結婚・子育てと仕事の両立は簡単なことではありません。ただ、不可能でもありません。

現代の社会構造は変わってきて、日本でだって重要なポジションに就かれる女性はたくさんいるし、これからも増えていくでしょう。

アメリカという国は、言うまでもなくその視点では先進国であり、女性である自分にとって、とても生きやすい場所であることに感謝せざるを得ません。

そして同時に、先輩女性たちの努力(hardworking)・勇気(courage)と、周りの男性たちの理解(understanding)・協力(cooperation)に感謝したいと思います。

 

そして一人のビジネスウーマンとして、Yahoo!がこれからどうなっていくのか、それも楽しみです。

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2 comments on “Yahoo!新CEOは妊娠7ヶ月”

  1. これは素晴らしいニュースだと私も思ったのですが、正直に個人的意見を言わせていただくと、彼女にはもっとしっかり産休・育休をとっていただきたいですね。

    自分の体、自分の子供を犠牲にしないと女性はキャリアを成り立たせることができない、という先例を作ってほしくないと思います。

    能力があれば、たとえ妊娠7ヶ月でもこれだけの報酬で雇われるんだよ、という意味では素晴らしい先例だと思うんです。

    が、このあとはぜひ、育児休暇をとっても、能力があればまた職場に戻ってきてキャリアを続行できるんだよ、という先例にもなってほしいんです。

    そうは簡単にいかないことは承知で、あくまで個人的な、無茶な望みですけど。

    私は子供が1歳半で今の会社に就職したのですが、アメリカには生後3ヶ月で職場に戻る人なんてたくさんいて、1歳半なんて恵まれているほうだ、とは思いますが、それでも非常につらかったです。

    今の仕事をするために大学院に留学し、時間とお金を投資して、今後も一生働かないなんてオプションはありえない、という、どちらかといえばキャリア志向である私ですが、それでも妊娠・出産を経験して、子供が生後3ヶ月で職場に戻る、っていうのはどう考えても自然じゃないし、母親にも赤ちゃんにとっても良いことのはずはない、っていうのが個人的見解です。

    実際にそうやって職場に戻る女性たちへの批判では決してないです。私にとっては自然に感じられなかった、という、本当に個人的な感想です。

    マリッサさんが産休を数週間しかとらないと宣言したことで、私はそういう意味でとても残念に思いました。ご本人はだれに強制されたわけでもなく、それが彼女の本望なのでしょうが、私としては、すべての女性が生物として自然な生活を実現しつつ、同時に男性に遜色なく能力を発揮できる社会こそが理想だと思うんです。

    これが、マリッサさんは来年1年間育休をとる予定ですが、それでもYahooは抜擢したんですよ、というニュースだったら拍手喝さいだったと思います。

    彼女がこういう先例を示したことで、他のスーパーウーマンたちが「マリッサも産休を数週間しかとらなかったじゃないか」というプレッシャーを受けて、本当はベビーと過ごしたいのに過ごせない、という状況になったり、そこまでしないと女性のキャリアは成立しない、というのがスタンダードになってしまうのではないか、と危惧します。

    今は無理でも、いつか、マリッサさんのように妊娠7ヶ月でもこのように高報酬で抜擢される女性があたりまえになってトップニュースにもならず、またその女性たちがその後1、2年育休をとることもまったくニュースにならないほどあたりまえのことであるような、そんな社会が到来することを切に願います。そのころ私は労働市場にいないかもしれないですけど、娘やその子供たちはそんな世界でのびのびと能力を発揮してほしいなあ、と思います。

  2. Tamamiさん、コメントありがとうございます。
    実は私も全く同じことを思っていました。ただ、そこまで突っ込むのはまた別の機会にしようと温めていたところだったので、言及してくれて嬉しいです。

    女性が、全てを手に入れて社会進出することが素晴らしいわけではないんです。そこで何かを犠牲にしていたら、意味がない。
    それが彼女のベビーとの絆であったり、自分の健康であったり。

    それを全てクリアできて、みんなが満足で、なおかつこれだけのハイポジションだから歴史になるんだと思います。

    私もTamamiさんの同僚と、Tamamiさんご自身の体験と同じ体験をしています。
    上の子供が生まれたときは州で決められた6週間の産休で仕事復帰。
    下の子が生まれたときは1年半の産休&育休を取って仕事に復帰しました。

    上の子供のときは、離れることがすごく辛かったし、子供にも色々な影響が出ていました。あれじゃまずかったんだな、と気づいたのは、二人目の育児休暇のときでした。

    そこのバランスを見極めるのは、他でもない母親です。
    また、ドゥーラの貴代さんとお話しすることで、自分の体と心からの声に耳を澄ますことはとても大切なことだということ。
    そういうことにも気がつきました。

    素晴らしいニュースに喜ぶのと同時に、彼女の健康と、元気でハッピーなベビーが生まれてくるのを願うのみです。

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