アメリカの新人発掘番組:「The Voice」
「テレビ見る時間なんかない。」
テレビ無しで硬派(?)な大学生から社会人になり、たまたまタダで薄型テレビを貰ったら、「ま、ニュース見れるのは良いな」とか思っていたのですが…
最近、不覚にも某音楽番組に「ハマって」しまいました。
米国NBCの「The Voice」という、四人の審査員がオーディションを通して新人を発掘していく内容のもの。
一昔前の日本でもそうでしたが、音楽界の代表的な「アメリカンドリーム」の構図と言えば、「レコード会社にスカウトされて、アルバム制作をしてデビューして大当たり」。
これは確かに今も細々と続いている成功例。ただ、近年は「YouTube」を利用して自力で世界ツアーを達成してしまう歌手が登場するなど、所謂「素人の台頭」という新しい構図が生まれ、業界全体の「構図」にやや幅が出てきたように思います。
「AKB48」のように、「観客参加型」で「買う側が売る側の行方を左右する」というゲーム感覚とも言える一体感で業界を席巻している現在の日本の音楽メディア業界。米国で新しい地位を確立しつつあるのが、個人的な見解ですが、テレビでの「新人発掘番組」。
とにかく「勝負事」が大好きなアメリカ。この「勝ち負けを決めたい」体育会系な国民性(?)を反映し、この他にも数々の音楽オーディション番組があります。
「新人発掘番組ブーム」を近年再開拓した「American Idol」、歌に限らず芸能全般を対象にした世界フランチャイズの「America’s Got Talent」、これらの番組から派生した「X Factor」などが代表格なこのジャンル。
芸能系以外にも「Survivor」「Iron Chef(米国版「料理の鉄人」)などの、「ひたすら競って、頂点に立つ」という通称「Game Show」という類の、「競争させる」系のテレビ番組が多いですね。
ちなみに、これらの番組内容はかなりの割合で日本から持ってきている(米国の制作会社が日本のテレビ局からライセンス取得している)場合が多いんだとか。
そう考えると、日本の「知的財産」も中々のものなのかな、とか思ったり。一部アメリカ人の間では、日本の「料理の鉄人」や「サスケ(米国では「Ninja Warrior」として放映されていたそう)」は今でも語り継がれているくらいですし。
話を「The Voice」に戻します。
比較的地味に見えてしまう「アメリカ中西部」とはいえ、やはりアメリカ。つくづく感じるのは音楽に携わる人達の層の厚さ。
今年が四年目のこの番組を僕が見始めるキッカケが、ウィチタ出身の歌手クリス・マン。
すでにミュージカルやクラシック界では活躍していたクリスが番組の初年度に参戦。最終的に見事全体の4位(Season 1)入賞。現在は「Universal Music」系からアルバムを発売し、そのツアー中の先月ウィチタで凱旋公演をしました。
どの業界でも「ひとつ上に行く・方向性の変更」という壁を越えるのが鬼門ですが、クリスもその機会をこの「The Voice」に託した一人でした。
他のオーディション番組と比べて脚色が少なく、ひたすら歌い手の歌唱力と舞台上での存在感に照準を絞っているのが「The Voice」の魅力。やはり若い世代が大化けしていく過程や「今まで機会に恵まれなかった」という少し年配の世代が頑張っている姿を見るのは楽しく、(歌手に成ろうとは思いませんが)「俺も頑張ろう」と思わせてくれます。
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ま、この番組自体を見始めたのが先月なので、そこまで詳しくはないのですが、知ってる範囲で説明すると…
Stage 1: Blind Audition
最初に審査員(コーチ)4人が全員後ろを向いてる状態で、歌を披露。審査員は「これだ」と「自分のイメージ」に合ったらボタンを押して振り返り、その歌手をゲットし自分のチームに入れます。
もちろん、楽屋で見守る家族や友人が楽屋で一喜一憂する模様も見れます。一人の歌手に、複数人の審査員がボタンを押しかち合った場合、歌手側に「この審査員のチームに行く」という決定権があります。
個人的に「こいつはヤバい」と思った人達には、圧倒的な歌唱力と声質で審査員まで盛り上がってしまったこの人、落ち着いた「癒し」を売りにし全員総立ちにさせたこの方、迫力と技術でやはり全員総立ちにさせたこの方、いつも「歌ってくれないか」という病気のお父さんのために歌い続けた17歳、「年齢なんか関係ないわ、チャンスをちょうだい」という強烈な声の持ち主の42歳、才能溢れ過ぎる15歳。てか、すでに書き切れません。
Stage 2: Battle Round
第一関門を突破した歌手達は、各審査員が各自のチームからペアを組ませます。課題曲を与え競い、ここで「勝ち負け」を決め、さらに人数を絞ります。「勝ち」と言われた歌手達はそのままのチームで次の関門に進みます。
コーチ(審査員)が「負け」を宣告した歌手に対しては、他の審査員達が「Steal」という制度を利用して各自のチームに入れることができます。
ただ、最終的に「審査員一人(1チーム)につき、選抜8人、補欠選抜(「Steal」を使用して獲得した)2人」という人数制限があるので、審査員は慎重に決断を下します。
各コーチは、自分のチームに所属する歌手に対して助言と課題を与えるので、第一関門と比べ、突然「大化け」する若い子がいたり、今まで見せなかった芸の幅を見せつける人が出てきたり、また「こいつはヤバい」という方々が出てきます。
「これがアマチュアなの?」という人達ばかりですが、すでに完成されていてイジりようがなさそうなこの二人や、とても若いデゥエットとは思えないこの二人、その必死な様に感動しまくった17歳同士の対決。
やはりここでも書き切れません。
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もともと音楽や演劇、芸術などを中心に創作意欲が旺盛な歴史に溢れる土壌。
やはり国全体が「本場」としての意識を持ち、「米国ならでは」の歴史と文化の継承と発展を強く意識しているからかな。日本に比べると、世代間の壁も極めて少ないから、「年齢」に対する偏見もないし。
日本の地元の友人達や演奏家の兄ともたまに雑談しますが、後進の育成に「これでもか」と強く深く取り組む米国芸能界(業界)の姿勢や教育または活動環境は、手厚く充実しているなぁと感じます。ここに差が生まれるのかな、と再確認。
テレビドラマの「Glee」同様、この番組にも「先行投資で『必ず売れる環境作り』」「著作権リサイクル」など、大人な事情と影が見え隠れしてるので、素直に「やっぱアメリカ最高」と〆れないのですが…
「頑張っているみんなを見ているのが好きだ」みたいな、夏の甲子園的な感覚で見ている僕です。
夫婦共々この番組のファンです。 この番組を見ると層の厚さに驚かされます。日本の最近の歌手ったら・・・って思ってしまうのです。 若い15、16、17歳くらいでこんなに才能があるのは怖いですね。先がいい意味で恐ろしい。 私は個人的にはバトルラウンドが好きで、「勝ちたい!!」という気迫が歌声に込められて圧巻ですよね。
「頑張っているみんなを見ているのが好きだ」みたいな、夏の甲子園的な感覚で見ている僕です。
↑同感です。 Stage 3は一般投票になると思うけど、誰に投票しようかな?
Trevin Hunte氏がかたい気がしてるんだけど(選曲によるが)…
個人的にはKayla Navarezを応援したい感じ。脱落しちゃったけどお気に入りだったNathalieと同様、声質が好きでして…なんかあんま嫌味じゃなくて、でも上品に上手いみたいな。
バトルラウンドを見てはまってしまったので(つくづく不覚)、分かります分かります。「おラオラオラオら~」みたいな体育会系のノリの人が「歌」でグイグイ押すのって、凄いっす。楽器下手で良いから、歌が上手かったら良かった、なんてたまにコーラスをさせられながら思います。
TatさんとはMusic関係で気が合いそうと勝手に思っていた矢先に、来た~!話題。わたしもTVを見る時間があったら練習しなさい、(ベースです)と節制してるのですが、Voiceはつい見出すととまらないです。前のシーズンの最後のステージなんかすごいものがありました。今シーズンもおもしろそうですね。いつかTatさんのステージもみたいです。SDにくる予定はないですか?
ミカさん、とりあえずは他の才能豊かな皆さんを見て勉強しましょう、みたいな。音楽鑑賞も自習ですし。
てか、最近見始めたばかりの初心者なんで、前回分を確認しないといかんですね、そんな凄い展開があったなんて言われると。
あんま見てもらうほどでもないんで、気候に恵まれたSDでわざわざ演奏するより…ひたすら他の凄い人を観察したいっす?