アメリカで就活 (上)

ほとんど都市伝説と化している「低い時給」の代名詞・マクドナルド。

“~ better (worse) than flipping burgers at McDonald’s.”
「マックでハンバーガー作ってるよりマシ(ひどい)。」

上記は、友人などと「時給(給料)」に関する会話をしていると、物凄い高い頻度で出くわす英語フレーズの一つです。

最近の日本だと「制服がかわいい」とか言って、少し印象が改善しているのかな。「作業内容」だったり「待遇」とかって、実際どうなんですかね。

ま、どこの国に住んでいても、就職活動は大変。グリーンカードがあって技術も経験もあるエリナさんもご経験されてます(若干内容が異なりますが)。

僕は基本的に「仕事があるというのは物凄くありがたい」ので「とりあえず行き先あれば内容不問」みたいな考え方です。

でも、留学生だとビザの縛りから「内容不問」という訳にもいかないのが現実。

今回の内容は、就職斡旋のプロではない、素人な僕による「米国での就活」についての見聞録。

申し訳ないのですが、大変偏っています。年齢も経験も皆さんそれぞれですし。就活については、別の投稿に書いてありましたが、こちらも「あ~この人はこうだったのね」程度に読んでいただけると嬉しいです。

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少々話がズレますが…

仕事柄、留学生がよく「今空いてる?」とオフィスにふらりと立ち寄ります。

基本的に「入学後の生徒」は管轄外なのですが、来訪者はもちろん嬉しい。

「お~入って入って」と自分のオフィス内に座らせ、茶をすすりながら軽く話します。

色々な相談があるのですが、最近は特に「大学卒業後はアメリカで就職したい」という内容が占めてます。そういう季節ですかね。

初渡米の際、「就職」なんて自分の頭に過ぎった記憶がないので、最近の子はしっかりしているなぁなんて。

留学を控える生徒からの問い合わせでも、「大学卒業後の進路」についての相談が増加中。

実は世界中の教育機関で熱い話題であり課題でもあります。

さて、話を戻して…

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今年2月にアメ10ブロガー・ユキさんも投稿していましたが、アメリカ国内での就活状況に目をやると、その後オバマさん続行決定などの大きな動きを経ても、相変わらず「厳しい」の一言に尽きます。

日本とは異なり、「いっせ~のぉ、せッ」と皆一斉に「解禁!」と始めるものではないし、「いつ始めても良いが、早いに越したことはない」という米国の就活。

もちろん「新卒」という特別扱いはないし、逆に「何も経験がない新卒」が通常一番雑な扱いを受ける感じ。

そうかと思えば、フレンズ在学中に「就職決定」の運びになり、「フルタイムで働きたいから」と卒業までをインディペンデント・スタディ(教授、生徒により、レポートや課題提出のみで単位を取得することができる自習または放送大学みたいな形)や夜間クラスのみに移行する「やり手」な生徒何人かにも出会ったことがあるので、ま、人それぞれです。

大体「大学卒業後から半年間」という枠で「仕事に就けているか」みたいな統計をとったりするくらいなので、日本のそれとは感覚が異なりますかね。ま、留学生にはその「半年間」という猶予すらも中々難しいのですが。

じゃ、まず何から始めりゃ良いのか。

僕の場合は(たまたま)コネ作りでした。

英会話だと、「コネ作りをする」という行為を「Networking」と言います。

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僕が、「大学中退~帰国~社会人」を経て再渡米したのが、2008年7月末。

ジャズ教授・リサの影響で「ウィチタ周辺、ギャラ発生のジャズ演奏は『Friends University』が牛耳る」というありがたい環境に飛び込み、渡米三日後から演奏バイト開始。

その後、演奏を通じて、色々な人に出会う。「今日はここで誰それが演奏している」という情報を入手すると、手当たり次第足を運び、演奏の合間に自己紹介して回りました。

僕は「Friends以外・ジャズ以外での繋がりも作らないと、収入源が増えない」という理由だけで、とにかく走り回りました。

秋口、少し寒くなり始めた頃、やはり知り合いを介して「もうすぐ先生の一人が引っ越す予定で、代役を探している」という楽器屋でのレッスンを開始したのが、同年11月。

以降、更に色々な人に出会う。一部生徒の親御さんが「某大手会社のお偉いさん」なんてことも増え、演奏の場でも次第にその手のお客さんが増える。

ある日、歴史教授・グレッチンから「ボランティアで、恵まれない子供達相手に音楽の話をしてくれないか」と声がかかる。

二つ返事で引き受け、貧困層の黒人が集中する地域にある教会で子供相手をするとハマってしまい、ボランティア開始。

実は内容に満足して楽しかったため、特に見返りを求めてはいなかったが、出会った他のボランティアにやはり地域の有力者がいることが判明。

一年目が終わる頃、卒業生を介して、大学内の図書館でのバイトを獲得。とにかく頼まれるままにシフトを詰めていると、即ポジションと時給が上がる。

同時に、春~秋が繁忙期の演奏は毎晩続く。やればやるほど色々な演奏家と出会い、様々なお店や音楽関係者、教会、会社と繋がる一連の流れが出来上がる。

この頃、いくら睡眠不足で疲れていても、意識していたのは可能な限り「ノー」と言わないこと。

人脈を作ると必ず収入にも繋がっていたし、たまたま話しかけてきた相手が実は「全米有数のお金持ち家族の一員だった」なんてことも。

渡米から一年すると、仕事を断るところまで予定が埋まっていました。もちろん「付き合い」と言いながら、色々なところに顔を出すことは継続。未知の土地で人の輪が広がることは純粋に嬉しかったし楽しかったです。

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渡米から3年間かかって大学を卒業する頃には、毎週土曜昼間のボランティア、楽器屋3軒でのレッスン、大学の学生新聞の記事執筆と編集のバイト、グラフィックデザインのバイト、各種演奏を掛け持ちの状態。

地元で重要と言われるビジネス・音楽関係者には、ある程度まで顔と名前を憶えられ、色々なイベント企画などの依頼を受けるまで築いた人脈。

「こりゃ就職も結構楽にいけるかな。」

コミュニケーションズ教授・リリアンの勧めもあり、卒業を1年半後に控えた頃に就活を開始しました。

直後、「外国人」という壁が極めて高くそびえ立つ、「そう甘くない」状況に気付くのですが。

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まず仕事検索サイトでの下調べをし、オンラインで応募する。

必ず「ビザ関連の質問」があり、ここで素直に答えないといけないため、そこで振るいにかけられ、落とされる流れが続く。

留学生対象の求人は、一部理数系を除き、カンザス州には皆無という現状を考慮し、他州の求人に目を向け、数社に応募。

なんとかコミュニケーションズ系専門職のお声がかかるが、「外国人」と判明した瞬間に却下。その場で却下されず書類選考はなんとか通っても、結局は電話面接または面接で「ビザ関連に話が及ぶと詰まる」というスランプに陥り、少し悩み始める。

「バイトばっかしてるから他が疎か」だった訳でもなく、当初の「音楽教育」から「ジャーナリズム」に専攻を変更し、一応カンザス州内の大学のジャーナリズムの大会で5位以内入賞とかしていたし、(実は重要と言われる)成績も全然悪くない(GPA3.8)。

でも就活開始から一年間、何も前進してない。

中々決定打の出ないあの頃は、タメ息ばかりつきながら「あ~日本帰っても仕事ないだろ、これ」とか思いつめてました。

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卒業を5ヶ月後に控えた2010年12月のある日。ジャズ教授・リサから「ちょっと時間ある?昼飯行かん?」と一本の電話を貰ったので、「はいよ」と二つ返事で出掛ける。

近況報告や「あ~でもないこ~でもない」などの談笑をしながら、食後のデザート・クランベリーパイに痛く感動していた僕。

帰り際、リサが「そういえばさ、ちょっと頼みたいんだけど」と一言。

この時の会話がその後「就職への転機」になるとは、まさか想像すらしていませんでした。

つづく

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おまけ(1)
マサさん以前書かれていますが、オンラインでの人脈構築は結構重要です。本当に色々あるのですが、留学中でまだ何も手をつけていない場合、最低限「Facebook」「LinkedIn」のアカウントだけでも作っておきましょう。
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おまけ(2)
面接については、マサさんエリナさんも書いてますので、興味がありましたら参照してみてください。 

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4 comments on “アメリカで就活 (上)”

  1. おぉ~続きが楽しみです。
    こういう話って、お酒でもゆっくり飲みながらじゃないと聞けない個人的な経路ですよね。

    ネットワーキング、人脈って本当に大事だと私も最近、ひしひしと感じます。日本の「コネ」って汚く使われてるけど、実際は人脈がないと始まりません。結局、人の中で働くんですから。
    「ちょっと誰か知ってる人がいる」っていうだけでどれだけの道が開くかなんて、学生の頃には全く知りもしませんでした。

    たつやさんは音楽から広がったんですね。
    続き、楽しみにしてます。

  2. いや~結果オーライだっただけなんですが、「一芸」に身を助けられてます。

    先日、同僚とペチャクチャ話してる時に、「そういえば…なんかタツヤ、突然仕事始まったよね」と言われて、かくかくシカジカ説明してたら相当驚かれたので、「あ、やっぱ少し変化球だったのね」ということで、じゃ、これネタに…そんな感じ。

    次はもう少しリンクを綺麗にまとめて投稿しま~す。

  3. ほんとだ~、続編楽しみ~~!!早くね。
    演奏依頼にNoと言わない、ことはつい最近日本で大ブレイクした(らしい)ジャズシンガーの綾戸ちえさんも著書で同じことを言ってらっしゃいました。勉強になりました。

  4. ま、「ノ~」と言うにも労力は必要だし、実際余裕がないからお金欲しいし、みたいな若干ショボい理由があるわけでして…今は昼間の仕事との兼ね合いで体力的に無理なんですが、実際夏場とか演奏だけで(選ばなければ)$3,000とか$4,000稼げますね。そりゃノ~とは言えないわ、なんて。

    最近ブレークした(結構経ってないすか?)綾戸さんのそれとは若干比較に値しないのですが…

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