アメリカで体罰を考える
Masaです。
最近、関西の高校で、クラブ顧問の生徒への体罰によって、生徒が自殺するという事件がありました。巷では体罰の良否が議論されていますね。
では、アメリカではそんなことあるのでしょうか。
これからお話することは、あくまでも私がこれまでにアメリカで見たり経験してきたことですので、必ずしもすべてがそうとは限らないかもしれません。アメリカに私の知らない世界があるかもしれません。そのような理解で読んでいただけると助かります。
ちなみに私は体罰反対派です。
日本では気合を入れるために体罰を容認しているところが非常に多いですが、気合は他人に叩かれなくても、その人がその気になれば入るものです。その人がそのように育てられてきていれば、ここぞと言う時に、気合は自分で入れることができます。
「その人がそのように育てられてきていれば…」
私はこれがアメリカの教育のベースにあるような気がしています。
よく言いますが、「日本では叱られて成長する」、「アメリカでは褒められて成長する」。これらは必ずしもすべてが当てはまるものではないのですが、半分以上はそうだと言えます。アメリカでもヘマをして叱られることは多々ありますし、日本でも褒められることは多いですよね。
うちの子供達は、アメリカに来てから、いろいろなスポーツをしていますが、未だかつて体罰を受けたことがありません。私から見ると、彼らは間違いなく「褒められて」伸びています。まずいことがあっても、
「さっきよりずいぶん良くなったけど、ここをこうすればもっと良くなるはずだ」
とか、
「できないのはここがこうだから、それをこう変えればいい。」
などと言う指導を受けています。決して、
「ばかか、お前は!そんなやつはやめちまえ!」
とか、
「いま直ぐに、出てけ!そんなやつは、チームにいらん!」
とか、無言で、
「バシッ!」
などということは絶対にありません。逆にそんなことをしようものなら、保護者に銃で撃たれるかも…と言うのは半分は冗談ですけどね(全部冗談と言えないところがアメリカなんですが 笑)。
私がアメリカで感じていることは、コーチと選手の間に、上手下手の上下関係はありますが、お互いを人間として尊重しながら指導をし、指導を受けていることです。
日本の場合には、クラブ顧問は絶対。なので、逆らうことは死活問題。指導を受けている間に絶対にうまくならなければならない、ヘマをしてはならない、と思いながら練習をしています。
「気合を入れるために体罰をしている」
と言いますが、あれ、
「いらいらするから、選手にあたる」
と言い換えてもいいと思いますね。コーチも人間、選手のヘマに腹が立たないはずがありません。体育会系出身のコーチであれば、イライラすれば絶対に手がでますよね。
「気合を入れて伸びる選手がいる」
とも言いますが、それは間違い。普通は逆効果。
「今度は絶対に成功させなきゃならない」
と選手に思わせ、体を縮み上がらせることになる。その結果、結果を出せない。
「気合を入れて伸びる選手がいる」
ようにみえるのは、気合を入れた後に、ちょっとした励ましを入れるからなんだと思います。
バチーンとほっぺたを殴られた。その後に、結果にビビりながらも頑張ったらヘマをしなかった。その後の一声、
「やりゃ、できるだろ。次も頑張れよ。」
と言う言葉。
そう思いませんか?
叱られたあとの、「褒め言葉」が選手を伸ばすんです。それを勘違いしているコーチがいかに多いことか。
かなり話がずれてきました(汗)。
褒めながら指導すると、選手に自主性をもたせることもできるんです。
「コーチはああいうけど、こうすればどうだろう」
とか、
「こうやったらうまくいったから、ここでもこうすればできるはずだ」
とか。つまり、工夫してヘマをしても、コーチから体罰を受けないので、その分、挑戦することの「自由度」が上がるんです。いろいろなことをすれば、ますます成長します。しかも、変なプレッシャーがかからない。プレッシャーがかからなければ、実力を出すことができる。
うちの子供たちは、自分で進んで練習をしてました。私の子供の頃と大違い。私は練習はきらいでしたねぇ。どうやってサボろうかってことばかり考えていましたから。それと比べると、子供たち、のびのびと楽しみながら練習してますからね。やはり、コーチの指導の仕方がまったく違うんでしょう。
だから、オリンピックを見ても、アメリカの金メダルが多いんだと思うんですよね。日本人の「いざとなると弱い」のと違って、「ここ」って時に本当の実力を出せる人たちが多いんです。
昔は、日本人が弱いのは、外国人と体格が違うから、なんて言われましたが、体格を見れば、今は互角のはずですよね。
もちろん文化的、歴史的な違いも関わっていますが、今はそんなことを理由にすることはできない時代です。
日本人、がんばりましょう!
UCSDのMBAに通うものです。
楽しく読ませていただいています。
MBAのLeadershipの授業で、「Coach KとCoach Knight」というカレッジ・バスケのコーチを比較するというケースがありまして、「理想のリーダーとは何ぞや?」というのを学んでいます。
Coach Kは軍隊式で選手との間に完全な主従関係を、一方のCoach Knightは選手を家族の一員のように扱う。
チームを率いる姿は全く正反対なのに、どちらのチームもカレッジ・バスケのナショナルチャンピオンを複数回取るなど、監督としての成績はどちらも抜群。
そこから、あるべきリーダーとは?について、個々に考えていこうという内容でした。
体罰とコーチングの話からはちょっと外れてますが、アメリカ学生スポーツの現状ということで、参考になればと思いまして。
http://hbswk.hbs.edu/item/5464.html
カレッジでテニスをしたときのカルチャーショックは、コーチも「プロの」コーチであること。大学でそのスポーツ(アメフトなり、サッカーなり、テニスなり)の「教え方」を勉強してきた人たちなんですね。
日本の「部活」はそうではありません。部活顧問の本職は、数学なり英語なり、教科の先生達。たまに体育の先生ってこともありますが。
だからこの顧問も、スポーツコーチとしてトレーニングされてきたわけではなかったでしょうね。
私も体罰は反対です。子育てにもスポーツにも必要ありません。
なぜなら、コーチであって、インストラクターではないからです。コーチのコミュニケーションは両通行、インストラクターのコミュニケーションは一方通行。
コーチは選手の言い分に耳を傾けて、選手の成長を促すことが役割ですが、インストラクターはインストラクションをあげるだけ。
日本では上のものが下のものの声を聞くという文化が、特にスポーツという古い世界ではなかなか浸透していません。
小学校の先生をしている友人がいるのですが、彼女によると、「生徒の体に一切触れてはいけない」という厳しい規則があるそうで、これはもちろん体罰を防ぐためなんですが、体罰を禁止するだけじゃなくて「一切触れてはだめ」にするのは、学校側が保護者から何らかの誤解(因縁?)を受けて訴訟されたりするのを防ぐためだそうです。
で、子供達もそれを良く知っていて、彼女の担当は1年生、まだ6歳くらいの子供たちなのに、ちょっと遅れそうな子に背中にそっと手をあてて「早く行きましょう」と言ったとたん、勝ち誇ったような顔で「Don’t touch me!!」とか言うんだそうです。
こういう風にアメリカって徹底することによって逆のほうに極端に行ってしまうことがあると思うんですが、私はそれでも体罰が容認され、それどころか奨励されるような一昔前の日本よりはずっといいと思います!(アメリカも一昔前は体罰ありだったんですよね。)
カルロスさん、興味深い記事のリンクありがとうございました。バスケファンのわたしは両方のコーチについていろいろ聞いていましたがこのリサーチペーパーは最後がいいですね。(ただほんとはコーチKが優しくて、Knightが軍隊式です。)いい勉強になりました。わが地元SDSUのコーチフィッシャーもかなり有名なコーチです。多分タイプはコーチK(優しいタイプ)わたしのイメージではコーチKもかなり厳しい印象でしたが実は生徒を思いやるのですね。
MBAの勉強もこう実践的で実社会の例をどんどん取り入れるとわかり易いし楽しいですよね。ちなみにわたしも体罰は大反対です。そんなことしなくても他の罰で規律を守ることは可能だと思います。
カルロスさん、初めまして。コメントありがとうございます。
そういうコースがあるのですか。面白そうですね。「褒めて育てる」ってことと、「叱って育てる」ってことなんですね。どちらも受け入れられる…。ま、「殴って育てる」ってことではないですね(笑)。
Erinaさん、誰かが言っていましたが、「言い聞かせる」と言う言葉はあるが、「殴り聞かせる」と言う言葉はない、って。納得!子供をストレスのはけ口にしてはいけません。
Mikaさん、普段は優しいけど、教えを守らない場合にのみ、ドッカーンと雷を落とすのが効果的かもしれません。 笑