アメリカで運転免許をとる

さて、脱・車なし生活をめざして、免許取得にとりかかりました。

これは日本でも知っている人が多いかもしれませんが、アメリカで免許をとるのは、日本の場合よりずっと簡単、費用も時間も少なくすみます。

ただし外国人の場合、免許取得にも合法に滞在していることを示すビザがなければ試験を受けることもできません。(非移民ビザが必要。観光ビザではだめです。)

免許取得手続きは、州によって違いはありますが、大体以下のようなものです。

・筆記試験を受ける
・合格すると、助手席に免許を持つ人が座れば一般道で練習して良い、という仮免許が出る
・子供の場合はお父さんと一緒に誰もいない駐車場で練習する、などが普通。
・試験官と一緒に運転試験を受ける。合格すれば晴れて免許。

すごく勘が良くて運転がすぐ上手になったら、最短で1週間くらいで免許がとれるはずです。私は会社からのプレッシャーもあり(詳細はあとで)、たしか筆記試験から免許取得まで2週間ちょっとだったと記憶しています。

日本ではよく、大学生が夏休みの間ドライビングスクールに通いまくって、たくさん授業を受けて、まずはスクール内のコースで何度も運転して・・・ってやっていますね。

ドライビングスクールの授業料も数十万円かかるようです。

アメリカの場合、費用としては確か受験料が数十ドルのみだったと思います(2003年頃の話)。

安全を考えると、日本のように慎重にしたほうがいいような気はします。だってアメリカではもしかしたら自分のすぐ後ろに、運転を習い始めて3日目くらいのティーネイジャーがお父さんと一緒に運転しているのかもしれない、と思ったら、なんだか怖いですよね。

そ れに日本のドライビングスクールでは事故が起こったらどうなるか、リアルなビデオを見せて教育したりすると聞きますが、アメリカでそんなことはしないの で、運転する責任というものを深く感じることなく、たったの16歳で免許がとれてしまうなんて、なんだか不安な気もします。

ただ以前にも書いたように、とくに中西部のような環境では車=足、という状態ですから、子供たちが18歳まで自力で出かけられないとなると親も大変。日本より早い年齢で免許がとれて、免許取得システムが簡素化されているのは必然なのかもしれません。

dianadesigns.comより

アメリカにも一応ドライビングスクールのようなものはあります。しかし、日本のように大きな敷地の専門コースをぐるぐる回るのではなくて、スクールのオフィスまで行くとそこからインストラクターの車に乗って一般道を運転したり、インストラクターが自宅まで迎えに来てくれたり、とにかくどんどん一般道を走ります。

こういうインストラクターの車の後ろには「Student Driver」などと書かれたシールが貼られていて、ときどきハイウェイで目の前にそういう車が走っていると、みんな「Oops!」とつぶやいて避けて通ったりします・・・いきなり下手な車線変更などされたら怖いので・・・。

さて、私個人の免許取得体験談です。

私が就職する予定の会社は、入居予定のアパートから車でハイウェイを通って40分くらいの場所にありました。

車以外の移動手段は・・・ありません。

仕事を開始するまでに免許がとれなかったら、カープール(他の人の車に乗せてもらう)するしかありません。

実は私に免許がない、とわかったとき、私を採用した人事担当者が怒って電話をかけてきました。

「この会社に就職するのに免許がないとは、何を考えているのか!カープールで職場の人に迷惑をかけるなんてとんでもない!」と・・・

私はオハイオの郊外のような環境に住むのが初めてでこんなことになるとは想像もしていなかったし、人事担当者のほうは、まさかこのアメリカにやってきてオハイオに就職するのに免許がない人が来るとはまた想像もしてなくて、確認すらしなかったのでした。

私は入社前から相当なプレッシャーを負うことになりました。

一日も早く免許をとらなければ・・・

まずはDMV(Department of Motor Vehicles、日本で言う運転免許試験場)で筆記試験です。

試験、という言葉のイメージとはかけ離れていて、受付で渡された試験用紙に、その辺の適当な場所で立ったまま解答を記入。

100点中85点できればいいのです。満点じゃなくていいの?!とちょっとびっくりです。その質問がまた、「運転していて眠くなったらどうしますか?」「Aコーヒーを飲む」「B路肩にとめて仮眠する」「Cそのまま運転する」という選択肢・・・、こんなの勉強しなくても答えられるし!

実は私はあと1つ間違えたら85点を下回るという、ぎりぎりのラインで合格しました。で、カウンターに持っていってその場で採点してもらうのですが、採点した人が「合格!Good Job!!」って言ってくれました。このときも「こんなぎりぎりでGood Jobって・・・」とちょっとびっくりでした。もちろん、合格して本当に嬉しかったのですが。

それからの毎日、職場の先輩、先輩に紹介してもらった地元の日本人、地元の教会の牧師さん、いろいろな人に頼んでとにかく運転を練習し続けました。

まだ新しい場所で知り合いは少なかったので、あいている時間はドライビングスクールのインストラクターにもお願いしました。

このときのことを思い出すと、単身アメリカに渡って留学したり就職するときというのは、友達が何よりの宝物だということを実感します。

一日の仕事で疲れているだろうにあたりが暗くなるまで、誰もいない駐車場で辛抱強く練習につきあってくれたり、朝早く起きて職場までカープールしてくれた会社の人たち。

初心者が運転する車の助手席に乗る、というのはなかなか怖いことだし、車をこすって傷つける可能性だって高いのですが、家族ではなくまったくの他人、それも知り合って数日だったのに、嫌な顔ひとつせず何度も一緒に練習してくれた、教会の牧師さん。

日本と違って運転試験場には自分の車を持っていかなければなりません。行くときはまだ免許がないので、誰か免許を持っている人に協力してもらって、その人の車の助手席に座って試験場に行き、その車で試験を受けるのです。

アメリカに育つ子供であれば、16歳とか18歳になったときに、お父さんやお母さんの車で試験に出向くのでしょうが、大人の私はやっぱりこういうときも友達に頼るしかありません。

このときも、知り合ったばかりの日本人の友達が快く車を運転してくれて、試験に使わせてくれました。

みんな応援してくれて、時間を作ってくれて、免許がとれたときは一緒に大喜びしてくれました・・・

私の試験官は大柄なアフリカ系アメリカ人女性。試験コースを無事運転し終えて帰ってくると、彼女が私に書類を手渡しながら、「さぁ、この紙を持ってオフィスに行って、免許証をうけとってらっしゃい。おめでとう、Honey!」ってウィンクしてくれました。

免許証を手にして、私と友人たちはそのまま空港へ直行。なぜ空港かというと、そこがレンタカーできる一番近い場所だったからです。

免許証を手に入れたら自分ひとりで運転できる・・・レンタカーの鍵を受け取り、自分でハイウェイを運転してアパートまで帰り、無事駐車場に車を停めて降り立ったときの気持ちは忘れられません。

時刻は夕方で、オハイオの広い広い空に見事な夕焼けがひろがっていました。車の横に立つと気持ちの良い風が吹いていて、ああ、これで私は自由に動き回れる!という解放感でいっぱいでした。

あれからもうすぐ10年ほど、今ではLAのハイウェイを飛ばして当たり前のように通勤する毎日ですが、ただ自分の車のキーをイグニッションに入れてエンジンをかけるだけで誇らしい気持ちでいっぱいになったあの頃の気持ちを忘れないでいたいと思います。

家族代わりの存在でなんの見返りも求めず助けてくれた友人たちへの感謝の気持ちも! 

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8 comments on “アメリカで運転免許をとる”

  1. いやぁ、わかります、わかります。
    アメリカで一度、足のない体験をすると、世界観が変わる。笑
    そして、周りの人の協力や優しさもわかりますね。

    私もアメリカで初めて運転しましたが、日本で聞く運転免許ゲットとは違うな~と思いました。

    筆記試験は日本人の「試験感覚」で行くと、かなり拍子抜けしますね。携帯電話で誰かと会話しながらテスト受けてる人とかいましたよ。笑
    あと、日本語のテストも用意されてます。
    このテストは、運転云々より、ああいった質問に答える辛抱強さをテストされてるような・・・・。

  2. ハワイ州は、観光客でも(ビザウェイバープログラムで入国している人たち)免許が取れるそうで、観光客相手に「一日でハワイの免許を取得する」というのを専門にビジネスをしている会社もありますよ~。

    でも、今年2012年の3月で法律が変わるらしく、今が最後のチャンス(?)みたいです。

    私はカリフォルニアで、日本語の筆記テストを受けましたが・・・・日本語が分かりづらくて大変でした!英語のテストにしたらよかった~と後悔。。あ、でも合格できました。

    外国での免許証ゲットは、思い出深いですよねぇ。

  3. Erinaさん、携帯で話しながら試験ってすごいですえ。誰かに答えを聞けちゃいそう。場所によっては一応仕切りのある机とか専用のスペースとかでやるみたいだけど、とにかく日本みたいにシーンとした教室で一斉に・・・っていうのはないですよね。

  4. マキさん、ハワイは観光ビザでもいいんだねー!
    こうやって州による違いがあるから、「アメリカではこうです」ってなかなか言えないのよね。
    あとで本文訂正しておきます。

  5. 免許取得当時、僕はシアトルでしたけど、まだ英語が全然分かんなかったので(日本語テストはもちろんありません)3度目の正直で2ヶ月を筆記に要しました。その翌週に車を購入、免許取得でしたが…
    練習は一人でもくもくと夜走る感じでしたね。あの頃、十代の勢いって凄いですね。生きてて良かった。

  6. たつやさん、筆記が大変だったのですね。でも運転はそんなすぐ上達したんですね。私はまったくセンスなくて歩道にのりあげたりメールボックスふっとばしそうになったり、一生免許とれないんでは・・・と泣きそうでした 笑
    練習一人でしてたんですか!!ほんと無事で良かった・・・(^^)

  7. 2019年3月からシカゴに留学するものです。運転免許での筆記試験で、日本の道交法と「ここは違う」という点があれば教えてください。よろしくお願いします。

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